崇道の末裔   作:ちぇりー×ちぇりー

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暗躍

「で? 夏油よ。呪霊と人の共存とは具体的にどうするのだ? 」

「宿儺はもう使い物にならないよ? 」

 漏瑚の問いに答えたのは真人だった。

「アイツつまんない奴になっちゃったからね。」

「彼は人であり、呪いとして蘇った存在。」

「私はアレを、人間の可能性の一つとして考えていた。」

 男は嘘を付いていない。

 あくまでも可能性の一つ。

 今彼が現在進行形で進めている(・・・・・)計画がある。

 死滅回遊だ。

 彼は、この十年間、その最後の一ピースを漸くつい最近になって見つけた。

 だからこそ、傀儡にしがみつき、今夏油のフリをしているのだ。

「てか、キミ、夏油じゃないでしょ。いつまでそんな格好してるさぁ。」

「この身体、気に入ってしまってね。」

「彼の身体は特異中の特異だよ。」

「だが、ソレよりも。老人よりも主婦よりも、健康な成人男性の身体というものは、居心地が良かった。」

「術師といえども、老いには勝てない。」

 花御は男を疑った。

「私たちを欺くためでは? 」

「君たちの警戒を解くためだ。腹を割って話そう。」

「私は羂索。平安時代から現代に至るまで、肉体を移植できる術式を使い、あらゆる人物を行き来して来た。」

「なぜそのようなことを。」

「探究心だよ。私の。ソレ以外に理由はない。」

「場所を移そう。陀艮。また君の生得領域を借りたいのだが。」

「分かった。」

 薄暗い樹海に、一つのドアが出現し、男がドアのノブを握った。

 海水一つない世界に、白浜煌めき、蒼い海水が打ち寄せるビーチが誕生した。

「懐かしいなぁ。」

 真人はサマーベットに飛び乗ると、ポケットから雲の巨人を取り出し、読み始める。

 花御は草木の手入れをするために、森の方へと分け入って行った。

「昔話の続きだ。」

 漏瑚はこくりと頷いた。

「私は呪術全盛の時代を取り戻したいんだよ。」

「人の力も、ソレに伴う呪霊の力も桁違いだった。」

「ソレも天下の平定によって終わってしまったが。」

「ふむ。」

「私たちもサマーベットに。たまには君も一緒にどうだい? 」

「人間が作ったものなんぞ。」

「君たちは人間の負の感情から生まれた。君もたまには、くだらないプライドを捨てたらどうだい? 」

「術師も何故か新しい物を敬遠する性質があるが、人間の作るモノの素晴らしさを私は認めているんだ。」

「私はね。コレからも彼らの発展を陰ながら見守っていきたいと思っているんだ。」

「夏油!! 」

「隣の真人を見たまえ。彼は人間の存在を嘲笑する側の存在でありながら、人間の作ったベットに寝そべり、人間の書いた詩を読んでいる。」

「コレが、呪霊の本来あるべき姿だよ。」

「好きに生き、好きに殺す。君の座右の銘でもあるだろう? 」

「もし仮に、君は人類を屈服させたとして、人類を皆殺しにするのか? 」

「流石にワシでもそこまではせん。人を殺せば同胞は産まれなくなる。」

「呪力の強い人間を数人残し管理し、後は皆殺しにする。」

「どこぞのSF小説みたいだね。」

「放っておけ。」

「まぁ、良い。私は術師で君は呪霊だ。意見が食い違うこともあるだろう。それより建設的な話をしようじゃないか。」

「次は何をするつもりなんだ? 」

「呪術高専東京高に、夏油傑の死体が保管されている。」

「ソレを取り戻すんだ。」

「呪霊の世を作るには、この身体は貧弱すぎてね。おそらく特級の2つや3つを取り込むだけで、私の身体は崩壊してしまうだろう? 」

「分かった。ワシも皆にその旨を伝える。」

「しばらく休もう。病み上がりでね。その上で真人の相手をしたモノだから、すっからかんだ。」

「みんなにも、呪力を蓄えておくようにと、そう言っておいてくれ。」

「怠惰な奴じゃな。自分で行けばええじゃろうに。」

「君は花御たちに信頼されているだろう。私が行くよりも君が声をかけた方が良い。ふぁ〜。」

「しばらく休ませてくれ。こうやって人の身体で日光浴をするのは久しぶりでね。」

「なんだい? 君も日光浴をしたくなったのか? だったらすれば良い。私は君に進めているんだよ。君が拒絶するだけで。」

 漏瑚は頭の火山をプスパス揺らしながら、花御の元へと向かって行った。

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