遊戯王Next   作:湯(遊戯王SS投稿者)

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第50話:影を焼き尽くす暁光

深夜のゴーストタウン。

埃まみれのビリヤード場で遊次と対峙するのは、裏カジノの元締めのボス「鷺沼正」。

その正体はイーサンが潜入した会員制サロンにて「コンサル」を名乗っていた男だった。

 

鷺沼の口八丁を更なる戦略で上回り、遊次は鷺沼にオースデュエルを突き付ける。

それは一切の悪行の禁止と、協力者達が失った9億サークの支払いだ。

しかし対する鷺沼の要求は、彼の組織についての口外の禁止と、遊次の身柄の確保だ。

もし遊次の身柄が鷺沼の手に渡れば、どうなるかは言葉にするまでもない。

これは敗北の許されぬ決戦だ。

 

鷺沼は先行でモンスターを5体展開しロックを張るも、遊次はそれが本当の戦術なのかと違和感を抱く。

しかしその違和感の正体はすぐに明らかになった。

鷺沼は融合魔法によってフィールドの5体のモンスターを素材に、

切り札「巡天の月帝 ケリュフォス」を呼び出す。

 

その効果により遊次のモンスターは全て裏側守備表示となり、

そのモンスターがいる限り、あらゆるモンスターの召喚とカードの発動が禁じられた。

 

遊次に打つ手はあるのか。

 

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【鷺沼】

LP8000 手札:1

 

①巡天の月帝 ケリュフォス ATK3500

 

フィールド魔法:巡天の帳

 

【遊次】

LP8000 手札:1

 

①妖義賊-忍びのイルチメ(裏側) DEF1200

②妖義賊-誘惑のカルメン(裏側) DEF1400

 

伏せカード:3

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フィールド魔法「巡天の帳」によって、フィールドは満月の浮かぶ草原へと変わっている。

その中央には鷺沼の呼び出した巨大な魔人が静かに立っている。

 

「ケリュフォスがいる限り、お前が伏せた3枚のカードも当然発動できねえ。

もうできることはねえはずだぜ」

 

■巡天の月帝 ケリュフォス

 融合モンスター

 レベル10/闇/魔法使い/攻撃力3500 守備力2200

 「巡天」モンスター5体

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが融合召喚した場合に発動できる。

 フィールドの表側カードを全て裏側表示にする。

 ②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

 お互いにモンスターを召喚・特殊召喚・反転召喚できず、

 魔法・罠カードを発動できない。

 ③:「巡天」フィールド魔法が存在しない場合に、このカードは墓地へ送られる。

 ④:ターン終了時に発動する。このカードをEXデッキに戻す。

 その後、デッキ・墓地から「巡天の暁」を発動できる。

 

 

目の前の巨大な魔神を見上げ考え込んでいる遊次に、鷺沼は大きな欠伸を1つする。

遊次はそんな様子など気にも留めず冷静に頭を回転させる。

 

(巡天の魔聖の効果で、俺はカードをセットしなきゃモンスターを召喚できなかった。

さらに巡天の盟主の効果で、ランダムに確認した手札が魔法・罠なら墓地へ送られる状態だった。

だから俺は手札の魔法・罠を最初に全部伏せなきゃいけなかった。

でも結局それは、俺に手札を吐き出させて、ケリュフォスで封じ込めるための策略だったんだ…!)

 

遊次は奥歯を噛み締める。

6枚の手札の内、現在5枚が機能停止状態だ。残り1枚も召喚や発動ができない。

しかしカードをセットしなければモンスターの召喚ができなかったため、この状況は防ぎようがなかった。

遊次は頭を1度横に振り、心に纏わりつく靄を振り払う。

 

(でも、ケリュフォスはターン終了時にEXデッキに戻る。…まだチャンスはある)

遊次はデュエルディスクに浮かぶケリュフォスのカード効果を確認しながら、次なる戦略に考えを巡らせる。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

「よしよし、いい子だ。引き際を弁えてる。

大丈夫だ、今すぐに取って食ったりしねえ。心の準備をする時間ぐらいはあるさ」

 

鷺沼は余裕な笑顔を崩さぬまま、自らのデュエルディスクに触れる。

 

「ターン終了時、ケリュフォスは自身の効果によってEXデッキに戻る。

そしてその後、デッキからフィールド魔法『巡天の暁』を発動できる」

 

 

■巡天の暁

 フィールド魔法

 このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、

 自分の「巡天」モンスターは相手の効果で破壊されない。

 ②:自分の「巡天」モンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、

 相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できず、

 バトルフェイズの間だけその相手モンスターの効果は無効化される。

 ③:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。

 デッキからカードを1枚ドローし、そのカードがモンスターカードだった場合、

 そのレベル×200のダメージを相手に与える。

 

 

ケリュフォスの姿と共に、満月を頂く夜空が淡く溶けていった。

そして東の地平から金色の光が差し込み、闇は静かに押し退けられていく。

黒い大地はやわらかな朝の色に染まり、草葉の露が光を受けてきらめいた。

遠くの山影もその輪郭を鮮やかに現し、冷えた空気に温もりが混じる。

夜の帳は完全に払われ、世界は夜明けの野へと姿を変えていた。

 

 

「そしてこの時、墓地へ送られた『巡天の帳』の効果、

墓地の『巡天の導き手』・『巡天融合術』の効果が発動される。

『巡天融合術』は『巡天』融合モンスターが場を離れた時、墓地からセットされる」

 

「チェーン2の『巡天の導き手』の効果により、巡天フィールド魔法が発動された時、

このカードは墓地から特殊召喚される」

 

■巡天の導き手

 効果モンスター

 レベル4/光/魔法使い/攻撃力1700 守備力1500

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「巡天」モンスター1体を手札に加える。

 ②:このカードが墓地に存在し、「巡天」フィールド魔法が発動された場合に発動できる。

 墓地のこのカードを特殊召喚する。

 

淡い茶髪の若き魔術師がフィールドに再び姿を現す。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/09SCMFs

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

 

「さらに『巡天の帳』の効果により、このカードが墓地へ送られた場合、

デッキから『巡天』モンスターを特殊召喚できる。

来い、『巡天の番狼』!」

 

■巡天の番狼

 効果モンスター

 レベル5/闇/獣/攻撃力2200 守備力1000

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「巡天」魔法カード1枚を手札に加える。

 ②:自分のフィールドゾーンに存在するフィールド魔法カードの種類によって、このカードは以下の効果を得る。

 ●巡天の帳:自分フィールドの「巡天」モンスターは戦闘で破壊されない。

 ●巡天の暁:自分フィールドの「巡天」モンスターは相手の効果で破壊されない。

 

続いて、黄金のたてがみを逆立てた魔狼も姿を現す。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/eJ45AbR

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「特殊召喚された『巡天の導き手』と『巡天の番狼』、

そして墓地の『巡天の渡り鳥』の効果発動!

渡り鳥はフィールドに巡天モンスターが特殊召喚された場合、墓地より蘇る」

 

現れたのは、蒼と金の羽を広げた小さな鳥だ。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/6G9GIK7

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「『巡天の導き手』と『巡天の番狼』の効果により、

デッキから『巡天』魔法・罠カードと『巡天』モンスターカードを1枚ずつ手札に加える。

モンスター『巡天の太華』と、永続魔法『巡天の結界式』を手札に加えるぜ」

 

日差しが3体のモンスターを照らす。

ケリュフォスが去ったことで、その明るい光は遊次にも希望をもたらしたが、鷺沼がいくつものリソースを回復させたことで、やはり天に浮かぶ太陽は鷺沼のものであるのだと再確認させられた。

 

「フィールド魔法『巡天の暁』がある限り、俺の巡天モンスターは相手の効果で破壊されない。

こっからは"攻め"に転じさせてもらうぜ」

 

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【鷺沼】

LP8000 手札:3(巡天の太華、巡天の結界式)

 

①巡天の導き手 DEF1500

②巡天の番狼 ATK2200

③巡天の渡り鳥 DEF1000

 

フィールド魔法:巡天の暁

伏せカード:1(巡天融合術)

 

【遊次】

LP8000 手札:1

 

①妖義賊-忍びのイルチメ(裏側) DEF1200

②妖義賊-誘惑のカルメン(裏側) DEF1400

 

伏せカード:3

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「俺のターン、ドロー!」

鷺沼が勢いよくカードを引く。

 

「巡天の導き手をリリースし、手札の『巡天の太華』をアドバンス召喚!」

 

■巡天の太華

 効果モンスター

 レベル6/光/植物/攻撃力2100 守備力2400

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚・特殊召喚した場合、墓地の「巡天」魔法カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを自分フィールドにセットする。

 ②:自分のフィールドゾーンに存在するフィールド魔法カードの種類によって、このカードは以下の効果を得る。

 ●巡天の帳:1ターンに1度、相手が魔法・罠カードの効果を発動した場合に発動できる。

 その効果を無効にして破壊する。

 ●巡天の暁:自分フィールドの「巡天」融合モンスターは相手の効果を受けない。

 

 

現れたのは、炎を思わせる朱と橙の花弁を大きく広げた巨花だった。

幾重にも重なる花弁は鋭く尖り、中心へ向かって濃い色合いへと変化している。

太くねじれた茎が伸び、絡み合う蔓が根元を覆っている。

葉は鋭い輪郭を持ち、花弁と同じく生命力を感じさせる艶を帯びていた。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/oan95QW

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「『巡天の太華』の召喚時、墓地の『巡天』魔法カードをセットできる。

『巡天の蘇生術』をセットする」

 

「魔法カード『巡天の蘇生術』発動!墓地の巡天を復活させる!

来い、巡天の盟主!」

 

 

■巡天の盟主

 効果モンスター

 レベル7/光/戦士/攻撃力2300 守備力2300

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが手札から墓地へ送られた場合に発動できる。

 このカードを墓地から特殊召喚する。

 ②:自分の墓地の「巡天」モンスター1体を対象として発動できる。

 そのカードを手札に加える。

 ③:自分のフィールドゾーンに存在するフィールド魔法カードの種類によって、このカードは以下の効果を得る。

 ●巡天の帳:1ターンに1度、相手フィールドにモンスターが召喚された場合に発動できる。

 相手の手札をランダムで1枚確認する。

 そのカードがモンスターカードだった場合、そのモンスターを相手フィールドに特殊召喚する。

 魔法・罠カードだった場合、そのカードを墓地へ送る。

 ●巡天の暁:このカードは1度のバトルフェイズに2回攻撃できる。

 

現れたのは、黒鉄の鎧をまとった赤き髪の戦士だ。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/PEGN2YN

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「『巡天の盟主』の効果発動。1ターンに1度、墓地の巡天モンスターを手札に加えることができる。

『巡天の星将』を手札に加える。さらに『巡天の星将』はフィールドに巡天モンスターが2体以上存在する時、手札から特殊召喚できる」

 

■巡天の星将

 効果モンスター

 レベル7/光/戦士/攻撃力2400 守備力2200

 このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

 ②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドに「巡天」モンスターが2体以上存在する場合、

 このカードは手札から特殊召喚できる。

 ②:手札の「巡天」モンスター1体を捨てて発動できる。

 自分はデッキから2枚ドローする。

 ③:自分のフィールドゾーンに存在するフィールド魔法カードの種類によって、このカードは以下の効果を得る。

 ●巡天の帳:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

 お互いのプレイヤーは、表側のモンスターが存在しない場合、魔法・罠カードを発動できない。

 ●巡天の暁:このカードの攻撃力・守備力は1500アップし、

 このカードがモンスターゾーンに存在する限り、攻撃可能な相手モンスターは攻撃しなければならない。

 

 

現れたのは、金の長髪を輝かせる戦士。

右手には黄金の穂槍を握り、肩からは厚手のマントが重たげに垂れている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/rSwx2GV

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「永続魔法『巡天の結界式』を発動。

このカードは墓地のモンスター1体を手札に戻し、そのモンスターを素材に融合召喚を行うことができる!」

 

■巡天の結界式

 永続魔法

 このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分の「巡天」モンスターは相手モンスターの効果の対象にならない。

 ②:自分フィールドに「巡天」フィールド魔法が存在する場合、その種類によって以下の効果を発動する。

 ●巡天の帳:墓地の「巡天」モンスター1体を対象にして発動できる。

 そのモンスターを手札に加え、それらを含む自分の手札・フィールドから、

 闇属性の「巡天」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

 その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 ●巡天の暁:墓地の「巡天」モンスター1体を対象にして発動できる。

 そのモンスターを手札に加え、それらを含む自分の手札・フィールドから、

 光属性の「巡天」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

 その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 ③:「巡天」モンスターが融合召喚した場合、

 融合素材となった墓地の「巡天」モンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターを特殊召喚する。

 

 

「また融合か…!」

遊次の脳裏には先ほどの強力な効果を発揮したケリュフォスの姿が焼き付いている。

しかし現在、場に存在するフィールド魔法は「巡天の暁」。

そして巡天デッキの性質上、フィールド魔法によって現れる融合モンスターは変わる。

 

それは即ち、また新たな脅威が遊次の前に立ち塞がる事を意味している。

 

「『巡天の結界式』により墓地の『巡天の魔聖』を手札に加え、

さらにこの1体と場の『巡天の渡り鳥』『巡天の盟主』、手札の『巡天の猛虎』『巡天の老師』を融合!」

 

眩しく差し込む後光を背に、フィールドに現れた紫色の結界が5体のモンスターを囲う。

 

「夜明けと共に、沈黙は破られる。

その暁光は張り付く影を焼き尽くす」

 

「融合召喚!降臨せよ、『巡天の陽帝 フォイボス』!」

 

 

■巡天の陽帝 フォイボス

 融合モンスター

 レベル10/光/戦士/攻撃力3700 守備力2000

 「巡天」モンスター5体

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが融合召喚した場合に発動できる。

 相手フィールドの裏側カードを全て破壊する。

 ②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

 お互いにカードをセットできず、手札のモンスター効果を発動できない。

 ③:「巡天」フィールド魔法が存在しない場合に、このカードは墓地へ送られる。

 ④:ターン終了時に発動する。このカードをEXデッキに戻す。

 その後、デッキ・墓地から「巡天の帳」を発動できる。

 

 

凝縮された熱が破裂するように広がり、視界が一瞬で白く染まった。

焼けつく光の中から、黄金の巨影がゆっくりと形を取っていく。

 

姿を現したのは、黄金の装甲を纏った巨躯の戦士だ。

胸には太陽を象る紋章が輝き、その光は絶えず脈動している。

炎を思わせる鋭い肩当てと篭手、脚甲に至るまで隙なく覆われた装いは、見る者の目を灼くようだった。

背からは金色の帯が幾筋も流れ、動きに合わせて熱気を撒き散らす。

頭頂から立ち上る炎の髪が揺らめき、灼熱の双眸が前方を射抜いていた。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/BFBc0qI

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遊次は目の前の巨大な戦士が放つ熱気を浴び、頬に汗が伝う。

 

「フハハハ!見ろ、この圧倒的な輝きを!

『巡天の陽帝 フォイボス』の効果発動。

相手フィールドの裏側カードを全て破壊する!」

 

遊次はその効果に大きく目を見開く。

 

「裏側カード…俺のフィールドのカード全部じゃねえか…!」

 

遊次のフィールドには、ケリュフォスによって裏側にされたモンスター2体と、

ロックによってセットせざるを得なかった魔法・罠カード3枚が存在する。

前のターンは全てこのための布石だったのだ。

 

「さらに墓地の『巡天の渡り鳥』と永続魔法『巡天の結界式』の効果発動。

『巡天の結界式』は、巡天モンスターが融合召喚された時、その素材となったモンスターを1体、墓地から蘇らせる。

対象は『巡天の魔聖』!」

 

「だが、こっちだってカードの発動はできる!

裏側守備表示の『妖義賊-誘惑のカルメン』をリリースして、速攻魔法『妖義賊の即日決行』を発動!

さらに罠カード『妖義賊の見参』、そして『妖義賊の秘技』を発動!

『妖義賊の秘技』は、相手のモンスターを1体奪うことができる!」

 

■妖義賊の秘技

 通常罠

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターのコントロールを得る。

 自分フィールドに「ミスティックラン」モンスターが存在する場合、

 この効果は手札からも発動できる。

 ②:自分・相手ターンのエンドフェイズ時、このカードが墓地に存在し、

 自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。

 このカードを自分フィールドにセットする。

 この効果でセットしたこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。

 

 

「ハッ!まさか3枚とも発動可能な魔法・罠とはな!

だが俺の『巡天の太華』の効果により、『巡天の暁』が場にある時、

巡天融合モンスターは相手の効果を受けない。フォイボスを奪うことはできねえぜ!」

 

「わかってんだよ!奪うのは『巡天の星将』だ!」

巡天の星将に縄がかけられると、そのまま遊次のフィールドに強制的に動かされる。

 

「チェーン2の『妖義賊の見参』の効果!デッキから妖義賊を特殊召喚できる!

来い、『妖義賊-駿足のジロキチ』」

 

■妖義賊-駿足のジロキチ

 効果モンスター

 レベル4/地/獣/攻撃力1600 守備力800

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「ミスティックラン」モンスターを1枚手札に加える。

 ②:このカードがリリースされた場合、

 相手フィールドの表側表示のモンスター1体を対象として発動できる。

 その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

 

 

遊次のフィールドにほっかむりを被ったネズミのモンスターが現れる。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/6MJzyaS

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「『妖義賊の見参』は俺のフィールドに相手から奪ったカードがある時、

更に妖義賊カードをデッキから手札に加えられるが、その効果は使わねえ」

 

「ほー。わけわかんねーが、今は見守ろうじゃねえか」

遊次の行動に何かしらの意図があると見抜いた鷺沼は、腕を組みながら冷静に様子を伺う。

 

「チェーン1の『妖義賊の即日決行』は、デッキから『予告状』カードを墓地に送り、

そのまま除外することができる。墓地に送るのは『一攫千金の予告状』!

そしてすぐに除外!」

 

ここで遊次が発動した一連のチェーン処理が全て終わる。

 

「結局モンスターが呼ばれちまったが、しょうがねえ。

永続魔法『巡天の結界式』により、墓地の『巡天の魔聖』が蘇る」

 

 

■巡天の魔聖

 効果モンスター

 レベル7/闇/魔法使い/攻撃力1900 守備力2400

 このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

 ②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードは自分フィールドの「巡天」モンスター1体をリリースすることで、

 手札から特殊召喚できる。

 ②:自分フィールドの「巡天」フィールド魔法1枚を墓地へ送って発動できる。

 そのカードとカード名が異なる「巡天」フィールド魔法1枚をデッキから手札に加える。

 ③:自分のフィールドゾーンに存在するフィールド魔法カードの種類によって、このカードは以下の効果を得る。

 ●巡天の帳:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

 相手は相手フィールドにセットされた魔法・罠カードと同じ数しか、

 モンスターを召喚・特殊召喚できない。

 ●巡天の暁:1ターンに1度、相手がモンスターを特殊召喚した場合に発動できる。

 そのカードを持ち主の手札に戻す。

 

現れたのは、長い翠色の髪と尖った耳を持つ魔導士。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/SJfQKjS

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「さらに墓地の『巡天の渡り鳥』の効果で、自身を墓地から復活させる」

フィールドに蒼と金の羽を広げた小さな鳥が舞い戻る。

 

「そしてフォイボスの効果によって、お前の裏側表示のキッドは破壊される」

フォイボスが掌から熱光線を放つと、裏側表示のキッドは焼き尽くされ、破壊される。

 

「特殊召喚されたジロキチの効果と、除外された『一攫千金の予告状』の効果発動!

一攫千金の予告状は墓地から除外された時、俺の手札が1枚以下なら、3枚のカードをドローできる!」

 

遊次は一気にデッキから3枚のカードを引く

 

「さらにチェーン1のジロキチの効果で、デッキから妖義賊を手札に加える。

手札に加えるのは『妖義賊-美巧のアカホシ』」

 

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【鷺沼】

LP8000 手札:0

 

①巡天の太華 ATK2100

②巡天の番狼 ATK2200

③巡天の渡り鳥 ATK900

④巡天の魔聖 ATK1900

③巡天の陽帝 フォイボス ATK3700

 

フィールド魔法:巡天の暁

永続魔法:巡天の結界式

伏せカード:1(巡天融合術)

 

【遊次】

LP8000 手札:5(アカホシ)

 

①巡天の星将 ATK2400

②妖義賊-駿足のジロキチ ATK1600

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「なぁるほどね。さっき罠カードでデッキからカードを手札に加えなかったのは、手札の数を1枚に保つためか」

 

「余裕ぶっこいてる場合かよ。アンタの切り札で破壊できたのは、結局1枚だけだぜ」

切り札に対して全力で抵抗した遊次も、負けじとニヤリと口角を上げてみせる。

 

「お前の方こそ、余裕はねえはずだぜ。わかってんだろ?

このターンでお前は"終わる"かもしれねえってな」

 

鷺沼の言葉に、思わず遊次は生唾を飲む。

想定し得るこのターンの果て。それはまさしく鷺沼の言葉の通りだったからだ。

 

「…かかってこい。こんなことで負けるわけにはいかねえんだよ」

 

だが、遊次の闘志は決して折れない。正面から鷺沼を睨みつける。

睨み返す遊次の胸中に、熱く荒い鼓動が響いていた。

勝敗の行方を決めるのは、このわずかな攻防の先――そう悟りながらも、その視線は一切逸れなかった。

 

「…フ、いかにも自分が光だってツラだな。でもよ、この光景を見てみろ。

俺の背後には輝くお天道様があって、そいつに焼き尽くされる陰がお前なんだ」

 

鷺沼は気だるそうに髪を無造作に掻き上げる。

 

「今まではその気合とノリでどうにか乗り切って来たかもしれないが、大人の世界は甘くないんだよ。

…バトルフェイズ。『巡天の陽帝 フォイボス』でお前の『巡天の星将』を攻撃」

 

巡天の陽帝フォイボスが、頭上から灼熱の拳を振り下ろす。

衝撃と共に巡天の星将の全身が高熱の光に呑まれ、破壊される。

 

「ぐあああ…っ!!」

遊次 LP8000 → 6700

 

「『巡天の番狼』で『妖義賊-駿足のジロキチ』を攻撃!」

追撃はすぐにやってくる。巡天の番狼が低く唸り、地を蹴ると、鋭い牙でジロキチに噛み付き、破壊した。

 

遊次 LP6700 → 6100

 

「うーん、お前の絶望する顔がよく見えるようになった。

『巡天の渡り鳥』でダイレクトアタック」

 

巡天の渡り鳥が小さく旋回し、勢いよく遊次へと向かうと、そのまま鋭いくちばしで遊次を攻撃する。

遊次 LP6100 → 5300

 

「『巡天の魔聖』でダイレクトアタック!」

 

巡天の魔聖が杖を掲げ、光の奔流を放つ。

その一撃が遊次を正面から打ち据え、体勢を大きく揺らした。

 

「があぁあっ…!」

遊次 LP5300 → 3400

 

「ラストだ。『巡天の太華』でダイレクトアタック!」

 

巡天の太華が花弁を大きく開き、無数の種弾を遊次へ向けて撃ち放つ。

鋭い連撃が体を打ち、遊次は身をのけぞらせた。

 

「ぐあああっ!!」

遊次 LP3400 → 1300

 

「さて、それじゃあ運命のボーナスステージへ行こうか。

俺はこれでターンエンド。ターン終了時、フォイボスはEXデッキへと戻り、

デッキからフィールド魔法『巡天の帳』を発動する」

 

フォイボスの巨躯が金色の光と共に揺らぎ、やがて粒子となって消えていく。

それと同時に、背後にそびえていた陽光がゆるやかに翳り始めた。

西の空から群青が流れ込み、赤みを帯びた雲が次第に黒へと沈んでいく。

温もりを帯びていた大地は冷たさを取り戻し、草葉の影が長く伸びた。

そして空全体が深い蒼に覆われ、満月が天に輝く夜がやってくる。

 

遊次は冷静ながらもどこか緊張した面持ちで待ち構える。

 

「この時、墓地へ送られた『巡天の暁』の効果発動。

カードを1枚ドローし、そのカードがモンスターだった場合、そのモンスターのレベル×200のダメージを相手に与える。

お前のライフは残り1300。俺のデッキの最大レベルは7だ」

 

「つまり、俺がレベル7モンスターを引いた時点で、お前の人生は終了!

踏み込んじゃいけねえ領域にうっかり入っちまった、その自分の足を呪いながら…死を待つだけだ」

 

鷺沼は歪んだ笑みを浮かべ、デッキトップに指をかける。

遊次はその指を凝視する。カードを引く動作がスローモーションのように見えた。

遊次の脳裏には、灯、イーサン、怜央の顔がフラッシュのように浮かび、すぐに消えた。

 

(もしここで負ければ…俺はもうアイツらにも会えねえ)

 

遊次の頭の中は澄んでいた。運命を分かつ状況だが、思考はクリアだった。

焦燥や恐怖がないわけではない。

それらを感じながらも、否、感じているからこそ、自分がどうすべきかを無意識的に考えてしまう。

 

鷺沼が1枚のカードを引いた。それを表にする。

その瞬間もまた、遊次にとってはスローモーションのように見えた。

視界に映ったのは、オレンジブラウン。即ちモンスターカードだ。

 

もしそのモンスターのレベルが7であれば、それは遊次の人生の終焉を意味する。

そうでないと信じていても、頭では自分の最期に考えを及ばせてしまう。

 

(明日…いや、今日か。今日が、ヴェルテクス・デュエリアの予選決勝だ)

遊次の脳裏に真っ先に浮かんだのは、虹野譲との予選決勝。

 

(こんなとこで、終わっていいのかよ)

 

次にフラッシュバックのように思い浮かんだのは、

ヴェルテクス・デュエリアで戦ったマルコス、空蝉、シャンリンの顔。

 

(アンタ達の願いも、全部背負って、絶対に叶えてやる!

だから俺たちは、"なんでも屋"なんだ!)

 

シャンリンとの戦いで示した決意。

それもここで敗北すれば、無泡に帰すこととなる。

 

(ここで負けたら、アイツらに嘘つくことになっちまう。それに…)

 

遊次の頭に最後に浮かんだのは、虹野譲の顔。

 

(アイツとデュエルしねえまま死ぬなんて…死んでもゴメンなんだよ…!!)

 

鷺沼が引いたカードが表を向く。

 

その星の数は5つ。

 

「…引いたモンスターは『巡天の猛虎』。レベルは5だ。

レベル×200…1000のダメージをお前に与える」

 

遊次の体が燃えるような光に包まれ、それはダメージへと変わる。

 

「ッ…」

遊次 LP1300 → 300

 

瀕死。しかし、確実に一命は取り留めた。

それは幸運か、それとも遊次の執念ゆえか。

遊次の表情には反撃の意志が宿っていた。

 

 

「チッ…命拾いしたか。まぁいい。勝負はもう目に見えてる。

ここからは余興みてぇなモンだ。せいぜい楽しませてくれよ」

 

鷺沼は自身の勝利を疑っていない様子だ。

それも当然。鷺沼のライフは依然8000。対する遊次のライフは風前の灯火。

さらに鷺沼のフィールドには4体のモンスターと、手札には先ほど引いた1体のモンスター。

そして伏せられた融合魔法。何が起きるかは明白だった。

 

しかし、遊次は照り付ける太陽を見つめながら、無意識に笑みを浮かべていた。

 

「…あ?何笑ってやがる」

追い詰められてもなお笑う遊次を、鷺沼は怪訝な目で見つめる。

 

「へへ、いや…これこそデュエルだよなって、思っただけだ。

どうしようもなく追い詰められた時こそ、それをひっくり返すのが最高に楽しいんだよ」

 

デュエルにおいて、苦難と楽しさは紙一重だ。少なくとも遊次にとってはそうだった。

何が懸かった戦いであろうと、この男は純粋なデュエルの楽しさを忘れることはない。

 

「フッ、俺んとこのカジノでも、お前みたいな奴たまに見るぜ。

人生の崖っぷちに立たされた大勝負でハイになっちまう奴。そういう奴の結末は、大抵バッドエンドだがな」

 

あくまで鷺沼はあざ笑う。

 

「いや、ハッピーエンド以外ありえねえ!

エンドフェイズ、墓地の『妖義賊の秘技』の効果発動!

俺のフィールドにモンスターがいない時、このカードを墓地からセットすることができる」

 

遊次のフィールドに罠カードが伏せられる。

このカードこそが遊次にとっての希望だ。

 

--------------------------------------------------

【鷺沼】

LP8000 手札:1

 

①巡天の太華 ATK2100

②巡天の番狼 ATK2200

③巡天の渡り鳥 ATK900

④巡天の魔聖 ATK1900

 

フィールド魔法:巡天の帳

永続魔法:巡天の結界式

伏せカード:1(巡天融合術)

 

【遊次】

LP300 手札:5(アカホシ)

 

伏せカード:1(妖義賊の秘技)

--------------------------------------------------

 

「俺のモンスターを奪う罠カードか。でも残念だったねぇ。俺の『巡天の太華』は、フィールドが『巡天の帳』である時、1ターンに1度、相手の魔法・罠の効果を無効にできる。

まさに、そのカードは"日の目"を浴びることはないってわけだ」

 

「じゃあ本当にそうなるか、しっかり見とけ。

やられっぱなしじゃ終わらねえ。こっからが俺の反撃だ!」

 

遊次は高らかに宣言すると、デッキトップに指をかける。

 

「俺のターン、ドロー!

手札から『妖義賊-山嵐のユライ』をPスケールにセッティング!」

 

遊次の頭上に、重厚な緑色の布で全身を覆った長いドレッドヘアのモンスターが現れる。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/XAICnJf

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

「永続魔法『妖義賊の連携陣』発動!」

 

■妖義賊の連携陣

 永続魔法

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在する場合、

 自分の墓地・フィールド・EXデッキの表側から

 「ミスティックラン」カードをそれぞれ1枚ずつデッキに戻し、

 相手フィールドの表側カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードがモンスターカードの場合、コントロールを得て、

 魔法・罠カードの場合、自分フィールドに置く。

 ②:元々の持ち主が相手となる自分フィールドのカード1枚を墓地へ送り、

 自分フィールドの「ミスティックラン」モンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターはこのターン、相手の効果を受けない。

 ③:自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在する限り、

 自分のモンスターの守備力は倍になる。

 

 

発動されたカードの効果を、デュエルディスクを通して鷺沼が確認する。

 

「そしてその効果を発動する!墓地・フィールド・EXデッキの表側からそれぞれ妖義賊をデッキに戻して、相手フィールドの表側カードを1枚奪う!

墓地の『妖義賊-忍びのイルチメ』、Pゾーンの『妖義賊-山嵐のユライ』、EXデッキの表側の『妖義賊-誘惑のカルメン』をデッキに戻して、アンタのフィールドの『巡天の魔聖』を奪う!」

 

巡天の魔聖は、フィールドに「巡天の帳」がある時、

セットされたカードの数しか相手はモンスターを特殊召喚できないという効果だ。

このモンスターを真っ先に奪わなければ、遊次はまともに展開することができない。

 

「ほぉ…その永続魔法も相手のカードを奪う効果があるとはな。

なら、止めなきゃなんねえ。『巡天の太華』の効果発動!

『巡天の帳』がフィールドにある時、相手の魔法・罠カードの効果を無効にして破壊する!」

 

巡天の太華が花弁から光を放つと、遊次の発動したカードはフィールドから消え去る。

少しの間、沈黙が流れる。

 

(アイツが持つモンスターは手札を含めても5体。1体でも欠けたらケリュフォスを融合召喚できねえ。

だからモンスターを奪う効果を徹底的に潰してくるんだ)

 

遊次は頭の中で状況を整理し、次にどう動くべきかを確認する。

 

(でもアイツから先に融合を使えば、それにチェーンして俺が罠カードで相手のモンスターを奪うことになって、融合は不発。

だから何か理由がない限り、アイツは融合を使わない。

今のままでも巡天の魔聖で十分ロックはできてるからな。

それなら…その"理由"を作るまでだ!)

 

遊次は手札から1枚のモンスターをピックアップする。

 

「巡天の魔聖がいる限り、俺はセットされたカードの数までしかモンスターを召喚できねえ。

呼び出すのはコイツだ。来い『妖義賊-士君子のブラックバード』!」

 

 

■妖義賊-士君子のブラックバード

 効果モンスター

 レベル4/地/鳥獣/攻撃力1500 守備力1400

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを破壊する。その後、自分フィールドにセットする。

 ②:自分フィールドの「ミスティックラン」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、

 代わりに墓地の「予告状」カードを除外することができる。

 

フィールドに紳士服を纏ったカラスのモンスターが現れる。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/HvbmmGT

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

 

「『妖義賊-士君子のブラックバード』の効果発動!

1ターンに1度、相手の魔法・罠カードを1枚破壊して、そのカードを奪うことができる!」

 

「…どこまでも"運"がイイ野郎だぜ」

鷺沼の表情から余裕が消える。

 

「『巡天の帳』は渡り鳥の効果で破壊できねえ。破壊するのは『巡天融合術』だ!」

 

「…このままじゃただ融合術を奪われるだけだ。使うしかねえ。

その効果にチェーンして『巡天融合術』を発動!」

 

「さらにチェーンして罠カード『妖義賊の秘技』を発動!アンタの『巡天の魔聖』を奪う!」

巡天の魔聖の身体にロープが巻き付けられ、遊次のフィールドへと引き寄せられる。

 

「アンタのフィールド・手札…合わせてもモンスターは4体!

5体の素材を要求するケリュフォスは召喚できねえぜ!」

 

融合素材が欠如していることで、巡天融合術は不発。

遊次が得意げに人差し指を鷺沼に突き付ける。

 

「ハッ…ただ運に恵まれただけの奴が、さも自分の実力みてぇにイキがりやがる。

やっぱお前も、俺のカモにされた連中と変わらねえな」

 

鷺沼の遊次を見る眼差しから、強い憎しみのようなものが溢れている。

彼がここまで感情を露にしたのは初めてだ。

 

「どういうことだよ?」

デュエルは魂の会話だ。想定していなかったが、彼ともまた心をぶつけ合えるかもしれない。

彼が初めて見せた心の内面に遊次は近づこうとする。

 

「…早くデュエルを続けろよ。ようやく巡ってきたチャンスだろ。

だが、俺のフィールドも一筋縄じゃねえぜ。

『巡天の番狼』はフィールドに『巡天の帳』がある時、巡天モンスターに戦闘破壊耐性を与える。

さらに永続魔法『巡天の結界式』がある限り、巡天モンスターは相手モンスターの効果の対象にならない」

 

話をはぐらかすように、鷺沼は意識をデュエルへと戻す。

そう簡単に心を見せるつもりはないようだ。

 

「…絶対にこじ開けてやるよ」

遊次は手札から1枚のカードを掲げる。

 

「『巡天の魔聖』がお前のフィールドから離れたことで、もうモンスターの召喚に制限はねえ。

手札の『妖義賊-美巧のアカホシ』の効果発動!

除外されてる『一攫千金の予告状』をデッキに戻すことで、このカードを特殊召喚できる!」

 

 

■妖義賊-美巧のアカホシ

 ペンデュラムモンスター

 レベル7/風/鳥獣/攻撃力2300 守備力2000 スケール8

 【P効果】

 このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:元々の持ち主が相手となるモンスター1体を対象とし、1~7までの任意のレベルを宣言して発動できる。

 そのモンスターのレベルはターン終了時まで宣言したレベルになる。

【モンスター効果】

 このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分の除外されている「予告状」カードを任意の枚数デッキに戻して発動できる。

 このカードを手札から特殊召喚する。

 この効果で特殊召喚したこのカードは、

 攻撃力がこの効果でデッキに戻した「予告状」カードの枚数×500アップし、

 このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手モンスターの効果を受けない。

 ②:自分メインフェイズに発動できる。

 デッキから「ミスティックラン」Pカード1枚を手札に加える。

 自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在する場合、

 この効果で手札に加えるカードは2枚になる。

 ③:このカードがEXデッキに表側で存在し、自分のPゾーンにPカードが存在する場合に発動できる。

 このカードを手札に加える。

 

 

現れたのは赤い着物を纏った鳳凰の頭を持つモンスターだ。

腰には長刀を携えている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/Beta2kb

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「アカホシの効果発動!1ターンに1度、デッキから妖義賊Pモンスターを手札に加えることができる。

相手から奪ったカードが俺のフィールドにある時、手札に加えるカードは2枚となる。

デッキから『妖義賊-誘惑のカルメン』と『妖義賊-舞蛇のキク』を手札に加える」

 

「そして今加えた2枚をPゾーンにセッティング!」

遊次の頭上に、黒いローブを纏った妖艶な女性と、桃色の着物を纏った白蛇のモンスターが浮かび上がる。

 

カルメン:ttps://imgur.com/a/dwkEFaw

キク:ttps://imgur.com/a/tsPN11Y

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「『妖義賊-舞蛇のキク』のP効果発動!

1ターンに1度、デッキから儀式モンスターか儀式魔法カードを1枚手札に加える。俺は儀式モンスター『妖義賊-ゴエモン』を手札に加える。

さらに相手から奪ったカードが場にある時、1枚ドローする!」

 

遊次は一気に2枚の手札を補充する。

 

「さらに『妖義賊-誘惑のカルメン』のP効果発動!

1ターンに1度、相手の墓地のモンスターを1体、俺の手札に加える。

アンタの墓地から『巡天の盟主』をいただくぜ」

 

(…1度回りだしたら止まらねえ…マジでダリィぜ)

鷺沼は舌打ちしながら墓地のカードを遊次へと投げ、遊次はそれを軽々と受け取る。

 

「俺のPスケールは2~8。よってレベル3~7のモンスターが同時に召喚可能!

天に弧を描く義の心、その輝きより現れ同胞の声に呼応せよ!

ペンデュラム召喚!現れろ、俺のモンスター達!」

 

遊次の頭上の巨大な振り子が揺れ、その中から2つの光がフィールドに降り立つ。

 

「手札から『妖義賊-深緑のロビン』『巡天の盟主』!」

 

フィールドに緑色の外套を纏い弓を持った青年と、黒鉄の鎧をまとった赤き髪の戦士が現れる。

 

ロビン:ttps://imgur.com/a/PHAQB1t

巡天の盟主:ttps://imgur.com/a/PEGN2YN

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

深緑のロビンは特殊召喚時に墓地の妖義賊を特殊召喚する効果を持つが、フィールドが既に埋まっているため、その効果は使用できない。

 

「『妖義賊-深緑のロビン』の効果発動。手札の予告状カードを1枚捨てて、墓地の『ミスティックラン』カードを1枚手札に戻すことができる。

手札の『儀式の予告状』を捨てて墓地の永続魔法『妖義賊の連携陣』を手札に戻す。そしてそのまま発動するぜ」

 

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【鷺沼】

LP8000 手札:1

 

①巡天の太華 ATK2100

②巡天の番狼 ATK2200

③巡天の渡り鳥 ATK900

 

フィールド魔法:巡天の帳

永続魔法:巡天の結界式

 

【遊次】

LP300 手札:2(ゴエモン)

 

①妖義賊-士君子のブラックバード ATK1500

②巡天の魔聖 ATK1900

③妖義賊-美巧のアカホシ ATK2300

④妖義賊-深緑のロビン ATK1800

⑤巡天の盟主 ATK2300

 

フィールド魔法:妖義賊の連携陣

Pゾーン:妖義賊-誘惑のカルメン、妖義賊-舞蛇のキク

--------------------------------------------------

 

遊次のフィールドに5体のモンスターが並び立つ。

 

「いくらモンスターを並べたところで、番狼の効果で俺のモンスターはバトルで破壊されないぜ」

 

「バトルなんてまだまだ先だっての。俺のデッキはこっからが本番だ」

遊次は力強く笑い、両手を合わせる。

 

「俺は『妖義賊-士君子のブラックバード』『妖義賊-美巧のアカホシ』『妖義賊-深緑のロビン』をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!」

 

遊次のフィールドの3体のモンスターは、フィールドに広がるサーキットに飛び込んでゆく。

飛び込んだ3つのアローヘッドが赤く灯る。

 

遊次「権威を穿つ風雲児よ、今こそ逆境を覆す英雄となれ!

リンク召喚!現れろリンク3!『妖義賊-神出鬼没のギルトン』!」

 

 

■妖義賊-神出鬼没のギルトン

 リンクモンスター

 リンク3/風/獣戦士/攻撃力2200

 【リンクマーカー:左下/下/右下】

 モンスター2体以上

 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが元々の持ち主が相手となるモンスターをL素材にしている場合、

 このカードは相手の効果で破壊されない。

 ②:このカードがL召喚した場合、相手のフィールド・墓地のモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターのコントロールを得る。

 その後、そのモンスターを含む自分フィールドのモンスターを素材として融合・S・X・L召喚を行うか、

 そのモンスターを含む手札・フィールドのモンスターをリリースして儀式召喚を行う。

 ③:このカードのリンク先にP召喚された場合に発動できる。

 自分はデッキから2枚ドローする。

 

 

そのモンスターは、鋭い目つきを持つ豹の顔をした獣戦士。

額には蒼のバンダナが巻かれ、胴体部分には茶色の革のチュニックを着ており、背中には鋭利な長剣が一本背負われている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/s8OJ6yB

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

 

「ギルトンがL召喚した時、効果発動!相手のフィールド・墓地からモンスターを奪って、そいつを素材にさらなる召喚を行う!」

 

「だが、俺のモンスターは永続魔法で効果の対象にはならねえぜ」

 

「奪うのはお前の墓地の『巡天の星将』!」

遊次のフィールドに蒼い鎧を纏った金髪の槍使いが姿を現す。

 

「『巡天の星将』のレベルは7。

こいつをリリースして、手札の『妖義賊-ゴエモン』を儀式召喚する!」

 

巡天の星将が光へと消えると、フィールドの灯篭に炎が灯る。

 

「桜吹雪の舞う中に、現れたるは荒野の義賊!

儀式召喚!来い、俺の切り札!『妖義賊-ゴエモン』!」

 

 

■妖義賊-ゴエモン

 儀式モンスター

 レベル7/地/戦士/攻撃力2500 守備力2000

 「予告状」儀式魔法カードにより降臨。

 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:元々の持ち主が相手となるカードが自分フィールドに存在する限り、

 自分フィールドのモンスターは相手の効果の対象にならない。

 ②:相手の墓地のモンスター、または魔法・罠カード1枚を対象として発動する。

 モンスターカードの場合、そのカードを自分フィールドに特殊召喚し、

 魔法・罠カードの場合、自分フィールドにセットする。

 ③:このカードが元々の持ち主が相手となるモンスターをリリースして儀式召喚された場合、以下の効果を得る。

 元々の持ち主が相手となる自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動する。

 そのモンスターの元々の攻撃力分、自分フィールドの全てのモンスターの攻撃力をアップする。

 

 

桜吹雪と共に現れたのは、大剣を携えた戦士のモンスター。

メタリックなボディは鉄の装甲で覆われており、鎧には赤の紋様が描かれている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/VBKj9UV

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

 

鷺沼は目の前に颯爽と現れたゴエモンを据わった目で見つめる。

 

「コイツが俺の相棒だ。相手から奪ったカードが俺の場にある限り、ゴエモンの効果で俺のモンスターは効果の対象にならない。

さらに…ゴエモンの効果発動!1ターンに1度、相手の墓地からカードを奪うことができる!」

 

「はぁ…どんだけ他人のカードを奪えば気が済む?俺なんかよりよほど悪党だぜ」

 

「悪党じゃねえ!義賊だ!

アンタの墓地のフィールド魔法『巡天の暁』を奪って俺のフィールドにセットする!そしてそのまま発動!」

 

 

フィールド魔法の発動と共に、遊次の背に輝く太陽が浮かび上がる。

鷺沼のフィールドの夜の帳と、遊次のフィールドの朝の光。

決して交わることのない月と太陽が、空に浮かび上がっている。

 

鷺沼の背後には、満月を戴く深い群青が広がり、冷えた風が草原を撫でる。

対する遊次の背後には薄金色の太陽が昇り、柔らかな陽が大地を染め上げていく。

光と影が押し合い、互いの領分を侵そうとするたび、空気はきしみ、視界は揺らいだ。

その狭間に立つ二人のデュエリストは、まるで二つの時刻を同時に踏みしめているかのようだった。

 

--------------------------------------------------

【鷺沼】

LP8000 手札:1

 

①巡天の太華 ATK2100

②巡天の番狼 ATK2200

③巡天の渡り鳥 ATK900

 

フィールド魔法:巡天の帳

永続魔法:巡天の結界式

 

【遊次】

LP300 手札:1

 

①妖義賊-神出鬼没のギルトン ATK2200

②巡天の魔聖 ATK1900

③巡天の盟主 ATK2300

④妖義賊-ゴエモン ATK2500

 

フィールド魔法:巡天の暁

永続魔法:妖義賊の連携陣

Pゾーン:妖義賊-誘惑のカルメン、妖義賊-舞蛇のキク

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「面白れェ…まさか月と太陽を同時に拝めるとはな。こんな光景、今まで見た事ねえぜ」

鷺沼は目の前に広がる光景に純粋に心打たれたように、手を叩いて笑う。

 

「闇を打ち消すには、明るい太陽が必要なんだよ。…行くぜ」

 

遊次は真剣な眼差しで前を見据える。間もなく戦いが幕を開ける。

鷺沼の表情からも笑みが消え、戦いへと向き合う。

 

「バトル!『巡天の盟主』で、お前の『巡天の番狼』を攻撃!」

巡天の盟主は旗を象った槍状の武器を掲げ、雄たけびを上げながら番狼へと向かう。

 

「『巡天の番狼』の効果で、俺の場に『巡天の帳』がある時、

俺の巡天モンスター戦闘で破壊されねえ…と言いたいところだが」

 

鷺沼は言葉を濁らせる。その言葉の続きを遊次が紡ぐ。

 

「フィールド魔法『巡天の暁』は、巡天モンスターが相手モンスターを攻撃する際、攻撃対象のモンスターの効果を無効化する効果がある!

だからこのフィールド魔法を奪ったんだ!」

 

遊次の場には鷺沼から奪った巡天の暁と巡天の盟主。

相手のカードを組み合わせることで、相手の布陣を突破する。

これこそが遊次のデュエルスタイルだ。

 

「よって、巡天の番狼の効果は無効!攻撃で破壊される!」

 

巡天の盟主が掲げた旗を振りかざし、鋭く突き出した。

その一撃が番狼の突進を正面から受け止め、衝撃が草原を震わせる。

次の瞬間、盟主の力強い一押しが狼の巨体を押し返し、そのまま打ち倒した。

 

「クッ…人様のカードで好き勝手しやがって」

鷺沼 LP8000 →7900

 

「まだまだ!『巡天の魔聖』でお前の『巡天の渡り鳥』に攻撃!」

 

巡天の魔聖が杖を高く掲げ、淡い蒼光が空へと奔った。

光は鋭い矢のように飛び、巡天の渡り鳥の羽をかすめる間もなく直撃する。

澄んだ鳴き声が途切れ、翼が力を失って崩れ落ちると、その姿は霧のように掻き消えた。

 

「ぐっ…!」

鷺沼 LP7900 →6900

 

「『妖義賊-神出鬼没のギルトン』で『巡天の太華』に攻撃!」

 

ギルトンは地を蹴り、黒豹のようなしなやかな動きで巡天の太華へと迫った。

腰の剣が閃き、鋭い一閃が花弁を断ち割る。

花はわずかに揺らぎ、次の瞬間、幾重にも重なった鮮紅の花弁が崩れ落ちていく。

 

鷺沼 LP6900 →6800

 

鷺沼の場のモンスターはこれで全て破壊された。

遊次はまだゴエモンの攻撃を残している。しかし。

 

「この瞬間、手札の『巡天の猛虎』の効果発動!

俺のフィールドの巡天モンスターが破壊された時、このモンスターを手札から特殊召喚できる!」

 

 

■巡天の猛虎

 効果モンスター

 レベル5/光/獣/攻撃力2300 守備力1200

 このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドの「巡天」モンスターが破壊された場合に発動できる。

 このカードを手札から特殊召喚する。

 ②:このカードの攻撃力は自分フィールドの「巡天」モンスターの数×1000アップする。

 ③:自分のフィールドゾーンに存在するフィールド魔法カードの種類によって、このカードは以下の効果を得る。

 ●巡天の帳:1ターンに1度、手札を1枚捨て、

 相手フィールドのモンスター2体を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 ●巡天の暁:1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。

 相手の手札をランダムに1枚捨てる。

 

 

現れたのは、黄金のたてがみを持つ虎だった。

鋭い牙を剥き出しに咆哮し、双眸は獲物を逃さぬ光を宿している。

その体毛は黄金から藍へと移ろい、夜空のような紋が星々の輝きを散らしていた。

前脚には金の腕輪が嵌められ、引き締まった四肢はしなやかな力を秘めている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/ixiaj39

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「さらにこのモンスターの攻撃力は、フィールドの巡天モンスターの数×1000アップする」

巡天の猛虎 ATK3300

 

これによりゴエモンのダイレクトアタックは巡天の猛虎によって防がれる。

 

しかし、それも遊次には想定済だった。

 

「この瞬間、俺の『巡天の魔聖』の効果発動!

場に『巡天の暁』が存在し相手がモンスターを特殊召喚した場合、1ターンに1度、そのモンスターを手札に戻す!」

 

巡天の魔聖が杖を掲げると、太陽のような柔らかな光が巡天の猛虎を包み込む。

そのまま猛虎は天へと昇り、フィールドから姿を消す。

 

「この野郎…!!」

 

鷺沼の手札に巡天の猛虎がいることは遊次も知っていた。

故に、巡天の魔聖と巡天の暁のコンボによってそれを退けることまでが、遊次の戦略。

鷺沼のプレイは、全て手玉に取られたように遊次に返される。

それが彼のプライドを傷つけた。鷺沼はかつてないほどの怒りを露にする。

 

「これでお前の場はガラ空き!『妖義賊-ゴエモン』でダイレクトアタック!」

ゴエモンは桜吹雪を纏った刀で鷺沼に鋭い一閃を浴びせる。

 

「ぐああああああ!!」

鷺沼 LP6800 →4300

 

「バトルフェイズは終わりだ。

メインフェイズ2、ゴエモンの効果発動!ゴエモンが相手から奪ったモンスターをリリースして儀式召喚されている時、相手から奪ったモンスターを墓地へ送り、そのモンスターの攻撃力分、自分の全てのモンスターの攻撃力を上げる。巡天の魔聖をリリースして、俺のモンスターの攻撃力を1900上げる!」

 

妖義賊-神出鬼没のギルトン ATK4100

巡天の盟主 ATK4200

妖義賊-ゴエモン ATK4400

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

--------------------------------------------------

【鷺沼】

LP4300 手札:1

 

フィールド魔法:巡天の帳

永続魔法:巡天の結界式

 

【遊次】

LP300 手札:1

 

①妖義賊-神出鬼没のギルトン ATK4100

②巡天の盟主 ATK4200

③妖義賊-ゴエモン ATK4400

 

フィールド魔法:巡天の暁

永続魔法:妖義賊の連携陣

Pゾーン:妖義賊-誘惑のカルメン、妖義賊-舞蛇のキク

--------------------------------------------------

 

「フン…せっかくのチャンスを棒に振ったな。結局、俺のライフは削り切れず、盤面も制圧力はねえ。フッフッフ…」

鷺沼は肩を震わせ、喉の奥から声を零す。

 

「結局、これが現実なんだよ。お前は俺を仕留めきれなかった。で、お前は首の皮一枚だ。

いくらツイてても、闇に呑まれる時は必ず来る。どんな奴にもな…」

 

「俺は闇になんか吞まれねえ。まだデュエルは終わってないぜ。

こんなピンチ、俺は何度も乗り越えてきてんだ!

人を食いモンにするような奴に、負けるわけにはいかねえ!」

 

遊次は怖気づくことなく、自分の胸に親指を突き立て、力強く応える。

その真っ直ぐな言葉がさらに鷺沼を刺激した。

 

「はぁ…うぜぇんだよなぁ、そろそろ…。

自分を"光"だと思い込んでる、運がいいだけのバカが」

 

光。運がいいだけ。その言葉を、たびたび鷺沼は口にしてきた。

そこに彼の心の闇が見え隠れしている。

 

「どいつもこいつも、ただ運がよかっただけのクセに、自分の実力でそこに立ってると勘違いしてやがる。

俺はそういう奴に現実を教えてやってんだよ。テメェの存在は光なんかじゃねえってな」

 

鷺沼の口元がわずかに吊り上がり、笑みとも歪みともつかぬ形を作った。

瞳は獲物を追い詰めた獣のように細まり、その奥底で冷たく濁った光が蠢く。

頬の筋肉がぴくりと引き攣り、押し殺した愉悦と苛立ちが混ざり合う。

その表情は、理性の皮をかぶった狂気そのものであった。

 

 

鷺沼のターンがやってくる。

遊次はわずか300のライフを守り切り、勝利を掴むことができるのだろうか。

 

 

第50話「影を焼き尽くす暁光」 完

 

 

 

ついに本心を曝け出した鷺沼。

ある1つの"不運"が、彼の運命を大きく変えた。

鷺沼はその出来事から、陰の道を歩むこととなる。

 

しかし、遊次は折れない信念を鷺沼にぶつけ、

対する鷺沼も自身の沸き立つ心に呼応するように、遊次のフィールドを蹂躙する。

 

皆の努力の果てに辿り着いた希望を無にしないために、

遊次は死線を潜り抜け、勝利を掴むことができるのか。

 

「日陰だって、悪いモンじゃねえよ。涼しくって、居心地がいいからな。

だけど、光に向かう奴の足を無理やり掴むなら…そんな陰は、消さなきゃなんねえ」

 

 

次回 第51話「夜明け」

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