輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話 作:科学大好き人間
猗窩座は淡々と拳打を放ってくる。俺はそれを嗅覚による動作予知で察知し何とか捌き続ける。
「素晴らしい! 見事だ! 他の柱は勿論、あの黒死牟ですらここまで俺の動きには対応できなかった! 一体どういうカラクリだ!?」
再び猗窩座に隙ができたので、俺はその質問に答えず斬撃で迎撃する。
ーヒノカミ神楽 碧羅の天ー
猗窩座の肩口に掠る程度の赫刀の斬撃が入ったが、俺の切り返しに直前で反応して奴は距離を取った。
「すまない。防御の最中に答える余裕もなかったか。改めて聞くがどうして俺の動きがわかる? 予備動作のない俺の動きを読めるはずがないのだが・・・」
「はあ・・・はあ・・・教えるわけないだろ、そんなこと。」
「そうか・・・なら質問を変えよう。この短期間でどうやってこれ程までに腕を上げたのだ? 一体どういう鍛錬をしたのか是非聞いてみたい。」
猗窩座はじっと俺の答えを待っている。俺は息を整えるまでの時間稼ぎに良いかと思い、その質問に答える。
「・・・白峰さんに鍛えてもらったんだ・・・実戦形式でずっと・・・」
「白峰? ああ、あの胸糞悪い不誠実な男か。確か氷の呼吸とかいう予備動作の少ない剣を使う奴だったな。俺との模擬戦闘には確かにうってつけか。しかし・・・」
猗窩座は眉をひそめる。
「よくあんな男に教えを乞えたな?」
「・・・」
「女にすぐ手を出そうとするような不誠実な男に剣を教わって、お前は恥ずかしくないのかとそう聞いているんだ。」
俺は刀の柄を握りなおして、猗窩座に言い返す。
「・・・女を喰って力をつけているのはお前のほうだろう、猗窩座。」
猗窩座は一度目を見開き、口元を手で覆う。さりげなく放った俺の言葉に動揺しているようだった。
「・・・ああ、確かに。それもそうか・・・」
猗窩座は急に気分が悪くなったのか、そのまま口元を押さえる。まるで吐き気を我慢しているみたいだった。
「・・・猗窩座?」
「うっ・・・なんでもない・・・お前が気にするようなことじゃない・・・」
猗窩座は息を乱していたが、やがてそれも収まった。
「余計な質問だったな。まあいい。無駄口を叩いている間にお前の仲間も到着したようだ。良かったな?」
「え?」
突如、天井が砕け散り、俺と猗窩座の中間地点に炎の模様の羽織をなびかせる人物が現れた。
「煉獄さん!!」
「大丈夫か! 竈門少年!! ここからは俺も加勢する!!」
煉獄さんは猗窩座に日輪刀の切っ先を向けて構える。
「また会ったな、杏寿郎。以前の戦いで負傷した左目以外は無事なようだな?」
「ああ!! 隻眼隻腕になろうと、俺は己の責務を全うする!! 勝負だ猗窩座!!!」
「いいだろう。今度こそ決着を着けよう。」
猗窩座が迎撃の構えを取り、煉獄さんは即座に斬りかかる。
ー炎の呼吸 参ノ型 気炎万象ー
ー破壊殺 鈴割ー
煉獄さんの打ち下ろしの斬撃を、猗窩座は右腕の裏拳で払おうとする。
衝突の刹那、煉獄さんは太刀筋を曲げて、ギリギリで刀が破損するのを防ぐ。
「毎度のことながら大した男だ。よく見切れるな?」
「ほとんど勘だ!! もはや反射に近いな!!!」
ー炎の呼吸 伍ノ型 炎虎ー
ー破壊殺・鬼芯八重芯ー
煉獄さんの続けざまの突進攻撃に対し、猗窩座は素早い左右交互の突きで迎撃する。
「うお!!!!」
ー破壊殺・乱式ー
技の威力に後方へと押し下げられる煉獄さんに猗窩座が追撃してくるので、即座に俺は間に入って迎え撃つ。
ーヒノカミ神楽 灼骨炎陽ー
凄まじい衝撃が剣先から伝わるが、俺は握力を込めて必死に耐える。俺も後ろに流され、煉獄さんにぶつかる。
「しかし悲しいな、杏寿郎。お前が欠損のない万全の状態であったなら、一対一でも満足のいく勝負ができただろうに。
今のお前では俺の動きについてくるのが精一杯で、力勝負になると俺とは対等に打ち合えん。せめて両腕があればな・・・」
「確かに隻腕では、力比べで負けてしまうな!! しかし俺は黒死牟との戦いで痣と赫刀を発現し、透き通る世界が見えるようになった!!
失なったからこそ今の俺があるのだ!!」
「そうか・・・ならどのみち、お前は俺には届かなかったということか。それはそれで残念だな、杏寿郎。」
「煉獄さん!! 俺が壁になります!! 猗窩座は時々隙を見せるのでそこを斬りかかって下さい!! 二人ならやれます!!」
「わかった!! 竈門少年!! 頼んだぞ!!」
「はい!!」
俺と煉獄さんで猗窩座に突進する。二人がかりの攻撃でも、猗窩座は一切の無駄な動きを排して捌き続ける。
「白峰が言ってた通りだ!! 防御に回った猗窩座の動きは最適化されているが、それゆえに読みやすい!!」
すかさず煉獄さんが突きを放つと、猗窩座の左頬に切り傷ができる。
「流石です!! 煉獄さん!!」
「やるな、杏寿郎。お前は俺の動きを感覚で察知してる訳ではないのだな? まさか動きを先読みしてくるとは驚いた。経験値の成せる技だろう。だが・・・」
突如、猗窩座の目にも映らない拳打で煉獄さんは吹き飛ばされる。
「煉獄さん!!!」
「やはり攻撃までは読めんか。俺の攻めを受けきれるのは炭治郎、お前だけだな。」
再び俺と猗窩座で攻防が繰り返される。何度か猗窩座も捌ききれず俺の赫刀の斬撃を拳打で相殺しているので傷付いてはいるのだが、拳を砕くほどにはならない。
「やはりお前は特別なのだな、炭治郎。日の呼吸の使い手に黒死牟が劣等感を抱いた理由も頷ける。これ程の技量があれば、あのお方の命に届くやもしれん。だが・・・」
ー破壊殺・脚式 流閃群光ー
猗窩座の蹴り技に圧され、俺はそのまま下がらされてしまう。
ー破壊殺・乱式ー
猗窩座は距離を取ったまま、空圧正拳で俺を押し流す。
ー破壊殺・砕式 万葉閃柳ー
俺が対処に追われる間に奴は接近し、渾身の振り下ろしを放ってくるので俺はそれを間一髪で躱す。足場が割れ、凄まじい衝撃が鳴り響く。俺は宙へと退避する。
ー破壊殺・脚式 飛遊星千輪ー
「がはっ!!!」
何とか猗窩座の蹴り上げを刀で受けるが、その衝撃までは防げない。俺は天井に打ち付けられ吐血する。
「竈門少年!!!」
ー炎の呼吸 壱ノ型 不知火ー
ー破壊殺・空式ー
猗窩座が滞空している隙に煉獄さんが斬りかかろうとするが、猗窩座は虚空を打つことで煉獄さんをはじき飛ばす。
「まだだ!!!」
煉獄さんは体勢を整え、上体を捻じり、地面を両足で踏ん張る。
ー炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄ー
凄まじい衝撃波を起こしながら煉獄さんは猗窩座へと突進する。その剛剣は猗窩座の身体を両断するかに見えたが・・・
ー破壊殺・脚式 冠先割ー
猗窩座は煉獄さんの剣先の腹を蹴り上げで打ち払い、その衝撃で煉獄さんの日輪刀を半ばで折ってしまった。
「っ!!??」
「然らば。」
猗窩座の拳が煉獄さんの鳩尾に入るその一瞬に俺は両者の間に飛び込む。
ーヒノカミ神楽 輝輝恩光ー
猗窩座が攻めに意識を割いた一瞬の隙を突いて、俺は猗窩座の右腕の肘より先を切り飛ばす。猗窩座が一瞬動揺し動きを止めたので、俺は煉獄さんを抱えてそのまま下がる。
猗窩座は焼き切られた腕の断面をもう片方の拳で殴り砕き、そのまま再生させる。
「愚かな・・・なぜ頸を狙わなかった・・・千載一遇の好機を捨て仲間を庇うなど・・・俺や杏寿郎に対する侮辱だとは思わないのか・・・竈門炭治郎っ!!」
猗窩座から怒気が漏れ出す。俺は煉獄さんを下がらせる。
「竈門少年・・・悔しいが猗窩座の言う通りだ。なぜ俺を庇うことを優先したんだ。」
「・・・すみません、煉獄さん・・・それでも俺は・・・」
俺は猗窩座に対し剣を構える。
「ここに居る者は誰も死なせない・・・だって俺は・・・あなたの継子ですから・・・!!」
「竈門少年・・・!!」
猗窩座がこちらに対し攻撃を仕掛けようとしたが、すぐに動きが止まった。その瞬間、両側面より攻撃が入る。
ー水の呼吸 壱ノ型 水面斬りー
ー水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突きー
「下らん。」
猗窩座は斬撃と刺突を両の拳の裏拳で打ち払い、そのまま迎撃の構えを取る。
ー術式展開 破壊殺・終式 青銀乱残光ー
刹那、花火を彷彿とさせるような100発以上の乱れ打ちが放たれる。
ー水の呼吸 拾壱ノ型 凪ー
ー水の呼吸 拾弐ノ型 水麗の羽衣ー
「ぐあっ!!!」
「ああっ!!!」
二つの影はそのまま吹き飛ばされ、床を転がる。そこには全身血まみれの義勇さんと真菰さんが転がっていた。
「彼我の力量を推し量れぬまま攻撃を仕掛けるなど、愚かとしか言いようがない。そのまま這いつくばっていろ。弱者共。」
「くっ・・・」
「ううっ・・・」
「義勇さん!! 真菰さん!!」
猗窩座は二人に視線を向けることなく、俺達に近づいてくる。
「透き通る世界すら見えない者共では俺の相手にすらならん。身の程を知らずに徒党を組んで不意を突いて斬りかかろうとするからそうなるのだ。恥を知れ。」
「猗窩座!! 二人は決して弱くなんてない!! 義勇さんも真菰さんも俺を守ってくれたし育ててくれた凄い人達なんだぞ!! それを・・・!!」
「だがそれでも、実力は俺や今のお前の足元にすら及ばない。かつてお前が赤子のように弱い者だった時の恩人だったとしても、それは俺には関係のないことだ。
お前がこいつらに感謝を抱くのは勝手だが、それでも俺にとって弱者であることには変わりない。」
猗窩座はそう言い捨てて、俺と煉獄さんに近づいてくる。すると俺の後ろから煉獄さんが言い放つ。
「猗窩座。強さというものは、肉体に対してのみ使う言葉ではない。その二人は弱くない。侮辱するな。」
「・・・」
猗窩座は立ち止まる。後ろで傷だらけになりながらも立ち上がる二人の気配を感じ取ったからだろう。
「炭治郎を殺したければ、まず俺を倒せ!!」
「炭治郎は殺させない!! 私は炭治郎の姉弟子だから!!」
「義勇さん・・・真菰さん・・・!」
俺が二人の言葉に胸を打たれていると、俺の隣にカナヲが立ち並ぶ。
「炭治郎を守り支えるのが私の役目。例えこの身を犠牲にしても私は炭治郎を守る。」
「カナヲ・・・」
「なら俺にとっても炭治郎は大事な継子だ!! 炭治郎は死なせない!! 俺は己の責務を全うする!!!」
煉獄さんも再度日輪刀を構え直す。それらの様子を見た猗窩座は、目を細め迎撃の構えを取る。
「認めてやろう、どれだけ打ちのめされようとも向かってくるその不屈の精神力だけは・・・だが、精神だけでは俺は殺せんぞ。
俺の考えを否定したくば、言葉ではなく力で語れ。そうでなくば俺が負けを認めることはないのだからな。」
「ならこれが、これが今の俺達が持つ力の全てだ!! 猗窩座っ!!!」
その言葉を皮切りに、俺達は一斉に猗窩座へと肉薄し剣を振るった。
続く
最後の猗窩座の台詞は別作品のラスボスのオマージュです。ドラクエ好きの人はわかるかもしれません。次回、猗窩座戦決着です。
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