スーパー地球プロジェクト! 地球大混合事変!! 作:グレン×グレン
【青野レイズ】
「こんなに、こんなに心から愚痴を言えたのは初めてです、イッセーさん!」
「そんなにかしこまるなよ。俺達は、同じような痛みを分かち合う親友だろ、総二」
「……そうだな、イッセー!」
凄い勢いで共鳴している。親友と書いてマブダチと呼べる関係になっている。
あと赤龍帝は本当に申し訳ありません。あとで意見具申として最高幹部どもを鎮圧する部署を設立すべきと提案しよう。
「いやぁ、あのおっぱいドラゴンに異世界の親友までできるなんてね! なんかまだよく分かってないけど、やばいことになってるんじゃない?」
「まぁそれはそれでいいことなんだろうけどな。……それはそれとして、よくここにこれたな二人とも」
楽しそうにしてくれて何よりだけど、なんでサフィア達がここにいるのやら。
サフィア・ジュエリーズと童門海香。
二人は俺のチームメイトだ。最も、チームを組んだのは和平が成立してからだからまだ最近の中だが。
「あの、お二人は青野さんのお友達なんですか?」
「どっちかというと……同僚。一応、各勢力から出向した聖剣使いの……部隊の一つ」
海香が紅葉山に説明するけど、まぁそういうわけだ。
そして、後天的に聖剣使いになった経歴を持つ天使イリナが反応した。
「そういえば聞いたことがあるわね。和平のおかげで人工聖剣使いが廃止できた理由の一つだったっけ?」
「そーゆーこと! ついでに各勢力合同で、新しく聖剣も作っちゃう計画のテスト部隊だったりするよ!」
ビシリとサフィアが言うけど、まぁそういうわけだ。
聖剣を使う才能は世界的に希少だが、世界全土からあさればそれなりの数にはなるだろう。まぁ、一般市民から強引にスカウトするわけでもないから限度はあるが。
そういった才能を持つ者達を、各勢力の和平にかこつけて何割か集めてたりしているわけだ。そして技術交流で新しく強力な聖剣も作ってしまおうという計画があったりする。
人工的な聖剣使いを創り出す計画も一部流用されているし、その産物である人工的な聖剣使いも何人か参加しているがな。
「厳密にいえば俺は人工的なタイプですがね。一時期ヴァーリに絡まれていい加減辟易していたので。カウンターをいくつか欲しかった感じで」
本当にアイツにはうんざりさせられるというかなんというか。
いい加減しつこいし、好き好んで負ける趣味もなかったから、ちょっと気合を入れる羽目になった。
流石に手段を選ぶべきだったろうか。逆に更に関心を向けられた気がしないでもない。
「なるほどねー。バルパー・ガリレイがいるからそりゃ他にもいるわよね」
「その節はあのクソ野郎がご迷惑をおかけして申し訳ないです。俺も一応捜査班だったんですが、他の候補地を担当してまして」
奴には聖剣使いにしてくれた感謝こそあれど、人格においては論外だったからな。正直死んでくれてよかったといってもいいし。
いや本当にクソ野郎だし。いっそのこと技術だけ取って始末という後ろ暗いことも考えるべきレベルだったからな。
「……本当に死んでくれて助かったというか。どうせ和平になったら流石に対処される側だし、あそこで勝手に殺されてくれたのはよかったような気がしないでもない」
「……えげつないこと言うな。流石にそんなの、そもそも置く組織ってどうなんだ?」
暁に指摘されるが、そうも言ってられないからな。
「和平前はそうせざるを得なかったんだよ。異形側は全方位睨み合い状態だったから、多少どころかかなり問題があってもうかつに数を減らしたり脱走されるわけにもいかないし。……まぁ、そういう奴らに限って和平後に大人しくする選択肢を取らないわけだが」
あ、思い出したら頭が痛くなってきた。
「私の実戦って……そいつらの討伐戦だからね」
海香もぼやくけどまさにそんな感じだ。
「具体的にどんな感じだったりするの?」
「バルパーとかディオドラ・アスタロトを思い出していただければいいかと。大体そんな感じです」
俺が天使イリナに応えると、落ち着いてきた赤龍帝が顔をしかめる。
「え、ああいう奴らってまだいるのか?」
「バルパーはともかく、ディオドラは和平前ならむしろ褒められてもおかしくないですからねぇ。……だから和平後にやめればなぁなぁにせざるを得ないだろうに、こっそりやるどころかテロリストに寝返ってまで満喫しようとするとか馬鹿としか言いようがない」
あいつ本当にバカだったんだなぁ。
和平前なら敵を離反させたという形にもできる上、似たようなことは大抵の勢力がやっているからなぁなぁにできる余地はあったんだ。魔王を輩出した家の次期当主であることを踏まえれば、教会側もある程度は我慢せざるを得なかったろうし。
にも関わらず、趣味を満喫する為に禍の団に内通して裏切り行為を敢行。結果として赤龍帝にあっさり返り討ちに遭った挙句、シャルバに用済みとして殺されたわけだ。
……馬鹿すぎる。世渡りが致命的に下手というか、典型的な自分が頭がいいと思っているタイプの馬鹿。俺はああならないように気を付けよう。
ま、それはこの際おいておこう。
「……ふん。裏切り者が警戒されるのは当然だな」
と、千堂とかいったやつが詰まらなさそうに鼻を鳴らした。
辛らつだが正論過ぎる。ま、裏切り工作とかするのも諜報員の仕事だろうし、尚更酷評なんだろう。
「そういう意味では、そこの奴には警戒した方がいいだろうがな。聞けば禍の団の幹部だったのだろう?」
と、ヘラクレスの方にちらりと視線が向く。
まぁド正論だ。
とはいえ、最低限のフォローはしておこう。
「心配するな、千堂。……万が一にでもそういうまねをしたらその時点で死ぬような呪いがかけられている。神仏魔王をなめない方がいいぞ」
「まったくだ。出なけりゃなんで俺が子供の面倒見なきゃいけねえんだよ……」
ヘラクレスのぶつぶつ言うが、まぁ気持ちが分からんでもない。
「……え、子供の面倒? そういえばキミ達、子供達を連れてたよね?」
小鈴がその辺りを気にしているが、実際まぁそうなるだろうな。
と、赤龍帝がちょっと苦笑してた。
「あ~……。ちょっとしたイベントで悪魔の子供達に人間界を見学させるっていうのがあってさ? で、ヘラクレスはその子供質が通う幼稚園の守衛と用務員をさせられてるんだよ、今」
三秒ぐらい沈黙が起きた。
「……おい、大丈夫なのか?」
「言いたいことはよく分かる。とてもよく分かるぞ暁」
まったくもって気持ちが分かる。
ただ、まぁその辺りはなぁ?
「文字通り種族が違うことや、価値観の違いとかそういうので流してくれ。……いや、俺も聞いた時はどうかと思ったがこれはヘラクレスの所為じゃないし」
「まったくだ。どこの世の中に園児乗せたバス襲撃した奴を園児の護衛につけるやつがいるんだよおかしいだろ」
俺のフォローに便乗してヘラクレスが文句を垂れるが、まぁそれはそうなんだがお前が言うなというか。
いや、本当に同感なんだが。普通は心情的にしないだろう沙汰としか言いようがない。
「正直、死刑を求める声も数百人単位であったから不安なんだけどな。やらかした内容が内容である以上、相手が少年とは言え限度はあるだろうとは思っている」
「ど、どんなことをしてたんですか?」
紅葉山が俺のボヤキに反応するが、これ言っていいんだろうか?
そう思っているが、ただ赤龍帝は苦笑していた。
「ま、魔王様が大丈夫って言ってるならそう問題は起きないって。それにヘラクレスはマジで強いから、戦力としちゃぁ頼りになるぜ?」
赤龍帝はいい奴だ。
ただまぁ、そういう善性に付け込む屑ってのはいるからな。少しぐらいは俺が気を付けていたほうがいいだろう。
「それにまぁ、さっき言ってたヴァーリ達も意外と頼りになる時もあるしな。……ぶっちゃけただの暇人っていうか、戦わなければ普通にラーメン食ったり敢行してたりバッカみたいだし」
今聞き捨てならないことを聞いたような?
「待ってイッセー君! 青山さんはそれ知らないから言ったらまずいわ!」
天使イリナがたしなめるけど、それ完璧に失言ですが?
「ちょっと待ってくれません赤龍帝に天使イリナ。え、ヴァーリチームがロキの一件で図々しく共闘をごり押ししてフェンリル持ち逃げしたのは知ってますけど、そのあとも共闘してきたんですか?」
流石にそれは聞き捨てならないというか、問い質さずにはいられないというか。
「………えっとその……怒らないで聞いてくださいね?」
あ、これ怒ってしまうやつだ。
俺は確信するが、あえて黙って赤龍帝の言い分を聞いていた。
「アザゼル先生やサーゼクス様達から許可をもらって、ヴァーリチームから黒歌とルフェイが家にほぼ住んでます」
「いやちょっと流石に待ってもらえません? そこはとりあえず一回捕まえて処罰してからにしません?」
怒るの通り越して引いてきたんだがどうしてくれるんだ。
「そりゃあいつらが禍の団から追放されたのは知ってますけど、つまりテロ組織にすら馴染めないような社会不適合者ってことですよね? しかも黒歌は元からSSランクのはぐれ悪魔なんだから、悪魔側はもうちょっと厳しくした方がいいのでは?」
「え、いやそこまでしなくていいって」
しないと駄目なんですが?
俺は全力で突っ込みたかったが、赤龍帝はフォローの構えを消してない。
「そりゃルフェイはともかく黒歌は、もうちょっとオーフィスを見習ってほしい所あるけど―」
「ちょっと待って!? 本当にちょっと待ってくれませんかねぇ!?」
本当に聞き捨てならないこと言った!?
「……あっちゃ~。言っちゃったねイッセーどん」
デュリオが苦笑しているけど、コレこの人も知ってたな?
落ち着け俺。とりあえず深呼吸だ。
さて、尋問するか。
「……赤龍帝。今禍の団のトップである、龍神の名前が聞こえたんですが?」
軽く殺気を出しながら尋問すると、赤龍帝も誤魔化せないと思ったのか視線を逸らしながら、ちょっと居住まいを正した。
「……実はですね? 魔獣騒動の前というか、俺の中級悪魔昇格試験の前にですね?」
ふんふん。
無言で促そう。まずは聞いてからだ。
「英雄派……っていうか、禍の団がオーフィスに見切りをつけたのを察知したヴァーリが、英雄派達を釣るついでに、俺に興味を持っていたオーフィスをアザゼル先生に頼んで俺の家に連れてきたんですよ」
「もうその時点で色々と頭痛案件なんですが、次どうぞ?」
殺気と怒気が漏れているが、とりあえず話を聞こう。
「それでですね? 中級昇格試験後にサーゼクス様と会わせる予定だったんですけど、そのタイミングで英雄派がサマエルを使ってオーフィスの力を半分ぐらい奪ったんです」
「もうオリュンポスにハーデスの生首を請求してほしいけど、まぁ良しとしましょう」
冥府の神という立場を笠に着て好き放題やりやがってからに。
三大勢力による宗教的侵略は間違いない負の歴史だから、多少は我慢するべきだとは思っていた。だがサマエルの解放はライン越えだろうに。
「で、ハーデスにそそのかされたシャルバがレオナルドを暴走させて超巨大魔獣を作ったり、グレートレッドの助けを借りて冥界に戻ったりした結果、オーフィスは封印をかけまくったうえで俺の家で預かることになったんです」
胃と頭が激痛を発しそうだ。
とりあえず、最後に確認する事を聞いておこう。
「それ、他の勢力は知ってるんですか? 場合によっては内部告発する羽目になるのでそこは確認を」
「きちんとしてます! 魔王様やセラフの皆さんは勿論、オーディンのじいさんやゼウスのおっさんも知ってたはずっス!」
なるほど。
俺は一度深呼吸をすると、肩を落とした。
「分かりました。聞かなかったことにします!」
「いいのか!? なんかとんでもないことになってそうなんだが!?」
暁がツッコミを入れるが、もう言うしかない。
「各神話体系の主神までもが分かったうえでの判断である以上、現場の俺が口出しすることじゃ……ない。人間界を含めた世界全体のことまで考えた、高度な政治的判断は肯定する主義だ」
「……まぁ、大体のことは分かったわ」
と、城戸あやめが俺の言い分に納得していたようだ。
「ようは世界大戦を回避する為に、あえて犯罪組織のボスを表向きに処罰するのではなく司法取引で軟禁に留めているという話なんでしょう。諜報員としてはその程度の謀略は理解します」
「……まぁ、僕質もそういった裏取引をせざるを得ない時はあったからな。そこはまぁ理解するよ」
と、城戸に続くように皆本さんも納得を示していた。
「あ~……なるほど。俺も何つーか、今が似たようなもんだから文句が言えないのか……?」
暁もその辺りは納得したようだな。
というか、なんかいたたまれない状態だ。第四真祖の存在は明かしても暁自身は表舞台に姿を現してないのが関わってるのか?
「そうだな。例え敵だったとしても通じ合うものがあるんだろう。俺も経験あるぜ?」
「その、きっとその方がよかったんですよね? そうなんですよね?」
正統派ヒーローよりなので不安だったが、観束と紅葉山も即座に色々というつもりはないようだ。
そこはちょっと安心。
と、赤龍帝もほっとしていた。
「……そう言ってくれると助かるよ。オーフィスは本当に、ただただ純粋なドラゴンだからさ、これ以上変なことに利用されないで楽しく過ごしてほしいからさ」
……ふむ、なるほど。
無限や虚無を司るドラゴンだと聞いていたが、赤龍帝は違うものを感じ取ったのだろう。
その辺りも踏まえた上層部の判断がそれだというのなら、まぁいいか。
「……謀略は誠なり、か」
と、エイトがぽつりとつぶやいた。
「
「まぁ、あのコウチョウはかなり質が悪い使い方をしていたがな」
他の中野のチームも納得してくれたようで何よりだ。ちょっと慌てて空気が読めてなかったが、まぁいいだろう。
「そう、オーフィスは大丈夫! 素直ないい子だし、皆も気に入ってくれるわよ! トランプもできるし一回してみるといいわ!」
「え、そんなことしてるんですか? ちょっと楽しそうかも!」
「意外と……愉快なのかも」
天使イリナの言葉に反応しているサフィアと海音だけど、天使イリナは何をしているんだろうか?
「……まぁ、その程度の謀略なんて可愛いものか。俺の方がよっぽど難儀な謀略を担当してたしそこはいいだろうさ」
とりあえず俺はため息をつくが、まぁそれはそれとしてだ。
「というより、そろそろ続報とかが上から来ないんだろうか? 転移減少で通信がろくに繋がってないとはいえ、いい加減他のメンバーとも合流したいんだけどな」
俺は気持ちを切り替えて、おにぎりを食べながらちょっとぼやく。
こういうのは時間がかかると分かってはいるが、流石にもうちょっと一言欲しいな。
「あ、確かに! 実はこっちもチームの仲間とはぐれてるんだ。紫穂と松風君、大丈夫かな……」
「そうですね。俺も仲間達と連絡がつかないし。……愛香達、大丈夫かな……?」
薫と観束が不安を感じているが、まぁ確かにな。
「う~ん、まだ時間がかかるんじゃない? 結構会議が長引いているっていうか、通信網を繋ぐのも大変なうえ、内閣大臣とかもいろんな世界事に混ざってて、足並みを揃えるどころか知識のすり合わせに苦労してるみたいだし」
サフィアがそうぼやくが、確かにな。
最低でも六つの世界が混ざり合っているんだ。日本だけでもこれなんだし、世界中は大混乱だろう。
「早いうちにまとめた方がいいんだが、どうやってまとめるかだな」
「その辺大変ですよね。俺達異形は人間界に姿を現せないし、五大宗家経由で突っつくのも五大宗家だから面倒だろうしなぁ……」
俺も赤龍帝も、その辺りは悩みどころだ。
「五大宗家はなぁ……。転移現象で現当主とかがはぐれていたら、老害連中が何をしでかすか分からないし」
「あいつら本当に……あれだし」
俺がため息をつくと、海香も更に深いため息をついた。
いや、本当に大変だからなあいつら。
「他のチームや先生達とも連絡が取れないし、俺達も他人事じゃないな。諜報員は表に姿を現せないからこういう時つらいよ」
「……俺は姿を現す羽目になるのかもな……勘弁してくれ……」
と、エイトや暁が口々に不安を出し始めた時だ。
なんか急に轟音と揺れが発生した。
今度は何だ、今度は!?
次回より、戦闘に入っていく予定となっております!
後本作においてクロスオーバーの都合上、どうしても暗部的な部分のすり合わせが必要なところがあったので、一番書き慣れているD×D側から少し出す形で振ってみました。
まぁ、ある程度は何とかなりそうな作品群を選んでいるので、これぐらいは行けると思っております。