スーパー地球プロジェクト! 地球大混合事変!!   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 休日なので結構書き溜めができましたのでちょっと早めに投稿しまっす!!

 さて、ついに本作における最大級の巨悪が一人が姿を現します。


第一章6 悪の親玉ドグラ・マグラ先生による、スーパー勧誘タイム♪

【兵藤一誠】

 

 

 

 

 

 

 

 

「では厳正な審査の結果……勝者、明石薫!」

 

「いよっしゃぁあああああ! スレンダー美女とのお風呂タイム、ゲット!!」

 

「「畜生!!」」

 

 俺と野原は悔しさのあまり地面を殴りつけた。

 

 盛大にクレーターができるけど知ったことか。この悔しさ、せめて地面で晴らす!

 

「……最近はあんまりおっさん臭くなかったからな。こういうのも……久々だ」

 

「それ懐かしがっていいのか?」

 

 皆本さんが薫さんを見てなんか感傷に浸っているけど、隣の暁が軽く引いてる。

 

 でも畜生……おっぱいは小さいけど、全体的にハイレベルな美人とのお風呂が……お風呂が……!

 

「ふふ。お互い残念でしたね兵藤さん。……僕達ってのは、そういう運命なんでしょうね……」

 

 野原も落ち込んでいるけど、だいぶ頑張ってたんだけどなぁ。

 

 持っている剣から凄いオーラを出して、飛んでいるウツセミを五体ぐらいまとめて吹っ飛ばしたし。ぶっちゃけ二位だ。

 

 俺が三位なのは残念だ。流石に街中で砲撃するわけにもいかないから、殴り飛ばすしかなかったからな。初手で野原が空の奴らを半分ぐらいぶっ飛ばしたのも大きい。

 

 逆に薫さん、結構適切な範囲攻撃でウツセミを薙ぎ払っていたからなぁ。

 

「ふふん! これでも何年も特務エスパーやってるからね! それに美少女フィギュア制作で鍛えた制御力があれば、この程度なら適切にぶっ飛ばせるよ!」

 

「美少女フィギュア……! クッ! 模型製作すらできる繊細なサイコキネシスとか反則じゃないか!」

 

 薫さんの自慢げな言葉に、野原が悔しがる。

 

 いやまぁ確かに、凄い納得だ。

 

 俺もプラモデルは何度か作ったことがあるからな。あれは結構奥が深い。

 

 そしてエロが絡めばきっと凄い集中力だったろうさ。納得だ。

 

 俺も、紙粘土で作った像をクラスメイトが一万円札を出してでも手に入れようとしたからなぁ……!

 

 そう思っていると、足音が響いた。

 

「素晴らしい! やはり未来は人の意思から生まれるんだろうねぇ!」

 

 そう、拍手をしながら歩いてくるのは優男だ。

 

 色素の薄い髪を長めに伸ばしたイケメンだ。雰囲気としては木場に近いけど、なんつーかちょっと嫌味な雰囲気があるのはライザーっぽいな

 

「名乗らん君!?」

 

「名乗らん……!」

 

 と、中野高校の人達が反応している。

 

 お知り合いなんだろうか。そういえば背格好も近いし同級生?

 

 でもなのらんってどんな名前だよ。

 

「どんな名前してんだよ」

 

「あ、違う違う。あいつ自分の名前を教えないんで、あだ名が名乗らんなんだよ」

 

 と、暁の呟きに七々扇が親切に教えてくれる。

 

 ただ、そんな中野の人達には殆ど反応しないで、名乗らんといった少年は俺や薫さん、そして野原の方を見ている。

 

「本当にすごいよ。やはり未来は時間じゃない。君たちみたいな意思の持ち主が生み出すんだ。来てよかったよ」

 

 ……なんだ!?

 

 寒気を感じるこの気配。なんかヤバイ。

 

 雰囲気としてはアザゼル先生が近いんだろうか。マッドサイエンティスト的な人が、実験で人を巻き込んだりする雰囲気。

 

 だけどアザゼル先生とは何かが決定的に違う。嫌な雰囲気の質がまったく違う。

 

 中野のみんなもそれに気づいたのかけげんな表情になっている。

 

 その時、小鈴さんが何かに気づいたのか肩を震わせた。

 

「ま、まさか!? お前は父ちゃん!?」

 

『『『『『『『『『父ちゃん!?』』』』』』』』』』

 

 なんかとんでもないことに、名乗らん含めてあっけにとられたよ。

 

「名乗らん……アスヤ達クロスフォックスエディションシリーズは、ドグラ・マグラ首領のクローンなんだ! 多分アイツ、ドグラ・マグラ首領の変装だよ!!」

 

 え、ど、どういうこと!?

 

 俺がちょっとわけがわからないでいると、名乗らんとか呼ばれてたやつはなんか嫌な笑顔を浮かべながら変わっていく。

 

 体格も変わって、見る感じ初老の男性。だけどその姿は、名乗らんの延長線上だった。

 

「ま、ちょっとは遺伝子をいじってるから人生経験込みで十分別人だけどねー。合格点を上げようかな、我が娘よ……ってね♪」

 

 そう言ってにやりと笑う、ドグラ・マグラ首領とかいうやつ。

 

 え、つまり……敵の親玉!?

 

 俺たちがあっけにとられながら警戒していると、ドグラ・マグラ首領は片手をあげて朗らかな笑顔を浮かべてきた。

 

「初めまして諸君! 僕はドグラ・マグラその人、すなわちドグラ・マグラという組織の親玉だ! よろしくね♪」

 

 ウインクまでしてくるけど、え、ちょ、マジで!?

 

「ドグラ・マグラ……! 我が祖国の怨敵……!」

 

「あれがドグラ・マグラの首領……アスヤのオリジナルだって……?」

 

「……奴は、奴は確か……あの時の……!」

 

 エイトやアユーシャさん、千堂が目の色を変えているなか、ドグラ・マグラは俺たちを見渡すとなんか満足そうだった。

 

「しかしまぁより取り見取りだ。第三世代(サード)ドグラとして買発されながら自発的に旧人類に寝返ったキトゥンに、それに加えて名乗らんこと僕のクローンであるED(エディション)209号までいろいろな意味で面白く成長させた明石エイト! あと君はかつて取り逃がしたプロトタイプセラフィムが人間との間に産んだ子供! ……加えて大人しく僕に利用されて壊滅いしとけばいい物の、こっそりアンチベータフィールド発生装置まで作りやがったアユタ王国の生き残り!」

 

 そこまで言ったうえで、今度は視線をイリナ達のほうにも向けてきた。

 

「さらに世界から戦争を取り除いちゃったヒーローの一人に、天部が大昔に作り上げた殺神兵器の第四真祖! 加えて超度7の超能力者が三人もセット! とどめに究極のツインテール属性を体現する、テイルレッドときたもんだ!」

 

 そこまで言ったうえで、ドグラ・マグラは首を横に振る。

 

「だが、今回僕の本命は一人だ。そして、降ってわいたさらなる期待の塊もいる」

 

 そこまで言ったうえで、奴は安らいだ笑顔まで浮かべ、手を伸ばす。

 

「ダメもとで言うよ。……僕とともにきてくれ、赤龍帝兵藤一誠……そして、野原英雄!」

 

「……え?」

 

 野原がきょとんとした声を上げた。

 

 そしてきょろきょろと周りを見るけど、俺たち含めて周りのみんなもきょとんとして野原のほうを見てた。

 

 そして野原はドグラ・マグラを見て、事態を飲み込んで―

 

「……僕なのぉおおおおおおおっ!?」

 

「……そうだよぉおおおおおおおっ!」

 

 ―ノリがいいなドグラ・マグラ!

 

 いやでも状況がつかめない!?

 

「な、なななななんで僕だ!? ほかにもっと候補がいるだろ! さっき言った錚々たる面子とか!!」

 

「それは違うぞ、旧人類の限界を超えし者よ!」

 

 速攻で野原の否定を否定するドグラ・マグラは、俺と野原を交互に見ながら胸すら張った。

 

「僕はクリストフ最高幹部の一人。現在の禍の団を治める盟主と並び立つトップクラスの者として宣言しよう。君と兵藤一誠が僕の元に来てくれるのなら、制圧した世界における僕の取り分の内、七割……いや、本部の取り分もあるから9割を上げるから二人で仲良く分けてもいいよと!!」

 

 とんでもないレベルのこと言った!?

 

「嘘だよね!?」

 

「ほんとだよ! まぁ、僕の目的は世界征服じゃないからだけどね!」

 

 速攻で野原に言い切ったドグラ・マグラは、俺たちを見て涙まで流して見せる。

 

「僕の目指す"すごい未来"のためには、君たちの狂気レベルの欲望が複数人分無いと時間がかかりすぎるんだ!! そう、真実未来を創るのは! 凡人たちでは理解が及ばず時に迫害するような!! 己の欲望のために、命を文字通り掛けられる僕たちのような存在だ! そんな先駆者たちこそが世界を進歩させてきたと断言しよう!!」

 

 すごい迫真の表情で、ドグラ・マグラは断言する。

 

「実際問題、兵藤一誠君が転生悪魔になってから彼の世界は大きく動いた。本来なら何年も続くだろう禍の団との戦いも、()がいなければ半年もたってないのに二大派閥の長が彼にぶっ飛ばされたことでもう終わっていただろうこととが証明している!!」

 

 お、俺が奴の持論の証明だというのか!?

 

 俺すら驚かせながら、ドグラ・マグラは同士を見るような表情でこぶしを握り締めて笑顔を見せる。

 

「どうかね……ともに世界を手に入れようじゃないか、HIDEO(ヒデオ)! ISSEI(イッセイ)!」

 

「ちょ、ちょっと待て。今の流れから野村が選ばれたのなら、薫はどうなんだ!?」

 

 青野さんが納得できる反論をするけど、ドグラ・マグラは首を横に振る。

 

「残念だが彼女では無理だ。心根が守護に傾きすぎている」

 

 残念そうだった。でもこれ、逆にいいことなんじゃね?

 

「彼女とは違い、イッセーや英雄(ひでお)は己が見たいと思った光景を見るためなら、命すら惜しまず倫理すら踏み越えられるだろう。明石薫にはそこまでの狂気はない。守るために踏み越えらずにいられなくても、得るために踏み越える可能性は薄い。……残念ながら、惜しいのだ……!」

 

 本当に残念そうだったけど、俺そこまでひどいことを言っているのか?

 

「信じられません。というより、これまでの所業を考えて安心して信じる要素がないでしょう?」

 

 雲井がそう反論すると、ドグラ・マグラはうなづきながら何かを取り出した。

 

「それはそうだ。なので、イッセー君用に用意した説得の手段を使うとしよう」

 

 そう言いながら取り出したのは、宝玉がセットされた大きなバックルの様なパーツに、チューブのついた玩具のSF的な拳銃っぽいアイテムだ。

 

「……中野高校たちスパイの謀略にある、敵の思想を説得で変えるというものに合わせよう。この精神コネクト装置テレパガンを、封印系神器の要領で開発し僕の遺伝子を基にした女性体クローンを封印したユニットに接続してリンクさせたものを装着します」

 

 ……まさか。

 

 俺は信じられない可能性を悟り、そしてそれは当たっていた。

 

「さぁ、この状態なら男のボクにも乳語翻訳(パイリンガル)は通用する。僕の胸の内を問いただし、嘘を言ってないことを理解するんだ……ISSEI!」

 

 周りのほとんどの人たちは、乳語翻訳を知らないから困惑している。

 

 だけど、イリナもデュリオも青野さんもサフィアさんも海音さんも、それを見てハッとなった。

 

「……イッセー君、これはチャンスよ! あいつがクリストフの幹部だっていうなら、機密情報も丸裸にできるかもしれないわ!!」

 

「何かしらの対策をしたトラップの可能性はありますが、そのリスクを鑑みてもものすごいチャンスではありますね……!」

 

 イリナも青野さんも、俺の乳語翻訳を知っているからどうしても誘惑に引っ張られている。

 

「ヤバイ。餌がものすごすぎて、この誘惑は乗ってもらいたいかも!?」

 

「怪しすぎるけど……これは逃がせない……よね……!」

 

 サフィアさんも海音さんも、ものすごく誘惑に引っ張られている。

 

 で、でもだ。俺の乳語翻訳の対策がされていたらどうなる?

 

 そもそも、俺の乳語翻訳をわざわざ男が喰らえるようにするなんて怪しすぎる。罠の可能性が大きすぎる。

 

 俺すら迷っていると、デュリオと視線が合った。

 

「……大丈夫。いざとなったら俺が何とかする。やるんだイッセーどん! 責任は俺が持つ!!」

 

「……おう! やってみる!!」

 

「え、ちょっと待って追いつけない!? なにその頭の悪い名前の技!?」

 

 皆本さんが突っ込んでくるけど、そんな余裕はない。

 

 俺は覚悟を決め、乳語翻訳を発動する。

 

「広がれ俺の夢空間! 聞こえろ、おっぱいの声……乳語翻訳(パイ・リンガル)!」

 

「いや、なんだそのいろいろ問題のある台詞は!?」

 

 なんか暁が言っているけど、乳語翻訳は問題なく発動し―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―気づけば、俺は広大な空に浮かんでいた。

 

「……悪いね、イッセー君。このテレパガンはもともと、人と人の精神をつなげる装置でね。安全かつまとめてつながるため、特注の女性体ドグラさんクローンを併用することでこんなこともできるんだよ」

 

「え、ここ何処!?」

 

 そんなドグラ・マグラの声にびっくりしているのは、野原だった。

 

「他の者たちは傍観者以上のことはできない。……さぁ、ここからが話し合いという戦いだ!!」

 

 な、なんかドグラ・マグラがすごいことを言っている!?

 

 これは……いったいどうなるんだ!?

 

 

 

 

 

 

 

【青野レイズ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 な、なんてことだ……!

 

 兵藤一誠。あらゆる恥辱に耐える鋼の精神なくしては、女性は戦いの土俵にすら上がれないと称される男。

 

 それはスケベ根性でポテンシャルが大幅に上がるだけでなく、彼の代名詞といえる二つの切り札に由来する。

 

 一つは洋服崩壊(ドレス・ブレイク)煩悩を込めた魔力を女性の衣服に流し込むことで超高効率かつ高出力で衣服を破壊する技。

 

 その破壊力とエネルギー効率は異常の域で、悪魔の子供にも劣る劣悪な最大魔力量だった習得時の赤龍帝ですら、一瞬でそれなりの防護加護を施された衣服を粉々に破壊する。それなりにましになった魔力と赤龍帝の鎧による出力を上乗せすれば、正攻法の力技で傷一つつかない拘束具すら破壊することができるほど。それにより文字通り、各勢力重鎮の命を救った代名詞の一つ。

 

 そしてそれをついを成す異能こそが乳語翻訳(パイリンガル)

 

 おっぱいと話すという極めて意味不明なアプローチにより、対象となるおっぱいの持ち主から自分の聞きたいことを聞き出すという意味不明な技だ。

 

 おっぱいに語ってもらうというアプローチ故、既存の読心術対策が一切通用しないのが極めて恐ろしい点。また孫悟空によって精神汚染の治療に転用されたら一発で完治一歩手前まで回復し、悪魔にとっての不治の病による昏睡状態にも効果があったなどという話まで聞く。

 

 この二つの女性相手に圧倒的な優位性を持つ技こそが、おっぱいドラゴンを有名にするいわゆる乳技というものだ。

 

 それを、それを逆利用だと!?

 

 しかもまずい、俺たちまで空間に巻き込まれているが、まるで夢のような視点で何もすることができない。

 

 万が一、万が一二人が篭絡されようものならこれ詰むぞ!?

 

「さて。ではまずは僕の目的から説明しよう」

 

 そういいながら、ドグラ・マグラは自分の精神世界を作り替えていく。

 

 そこにある光景は不思議なSFともちょっと違う空想未来。例えるならドラ〇もんの22世紀のそれだ。

 

「僕は小さいころ、いずれ来るであろう未来を大胆に予想した未来絵図「もしもの未来全集」を読んだ。楽しい未来、恐怖の未来、そんなありとあらゆる未来予想……そのすごい未来に僕の心は大きく揺さぶられたものだよ」

 

 それは、小さい子供が一度は夢見るような空想。

 

 俺も小さい頃なら一度ぐらいは経験したかもしれない。そんな、夢を思い描く時期。

 

 だが、ドグラ・マグラはそこで留まらなかった。

 

「そんな本が出版社の経営が傾いてでなくなるかもしれない。それが許せなかったことが、僕の第一歩。出版社に資金援助をする方法を得ることも兼ね、すごい未来のようなすごい技術を作って行ったのさ」

 

 それができるのは、一握りという言葉すら生ぬるい存在の特権だろう。

 

 レオナルド・ダ・ヴィンチといった世界に名を遺す人物たちですら、当時の価値観や技術的限界でできることは限られていた。

 

 間違いない。ドグラ・マグラはまごうことなく天才中の天才。異形たちの世界で例えるなら、二天龍を通り越して龍神の域に匹敵する研究者であり発明者だったんだろう。

 

「本当にいろいろ頑張った。幸か不幸か世界大戦という技術が飛躍的に伸びるチャンスもあったからね。僕の世界でペニシリンや液体ロケット燃料の誕生には、僕がいろいろ手を貸すことで、変な制約や倫理にすごい未来が邪魔されないように頑張った。……それでも、だ!」

 

 そう悔しがるドグラ・マグラは、涙すら浮かべている。

 

「100年以上たっても未来は全然すごくない!! 取り換え不用の原子力電池も! 普及された空飛ぶ車も!! ドライブ感覚でできる宇宙旅行も訪れない!! ちょっとばっかり小さいコンピューター電話や成層圏を少し出るだけの高級宇宙旅行止まりだ……ふざけるなぁああああああああ!!」

 

 激高している。ものすごく激高している。

 

「特にイッセー! 君のいる世界はどうだ!? 核兵器なんてものともしない超絶覇界すらもたらす神滅具に代表される神器(セイクリッド・ギア)なんてものを聖書の神は創り出しながら、教会はその存在を公表もしない! 自らマスコミの前に出て扇動すれば、もっとすごい未来が作れるかもしれないのに!!」

 

 そう吠えるドグラ・マグラは、本当にいら立っていた。

 

「現代の小国を一人で滅ぼせるだろう神や魔王が何十もいるにも関わらず!! 奴らはホトンと引きこもって碌に技術を発展させられていないんだ!! 君たち悪魔にしたって、何百年も前に作った悪魔の駒(イーヴィル・ピース)をそのままのシリーズでしか使っていない!! 和平後に技術を供給して数か月で転生天使(ブレイブ・エンジェル)なんて作れるなら!! 転生悪魔はもっといろいろなシリーズが作れるだろうに!!」

 

 もう鬼気迫っている。見ていて怖い。

 

「事実、英雄派が倫理を気にせず頑張った結果を思い出したまえ! 主導権を握って僅かひと月足らずで、彼らは今までごくごくわずかの限られた物だけが到達できた禁手《バランス・ブレイカー》を人為的に到達できるようになるメソッドの確立に成功した! 聖書の神と対を成す初代四大魔王の血筋の血液から、禁手すら超える状態にするドーピング薬まで誕生させた! そしてそれを広めることで、いろんなすごいことを成し遂げたんだ!!」

 

 寒気すら感じさせるほどに、その表情は迫真だ。

 

「君だってそうだ、イッセー! 君はあの手この手で己の才能の無さを補い、禁手のその先に到達した!! そのデータをフィードバックすれば、多くの者たちが禁手のさらにその先をつかみ取ることができるかもしれない!!」

 

 汗すら浮かべ、目を見開き、ドグラ・マグラは宣言する。

 

「そんなすごい未来を倫理なんてもので押しとどめるものたちに抑えられていてはいけない!! 締め上げてでも、ディストピアでも、すごい未来を作りたいんだ!!」

 

 嘘が一切ないだろうその言葉に、俺は一瞬気圧される。

 

 真実本気だ。純粋なまでに、ドグラ・マグラはそのために動いている。

 

 例えどれだけそのために被害が生まれようと、行いが悪逆非道であろうともだ。そのために結果までたくさんだしている以上、その信念は無視できない。

 

 神器を持っているのなら、素で禁手に到達しているだろう。それだけの熱量を込めた想いが確かにある。

 

「だから、だから世界全土を巻き込んで人に迷惑までかけるってのか!? 理解できねえ! ろくでもねえよ、お前は!!」

 

 赤龍帝は気おされながらもはっきりと言い返す。

 

 しかしそんな赤龍帝に、ドグラ・マグラは首を横に振った。

 

「いいや、君は絶対に理解できる。というより、僕と同じことを当たり前のようにしているじゃないか」

 

「はぁ!? どこが!?」

 

 思わぬ切り返しに赤龍帝は激高するが。ドグラ・マグラは指を鳴らした。

 

 そして三人からよく見える位置にディスプレイの様が映し出され、そこから映像が出てくる。

 

 ……赤龍帝たち複数人が女子の着替えを除こうとしていたり、教室の学習机にエロ本やエロゲーやエロDVDを広げている映像だった。

 

「これを見ても、僕の言い分が理解できないかね?」

 

「できないよ!? 当たり前の学生生活だよ!?」

 

 即答だった。

 

 俺はそれを見て、これ止めないほうがいいんじゃねとか思えてきた。

 

 多分、ドグラ・マグラは懇切丁寧教えてくれるだろうし……いや本当、これは教えてやったほうがいいような気がする。

 

 ちょうどいい。悪の組織の親玉に必要悪をやってもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【兵藤一誠】

 

 

 

 

 

 

 何を言ってるんだ、あいつは。

 

 男はエロい生き物だ。女を求める生き物。

 

 その当たり前の光景を前に、なんでこんな奴と同類扱いされないといけないんだ?

 

 本気でわけがわからないでいるけど、なぜか野原まで戦慄している。

 

「イッセー。君は本当に、わかってないんだね……」

 

 なんでドグラ・マグラは涙まで浮かべてんだよ!?

 

 え、俺がおかしいの!?

 

「露出狂。そんな奴らがいることは知っているだろう、イッセーにヒデオ。エロい男なら一度はあってみたいと思ってしまう、自分の全裸を不特定多数に見せつける存在だ」

 

 知っているさ。

 

 確かにあってみたい。とってもあってみたい。

 

 だけど、ドグラ・マグラは首を横に振った。

 

「だが、美系の露出狂などエロ作品の創作物止まりが基本。こと現実に実行する奴なんて、そのほとんどが男だ。……それはなぜか」

 

 確かにそうだ。

 

 だけどそれを知っているというのか。ドグラ・マグラは教えてくれるというのか。

 

 聞かないほうがいいような気がするけど、これはちょっと気になる。

 

 俺はごくりと息を呑む。ちなみに野原も息を呑んでる。

 

 そして、ドグラ・マグラは自分の後ろにウインドウを開いた。

 

「それは、男女にとって異性に裸を見る見られるにおける心理的抵抗が大きく異なるからだ!! そしてそれに代表されるように、性的な物に対する感性は男女の性別差で大きく異なるのだ!!」

 

「「な、なんだってー!?」」

 

 思わず俺たちは戦慄した。

 

 そして映し出される、各種論文のわかりやすい図式に基づく性別に基づく感性の違い。

 

 ただ着替えを偶然見られただけでトラウマになり治療を受ける羽目になる女性までいるという事実。男と女の違いによる価値観のずれを、アンケートによってさまざまな形で思い知らされる。

 

 そんな、そんな馬鹿な!?

 

 同性愛に対する観点の違いも、マリア〇がみてるといった作品群などによって嫌というほど叩き込まれていく。

 

 否定できない。感情は拒否しても、俺の知識と理性が反論を封じられてしまう……!?

 

「分かったかね、イッセー。女湯を覗くためにヒデオのように命を懸け、当たり前のように女子の着替えを除いたりエロいグッズを教室で広げる君は!! 16冊もの「野獣兵藤×木場きゅん」や新たなる境地で三巻が出たばかりの「プリンス×ビースト」で盛り上がり堂々と妄想して黄色い悲鳴を上げる君の高等部の女子たちと、対を成す存在なのだ!!」

 

 そのドグラ・マグラの言葉が、俺の心を徹底的に叩きのめした。

 

「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ……嘘だぁあああああああああああっ!!」

 

 俺は崩れ落ちて絶望した。

 

 っていうか新作できてたのかよ。ふざけんな!?

 

「俺を助っ人にした生徒会に摘発されて連行されながらの文芸部や、一仕事終えて一緒に休憩してた生徒会のメンバーたちが、俺と木場のどっちが受けかと聞いてくるあれが……女子にとっての俺だなんて……そん、な……そんなぁあああああああああっ!?」

 

「ショックだろうね。だが、これが現実なんだ……真実なんだ……残酷な現状なんだよ……!」

 

「イッセーさん……そんな、なんて酷い……っ」

 

 崩れ落ちて絶望する俺に、ドグラ・マグラと野原が肩に手を置いて同情してくれる。

 

「愚かな旧人類社会にとって、覗きとは唾棄すべき犯罪なんだ。というか、高校生ともなるとマジで退学沙汰になるレベルだよ。……過剰防衛すら通らないだろう集団リンチで解決している、駒王学園の民度が悪いともいえるね」

 

 くそぉおおおおお! 悪の犯罪組織に母校の民度をボロッカスに言われたけど反論できない!?

 

 畜生……畜生……!

 

「さて、それではHIDEO。ISSEIと共に本題の……僕の勧誘を受けてもらおう!!」

 

 ヤバイ、始まる前から俺の心はボロボロなんだけどぉおおおおお!?

 




 現した巨悪、ドグラ・マグラ首領。イッセーともう一人を勧誘するの巻。
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