脳筋学園カピトリーノ高等学校 作:クロアカ・マキシマ
ゴゴゴゴゴゴゴッ……
ガタンッ!バキッ!
ガガガガガガッ!
カーン……カーン……
ゴトンッ、ドンッ!
ブォォォォン……
バババババッ........
バキバキバキバキッ.......
ドゴォォォオ.............
アビドス高校
キヴォトスでも1,2を争うほどに活気がないこの自治区に突然、けたたましい騒音が鳴り響く。砂にまみれた整備されていない道に戦車や重機・大型トラックが車列を為して進み、乱暴な運転で遠慮なくクラクションが鳴り響く。所々に残るガードレールをはじき飛ばし、もとよりギリギリで自立していた信号をなぎ倒して進む車列はある地点でピタリと停止する。そして、先ほどまでの乱雑さが嘘のように全体が一つの生物のように動いて地面を掘り返し始めるのだった。
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「うちの生徒が大変申し訳ありませんでしたーーーーーー!!」
理不尽だ、全くもって理不尽だ。ここ最近特に多かったので精神が慣れてきたのかだんだん気にならなくなってきたけれど間違い無く理不尽だ。前世で数十年、キヴォトスでさらに十数年生きてきた私の感覚は間違っていない...はずなのに。けれども、組織というのは誰かが責任を取らねばならないもの、そうならば仕方がない。でも、私の担当は内政であって外交折半ではないはずなのに....
申し遅れました、私は皇ユリ。キヴォトスに生まれ落ちた転生者にして、我がカピトリーノ高等学校において
「優れた都市には優れた芸術を」という標語自体はまだまともですが、それを求めて他校の自治区に武装して押しかけるとは全く理解に苦しむことこの上ないです。
そんな連中も一応は我が校の正式な部活動として認可している以上、謝罪というのは誰かが行わなくては。
深々と頭を下げる私の前で気怠げなピンク髪の少女が少し面食らっている。両脇を固める獣耳のついた生徒もなぜだか不思議そうな表情をしている。
「まあまあ、座って座って」
「失礼しますわ」
入りは悪くないとはいえ、侮りは許されない。なにしろ、こと都市建設のためならば妥協を許さない建設部の連中が目的を途中で投げ出して帰ってくるほどの強者。力の程は分からないもののこんな寂れた自治区にいていい戦力ではないことは確かだ。
警戒を解かずにしばらく話してみるものの、イマイチな反応しか返ってこない。なんというか、まるで襲撃されたことをなんとも思っていないようにすら感じる。誤解だったなどと宣っているものの、他校に武装して侵入している時点で誤解も何もあったものではない。
「うちの校舎を襲撃したわけでは無いし。砂漠を掘り返した分も埋め戻しているわけだし、壊れた道まで前以上に綺麗にされたわけだからおじさんはむしろありがたいかな」
くぅーーつ、変な一人称に変なテンポ。ここで崩されてたまるものか。それにこれは明らかなポーズ。明確な形の謝罪を受け取らないという高度すぎる交渉術。
くっ、手強いですわね。それではこちらも手札を切らざるを得ませんわ。
「メナ、出してちょうだい。」
「はっ、では失礼ながらここからはカピトリーノ高等学校にて
そう、見つかったオベリスクの買い取り。問題を起こすことでも一流だが、美術品に目がない建設部の部長が目をつけるだけあってそれなりの価値があるとのこと。
自治区を見る限り財政はそこまで良くないはず、とあれば1番効くのは現金。けれども直接渡すのでは意味がない。あくまで対価として渡すからこそ、効果的に発揮される。こちらも美術品の収集癖のあるメナだからこそ出せる妙案。さすがは私の左腕なだけある。
さあ、小鳥遊ホシノ、まずは様子見のジャブをどう捌くか見せてもらいますわ。
「えーっと、いちじゅうひゃく ・・・えーっと、2億」
そう、こちらの提示はまずは2億。最初は低めに出して、後から左フックでKOする。単純だけどそれがゆえに避けるのは困難。
さあ、小鳥遊ホシノ、打ってきなさいあなたのストレートを。
「2億!!!」
「えっ、あの白っぽい石が2億もするの?それだけあれば返済も ムムウッ」
「んっ、売り飛ばす。」
「うへー、あれにそんなに、とんでもないことになっちゃったね。」
あれ? うん?
どうやらアビドス連中はこの金額を大金であると認識しているらしい。いやっ、えっ、自治区の生徒会が2億程度で目の色を変えるようなことがあるのか?
思わぬ透かしを喰らった私を放置してメナは粛々と契約をまとめていく。あちらもどうやら乗り気のようであっという間に細かいところまで決まっていく。気が付けば砂漠の特定の地域を建設部が掘り返す代わりに掘り出したものをうちが買い取る契約まで盛り込まれることになった。
ここにきて私は自分の左腕の思惑に気が付いた。そう、何を隠そうこの前沢メナ。普段は有能な
メナ、やってくれましたわね。そういう意図を込めて睨むもあっさり受け流されてしまった。帰ったら覚悟しなさい。
「それでは失礼いたしますわ」
「よろしくねー」
「ん、私も砂漠を掘る」
相変わらず底を見せない小鳥遊ホシノとホクホク顔の砂狼シロコ、ぼろいスコップを後ろ手に持つ黒見セリカに別れを告げてアビドスを後にする。
なんだか腑に落ちませんが、帰ったら尻拭いをさせた連中の尻を思いっきり叩いてやりますわ。
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