風紀の狂犬ちゃん   作:モノクロさん

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今回は短めです。
そして、今回から複数話に渡り
慈愛の魔女様作の『縁繋の魔女〜小さな偶然達の集会で会いましょう〜』とコラボさせていただきました。快く了承していただき、感謝です。


レンの大冒険―薬を求めて―

 ヒノエとシオンによる襲撃により、倒壊した風紀委員会本部。瓦礫の山が積み重なり、まるで廃墟のような様相を呈している。

 

 周囲には生徒達が物見がてらに集まっており、その様子を遠巻きに眺めていた。

 

 そして、倒壊の原因の一端でもあるヒナは、瓦礫の山と化した風紀委員会本部を静かに見上げていた。

 

「……」

 

 その表情には何の感情も宿っていないように見えるが、その実、彼女の内心は複雑なものだった。

 

 コトリの事は心配だが、今は自分のやるべき事を為さなければならない。爆破された建物や生徒や一般人の怪我の保証。やるべき事は山積みだ。

 

 病院に搬送したコトリは……驚く事に回復が早く、数日と経たずに退院するとの事だ。

 

 恐るべき自然治癒力。いや、それを自然治癒と表現して良いものか定かではないが、それでも、あれだけの怪我が数日で治るというのは、コトリの回復力の高さを如実に表していると言えるだろう。

 

 流石に、目を覚ますのは今日明日では難しいだろうが、それでもいずれは目を覚ます事だろう。ヒナは静かに目を閉じると、コトリが無事に退院するのを祈りながら、風紀委員会本部の撤去作業の指揮を執り始めるのだった。

 

 

 

 

 

「ねぇ、聞いた? 風紀委員会が襲撃された話」

 

「知ってる知ってる。しかも、襲撃犯にコトリちゃんもやられたんでしょ?」

 

「コトリちゃん? あぁ、風紀委員会に出入りしてたあの子か。確か、委員長の秘蔵っ子っ噂の」

 

「そうそう、何処で拾ったか分からないけど、実力だけなら風紀委員会の中でもトップクラスだったって話よ」

 

「コトリちゃんってそんなに強かったんだ……」

 

「不良生徒の大半がコトリちゃんにやられてたからねぇ。それがまさかのって噂だよ」

 

「へぇ……それで、コトリちゃんは今、何処にいるの?」

 

「病院だって。なんでも意識不明の重傷らしいよ」

 

「え、本当?」

 

「うん、なんかそんな事誰か言ってたよ」

 

「誰かって誰?」

 

「さぁ、そこまでは」

 

「え、私が聞いた話だともっとヤバいって聞いたよ」

 

「そうそう、なんか、手足を切らないと助からないとか」

 

「そうだっけ? 内臓の大半が機能してないから、それを全部取り替えないと助からないとか」

 

「え、なにそれ怖い……」

 

「いや、私も聞いただけだって。でも、風紀委員会が襲撃されたって話とコトリちゃんが意識不明の重症って聞いてたらさ……なんか色んな噂が流れ回ってるんだよねぇ」

 

「まぁ、なんとかなるっしょ。流石に話の尾ビレが付きすぎだよ」

 

「だねぇ……それじゃあさ、何が正解だったか賭けてみない?」

 

「お、それ良いね。それじゃあ私は……」

 

 そんな、他愛の無い生徒達の会話を遠巻きに、自家栽培された野菜を給食部に届けに来ていたユタカについて来ていたレンは、わなわなと震えながら呟いた。

 

「……コトリ、死んじゃうの……?」

 

 生徒達から詳しく話を聞きたかったが、知らない生徒に声をかける勇気がない。レンは、ユタカの袖をぎゅっと握りながら不安げな表情を浮かべていた。

 

 なんとか、なんとかしないと。

 

 怪我をしているなら、薬が必要だ。

 

 しかし、何が必要かすら分からない。

 

 姉のユタカ以外に心を許せるコトリが危ない。レンは必死になって考える。どうすればコトリを助けられるかを。

 

 そして、考えに考えた結果、レンはぼそりと呟いた。

 

「薬……薬……薬に詳しい人……誰か……誰か……っ」

 

 と、レンの脳裏に、一人の人物が浮かび上がる。

 

 知らない人だ。それなのに何故、彼女に頼めば大丈夫だと思ってしまうのだろう?

 

 いや、今はそんな事を考えている暇はない。今は一刻一秒を争うのだ。

 

「頼む……頼む……頼む……っ」

 

 誰かに、それこそ、神に祈るように、レンは祈りを捧げる。そして、祈るように両手を合わせながら呟いた。

 

「薬に詳しい人……助けてくれ」

 

 刹那、レンの身体から淡い光が放たれると、光が消失すると共に、レンの姿もまたその場から消え去ってしまった。




感想ありがとうございます。
凄く楽しみにしています。
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