それってクリーチャー?ああ!変態女装おじさんさ!   作:くざし

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続きます。見てくださる方がいただけで励みになりました。ありがとうございます。


チャイカさん、これ(新しい世界)よくないですか?

「夢なのか?」

 

僕の目の前に広がるのは、公園の夜景に照らされながらもその輝きに負けない⦅ボルシャック・ドラゴン⦆と⦅クリスタル・ランサー⦆が激しい衝突を繰り返し、⦅ボルシャック・ドラゴン⦆が大きく振りかぶった右手の爪で⦅クリスタルランサー⦆を引き裂き、光の粒子へと変えた。

夢のような景色を見た後、部屋に戻ると花畑さんが僕に声をかける。

 

「どうよ」

「最高です、じゃなくて、なんですかこれ?花畑さん」

 

「私の体がカードの情報を記憶していたみたいでね、散らばった体のエネルギーを元にしたこの世界はデュエマが中心とした世界になっちゃったってわけよ。あと、花畑さんじゃなくてチャイカでいいよ。あたし堅っ苦しいの嫌いなんだよね」

 

あ〜お腹痛ぇ、と腹を支えながら花畑さん改めチャイカさんはそう語った。

 

「具体的にはどう変わったんですか?」

 

僕が質問するとチャイカさんは食い気味に答えてきた。

 

「そりゃなんでもよ。お金でしょ?社会の地位でしょ?物事の取り決めでしょ?それが全部デュエマで決まるんだよ」

 

「カオスなタイプのホビーアニメだこれ」

 

突っ込まずにはいられなかった。つまり明日から仕事の業績はデュエマで決まり、交友関係もデュエマで決まるということだ。

 

「でさ、本題なんだけど」

 

急に真面目な顔をしてチャイカさんは黙々と話し始める。

 

「あんたにはさ、あたしの体を持ってるやつをぶっ倒して、あたしの体を集める手伝いをして欲しいんだよね」

 

ね?お願いね、と言わんばかりに図々しくお願いしてくる耳長ゴリラを相手に思わず僕も反射的に言い返してしまう。

 

「嫌ですよ、チャイカさんがやればいいじゃないですか。僕には何も関係ないですし」

 

ちょっとドライな言い方になってしまったが、本心はその通りだ。もちろん今の世界は楽しそうだし、すぐにでも外へ出て公園にデュエマをしに行きたい気分ではあるがそれはそれ。関わりたくない、僕はその一心だった。

 

大体、誰が好き好んでこんないかにもな面倒ごとに首を突っ込みたいと思うのだ。ただ、少し、そうほんの少しだ。筆の毛一本ほどくらいにはこの世界に興味があると言ってもいい。

 

「どうしてそんな酷いこと言うの…?」

 

「え?」

 

先ほどまで図々しく強気に頼んでいた変態女装おじさんは、打って変わって陰鬱な雰囲気を醸し出す。何かこのエルフ打たれ弱いな?

 

「私だってさぁ、この世界に来たばっかりで一人な訳じゃん?寂しいわけよ。だから勇気を振り絞って現地民にはなしかけてさぁ??あ、わかった。私のこと嫌いなんでしょ?嫌いならはっきり嫌いって言えよぉ!!!!」

 

「嫌いじゃないですよ。僕もほんとはチャイカさんのこと好きなんですけど、やっぱり関係は対等でなければいけないと思って、咄嗟に強い言葉をつかってしまいました…すみません」

 

「ほんと?嫌ってない?」

 

はい、と誤魔化すように言い訳を並べてしまった。だってなんか可哀想が勝ってしまったのだ。咄嗟に嘘を並べてさっきの発言を否定した僕を褒めてあげたい。このタイプのメンヘラはとりあえず落ち着かせるのが1番なのだ。

 

「じゃあさ、私の体集めるの手伝ってくれる?」

 

「ええと、う〜ん、」

 

「ほんとは私のこと嫌いなんだ、私なんか別のカードゲームに使うデッキを仕分けるセパレーターになっちゃえとか思ってるんだ」

「手伝います」

 

しつこいメンヘラがぐちぐち言いながら顔を近づけてメンヘラお母さん構文を押し付けてしまったためつい返事を返してしまった。

 

「ほんと?嘘ついてない?私のことめんどくさいスーパーエリートエルフだって思ってない?」

 

め、めんどくせぇ〜〜

 

「はい、本当に思ってないですよ、エリート超えてパーフェクトだと思ってます」

 

「ふ〜〜〜〜ん?ま、まぁ?私?最初から信じてたけどね、へへ」

 

何とかメンヘラは治ったみたいだ、よかった。

 

「話は戻るけどよ、さっきは実は話盛っちゃったけど」

 

どうして大事な話で話を盛るんだこの人?

 

「実際、私の体のパーツを奪ったやつをお前がボコボコにする必要はねぇんだわ。お前と私の二人で体を奪ったやつを見つけて、そいつとデュエマして勝てばいいだけさ。最悪お前は、体を奪った犯人を探してくれるだけでいい。オレが代わりにデュエマすることもできなくはないからな」

 

なるほど、現地での協力者が欲しいと言うことなのか。情緒が不安定すぎて誤解させてしまっただけで他意はないと……怖いよチャイカさん。

 

「まぁ、見かけたら教える程度でもいいのなら協「本当か!? ハッ!! さては私のこと好きなんだろぉ〜お前〜♡」

 

怖いよチャイカさん。情緒が安定しなさすぎるよ。

 

「まぁでも、手伝ってくれてありがとよ、正直、私の体の大体の位置はわかっても細かくは探知できないからな。助かるぜ」

 

真面目な言葉でお礼を口にする彼の姿は、なぜだかわからないがカリスマのようなものを感じる。そして体を透過して部屋の畳にめり込んでいる彼の姿を見て、改めてこの世の人ではないのだと認識せざるおえない。

 

「とにかく、今日はもう休みませんか?こんな時間ですし」

 

気づけばもう夜の21時になろうとしている。今日はいろんなことが起きすぎて正直心も体もヘトヘトだ。非現実感に対するワクワクはあるが、疲労が勝ってしまっている。

 

「しょうがねぇなぁ、じゃ、また明日な!おつかれーなー!」

 

やけに素直に引き下がったチャイカさんは机に置いてあったカードの中に戻っていく。

 

「はぁ、今日はいろんなことがあったなぁ…正直、この世界の変わりようは明日ちゃんと確かめよう。チャイカさんの話が本当なら、会社に行ったら嫌でも前の世界との認知の違いがわかるはずだ」

 

そう独り言を呟いて就寝する。しかし、頭の中でちょっとモヤモヤしたことが残る。

 

「おつかれーなって…なんなんだ?」

 

多分彼のことだから意味はないし他意はないのだろう。多分僕が気になって話しかけてくるのを待つための話題作りだと切り捨て、僕はそっと瞳を閉じた。

 




拙い文章をたくさんの方に読んでいただけて光栄です。評価等お待ちしております!読了ありがとうございました。
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