それってクリーチャー?ああ!変態女装おじさんさ!   作:くざし

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初投稿になります。一発ネタです。拙い文章になりますがよろしくお願いします。


私も(この世界に)入れてよ

デュエル・マスターズというカードゲームを皆様はご存知だろうか?

デュエル・マスターズ、略してデュエマ。

 

それは自分の集めた40枚のカードを使って戦う熱かりしカードゲームのことである。かくいう僕もそのカードゲームのヘビーユーザーであり、いろんなカードと共に青春時代を過ごしたものだ…

 

しかし残酷なことに楽しかった時間はあっという間に過ぎていってしまう、今では30代手前になっても仕事場と家を往復する悲しい人生だ。

 

あんなに大好きだったカードショップには通う時間はなくなり、お金は生活費に消えてゆく。

 

僕には人に誇れるものがあるわけでもなく、今ではこの捨てられなかったカードを見て昔を懐かしむだけの凡人である。

 

「はぁ、気分転換にコンビニでもいこうかな」

 

一人で話しても返事が返ってくることはない。なぜなら僕は一人暮らしなのだから当たり前である。

 

ネオンの明かりが照らす夜の街を歩いていく。生まれ育った田舎は20時にもなると真っ暗で人の気配もないのだが、都会は明るい。こうして僕みたいな虫が誘蛾灯に釣られるように、都会に集まってくるんだろうな。

 

「っと、もうコンビニ着いたか」

 

コンビニに着くと、いつもあったはずなのに今日はなぜか目に入る店頭入り口の駄菓子コーナーに僕は目を惹かれて歩き出す。

 

「これ…デュエマじゃん、しかも見たことないパックだし、」

 

カードで遊べていなくとも、毎回新しいカードはチェックしている僕であるが、見たことのないパッケージだ。

 

新弾のカードの発売日を忘れていたのか?と一人脳内で呟く。

 

「せっかくだし1パック買って帰るか」

 

そう思い僕はダミーの札を取ってレジへ進み、ついでに好物の惣菜カキフライを買って家に帰る。

 

 

 

 

「さて、久しぶりに開けてみるか…ネットで調べても、情報全然出てこないんだよなぁ」

 

新しいカードパックを開ける時というのは、いつになってもワクワクするものだ。それが30手前のおじさんだとしても。

そう、おじさんだとしても。

 

「お〜1パック目からすごいキラキラしたカードだな。なんだこれ?地雷冥土The World Is Mine?」

 

開けたパックから出てきたのはなんかよくわからないおじさんと地雷系女子のイラストのカードだった。

 

「しかもなんだこれ…? 2枚目から5枚目はおじさんの方のイラストしか入ってないじゃないか」

 

見たことのないカードだが、あまりにも適当な封入率にたまらず呆れてしまう。こんなの売り物になるわけがないのに、どうして発売されたんだ?

 

((アイアム...ニ...サンジ))

 

「ん…?」

 

頭の中に突然響く、ねっとりとした中年男性のような声が聞こえたような気がする。

 

「夜勤明けはねぇ、ちゃんと寝ないと」

 

幻聴が聞こえるほど疲れているんだ、今日は早く寝よう。そう思い僕は布団に横になるが、隣からやけにはっきりとした幻聴が聞こえてくる…

 

「でも睡眠忘れてるようじゃダメかぁ!!睡眠はね、入れとかないと!!」

 

ふとクソでかい声のする方へ顔を向けると、さっきまでカードの置いてあった机の上には見覚えのない緑髪のメイドエルフがガイナ立ちで立っていた。情報量が多すぎて頭がパンクする。

 

「失礼かもしれないんですが、どなたですか?」

 

恐る恐る不審者へ質問すると、不審者は待ってましたかのように答える。

 

「フハハハハハ!!!!人に名前を名乗る時はまず自分からと教わらなかったのかクソガキ!!」

 

(今しれっとクソガキ呼ばわりされたか?僕)

 

「まぁいい、私の名前は花畑チャイカ、第一、第二、第三皇女リゼ・ヘルエスタである」

 

第一印象は気色悪いの一言に尽きる。なんでふりふりのエプロンをゴリラみたいなマッチョのおじさんが着てるんだよ。しかも目の前の筋骨隆々の緑髪エルフは意味のわからないことを口走っていてコミュニケーションが取れそうにない。 

 

てか結局どっちなんだよ。花畑チャイカなのかリゼ・ヘルエスタなのかはっきりしてくれよ。なんで第一から第三まで兼任してるんだよ。

 

「すみませんさっきから気になっていて、…初対面の方に尋ねることではないのですが、あなたはどうしてそんな格好をしてるんですか?」

「いや、特に理由はないよ。強いていうなら」

 

「強いていうなら?」

 

「私が変態女装おじさんだからかな」

 

バケモンだバケモン

僕の頭のはとうの昔にフリーズして考えることをやめているが、目の前のバケモン(花畑さん?)は僕に構わず話し始める

 

「私さぁ、普段は喫茶店経営してて夜はBARのマスターやってるんだけど、突然目の前がピカッ!と光ったらジュンジュワァ〜って感じでさぁ」

 

得られた情報が職業しかないぞこれ。あまりにもこの変態女装おじさんボキャ貧すぎる。

 

「まぁ、今の冗談信じるようなバカはいないか、ハハッ」

 

うわ、腹立つ。ボキャ品変態女装おじさんに今僕馬鹿にされたのか?しかも僕のカキフライ勝手に食ってるし…

 

「冗談はさておき、オメェの机の上あるそれ、それだよ」

 

花畑さんが指差す方向には例のおじさんのダブったカードだった。ん?よく見ればこれって...

 

「これってもしかして」

「そう、私だよ私」

 

机の上に置いてあった≪地雷冥土The World Is Mine≫のカード に写っているおじさんと今目の前にいる耳長ゴリラ(長命種)の顔は瓜二つじゃないか。そして花畑さんは急に真面目な顔をして語り出す

 

「あんたのその持ってる

《地雷冥土The World Is Mine (じらいめいどザ・ワールド・イズ・マイン)》は本来この時空には存在しないカードなんだよ」

 

「どういう、ことですか?」

 

混乱の中、絞りに絞ってなんとか言葉を返すことができた。

 

「どういうことも何も、そのまんまの意味さ、私はちょいと訳ありの別次元のエルフでね…私が個人的に調査していた次元を超えて別次元の人間に会いにいく計画があったんだけど、その次元を越える方法こそが自らの肉体と魂をカードに封じ込め、次元をわたる計画…その名もバイツァダスト計画を実行してこの次元に私は飛んできたのさ」

 

「そして私は無事に次元の狭間を渡りきり、カードから肉体と魂を解放するはずが何かの手違いで魂のみの解放しかできなくなってしまった…

そうして閉じ込められた座標があのカードパックの中ということさ」

 

全く一言も意味が理解できない。仮にこの人が言ってることが本当だとしても僕には関係ないし、なんの弊害もない。ただこの変態女装おじさんが地球を観光して終わりじゃないのか?

 

「でさ、話し続けるんだけどこのままじゃやばいのよね…今私にあるのは魂だけ、肉体が次元の狭間でバラバラに飛んでいっちゃったんだよ。ドラゴンボールの願い叶えた後みたいなあれね、あんな感じ」

「私の体がバラバラになるだけならいいんだけど、問題は私の体に蓄積されたエネルギーなんだよね、別次元から持ってきた私の体のエネルギーは指一本でこの世界のあり方を変えてしまうようなエネルギーを持ってるんだわ、なんか私、両面宿儺みたいだね」

 

例えがジャンプなのが意味わからないが、花畑さんは説明を続けていく。

 

「つまり私の体がこの次元、この世界に全て今散らばってる状態なんだわ、ここまできたらもう意味はわかるよな?私だって悪いと思ってるんだぜぇ〜流石にほったらかしにして魂だけで帰るわけにはい」

 

瞬間、反射的に家のドアを勢いよく飛び出して外に出る、そう、反射的なものだ。嫌な予感がするのだ。

 

「ほら、お前の目で見ろよ」「これがいまの世界だ」

 

家の前には公園があったはずだが、何故か公園に大量の台が置いてある。20時にも関わらずに、大人、子どもが入り乱れて楽しそうにデュエマをしている。何より目を疑うのは

 

「はは、すごい…凄い!!!!」

 

互いに雌雄を決する、クリーチャーたちの姿が目の前に広がっている。僕は今、青春の世界に舞い戻って来てしまったようだ。

 

人生での一等のあたりくじを引いたとしたら、それはまさしく今日なのだろう。

 

 

 

 

「まってお腹痛い!!やばい!!この世界初のカキなのに!?!?」

 

後ろでは変態女装おじさんがカキフライの貝毒に当たっていた。




読了ありがとうございました。気分が乗ったらまた書くかもしれないです。お気軽に感想・評価等お待ちしています。
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