風紀の狂犬ちゃん   作:モノクロさん

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ヒノム火山は危険がいっぱい

ー合宿当日ー

 ゲヘナの自治区にあると言われるヒノム火山。そこで風紀委員会が合宿をするという話をコトリから聞いたレンは、彼女に会うべくヒノム火山のふもとに足を運んでいた。

 

 が、此処まで一人で来る間にチンピラに絡まれる事数回。手荷物の殆どを奪われ、身包みを剥がされ、身を包む程度のバスタオル一枚を身にまといながらも、それでも懸命に歩き続ける。

 

「う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛!!?! づれ゛え゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!?! ゴドリ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛!?!!」

 

 バスタオル一枚。下着すら奪われた状態。お情けとして唯一持参していた荷物の一つであるヤカン(熱湯入り)をおっかなびっくりで運びながらヒノム火山のふもとを歩くレンの姿は、まるで主人に捨てられた子犬のようだ。

 

「う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ん゛!?!? ゴドリ゛ィ゛イ゛ィ゛ィィィイ!?! だずげでぇぇぇえ!?!」

 

 訓練という事から、スポーツの一種と考え、コトリが訓練中に気絶した時に備えてヤカンと水を持ってきていたのだが、ヤカンの中の水は不良生徒達により熱湯にされ、中身の大半をカップ麺のお湯として持っていかれた。

 

 残った熱湯はいらないからと押し付けられたレンからすれば、不良生徒たちに対しての殺意しかなかった。しかし、反抗したところで勝ち目などはなく、涙を呑んで従う事にしたのである。

 

「も゛ぉ゛歩げね゛ぇ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!?! 迎え゛に゛ぎでぐれよぉぉぉぉ゛ぉ゛!!?!」

 

「あれ、あの子、いつもコトリちゃんと一緒にいる子じゃね?」

 

「あ、本当だ。バスタオル一枚だけど、また身ぐるみ剥がされたのかな?」

 

「っぽいね。取り敢えずあのままだと可哀想だし、保護しよっか」

 

 その後、偶々近くを通りかかった風紀委員会のメンバーにより保護されたレンは、風紀委員会が使用している施設で風呂に入り、身支度を整える。幸いな事に施設に予備の制服があった為、レンはそれを借りる事で事なきを得た。

 

「ふぐっ……ずっ……ゔゔぅ……うぅぅ……」

 

 鼻を啜りながらも風呂に入れて貰ったおかげで身体が温まったレンは、ひとまず落ち着きを取り戻した。それでも涙が止まらないのは、やはりこれまでの経緯によるストレスによるものだろう。

 

「えっと……取り敢えず、これを着てください。あとは……これがブラジャーで……これはショーツになります」

 

「おい、この子にはまだブラジャーは早いだろ」

 

「やめろ、その言葉はそのままヒナ委員長にも効くだろぉが」

 

「ヒナ委員長と目の前のちんちくりんっ子を一緒にするな。将来性が欠片もないこの子が可哀想だろ」

 

「お前らぁ……全員ぶっころしてやるぅ……?」

 

 涙目になりながら風紀委員会のメンバーを睨み付けるレン。しかし、その視線を受けても彼女達はどこ吹く風。むしろ、可愛いと称賛する始末である。

 

「ほらほら、泣かないでください。折角の可愛い顔が台無しですよぉ」

 

「気を付けろレンちゃん。こいつ、そっち系のやばい奴だから」

 

「おいこら誰が汚いフェミニスト(武市●平太)だ?」

 

「そこまで言ってないから!」

 

「お前ら落ち着け、レンちゃんが怖がってるだろ。後そこの変態(武市●平太)は部屋から退室しろ。レンちゃんに近づくな」

 

「酷い!? 流石にコトリちゃんが怒るような事はしないよっ!?」

 

「お前らぁ、そういうところだぞぉ……?」

 

 レンの苦言により、ようやく落ち着きを取り戻した風紀委員会のメンバー達。彼女達からすれば、レンはまだ幼い子供であり、妹のような感覚なのだろう。普段はヒナ委員長という規格外の存在に気を使っているため、こういう小さい子と触れ合う機会が少ないせいもあり、テンションが上がってしまうのは致し方ないと言える。

 

「……というか、何でこんなとこにいるの?」

 

「コトリに会いに来ただけで、その……色々あってな……」

 

「あぁ、また身ぐるみ剥がされたんだ」

 

「そっかぁ、災難だったね。ほら、お菓子あげるから元気出して?」

 

「う゛ぅ……ありがどぉ……?」

 

 涙ながらにお菓子を受け取るレン。風紀委員会のメンバー達は、レンが落ち着くまでその場に留まっていた。

 

「……それで、これからどうするの?」

 

「コトリに会いに行く……けど、ちょっと怖いから、誰か一緒に来てくんねぇかなぁ……?」

 

「うん、良いよ。私達も訓練で此処に来たからね」

 

「丁度入れ替えのタイミングだったし、護衛がてら案内するよ」

 

「ありがとなぁ……ございますぅ……」

 

 未だに涙目ではあるものの、レンは風紀委員会のメンバーに感謝を述べる。その後、身支度を整えたレンは風紀委員会のメンバーと共に訓練所に向かう事にした。

 

「それにしても、よく此処まで一人で来れたね。道中はかなり危険だってのに」

 

「いや、チンピラに絡まれて身包み剥がされた時点で会うとだろ?」

 

「う゛ぅ゛……い゛わ゛な゛いで゛く゛れ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?!?!?!?」

 

「あ〜……ごめんね? 泣かないで? 悪かったよ、ほら、飴ちゃんあげるから」

 

 渡された飴を舐めながら涙を拭うレン。風紀委員会のメンバー達は、そんなレンの姿を見て、思わず苦笑してしまう。

 

「……でもまぁ、一人でここまで来れたのは凄いと思うよ? 偉い偉いっ!?」

 

「な、撫でるなぁ……?」

 

「はいはい、照れない照れない」

 

「て、照れてなんかねぇぞっ!?」

 

「はいはい、可愛い可愛いっ!?」

 

「やめろぉ……もう、虐めないでくれぇ……?」

 

 レンは顔を真っ赤にしながら抵抗するも、結局撫でくり回されるのであった。こうして、風紀委員会のメンバー達と共に、コトリがいるであろう訓練場を目指す事となったのである。




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