輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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兄の雁哉君視点です。短いです。次回最終話です。


93話 最後の柱合会議

「何だかんだ言って、あっさり無惨倒せたね? いや~、よかったよかった~。」

 

「全然あっさりじゃねぇわ。正直上弦一体でも討ち漏らしてたら逆にこっちが全滅してただろ。珠世さんの複合薬が決まってたらもっとラクに倒せてたんだけど・・・」

 

「ふふっ、でも結果的に倒せて良かったじゃないですか? 雁哉君がいなかったらきっと無惨は倒せませんでしたよ?」

 

 

俺にそう笑って話しかけてくるカナトとしのぶ。俺達三人は今丁度新しい産屋敷邸に到着したところだ。

 

庭で咲く桜の花びらが風に乗って周囲を飛んでいる。少し肌寒いが、暖かな日差しが心地よかった。

 

 

「いや、派手に穴だらけだったろ、間の作戦内容は。珠世の薬が無惨に投与できなかった時は普通に血の気が引いたからな。」

 

「お疲れ様です。宇随さん。早いですね。」

 

 

柱合会議を開く、屋敷の一室に入ると、宇随さんより声を掛けられる。

 

更に奥の上座の近くには悲鳴嶼さんも座っていた。

 

 

「間。よく無惨を倒してくれた。私は早々に戦線離脱してしまったが、三ヶ月前の無惨討伐の報を聞いたときは思わず感涙を流してしまったものだ。」

 

「ご無沙汰してます、悲鳴嶼さん。でも悲鳴嶼さんが感涙流してるのっていつものことじゃないですか?」

 

「南無・・・」

 

 

そうして悲鳴嶼さんは数珠をジャリジャリしている。俺は悲鳴嶼さんの前で腰を下ろす。

 

 

「話は変わりますが・・・獪岳とはあれからどうですか?」

 

「・・・うむ。元通りという訳にはいかないが、以前よりはちゃんと話せるようになったかと思う。私は獪岳の献身を認める。間が奴を奮起させてくれたおかげだ。礼を言う。」

 

「あいつは最初から償いの機会を探してたようですよ。俺も丁度鬼化に積極的な隊士を探していたので丁度良かったんです。二人の関係修復に少しでも貢献出来て良かったです。」

 

 

悲鳴嶼さんが頷いたところで、部屋に新たな柱達が姿を現す。

 

 

「お久しぶりです。悲鳴嶼さん。お身体の具合はもう大丈夫なんですか?」

 

 

不死川さんを先頭に、伊黒、煉獄、甘露寺がぞろぞろと入室する。

 

 

「ああ。日常生活をする上ではもう何も問題はなくなった。流石にもう斧や鎖を振り回すのは無理ではあるが・・・」

 

「悲鳴嶼さん!! 鬼はもういないのだからその必要はないでしょう!! 元気そうで良かった!!!」

 

 

煉獄が元気な声を出していて少し安心した。猗窩座との戦闘で肋骨と内臓を負傷したと聞いていたから気には揉んでいたのだが、この様子なら生活する上では大丈夫そうだ。

 

一方で、後ろをついてきた伊黒と甘露寺は、部屋の隅に座っていたカナトとしのぶの傍に行き、何やら話し込んでいた。

 

 

「二人とも元気そうだな。」

 

「しのぶちゃん! カナト君! 久しぶりね!! 元気にしていたかしら!?」

 

「はい。最近はカナト君が毎日美味しいご飯を作ってくれるので、食べる量も増えて日に日に元気になってますよ?」

 

 

しのぶの発言に伊黒が目を丸くする。

 

 

「稲葉。お前が料理をしているのか?」

 

「ええ、まあ。ここ三か月くらいはアオイちゃん達と別居しているので、基本僕が作ってますね。あ、でも日中は新しい蝶屋敷で一緒に働いてますよ?」

 

 

カナトの発言に今度は甘露寺が頬を赤らめてもじもじしている。

 

 

「ももももしかして・・・毎晩蝶屋敷を離れてみんなと別居しているのは、恋人らしく二人っきりで過ごすためなの!?」

 

 

甘露寺の発言にカナトとしのぶは目を合わせて僅かにはにかむ。

 

 

「まあ、ね。寿命も少ないし、できるだけ一緒にいたいから、ね。」

 

「私も悔いの残らないよう命一杯カナト君を幸せにしてあげたいので・・・」

 

「キャー///!! 素敵っ! 素敵ねっ!! 私たちも一緒に二人暮らししてみようかしら! ねえ、伊黒さん!!」

 

「あ、ああ・・・そうだな・・・考えておく・・・か・・・///」

 

 

あっちは完全にカップル同士の会話だな・・・糖度が高すぎる・・・暫くの間俺は入らないようにしよう・・・

 

俺がそんなことを考えていると、今度は冨岡さんと真菰が部屋に入ってくる。

 

 

「あれ? もうこんなに集まってるの? 義勇、やっぱりもっと早く家出た方がよかったよ。義勇が朝から鮭大根食べたいなんて言わなければもっと早くこれたのに。作ってほしいなら前の晩のうちに言ってよね?」

 

「・・・済まない。」

 

 

・・・ん? 今の会話・・・もしかしてあの二人も既に同棲済みなのか? 今代の柱はやけにマッチング率高いな・・・

 

俺はそんな風に思い、二人から顔を背けるが、真菰は俺を見つけて声を掛けてくる。

 

 

「お久しぶり! 雁哉! 元気にしてた?」

 

「あ、ああ・・・真菰も元気そうでなによりだ・・・えっと・・・」

 

 

後ろから冨岡さんがじっと俺たちを見ている。気まずい。真菰も早く気づいてくれ。冨岡さんと会話するのがこれ以上難易度が上がるとか普通に困る。

 

俺は適当に話を切り上げて、二人を部屋の奥のカップルチームに割り振る。あっちに入れば、恐らく暫くの間話が弾むはずだ。

 

 

「雁哉。いいのか? せっかく鱗滝が声かけて来たのにそんな適当にあしらってよ。」

 

「・・・宇随さん・・・あなたは既に気づいてますよね・・・面白がってからかわないでもらってもいいですか?」

 

「ははっ! そりゃあ面白いだろ!? あの冨岡がだぞ!? マジで笑うわ、あんなん。あいつも見かけによらず裏では積極的だったっつう訳か、派手にな。」

 

 

宇随さんは必死に笑いを堪えて俺にそんなことを小声で耳打ちしてくる。この人、奥さんが3人もいるだけあっていい性格してるな、本当・・・

 

 

「遅れてすみません! 俺達で最後ですか!?」

 

「文逸! お前が禰豆子とくっちゃべってるから遅くなっただろうが!!」

 

「いいじゃん伊之助~。お前なんてしょっちゅうアオイちゃんと喋ってるんだから。俺だって少しくらいいいだろぉお?」

 

「善逸。だったら私がもっと炭治郎と一緒にいるようにするね。そしたら禰豆子ちゃんも炭治郎といる時間が減るからきっと独り占めできるよ?」

 

「いいの!? カナヲちゃん!! 恩に着るよ~! ほんと最近炭治郎の奴、禰豆子ちゃん連れてってどっか行くこと多いからさあ。」

 

「炭治郎は家族のお墓参りに禰豆子と一緒に行ってるって前話してたから仕方がないんじゃないかな? 俺も最近兄さんをつれて家族の墓参りに行ってるから・・・」

 

 

俺が宇随さんに呆れていると、炭治郎、伊之助、善逸、カナヲ、無一郎がまとめて入室してくる。一気に部屋に人が溢れかえったような錯覚を覚える。

 

 

「柱になったからって、まだまだガキだなてめえら。お館様が来たらちゃんと静かにしろよ? 地味にな。」

 

 

宇随さんがまるで学校教諭みたいにそう呼びかける。宇随さんも笑みを浮かべているし、案外子供の世話を焼くのが好きな人なのかもしれない。

 

そうして暫く談笑していると、部屋の上座のふすまから、輝哉さん、あまねさん、輝利哉君が入出する。

 

俺達はすぐに部屋で整列し、その場に正座で腰を下ろす。

 

 

輝哉さん達も上座で正座し、俺たちと正対する。

 

 

「みんな、来てくれてありがとう。今日が最後の柱合会議だ。」

 

 

輝哉さんはすっかり痣がなくなって、とても血色が良く元気になった。それと、痣がなくなると意外にも俺と瓜二つに見えるため、顔を合わせるたびに凄く戸惑う。

 

輝哉さんは柱の名前を一人ずつ呼び、今日で鬼殺隊は解散すると切り出す。

 

 

「産屋敷一族一同、心より感謝申し上げます。」

 

 

そうして、丁寧にお辞儀をし、頭を深々と下げる。その様子に柱の面々から声が上がる。

 

 

「顔を上げてくださいませ!!」

 

「礼など必要御座いません!!」

 

「鬼殺隊が鬼殺隊で在れたのは産屋敷家の尽力が第一です!!」

 

「産屋敷家ご先祖の皆様も誇りに思っておられることでしょう・・・!!」

 

 

矢継ぎ早に柱から言われ、輝哉さんは目を丸くした。そして、優しく微笑み、僅かに目じりに涙を浮かべる。

 

 

「ありがとう、みんな。本当にありがとう。」

 

 

後ろの輝利哉君なんて号泣していた。それをあまねさんが優しくなだめていた。

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




柱合会議前の柱同士の絡みが結構好きで、毎回それで尺取っちゃうんですよね。一方で柱合会議そのものは原作と殆ど同じにしました。筆者の凡庸なセンスでこねくり回すよりも、こっちの方が原作の読後感に近いかなと思ったからです。
次回最終話です。エピローグになるので原作要素はないと思いますが、最後まで読んで頂けると嬉しいです。

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