風紀の狂犬ちゃん   作:モノクロさん

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・補足
本作のヒナは恐らく原作よりも早い段階で風紀委員会の委員長になっています。系列的に、雷帝失脚はヒナが2年生の時だと思われるので、本作の世界線は、原作より早くに雷帝が失脚した世界線です。ですので、ヒナは現在1年生、コトリは中学3年生です。まだヒナより身長の低い、幼い表情のコトリちゃんです。後、ユメ先輩はまだ生きてます。


褒めて伸ばす

 今日の私は頗る機嫌が良かった。

 

 ヒナ委員長の指導の下、風紀委員会としての役割を少しずつ理解出来るようになってきたからだ。

 

 鼻歌交じりにゲヘナ学園の門をくぐり、風紀委員会本部へと足を運ぶ。

 

 片手には愛銃のSGを。もう片方の手には、一般人から金銭を巻き上げようとしていたボロボロの不良生徒を引き摺り、私はヒナ委員長に早く戦果を披露したく、歩みを早めた。

 

 

 

「むふーっ!!」

 

 と、ご主人に捕まえた獲物を自慢する猫のように、ボロボロになった不良生徒を床に転がすコトリに、ヒナは一瞬ポカンと呆気に取られた表情を見せた。

 

 しかし、すぐに我に帰ると、コトリから事の詳細を問い質すと、一般人から金銭を巻き上げようとした不良生徒を見つけ、注意をしたが逆上され、返り討ちにしたとの事。

 

 そして、このまま放置するわけにはいかないので、此処まで引き摺ってきたのだという。得意気に胸を張り、褒めて褒めてと言わんばかりに目を輝かせるコトリの話を纏めると、概ねそんな内容だった。

 

 不良生徒の制服を見るに、ゲヘナの生徒で間違いない。そして、現場を目撃した上で注意を促し、それでも聞き入れなかった為、武力行使で黙らせた。報告内容としては手順を踏まえた上での行為だ。

 

 暫しの沈黙の後、ヒナはコトリに近付き、労いの言葉と共にコトリの頭を優しく撫でた。

 

 ヒナに褒められたのが余程嬉しいのか、コトリは目を細めて、腰の付け根から生えている羽をパタパタと揺らしている。とても可愛らしい、年相応の女の子だ。褒めてる内容に目を瞑ればだが。

 

 コトリはヒナから沢山の事を教わった。風紀委員会のメンバーとしての立ち振る舞いから、一般生徒との接し方、言葉遣いや礼儀作法。

 

 そして、今コトリが行っている事、風紀委員としての職務を遂行する為に必要な知識も。

 

 ヒナはコトリに、風紀委員会としての在り方を、その全てを1から10まで教え込んだ。その全てを、コトリが理解しているわけではないが、それでも一歩ずつ、着実にコトリは成長している。

 

 ヒナは、コトリの頭を撫でながら、そんな事を思いに馳せた。

 

 初めてコトリと会った時、最初は同学年の生徒と思っていた。しかし、後から1つ下の中学生と知って、内心結構驚いたものだ。

 

 だが、今となっては大して気にならない。コトリは、根は悪い子ではない。寧ろ、根は善性そのものだ。ただ少し、ほんの少しだけ、周りが受け入れてさえいてくれば、きっと彼女は、あそこまで壊れる事はなかったのだと、そう思わずにはいられない。

 

 しかし、過去を嘆いても仕方がない。過去には戻れないのだから、今とその先を見越して、彼女を支えてあげればいい。

 

 そして、コトリもまた、誰かを支えてくれる立場になってくれればと、ヒナはそう思いながら、床に転がっているボロボロの不良生徒の処遇をどうするか考えるのであった。




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