「…………………はっは♪」
コトリの導き出した結論に、ヒノエは笑みを浮かべた。まるで、正解だと言わんばかりに。そして、次の瞬間には引き金を絞っていたのだった。そんなヒノエに対し、コトリもまた銃を構えて発砲するのであった。
ヒノエの銃弾はコトリを穿ち、しかしコトリの銃弾はヒノエを捉える事なく虚空に消える。
コトリが放つ銃弾を、ヒノエは紙一重で躱し続ける。宙を舞い、大地を駆け、校舎の壁を駆け回りながら、ヒノエはコトリに向かって発砲を続ける。
「楽しいのう。楽しいのう……やはり戦場は良い。血が沸き、肉が踊る」
風紀委員会のメンバーから奪った銃火器が弾切れになった頃、ヒノエは漸くその動きを停止した。
そして、恍惚の笑みを浮かべながらコトリに問い掛けるのだった。
「さぁ……次はどんな獲物で楽しませてくれようか」
そんな狂気的な笑みを浮かべる彼女に、コトリは静かに口を開いた。
「私は何も楽しくもありませんよ。楽しんでいるのは貴女だけです。種島 ヒノエさん」
そう呟き、コトリは銃を構えながらヒノエに向かって歩み寄る。そんなコトリの姿を見て、ヒノエは笑うのだった。
「はっは! 否、否だ。お主も楽しんでおるではないか」
「それは貴女の勘違いです」
ヒノエの言葉をコトリは否定する。しかし、彼女は笑みを絶やさないまま言葉を続けた。
「否だ。目を見れば分かる。立ち振る舞いを見れば分かる。お主は『楽しんで』おる。その身が傷付く事を恐れず、ただ純粋に……じゃ」
ヒノエの言葉にコトリは小さく溜息を吐いた。そして、静かに口を開く。
「貴女の目には私が狂人に見えるのですか?」
コトリの言葉にヒノエは笑うのだった。
「あぁ……お主は『化物』じゃ。わしと同じじゃ。同じ『化物』通し理解し合える筈じゃぞ」
そんな彼女の一言に、コトリは静かに目を伏せる。
化物……か。
コトリはヒノエの言う『化物』という言葉を反芻する。そして、ゆっくりと目を開くと静かに口を開いたのだった。
「違いますよ。私は『化物』ではありません」
かつてはそう思い続けた事もあった。しかし、それを否定してくれた人がいたのだ。だからこそ、コトリは胸を張って『化物』ではないと言い切れる。
「私は『人間』ですよ」
そんなコトリの言葉に、ヒノエは一瞬目を見開き、そして再び笑みを浮かべた。
「……だれがお主をそうあれかしと望んだ?」
ヒノエの問い掛けにコトリは答える。
「貴女には関係ありません」
「……はっは。空崎 ヒナじゃな」
ヒノエの問い掛けに、コトリは答えない。しかし、その沈黙が答えだった。
「そうかそうか……はっは、そうであるか。はっは……そうか、そうか」
ヒノエは笑い続ける。そして、そんな笑い声は次第に小さくなり、やがて途絶えるのだった。
「消すしかないの。空崎 ヒナを」
空崎 ヒナを消す。その言葉を、コトリは静かに聞いた。静かに、静かに聞き取り、そして……。
コトリの纏う雰囲気が一変した。
明確な殺意がヒノエに向けられる。そんな彼女の姿に、ヒノエは恍惚の笑みを浮かべながら口を開いたのだった。
「はっは、やはりお主も『化物』よ」
そして、彼女はこう続けるのであった。
「やはりお主は……『人間』などではないわ」
そう言ってヒノエは笑う。
コトリの纏う雰囲気を見て、ヒノエは理解した。
彼女は『死』そのものであると。
死を纏うコトリを前に、ヒノエは高揚する。そして彼女はこう囁くのであった。
「さぁ……もっと魅せてくりゃれ」
恍惚とした笑みを浮かべながら、ヒノエは舞台が整った事を知る。
さぁ、いざ…いざ…いざ…いざっ!
これなるは、『化物』同士の『戦場』である。
『死』と『再生』からなる化物と『戦狂い』の化物による『戦場』という名の舞台の幕開けである。
それと同時に、ヒノエの背後にある風紀委員会の本部が内側から爆発して建物が崩れ落ちる。
爆風と共に建物の内部から数百から数千の銃火器が降り注ぎ、地面へと突き刺さる。
この時の為に用意した、シオンがヒノエの舞台の為に用意した『銃火器の雨』だ。
その内の1つをヒノエは手に取ると、コトリに向けて銃口を向けるのであった。
「さぁ、いざ見遣れ。これなるは『絡繰演舞』の舞台なればっ! 戦場の華は、この種島 ヒノエが咲かせようぞっ!」
降り注ぐ銃火器は、無論ヒノエの手だけに収まるものではない。
無造作に降り注ぐ銃火器の一つを掴み取ったコトリは、ヒノエと同じく銃口を彼女へと向けるのであった。
「はっは……『絡繰演舞 戦場巡り』の幕開けじゃ!?」
互いに引き金を引き、銃弾が放たれる。
その銃声を合図に、互いに大地を踏み締め、駆けるのであった。
・おまけ
ヒノエとシオンの誕生秘話
実は、ヒノエとシオンは昔モ◯ゲー(エブ◯スタ)で書いていた東方の二次創作のオリキャラだったのです。ヒノエは火野衣。シオンは紫苑。火縄銃の付喪神と絡繰人形の付喪神な二人だったのです。当時は二次創作はモバゲ◯では禁止とされていて、通報されたらもれなく更新できなくなる状態だったので、通報厨との戦いの日々でした。結局、最後まで完結する事なく第三部の途中でストップしてしまいましたが、それでも第一部と第二部までは完結出来たのは、私としては頑張ったなという感じです。この二人のイラストも、当時同じ趣味のサークルに参加していた絵師様に描いていただき、そのイラストもあるにはあるのですが、流石に無断で貼るわけにはいかないので、元ネタのイラストに関しては申し訳ない次第です。ただ、少し前ですが、その絵師様をSNSで発見して、それが凄く嬉しかったです。向こうは流石に覚えていないと思うので、一人のファンとして更新されているイラストを見て感動する日々を送ってます。というわけで、ヒノエちゃんとシオンちゃんの誕生秘話とその為諸々でした。
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