遊戯王Next   作:湯(遊戯王SS投稿者)

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第66話:正反対の、似た者同士

ニーズヘッグが目論む「セカンド・コラプス計画」を止めるために、Nextはメインシティへと向かう。

遊次は1度オスカーに敗北している。彼の強さは身にしみてわかっている。

そのため、Nextは1度負けても交渉材料を失わないように立ち回る必要がある。

まずはニーズヘッグとの交渉材料を可能な限り増やすために、オスカー以外のメンバーと戦い、オースデュエルによって鍵を手に入れる作戦に。

これにより、1人が負けても、次に別の鍵を持つ者が再び勝負を挑むことができる。

 

イーサンとジェンのオースデュエルはイーサンの勝利に終わり、Nextはパラドックス・ブリッジの内の1つ「グール」の鍵を手に入れた。

しかし、計画を主導するオスカーを倒さない限り、戦いが終わることはない。

 

次なる戦いへ向けて、Nextの4人を乗せた車はメインシティへと入り、美蘭の目撃証言があったセントラル・プラザを目指す。

ジェンの襲撃により車の窓ガラスは割れている。

ビル街を走る満身創痍の真っ赤なスポーツカーに、道行く人々の視線は集まった。

 

「パラドックス・ブリッジ"グール"の鍵の所有権を、灯に移す」

 

イーサンがそう宣言すると、灯の前にソリッドヴィジョンの1枚の通知書が浮かび上がる。

 

「これで俺の生体認証と灯の持つ鍵、2回分の交渉材料がある。

ここからは二手に分かれよう」

 

イーサンの提案に灯が頷く。

 

「私は美蘭の目撃証言があったセントラル・プラザに向かう。

あの子のことは私が一番知ってるから」

 

「じゃあ俺も灯と一緒に行くよ」

遊次の言葉にイーサンも同意する。

 

「俺と怜央はニーズヘッグの本社へ向かう。

まあ、それも意味があるかはわからないがな」

 

「どういうことだ?」

怜央が問うと、イーサンはシャツの襟の裏側をめくる。

 

「ジェンの奴、いつの間にか俺に発信器をつけてたらしい。

つまり、俺達の場所は奴らに筒抜けってわけだ」

 

「マジかよ、いつの間に…」

 

「ちなみに、この車にも発信器がつけられてた」

 

イーサンは人差し指を立て、車の天井部分を指さす。

ジェンが橋から車に降りた時に取り付けたのだろう。

 

「ぬかりねえ野郎だぜ。だが好都合だ。

こっちから探す手間が省ける」

 

「そうだな。向こうもこちらに向かってくるだろうが、ひとまずは作戦通り二手に分かれよう」

 

イーサンと車、それぞれに発信器が付けられていることから、二手に分かれたイーサン陣営と灯陣営の両方とも、ニーズヘッグに居場所が知られることになる。

しかしこれはNextにとっても好都合だ。

灯陣営は美蘭を、イーサン陣営はルーカスを探すために、それぞれの居場所を目指す。

 

免許を持っているのは灯しかいないため、灯と遊次は車でセントラル・プラザへ向かうことになる。

イーサンと怜央は徒歩で本社へと向かうため、ビジネス街の交差点で車を降りた。

 

「何かあったらすぐに連絡してくれ」

 

「あぁ。お前達も気をつけろよ」

遊次とイーサンは短い言葉を交わすと、お互いが目指すべき場所へと向かった。

 

 

破損した赤いスポーツカーは、沈みゆく太陽の残光がビル群の合間に滲む大通りを高速で駆けていた。

高層ビルの窓ガラスに反射する光の閃きが車内を走り抜け、タイヤの低い唸りが響く。

灯は強くハンドルを握りしめ、次の目的地へと意識を集中させていた。

 

「なあ、七乃瀬美蘭ってどんな奴なんだ?」

 

遊次は助手席から言葉を投げかける。

七乃瀬美蘭は世界的デザイナーでありニーズヘッグの専属モデルだ。

そんな有名人と灯が幼い頃に友達だったという話は聞いたことがあった。

しかし、それ以上の話は聞いたことがなかった。

 

「…今とあんまり変わらないかな。

自由奔放で、自分の好きなことをまっすぐ貫く子だったよ」

 

13年前に別れてから直接的な関わりはなかったが、美蘭のパブリックイメージはあの頃のままだった。

 

「ふーん…。俺もあんま詳しくないけどさ、なんかイメージ付かないんだよなー。

曲がった事とか嫌いそうだろ?なのにオスカーの計画に従って、危ないことやらかそうとしてんだぜ」

 

「…うん。私もずっと引っかかってる。

美蘭はなんのために計画に関わってるんだろうって」

 

灯は真っ直ぐと前を見つめながら答える。

遊次は考えを巡らせながら、助手席のシートに身体を預ける。

 

その瞬間、視界の端に、何かが急速に接近する気配がした。

間を置かず、助手席側の窓ガラスに濃い影の塊が音もなく張り付く。

 

「うわぁ!?」

目の前の窓ガラスに異形が突如現れたことで、遊次は大声を上げる。

灯は反射的に強くブレーキを踏み込んだ。

甲高い摩擦音と共にタイヤがアスファルトを深く掻き、車体は横滑りしながら急停車する。

 

灯と遊次は窓ガラスに視線を向ける。

そこにいたのは、窓ガラスに張り付いたまま、無表情な瞳でこちらを睨み返す、緑色のトカゲだった。

 

「ト、トカゲ…?なんたって急に…」

遊次がトカゲを逃がすために車から降りようとした時、灯ははっとする。

 

「これ…」

突然目の前に現れたトカゲには脈絡がありすぎた。

灯の脳裏に思い浮かんだのは、かつて自分にトカゲをけしかけてきた、1人の少女の姿。

 

トカゲは窓ガラスから一瞬でアスファルトに降り立つと、車体の陰から這い出るようにして前方へ進み始めた。

まるで、自分達をどこかに案内するかのように。

灯と遊次は、その小さな体躯が描く不自然な軌跡を追う。

 

トカゲは車から数メートル離れた地点で、明確な意思を持って立ち止まった。

その視線の先には、街灯の光を反射する細いハイヒール。

トカゲは光沢のあるヒールを伝い、ためらいなく滑るようにその人物の足を登り始めた。

 

そこには街灯の光を反射する金色のショートヘアを持つ女性がいた。

彼女はトカゲをモチーフとした奇抜な装いを纏い、異様な存在感を放ちながらそこに立っていた。

 

「美蘭…」

 

灯の言葉を聞いた遊次も、彼女の方へと視線を向ける。

すると、美蘭は手をこまねいて、路地裏へと消えた。

美蘭が自分達を誘っていることは明らかだった。

2人は美蘭の後を追い、路地裏へと駆ける。

 

路地裏は、両側の壁が迫るようにそびえ立ち、怪しい闇に包まれている。

その暗がりを数10メートルほど進むと、視界が一気に開けた。

そこは、周囲を古びた倉庫の壁に囲まれた、人気のないアスファルトの空き地だった。

 

わずかに月の光が差し込む空き地の中央で、美蘭は2人を待っていた。

灯と美蘭の視線が交差する。

 

「やっぱり来てくれたんだね、灯」

美蘭は少しだけ微笑んで言う。

 

「美蘭…」

鍵を奪い、ニーズヘッグの計画を止める。

そのためにここへ来た。

しかし、今2人の間に漂うこの静寂は、13年前からの因縁をひきずっていた。

遊次は静かに、ただ1歩後ろへ下がる。

 

「アタシ、もう二度と会えないと思ってたよ。

急に何も言わずにいなくなっちゃったんだもん」

 

灯の心臓が跳ねた。

 

13年前、灯はコンテストの最終審査を見に行くと美蘭に約束した。

しかし、その前日に引っ越さなければならないことを知った。

それを言えば美蘭にどう思われるか、どんな顔をするかを想像し、怖くなってしまった。

そして灯は彼女に会いに行かず、その日以来、彼女とは会わなかった。

 

13年間言えなかったことが、とめどなく溢れてくる。

しかし、何から話せばいいかわからなかった。

 

「…ごめん、私…」

 

「ううん、いいんだ。もう怒ってないから。

むしろあの日、灯が来なくてよかったって思ってる」

 

美蘭は笑みを浮かべたまま、少し寂し気に目を細める。

 

「…どういうこと?」

 

「あのコンテストの最終審査ね。

モデルの子が、アタシの作った服を気持ち悪いって言って、着るのを拒否したの。

他の子も同じだった。1人が言い始めたら皆そいつに従うの。

ケッキョク、誰も着てくれないままコンテストは終わり」

 

「そんな…」

思ってもみない顛末だった。

もしあの時、灯が約束通り見に行っても、美蘭は舞台にすら上がることがなかったということだ。

 

「灯に情けないところ見られなくてよかったよ。

だから、あの時の話はこれでおしまい!」

 

美蘭はあっけらかんと言い放つ。

13年間抱えてきた罪悪感が、思わぬ形で唐突に解きほぐされている。

納得できないことと、言わなければならないことが次々と浮かんでくる。

 

「でも、美蘭は諦めなかったんでしょ?

だから今、夢を叶えて世界で活躍するデザイナーになった。

…ほんとに、凄いと思ってるよ。私も、嬉しかった」

 

その言葉を聞いた美蘭の瞳は、一瞬大きく開かれた。

彼女は今、自ら心を落ち着かせ、精神を研ぎ澄ませようとしている。

これから起きるであろう戦いに向けて。

それでも、溢れる感情を全て止めることはできなかった。

 

「灯のおかげだよ。

あの時、灯が言ってくれた言葉のおかげ」

 

「え…?」

灯には何のことか思い当たらなかった。

 

「『美蘭なら、世界を美蘭の色に塗り替えられる』って。

灯がそう言ってくれたから、アタシはここまで頑張れたんだよ。

今は世界がアタシを拒絶しても、いつか絶対に、アタシの色で染めてやるって」

 

美蘭の言葉は、灯の体の中心を打ち据えた。

自分のせいで美蘭を傷つけたと思っていた灯にとって、自分の言葉が彼女の夢を繋ぎ止める力になっていたという現実は、あまりにも強烈だった。

灯の視界は夜の街灯の光で滲んだ。その瞳は、微かな動揺を示していた。

 

「だから…思い通りにならないことは、ぜーーんぶ、ブッ潰せばいいって思ったんだ。

そのために、アタシは強くなったんだよ!」

 

美蘭は狂気的な笑みを浮かべ、両手を大きく広げた。

まるで世界を掌中に収めるかのように。

 

美蘭の表情を見た瞬間、灯の心にじわじわと広がりつつあった温かい気持ちは凍りついた。

彼女の言葉は、自分が13年前に口にした希望に満ちた言葉の意図とは、完全に乖離していた。

 

「違う…。私はそういう意味で言ったんじゃ…」

灯の表情は、戸惑いの影に覆われた。

 

「なんで?世界を塗り替えるってそういうことでしょ。

アタシには才能があった。誰も真似できないセンスがあった。

認めてくれる人だっていた。だから最終審査にも残れたの」

 

「それなのに、声だけデカい1人のせいで、全部台無しにされた!

あの後も、アタシの事を嫌いな一部が邪魔するせいで、何回も何回も同じような目に遭った!

悪いのはあいつらなんだよ!アタシじゃない!」

 

美蘭の言葉は悲鳴に近い叫びだった。

その声に灯は気圧される。

 

「だから、アタシはそういう奴らを片っ端から捻り潰した。

なのに、次から次へと湧いて出てくるの。虫みたいにね。

それでも、ちゃんとアタシのことを見てくれる人はいたの。

今のアタシがあるのは、"その人"のおかげ」

 

「それが…オスカーさんなんだね」

 

美蘭が世界的に有名になったのは、数年前、ニーズヘッグの専属モデルに選ばれてからだ。

そして彼女が選ばれたのはオスカーが社長になってからのこと。

彼女がオスカーに従う理由も、そこにあるのだと灯は確信していた。

 

「そうだよ。オスカー様が社長になってから1年ぐらいかな。

ニーズヘッグの専属モデルのオーディションがあったの。

話題にもなってたし、アタシが作った服のアピールにもなると思って、とりあえず受けたんだ」

 

「ま、アタシ素材もいいし?皆アタシの服着てくれないから、自分がモデルやるしかないと思って。

メイクも死ぬほど練習したしね。別人になれるぐらい。灯も知ってるでしょ?」

 

灯はシオーネ・マリンスキーとして事務所に現れた美蘭の姿を思い出す。

確かに美蘭の面影など一つもないほど、別人のようだった。

 

「アタシは3次審査を通過して、最終審査まで残ったの。でもね、けっこうギリギリだった。

自信もカリスマ性もあって、個性もある。でもその個性が強すぎるって偉い人に言われちゃってね」

 

「最終審査から、社長…オスカー様が審査員に入ることになってた。

だけどもちろん、アタシは自分を曲げるつもりはなかった」

 

美蘭は瞼を閉じる。

美蘭の脳裏に、数年前の記憶が一瞬で蘇った。

 

 

 

広大なスペースを持つオーディション会場。

当時のニーズヘッグの役員が並び、その中央には審査員としてオスカーが圧倒的な存在感を放っていた。

強い照明の真下に、5人の女性が並び立っている。

オスカーの正面、中央に、七乃瀬美蘭は凛と立っていた。

 

「君は何故、その服装に拘るのかね?

世界一の企業の広告塔になるのだ、常に君の好きな服を着られるわけではないのだよ」

 

中年の男性である一人の審査員が、眉間に深い皺を寄せ、美蘭に言い放った。

その強圧的な問いかけに対し、美蘭は姿勢を崩さず、毅然とした態度で応じた。

 

「だって、これがアタシなんだもん。

そもそも、自分が作った服以外着るつもりないから」

 

美蘭の言葉に、その役員の男は憤慨し、声を荒げた。

 

「我が社の方針に従えないなら、不合格にするまでだ!」

 

美蘭はその声を聞きながら、心の中で深く嘆いた。

また、これだ。

自分を理解しようとしない誰かによって道を塞がれる光景が、頭の中で繰り返される。

いつもいつも、誰かが邪魔をしてくる。

 

「…あっそ。気に食わないなら、デュエルで言う事聞かせてみなよ、おじさん」

 

美蘭は呆れと怒りが入り混じった声でそう言うと、ポケットから折り畳まれたデュエルディスクを取り出す。

黒をベースとして、爬虫類の皮膚を思わせる緑色の外装をしている特殊なデザインだ。

 

「なんだその態度は!何を言っているのかわかっているのか!」

 

美蘭の行動に、役員は再び憤慨し声を張り上げた。

周囲に並ぶ他の役員や、オーディションを受けている女性たちは、信じられないものを見たようにひそひそと話し始め、会場は騒然となった。

 

しかし、その喧騒の中で唯一、中央に座するオスカーだけは動じず、ある一点に鋭い視線を集中させていた。

 

「そのデュエルディスクは何だ」

オスカーは静かなトーンで問う。

 

「えっ……アタシがデコったヤツだけど」

唐突な話の転換に美蘭は困惑しながら答える。

 

「良いデザインだ。クオリティも趣味の範疇ではない」

 

当時のデュエルディスクは一般的なデザインに統一されている。

個人で好きなカラーリングに塗り直したり、装飾をつけることは可能だが、美蘭のものはそのレベルを超えていた。

 

「なっ……わかってんじゃん、社長!

カワイイよね、これ!?みーんなわかってくれないの!」

 

先ほどの態度から反転して、美蘭の表情は花が咲いたような笑顔に変わる。

役員達は困惑した様子でオスカーを見つめている。

 

「もし我が社でデザイナーとして雇うと言ったらどうする?」

オスカーは美蘭に問う。

 

「え、ホントに!?やりますやります!」

美蘭は明らかに興奮した様子で即答する。

 

「ねえついでにさ!オーダーメイドでデュエルディスクのデザイン請け負うとかってできないの?

絶対やった方がいいって思ってたんですケド!」

 

美蘭はあろうことかさらなる要望を突き付ける。

しかしオスカーは二つ返事でそれを承諾する。

 

「俺も考えていたところだ。検討しよう」

 

「ちょ…社長!何を勝手に!」

役員は露骨に慌てふためいている。

しかしその喧騒を斬り裂くように、オスカーは再び言葉を投げかける。

 

「ただし、モデルとして起用する場合、コーディネートについては我が社の意向に従うこと。これが条件だ」

 

美蘭は目を見開く。その瞳には、怒り、失望…複雑な感情が混ざり合っていた。

役員たちは逆に、安心したような表情へと変わる。

重要な業務を与えるかはさておき、便宜上はデザイナーとしても起用する。

飴を与えることでうまく美蘭を丸め込む作戦だと考えたのだ。

 

「だったら…もういい。モデルもデザイナーもやらない」

美蘭は俯き、低い声で返答する。

 

「何を言われようが、アタシは変わらない。

イヤなら、世界の方が変わりなよ」

 

美蘭は涙の滲んだ目でオスカーを睨みつけると、背を向け、早足に部屋を出ようとした。

その時。

 

「合格だ」

背中越しに、オスカーの声が聞こえた。

 

「え…?」

美蘭はまだ涙の滲んだ目で振り返る。

 

「七乃瀬美蘭。貴様を我が社のデザイナー兼モデルとして起用する」

 

「なっ…何を勝手なことを…!」

 

激昂した役員の一人が立ち上がり、真っ赤な顔でオスカーに言葉をぶつけようとした。

だが、言葉が出る直前、オスカーは鋭い視線を役員に向けた。

役員は、喉の奥で言葉を詰まらせた。

その場に立ちすくんだまま力を失い、重い体を椅子に沈めた。

会場は一瞬で鎮まり、他の役員たちも沈黙を守った。

 

「今の我が社に必要なものは、世界を変える"意志"だ。

貴様の才能を、世界に認めさせてみろ」

 

オスカーは美蘭を真っ直ぐ見つめ、淡々としたトーンで言う。

美蘭の目から、堰を切ったように涙が溢れ出した。

 

「…ありがとうございます…っ…!!」

彼女の傲慢な態度は崩れ去り、嗚咽を堪えながらその場で深々と頭を下げた。

誰かに心から感謝を伝えたのは、生まれて初めてのことだった。

 

 

 

美蘭は目を開き、目の前の灯を見つめる。

 

「ニーズヘッグの広告塔になってから、世間は手のひら返しだよ。

アタシのことを否定する声は減って、それどころか、アタシのファッションを真似する人がいっぱい増えた。

今じゃもうそれが当たり前だよね」

 

彼女の瞳は、自分の人生を変えた出会いへの回顧によって、言葉に代えがたい感情をはらんでいた。

しかしそれと同時に、強く鋭い覚悟が宿っていた。

 

「オスカー様はアタシを信じてくれた。

だから、アタシもオスカー様を信じてる。オスカー様の力になりたいって思った」

 

「…それが、オスカーさんの計画に従う理由?」

 

「そう。最初はただのデザイナー兼モデルだった。

でも1年ぐらいたった時、本社の周りを嗅ぎまわってる変なヤツがいたからさ。

そいつをデュエルで追っ払ったら、オスカー様からスカウトが来たの。

"裏の特殊部隊"的な?そこからルーカスちゃんとかジェンちゃんの仲間入りってワケ」

 

デュエルの実力と度胸、変装技術。そしてオスカーへの忠誠心。

裏の任務を任せるに相応しいとオスカーは判断したのだろう。

 

「オスカー様が間違ってたことなんて、今まで1回もなかった。

だからさ…アンタが間違ってるんだよ、灯」

 

美蘭はポケットから小さく折り畳まれたデュエルディスクを取り出す。

それは、戦いの意思表明。

 

灯と遊次の瞳も鋭くなる。

灯も折り畳まれたデュエルディスクを手に取る。

パレットをモチーフとしたオリジナルのデュエルディスクだ。

美蘭はそれを見ると、静かなほほえみを浮かべた。

 

「…大丈夫か?灯」

これまで静かに見守っていた遊次は、たった一言、灯の意思を確認する。

 

「うん。私は最初から、戦うためにここに来たから」

かつての友との再会も、灯の覚悟を揺るがすことはなかった。

 

「まさか、友達が世界を滅ぼそうとする悪者だなんて、思ってなかったよ。ねえ、灯」

 

それは、本気で自分達が正義であると信じきっている者の言葉だった。

灯は複雑な面持ちで口を開く。

 

「世界を滅ぼしたいわけないでしょ。私だって、皆を助けたい。

でもパラドックス・ブリッジを解放したら、多くの人が犠牲になるの。わかってるよね?

だから私は、そうならない道を探したい」

 

「ふーん……」

美蘭は意味ありげな眼差しを送る。

そして一瞬、灯の後ろにいる遊次にも視線を向けた。

 

「言っとくけど…アタシはまだ灯のこと、"弱虫"だと思ってるよ。

アタシにビビって逃げた、か弱い灯ちゃんのまま」

 

美蘭の鋭い言葉に、灯は奥歯を噛み、湧き上がる怒りを抑えようとする。

 

「…私はもう、あの頃とは違う。

このデュエルでそれを証明してみせる!」

 

灯はデュエルディスクを腕に装着する。

美蘭もそれに応えるように、デュエルディスクを装着する。

遊次はさらに1歩後ろに下がり、決闘者達に戦場を譲り渡す。

 

「イーサンがジェンさんとのデュエルで手に入れた鍵…その所有権は、今は私にある。

私はその鍵と引き換えに、パラドックス・ブリッジの鍵を1つ要求する」

 

「いいよ。アタシはパラドックスブリッジ"ヒューマン"の鍵を懸ける。

それとセカンド・コラプス計画に関する全てのことを口外しないこと。これも契約に入れてね」

 

美蘭は再び友と相まみえる瞬間に胸を躍らせ、早々と契約を済ませようとしている。

 

「私からももう1つ。Nextのメンバーに強制オースデュエルを使わないことを、契約に追加する」

 

「うん、いいよ。じゃあ、始めよっか」

1度のオースデュエルにて提示できる契約は2つまでだ。

2人が同時にデュエルディスクを構えると、機械音が空き地に響く。

 

「オースデュエルの開始が宣言されました。内容確認中…」

 

プレイヤー1:花咲 灯

条件①:ニーズヘッグ・エンタープライズが所有するパラドックス・ブリッジ"ヒューマン"の所有権を、花咲灯へ譲渡する

条件②:なんでも屋「Next」メンバーへの強制オースデュエルを禁ずる

 

 

プレイヤー2:七乃瀬 美蘭

条件①:花咲灯が所有するパラドックス・ブリッジ"グール"の所有権を、七乃瀬美蘭へ譲渡する

条件②:Nextはセカンド・コラプス計画にまつわる事実を口外しないこと

 

 

詳細な契約内容は、ソリッドヴィジョンの契約書として両者の前に浮かび上がる。

そこには一切の別の解釈の余地がないほどに徹底された文章が記載されており、

承認した時点で、完全なる両者の意図通りの契約にしかならないようになっている。

 

灯と美蘭は指でソリッドヴィジョンの契約書にサインを行うと、DDASがオースデュエルの開始を宣言する。

 

「契約内容を承認します。デュエルの敗者は、勝者が提示した契約を履行する事が義務付けられます」

 

「デュエル!」

戦いの火蓋は切られた。

美蘭のデュエルディスクのランプが緑色に光る。

 

「アタシのターン!」

美蘭は手札を楽しそうな目で見つめ、1枚のカードを手に取る。

 

「リザージュ・フラヴィマをしょーかん!」

 

■リザージュ・フラヴィマ

 効果モンスター

 レベル4/地/爬虫類/攻撃力1700 守備力600

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 手札の「リザージュ」モンスター1体を特殊召喚する。

 ②:自分メインフェイズに発動できる。

 デッキから「リザージュ」チューナー1体を特殊召喚する。

 

 

現れたのは黒い肌に黄色い宝石が埋め込まれたトカゲのモンスターだ。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/SpNgyzC

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

「フラヴィマちゃんの効果発動っ!

召喚した時、手札からリザージュを特殊召喚できる。

おいで、リザージュ・オセラトゥス!」

 

 

■リザージュ・オセラトゥス

 効果モンスター

 レベル4/地/爬虫類/攻撃力1800 守備力500

 このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分メインフェイズに発動できる。

 デッキから「リザージュ」モンスター1体を手札に加える。

 ②:このカードがカードによって効果を得ていない場合、

 自分の墓地の「リザージュ」魔法カード1枚を対象として発動できる。

 このカードはエンドフェイズまでそのカードと同じ効果を得る。

 ③:自分が「リザージュ」SモンスターをS召喚した場合に発動できる。

 墓地のこのカードを特殊召喚する。

 この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

現れたのは、黒曜石のような鱗を持つトカゲのモンスター。

全身は多面体の黒い鱗で覆われ、円盤状の模様が等間隔に散っている。

背には透明感のある棘が並び、金色の眼が光っている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/0lpZAqj

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

 

「オセラトゥスちゃんの効果発動!

デッキから『リザージュ』モンスターを1体手札に加えられる。

アタシが手札に加えるのは『リザージュ・ペクティナータ』!」

 

灯は目の前の2体のトカゲのモンスターを見つめる。

メインシティの川沿いでデュエルをした記憶が昨日のことように蘇る。

 

「フラヴィマちゃんの効果発動!

1ターンに1度、デッキから『リザージュ』チューナー1体を呼び出せる!

おいで『リザージュ・マキュラータ』!」

 

 

■リザージュ・マキュラータ

 効果モンスター/チューナー

 レベル1/地/爬虫類/攻撃力500 守備力200

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが墓地に存在し、

 自分フィールドに「リザージュ」モンスターが存在する場合に発動できる。

 墓地のこのカードを特殊召喚する。

 この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 ②:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 このカードはそのモンスターと同じレベルになる。

 

 

現れたのは、鏡面のようなモザイクに覆われた、銀色の小型のトカゲ。

耳孔の部分には、光を反射する六角形のクリスタルが埋め込まれている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/DtZRh6s

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

 

「いっくよー!レベル4『リザージュ・フラヴィマ』に、

レベル1『リザージュ・マキュラータ』をチューニング!」

 

美蘭が人差し指を高く上げると、マキュラータが光の輪となり、フラヴィマがその中へと入ってゆく。

 

「気ままなる空の狩人よ、愚かな獲物を嘲笑い、風を裂いて影を攫え!」

 

「シンクロ召喚!『ハイリザージュ・フライドラコ』!」

 

 

■ハイリザージュ・フライドラコ

 シンクロモンスター

 レベル5/地/爬虫類/攻撃力1500 守備力1900

 チューナー + チューナー以外のモンスター1体以上

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できず、

 ②③の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

 ①:相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターとこのカードを持ち主の魔法&罠ゾーンに置く。

 ②:相手の表側の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードの効果は、このカードがフィールドに存在する限り無効となり、

 このカードはそのカードと同じ効果を得る。

 この効果は相手ターンでも発動でき、魔法&罠ゾーンでも発動できる。

 この効果で得た効果がカード名・種族・属性を参照する場合、

 それらを「リザージュ」カードに変更する(参照するカードの種類は変更できない)。

 ③:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する場合に発動できる。

 このカードをモンスターゾーンに特殊召喚する。

 

 

現れた小さき飛竜は美蘭の頭上で、羽のように広げた皮膜を使って浮かんでいる。

皮膜は鏡面のように滑らかで、光を受けて緑色に反射している。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/7IeEWCn

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

 

「さらにぃ、墓地の『リザージュ・マキュラータ』の効果発動!

フィールドにリザージュがいる時、この子は墓地から特殊召喚できる!」

 

再び銀色の小型のトカゲが姿を現す。

 

「マキュラータちゃんの効果発動!

フィールドのモンスターのレベルをコピーできる!

オセラトゥスちゃんを対象にして、レベルは4になる!」

 

リザージュ・マキュラータ ☆1→4

 

「合計レベルは8…」

灯には、この後何が起きるかはっきりと想像がついていた。

 

「レベル4『リザージュ・オセラトゥス』に、

レベル4となった『リザージュ・マキュラータ』をチューニング!」

 

マキュラータが1つの光の輪となり、オセラトゥスが飛び込む。

 

「幾色にも変貌するその姿の前に、真贋を問うことなど無価値と知れ!」

 

「シンクロ召喚!現れよ!

『ハイリザージュ・セイラウス』!」

 

 

■ハイリザージュ・セイラウス

 シンクロモンスター

 レベル8/地/爬虫類/攻撃力2700 守備力2300

 チューナー + チューナー以外のモンスター1体以上

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 このモンスターは対象のモンスターと同じ効果を得る。

 この効果で得た効果がカード名・種族・属性を参照する場合、

 それらを「リザージュ」カードに変更する(参照するカードの種類は変更できない)。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:このカードがフィールドから墓地に送られた場合に発動できる。

 デッキから「リザージュ」罠カード1枚をセットする。

 この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる。

 

 

現れたのは、黄金に輝く巨大なエリマキトカゲだった。

全身の皮膚は光を反射してプリズムの如く輝いており、

頭部から左右に大きく張り出したフリルは、

光を受けるたびに微細な万華鏡模様を浮かべる。

直立した姿勢で、後肢はしっかりと地を踏みしめ、細長い前肢がやや胸元に添えられる。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/CcNUiyp

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可

 

「うおぉ…」

遊次は、目の前の黄金に輝く巨大なエリマキトカゲに目を奪われていた。

その迫力もさることながら、その美しさに言葉を奪われる。

 

「やっぱりその子が切り札?」

 

「そうだよー!忘れるわけないよね、いっつも灯をボコボコにしてたし」

美蘭は意地悪く笑みを浮かべる。

 

「この瞬間、墓地の『リザージュ・オセラトゥス』の効果発動!

リザージュをS召喚した時、墓地から特殊召喚できる!」

 

再び黒曜石の鱗を持つトカゲが現れる。

 

「アタシはカードを1枚伏せてターンエンド。

フライドラコちゃんは1ターンに1度、相手の魔法・罠の効果を無効にしてコピーできる。

セイラウスちゃんは1ターンに1度、相手モンスターの効果をコピーできるよ」

 

-------------------------------------------------

【美蘭】

LP8000 手札:3

 

①ハイリザージュ・フライドラコ DEF1900

②ハイリザージュ・セイラウス ATK2700

③リザージュ・オセラトゥス ATK1800

 

伏せカード:1

 

【灯】

LP8000 手札:5

--------------------------------------------------

 

灯は目の前の黄金のエリマキトカゲを見上げ、考えを巡らせる。

 

(モンスターも厄介だけど、警戒しなきゃいけないのは…)

灯の視線は1枚の伏せカードに注がれる。

 

「"俺"のターン、ドロー!」

灯はデッキトップに指をかけ、勢いよく引く。

 

「お…オレ!?どうしちゃったの、灯!?」

美蘭は目を限界まで丸くして驚いている。

 

「ちょっとしたクセだ、気にするな」

 

「えっ……もしかして二重人格!?」

口調まで変わっていることに美蘭は心配そうな眼差しを送る。

その様子に、遊次は気まずそうに頭をかきながら口を開く。

 

「いや…むかし俺と特訓してる時、俺の口調を真似してたからさ。

それがクセになっちゃってるだけだ」

 

「へぇ…」

美蘭は少し不満げな顔で灯を見つめる。

 

「ふーん…アタシの知らない間に、そのコに染められちゃったんだ?

なんだか嫉妬しちゃうかも」

 

美蘭の含みを持った言い方に、灯はばつの悪そうな顔をしている。

 

「つ、続けるぞ!俺は手札からペイントメージ・オリーヴを召喚!」

 

■ペイントメージ・オリーヴ

 効果モンスター

 レベル4/風/魔法使い/攻撃力1700 守備力1400

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚した場合に発動できる。

 手札から「ペイントメージ」モンスター1体を特殊召喚する。

 ②:フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。

 デッキから風属性モンスター1体を除外し、そのモンスターを風属性に変更する。

 

 

現れたのは、オリーヴ色のマッシュヘアをした男の子のモンスターだ。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/s3zmqCN

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「オリーヴの召喚時、効果発動。手札からペイントメージを特殊召喚できる。

ペイントメージ・フランボワーズを召喚!」

 

■ペイントメージ・フランボワーズ

 効果モンスター

 レベル4/炎/魔法使い/攻撃力1800 守備力1200

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「ペイントメージ」モンスター1体を墓地に送る。

 ②:フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。

 デッキから炎属性モンスター1体を除外し、そのモンスターを炎属性に変更する。

 

 

現れたのは、ラズベリーのような色のサスペンダーのついた服に三角帽子を被った男の子だ。

手には服と同じ色の絵の具のついた筆を持っている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/EC2MtXb

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「フランボワーズの効果発動。召喚時、デッキからペイントメージを墓地へ送る。

墓地へ送るのは『ペイントメージ・トワール』」

 

「さらにフィールドにペイントメージがいる時、

手札からペイントメージ・パレットを特殊召喚できる!」

 

■ペイントメージ・パレット

 効果モンスター/チューナー

 レベル2/光/魔法使い/攻撃力900 守備力500

 このカード名の①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。

 ①:自分フィールドに「ペイントメージ」モンスターが存在する場合、

 このカードは手札から特殊召喚できる。

 ②:このカードをS素材としたモンスターは以下の効果を得る。

 ●このカードはこのカードと同じ属性のモンスターの効果の対象にならない。

 

現れたのは、木製のパレットに手足が生えた小さなモンスター。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/23VcX92

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「魔法カード『ペイントメージ・ポリクローム』発動!

フィールドの属性2種類につき、カードを1枚ドローできる。

俺のフィールドには炎・風・光。美蘭のフィールドには地属性。

4種類存在するため、カードを2枚ドロー!」

 

 

■ペイントメージ・ポリクローム

 通常魔法

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールドの表側モンスターの属性の種類が2種類以上の場合に発動できる。

 フィールドの表側モンスターの属性2種類につき1枚、自分はデッキからドローする。

 属性の種類が4種類以上の場合、

 さらにデッキから「ペイントメージ」カード1枚を墓地に送ることができる。

 ②:自分フィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。

 デッキから「ペイントメージ」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

(ふーん…強いけど、フライドラコちゃんの効果は使わないでいいや。

もっとヤバい魔法カードがあったら困るし)

 

美蘭は瞬時に判断し、優先権を灯へと返した。

灯はカードを2枚引き、一瞬でフィールドへ視線を戻す。

 

「さらに属性が4種類以上の場合、デッキから1枚、ペイントメージカードを墓地に送る。

『ペイントメージ・ショコラ』を墓地へ送る」

 

「炎属性レベル4『ペイントメージ・フランボワーズ』に

レベル2『ペイントメージ・パレット』をチューニング!」

 

パレットが光の輪へ変わる。

その輪をフランボワーズが通り抜け、4つの星へと変換される。

 

「燃え盛る灼熱の業火が、恐れを勇気に塗り替える。

シンクロ召喚!ペイントメージ・ゴッホ!」

 

■ペイントメージ・ゴッホ

 シンクロモンスター

 レベル6/炎/魔法使い/攻撃力2100 守備力1500

 チューナー + チューナー以外の炎属性モンスター1体以上

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールド上のモンスター1体を対象とし、属性を1つ宣言して発動できる。

 デッキから宣言した属性のモンスター1体を除外し、そのモンスターは宣言した属性になる。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:相手フィールドのこのカードと同じ属性を持つモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを破壊し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える。

 

 

現れたのは筆の形をした剣を持ちローブを身に纏った、赤髪の若い青年のモンスター。

パレット型の盾を携えている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/ND1RphH

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「わー!久しぶりに見た!すごいね灯、もう普通にシンクロ召喚できるようになったんだ?」

 

「…当たり前でしょ、これくらいで驚かないでよ」

世界の命運を懸けた戦いにも関わらず、軽い言動を繰り返す美蘭に、灯は調子を狂わせる。

 

「それも、遊次クンのおかげ?」

また美蘭が意地悪い笑みを浮かべて問いかける。

 

「…そうだよ。私は遊次との特訓のおかげで強くなった」

 

「そっかぁ。ホントはアタシが特訓してあげるつもりだったのに。

ねえ、2人はいつ知り合ったの?」

 

まるでカフェで雑談でもしているかのように、美蘭は目を輝かせて質問する。

 

「な、なんなのほんと…。ドミノタウンに引っ越してすぐだよ」

灯は根掘り葉掘り探られるのがくすぐったく、居心地の悪さをおぼえた。

 

「えー!アタシのこと置いて行ったのに、その後すぐに男のコとよろしくやってたんだ?ひどーい」

 

「そ、そんなつもりは…!ていうか別に、そういうのじゃないから…」

 

灯はしどろもどろのまま、その声はデクレッシェンドのようにしぼんでゆく。

これ以上、遊次本人の前で心の奥をまさぐられるのは、耐えられそうになかった。

 

「ハハ、うそうそ。ごめんね意地悪しちゃって。

でも、よーくわかったよ。灯の気持ち」

美蘭は目を細め、またも全てを見透かしたような視線を送る。

 

「も、もういいでしょ!デュエル続けるからね!」

 

灯はちらりと後ろの遊次の様子を伺う。

いまいち何の話をしているのかわかっていない様子だったが、逆に灯はほっと胸をなでおろした。

 

「自分がペイントメージSモンスターを特殊召喚した時、

手札のペイントメージ・カラメルを特殊召喚できる!守備表示で特殊召喚!」

 

■ペイントメージ・カラメル

 効果モンスター

 レベル4/地/魔法使い/攻撃力1600 守備力1900

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドに「ペイントメージ」Sモンスターが特殊召喚された場合に発動できる。

 手札のこのカードを特殊召喚する。

 その後、自分の墓地から「ペイントメージ」モンスター1体を手札に加えることができる。

 ②:フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。

 デッキから地属性モンスター1体を除外し、そのモンスターを地属性に変更する。

 

 

キャラメル色の髪をした垂れ目の少年のモンスターが姿を現す。

パティシエのような服装をしており、

首元までしっかりとボタンで留められた服に、キャラメル色のスカーフがついている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/dZ9g9uO

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「この効果で特殊召喚した時、墓地のペイントメージを1体、手札に加えられる。

ペイントメージ・ショコラを手札に戻す」

 

「ペイントメージ・ゴッホの効果発動!1ターンに1度、フィールドのモンスター1体の属性を変更する。

デッキから炎属性『ペイントメージ・クルヴェット』を除外して、リザージュ・セイラウスを炎属性に変更!」

 

ゴッホの筆の形をした剣の先に、赤い絵の具が塗られる。

それを振るうと、眼前のセイラウスは真っ赤に燃え上がる。

しかし美蘭は動じない。まるでそうなることがわかっていたかのように。

 

「ゴッホの効果発動!1ターンに1度、自分と同じ属性の相手モンスターを破壊して、その元々の攻撃力分、相手にダメージを与える!リザージュ・セイラウスを破壊!」

 

ゴッホは、掲げた剣に燃え盛る炎を集中させた。

炎は剣全体を瞬時に覆い尽くし、セイラウス目掛けて凄まじい勢いで振り抜かれた。

その炎の一閃はセイラウスの体を焼き斬り、モンスターは爆発音と共に光の粒子となって砕け散った。

 

「ああああっ!!」

美蘭 LP8000 → 5300

 

「よし!いきなり大ダメージだ!」

遊次は灯の背後で拳を突き上げる。

 

攻撃の残炎がゆらゆらと揺れながら霧散し、視界が晴れていく。

しかし美蘭は微かに笑みを浮かべたまま立っていた。

 

「やるじゃん。でも、アタシのセイラウスちゃんはここからが本番だよ。

リザージュ・セイラウスがフィールドから墓地へ送られた場合、効果発動!

デッキから『リザージュ』罠カードをセットできる!

アタシは『リザージュ・リフラクション』をセット!」

 

「さらにこの効果でセットしたカードは、このターンに発動できる!」

美蘭は今セットしたカードをオープンする。

 

■リザージュ・リフラクション

 通常罠

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分の墓地の「リザージュ」Sモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターを特殊召喚する。

 この効果で特殊召喚したモンスターの効果の対象となった相手カードの効果は無効化され、

 フィールドを離れた場合、除外される。

  ②:墓地のこのカードを除外して発動できる。

 ターン終了時まで、自分フィールドのカードの効果によって効果を得ている「リザージュ」モンスターは、相手の効果の対象にならない。

 

 

「このカードは墓地のリザージュSモンスターを復活させられる!

帰っておいで!リザージュ・セイラウス!」

 

今しがた倒したばかりの黄金のエリマキトカゲが、再び眼前に姿を現した。

甲高い声で咆哮を上げている。

 

「さらにこの効果で特殊召喚したモンスターの効果の対象になったカードは、効果が無効になっちゃうの。

セイラウスちゃんはまだ、相手モンスターの効果をコピーする能力を残してるから、そのついでに灯のモンスターの効果を無効にできちゃうってわけ」

 

美蘭は髪をくるくると指で巻きながら、得意げに語る。

 

(コピー効果に無効…。しかもまだもう1体のSモンスターは魔法・罠カードの効果を無効にできる。厄介だぜ…)

遊次も真剣な表情で戦況を分析する。

 

灯はセイラウスを見上げながらどうすればいいか思考する。

 

(あのモンスターを倒したことがなかったから、知らなかった。

さらに強くなって復活するなんて…)

 

子供の頃の灯はシンクロ召喚をするだけでも精一杯だった。

その時には当然、セイラウスを倒すこともなく、2番目の効果の全容を知ることはなかった。

 

(効果がコピーされなければ問題ない。ここは"あのカード"に任せる!)

 

「ペイントメージ・オリーヴの効果発動。

デッキから風邪属性『ペイントメージ・リム』を除外して、カラメルを風属性に変える」

 

オリーヴが筆を振るうと、カラメルの髪と服は鮮やかな緑色に変わる。

 

「自分フィールドに地属性モンスターがいない時、このカードは手札から特殊召喚できる!

来い、ペイントメージ・ショコラ!」

 

■ペイントメージ・ショコラ

 効果モンスター

 レベル2/地/魔法使い/攻撃力900 守備力1000

 このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

 ②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドに地属性モンスターが存在しない場合、

 このカードは手札から特殊召喚できる。

 ②:フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。

 デッキから地属性モンスター1体を除外し、そのモンスターを地属性に変更する。

 

 

フィールドには赤褐色に近い茶色の髪をしたポニーテールの小さな女の子のモンスターが現れる。

もこもことした質感のボンボンのついた服に身を纏い、茶色の絵の具のついた筆を持っている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/TKnG29k

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「墓地のペイントメージ・トワールの効果発動!

フィールドにペイントメージがいる時、特殊召喚できる!」

 

■ペイントメージ・トワール

 効果モンスター/チューナー

 レベル2/地/魔法使い/攻撃力500 守備力1000

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「ペイントメージ」モンスターが存在する場合に発動できる。

 このカードを墓地から特殊召喚する。

 この効果で特殊召喚したこのモンスターがフィールドを離れた場合、除外される。

 ②:このカードをS素材としたモンスターは以下の効果を得る。

 ●このカードの攻撃力はフィールド上のモンスターの属性の数×300ポイントアップする。

 

真っ白のキャンバスに、くりっとした目と赤い頬が絵の具で描かれたモンスターが現れる。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/8mTBAsH

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「ペイントメージ・ショコラの効果発動。

デッキから地属性『ペイントメージ・カラメル』を除外して、

ペイントメージ・オリーヴの属性を地属性に変更する」

 

ショコラが手にした小さな筆を振るうと、オリーヴの髪と服は色は緑から土を思わす茶色へと変貌する。

 

「レベル2『ペイントメージ・ショコラ』に、

レベル2『ペイントメージ・トワール』をチューニング!」

 

トワールが光の輪へ変わり、ショコラが輪を通り抜けると、その姿は2つの星へと変換される。

 

「無邪気な彩が、鮮やかな勝利への道を描く。

美しき終わりを飾る作品となれ」

 

「シンクロ召喚!レベル4、シンクロチューナー!

ペイントメージ・カードル!」

 

■ペイントメージ・カードル

 シンクロモンスター/チューナー

 レベル4/光/魔法使い/攻撃力1700 守備力2000

 チューナー + チューナー以外のモンスター1体以上

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。

 このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

 ②:自分・相手ターンにフィールドの「ペイントメージ」モンスター1体を対象として発動できる。

 自分の除外状態の「ペイントメージ」モンスターを任意の数だけデッキに戻し、

 その枚数分、ターン終了時までそのモンスターのレベルを上げるか下げる(最小1まで)。

 ③:このカードをS素材としたモンスターは以下の効果を得る。

 ●1ターンに1度、このカードと同じ属性を持つ相手フィールドのモンスター1体を

 対象として発動できる。そのモンスターを除外する。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

現れたのは1.5メートルほどの大きさを持つ額縁のモンスター。

中央には彫りの深い凛々しい目を瞑った女性の顔がついている。

枠は深いマホガニー色をしており、木目の細かい彫刻が丁寧に施されている。

縁には金色の装飾が施され、高級感を漂わせており、角の部分には銀色の飾りがついている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/4dBZhzU

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「シンクロチューナー!?すごい!こんな子もいたいんだ!」

美蘭は初めて目にしたモンスターに、飛び跳ねながらはしゃいでいる。

 

(よし!このままアールヌーヴォーをS召喚すれば、

素材にしたモンスターと同じ地属性のセイラウスの効果は無効になる!)

 

遊次はこの先を正確に予測し、心の中でガッツポーズする。

 

「ペイントメージ・カラメルの効果発動。

デッキから地属性『ペイントメージ・トワール』を除外して、自身を地属性に戻す」

 

「地属性レベル4『ペイントメージ・カラメル』に、

レベル4『ペイントメージ・カードル』をチューニング!」

 

カードルが光の輪へ変わり、カラメルが輪を通り抜けると、その姿は4つの星へと変換される。

 

「数多の彩より生まれし華麗なる精霊よ、その手で悪しき魂を塗り潰せ!

シンクロ召喚!『ペイントメージ・アールヌーヴォー』!」

 

 

■ペイントメージ・アールヌーヴォー

 シンクロモンスター

 レベル8/光/魔法使い/攻撃力3000 守備力2400

 チューナー + チューナー以外のチューナーと異なる属性のモンスター1体以上

 ①:このカードがフィールドに存在する限り、

 このカードのS素材となったモンスターと同じ属性を持つ

 相手フィールドのモンスターの効果は無効化される。

 ②:このカードは、S素材となったモンスターと同じ属性を持つ

 相手フィールドのモンスター全てに攻撃できる。

 

光の中から現れたのは、虹色の羽を持つ錫杖を持った精霊だ。

白い肌に、白いドレスのようなローブを身に纏い、口元は布で隠されている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/MKfQLWs

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しかし、その姿を見た美蘭は邪悪な笑みを浮かべる。

 

「せっかく切り札を呼び出したのに…ごめんね、灯。

罠カード発動!『リザージュ・オクルージョン』!」

 

■リザージュ・オクルージョン

 カウンター罠

 このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:相手がモンスターを特殊召喚する際に、自分フィールドの「リザージュ」モンスター1体をリリースして発動できる。

 その特殊召喚を無効にし破壊する。

 ②:除外状態の自分の「リザージュ」カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを墓地に戻す。

 

 

「このカードは相手がモンスターを特殊召喚した時、リザージュを1体リリースしてその特殊召喚を無効にできる!

リザージュ・オセラトゥスちゃんをリリースして、S召喚を無効にするっ!」

 

デュエルフィールド全体が、まるで磨き上げられた鏡面のように煌びやかな光に包まれた。

次の瞬間、そのアールヌーヴォーはひびが入った鏡のように、粉々に砕け散った。

墓地から特殊召喚されたオセラトゥスは除外される。

 

「そんなっ…!」

灯は焦燥に駆られた様子で自分の手札とフィールドを交互に見つめた。

 

(私の手には、皆の命が懸かっている。

どうしよう、どうすればいいの…?)

 

心臓が音を鳴らして跳ねているのがハッキリとわかる。

以前、7000万サークを懸けてオースデュエルをしたことがある。

その時も、背負うものの大きさに打ちひしがれた。

しかし今回は、背負っているものの大きさが、あまりにも違いすぎる。

 

灯の手に握られたカードが、小刻みに震えている。

それを美蘭は静かな表情で、ただじっと見つめていた。

その表情からは笑みが消え、冷たさを増している。

 

遊次は、灯の肩に手を置く。

灯はびくっと身体を震わせた後、振り向いた。

 

「落ち着け、灯。大丈夫だ。いつも通りやればいい」

 

遊次の声は、柔らかく温かい響きを持っていた。

掌から伝わる確かな体温が、灯の荒れた心を撫でるように伝わる。

鼓動が、だんだんと静かになっていく。

 

「ありがとう、遊次」

灯は再び前を向き、手札を見つめ直した。

その瞳には、冷静な思考が戻り始めていた。

 

(アールヌーヴォーはEXデッキに1枚。あのカードには頼れない。

だけど墓地のカードルは使える。カードルをS素材にしたモンスターは相手モンスターを除外できる。

でもセイラウスの効果をチェーンされたら無効にされる。

それ以外の方法で、セイラウスを倒すしかない…)

 

灯はフィールドを一瞬で見渡す。

頭の中でいくつか計算をし、結論を出した。

 

「魔法カード『ペイントメージ・エクラブシュール』発動!

墓地のアールヌーヴォー、フランボワーズ、カラメルを除外して効果を使用!

3種類の属性を除外した場合、相手フィールドのカードを1枚破壊できる!

ハイリザージュ・フライドラコを破壊!」

 

 

■ペイントメージ・エクラブシュール

 通常魔法

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分の墓地の「ペイントメージ」モンスターを2体以上除外し

 (属性1種類につき1枚しか除外できない)、

 除外した属性の種類の数によって以下を適用する。

 ●2種類:デッキから「ペイントメージ」モンスター1体を特殊召喚する。

 ●3種類:相手フィールドのカード1枚を選んで破壊する。

 ●4種類:相手モンスターを全て破壊する。

 ●5種類:EXデッキからレベル6以下の「ペイントメージ」モンスター1体を

 召喚条件を無視して特殊召喚する。

 ●6種類:相手フィールドのカードを全てデッキに戻す。

 

 

「それはダメ!『ハイリザージュ・フライドラコ』の効果発動っ!

相手の表側の魔法カードの効果を無効にして、コピーする!」

 

フライドラコが、緑色の翼のような皮膜を大きく広げる。

すると魔法は石化し、フライドラコがカードからエネルギーを吸収する。

 

「でもぉ、そのカードを使ってきたってことはさぁ、"本命"があるんでしょ?」

 

「…正解」

灯は1枚のカードをデュエルディスクに叩きつける。

 

「速攻魔法発動!『ペイントメージ・トロンプルイユ』!

手札・フィールドからペイントメージ1体を墓地に送って、

フィールドと墓地からそれぞれ1体ずつを素材にして、S召喚を行う!」

 

 

■ペイントメージ・トロンプルイユ

 速攻魔法

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分の手札・フィールドから「ペイントメージ」モンスター1体を墓地に送って発動できる。

 自分のフィールド・墓地からチューナーとチューナー以外の「ペイントメージ」モンスターを

 それぞれ1体ずつ除外し、その2体のレベルの合計と同じレベルを持つ

 「ペイントメージ」Sモンスター1体をS召喚扱いで特殊召喚する。

 自分フィールドにSモンスターが存在しない場合、

 除外するモンスターは2体とも墓地から選ぶことができる。

 

 

「ただし、Sモンスターがフィールドにいない場合、S素材は両方墓地から選ぶことができる。

フィールドの『ペイントメージ・ゴッホ』を墓地に送って、墓地の2体でS召喚を行う!」

 

ゴッホを墓地に送ったことでフィールドにはSモンスターがいない。

よって、S素材は両方墓地から選ぶことができるようになった。

灯は墓地から2枚のカードを除外する。

 

「墓地のレベル2地属性『ペイントメージ・ショコラ』に、

墓地のレベル4『ペイントメージ・カードル』をチューニング!」

 

カードルが光の輪へ変わり、ショコラが輪を通り抜けると、その姿は2つの星へと変換される。

 

「豊かな大地の息吹が、迷いを覚悟に塗り替える。

シンクロ召喚!現れよ、ペイントメージ・ミレー!」

 

 

■ペイントメージ・ミレー

 シンクロモンスター

 レベル6/地/魔法使い/攻撃力2000 守備力2400

 チューナー + チューナー以外の地属性モンスター1体以上

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールド上のモンスター1体を対象とし、属性を1つ宣言して発動できる。

 デッキから宣言した属性のモンスター1体を除外し、選んだモンスターは宣言した属性になる。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:このカードと同じ属性を持つ自分の墓地の「ペイントメージ」Sモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターを特殊召喚する。

 ③:自分フィールドのこのカードと同じ属性のモンスターの攻撃力は、

 フィールドのこのカードと同じ属性のモンスターの数×200アップする。

 

 

現れたそのモンスターは、茶色いソバージュの髪をした大人びた女性のモンスター。

枯れ葉のようなカーキ色と黄土色のオーバーサイズなローブを纏っている。

手には木の持ち手に白い刃がついた、筆のようなデザインの大きな鍬を持っている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/ecIroxE

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「ペイントメージ・ミレーがいる限り、自分フィールドのミレーと同じ属性を持つモンスターの攻撃力は、フィールドの同じ属性のモンスターの数×200アップする。

フィールドの4体のモンスターは全て地属性。

つまり、ペイントメージの攻撃力は800アップする!」

 

-------------------------------------------------

【美蘭】

LP5300 手札:3

 

①ハイリザージュ・フライドラコ DEF1900

②ハイリザージュ・セイラウス ATK2700

 

【灯】

LP8000 手札:1

 

①ペイントメージ・オリーヴ(地) ATK2500

②ペイントメージ・ミレー ATK2800

--------------------------------------------------

 

「よし!ミレーの攻撃力がセイラウスを上回った!」

 

遊次は飛び跳ね、喜びの声をあげる。

美蘭は口をぽかんと開けながら、フィールドを見つめている。

 

「…すごいよ、灯。

この状況、1つでも何かが欠けてたら、アンタはアタシのフィールドを突破できないもん」

 

美蘭は頭の中で状況を整理し終え、その完成度に驚きの声を上げた。

 

「まずオリーヴを地属性に変えてなかったら、ミレーの攻撃力はアタシのセイラウスを超えてない。

灯がオリーヴの属性を変えたのは、アールヌーヴォーをS召喚する前だよ。

あの時はアールヌーヴォーのS召喚が無効になるなんて思ってなかったはず。

なのに、灯はちゃーんと"もしも"のことを考えて、オリーヴを地属性に変えてたんだ」

 

「…なんとなく、その方がいいと思ったから。

リザージュモンスターは全て地属性。

オリーヴは風属性のままでいるより、地属性の方が役に立つって」

 

それは幾度とない戦いの中で得た経験則。

自分の知らないところで、灯は着実に強さを積み重ねていたことを、美蘭は再認識した。

 

「でも、セイラウスの効果の対象になったモンスターは、効果が無効になる。

ミレーの攻撃力を上げる効果が無効になったら、アタシのモンスターは倒せないよね」

 

美蘭は灯を試すように言葉を投げかける。

しかし灯はすぐに言葉を返す。

 

「カードルを素材にしたモンスターは、同じ属性のモンスターを除外する効果を得る。

美蘭がセイラウスの効果を使えば、チェーンして私が除外効果を使うだけ。

あなたは除外効果への対策として、セイラウスの効果を残さなきゃいけない。

だから、もうそのコピーと無効効果は使えないよ」

 

「…でもそれは灯も同じだよね。

アンタが先に除外効果を使えば、アタシがチェーンしてそれを無効にするから」

 

つまり、これは完全なる睨み合い。

ミレーとセイラウスが互いに抑止力を持ち、結果的にどちらの効果も発動できない状況だ。

 

「でもセイラウスさえ止めておけば、このままバトルでぶっ倒せる。

1歩上回ったんだ、灯が!」

 

遊次は後ろで腕組みし、得意げな笑みを浮かべる。

状況は灯の有利だ。しかし彼女の頬を汗が伝い、息遣いも荒い。

美蘭は遊次に一瞬だけ視線を送った後、小さなため息を一つだけつく。

 

「バトル!ペイントメージ・ミレーで、ハイリザージュ・セイラウスに攻撃!」

 

ミレーが走る筆先を地面に滑らせた。

削れた土が細い線となり、そのままセイラウスの足元へ伸びていく。

線が触れた瞬間、地面がわずかに隆起し、鈍い衝撃がセイラウスの体を打った。

黄金の鱗に細い亀裂が走り、セイラウスは破壊される。

 

「っ…。リフラクションの効果で特殊召喚したモンスターは除外される」

美蘭 LP5300 → 5200

 

「ペイントメージ・オリーヴで、フライドラコに攻撃!」

 

オリーヴが筆をひと振りすると描かれた線が砂に変わり、フライドラコの翼へ巻き付く。

次の瞬間、砂が締め上げるように収縮し、翼ごと胴体が砕けて消えた。

 

「…メインフェイズ2。ペイントメージ・ミレーの効果発動。

1ターンに1度、フィールドのモンスターの属性を変更できる。

デッキから炎属性『ペイントメージ・フゼイン』を除外して、自身を炎属性に変更する」

 

手にしている筆のような鍬の先端が赤く染まり、それを大きく振るうと、ミレーの髪や服の色が真っ赤に染まってゆく。

長いソバージュの髪はまるで揺れる炎のようだった。

 

「ミレーの効果発動!1ターンに1度、墓地の自分と同じ属性のペイントメージを特殊召喚できる。

蘇れ、ペイントメージ・ゴッホ!」

 

赤髪の炎の騎士が再びフィールドに現れる。

 

「ミレーと同じ炎属性のペイントメージは、フィールドの炎属性の数×200攻撃力が上がる。

俺はこれでターンエンド」

 

-------------------------------------------------

【美蘭】

LP5200 手札:3

 

【灯】

LP8000 手札:1

 

①ペイントメージ・オリーヴ(地) ATK1700

②ペイントメージ・ミレー(炎) ATK2400

③ペイントメージ・ゴッホ ATK2500

-------------------------------------------------

 

 

美蘭のフィールドにカードはない。完全に盤面を返した形だ。

だが灯は額の汗を拭い、その息は荒い。

それは明らかに、精神の疲弊から来るものだ。

 

「…強くなったね、灯。

でもさ、そんなに強いのに、やっぱりココは弱いままなんだね」

 

美蘭は自分の心臓に指をさして言う。

 

「どういう意味?」

 

「そのまんまの意味だよ。だって灯、ずっと震えてるじゃん」

 

灯ははっとして、手札を持つ自分の手を見る。

その手は今も小刻みに震えている。

 

「怖くてしょうがないよね?

自分のせいで、大勢の人が死んじゃうかもしれないんだから」

 

灯は否定しない。

灯がここで敗北し、イーサンの生体認証も奪われれば、Nextはニーズヘッグへの交渉材料を失い、計画を止めるためのオースデュエルが成立する前提条件を失う。

世界の命運を懸けた"鍵"が自分の手中にある。

それだけで灯の精神には、想像を超える負荷がかかっていた。

 

「だったらさ…"また"逃げちゃえばいいじゃん」

 

「っ…!ありえないっ!!」

灯は怒りを滲ませた表情で、反射的に言葉を返す。

 

「なんで灯が世界を背負って戦うの?

ただの、普通の、女の子でしょ?」

 

その言葉に、遊次の表情は曇る。

灯の心を様々な色の感情が駆け巡る。

 

「…怖いよ。当たり前だよ。

でも…知っちゃった以上は見過ごせない!逃げるなんてありえない!」

 

灯は叫ぶように必死に言葉を返す。

美蘭はそんな灯を、憐れむような目で見つめる。

そして少し間を置いた後、美蘭は静かに言葉を放つ。

 

「でもさ…灯は、本気で世界を救いたいって思ってないでしょ?」

 

「……えっ…」

灯は胸に何かつっかえるような感覚を覚えた。

本来なら即座に否定していいはずの言葉を、灯は否定できなかった。

 

「わかるよ。だって、アタシも一緒だもん」

美蘭はめいっぱいの笑顔で両手を広げる。

 

「ニーズヘッグは、世界の人とモンスターワールドをどっちも守るために、計画を進めてる。

でもアタシは、本気で何かを守りたいっ!て、心から思ってるわけじゃないんだよね」

 

「アタシを救ってくれたオスカー様の役に立ちたい。アタシが戦うのはそのため。

灯が戦ってるのも、ホントは誰かを守るためじゃないよね?」

 

灯は俯き、何も言わない。

代わりに遊次が苛立ち交じりに口を開いた。

 

「違ぇよ!たしかに灯は、俺が笑えない世界なんてイヤだって言ってくれた!

でもドミノタウンの皆を、本気で救いたいって思ってる!

それを、灯が世界なんてどうでもいいと思ってるみたいに言うんじゃねえよ!」

 

「…なーんにもわかってないね。灯とずっと一緒にいたクセに」

 

激しい剣幕にも動じず、美蘭は敵意に近い視線を遊次に向ける。

遊次はその鋭さに射抜かれたように、言葉を返すことができなかった。

美蘭は灯の方へと向き直り、再び言葉を紡ぎ始める。

 

「アタシと灯は似てるけど…ぜっったいに違うところが1つだけあるの。

アタシはオスカー様のことを信じてる。正しいと思ってる。だから尊敬してる。従ってる。

だけどさ…」

 

灯は思わず、後ろに1歩下がった。

鼓動が早くなるのがわかる。

 

美蘭にはきっと、全て見透かされてる。

 

やめて。

言わないで。

その先は、聞きたくない。

 

「灯は、ただそのコに嫌われたくないだけでしょ?」

 

まるで心臓を射抜かれたような感覚だった。

胸の奥から、何かがせり上がってくる。

体が固まって、言葉が出ない。

 

「嫌われたくないから、ついていってるだけ。灯の意思はどこにもないの。

そのコと一緒にいられれば、アンタはそれで満足なんでしょ。違う?」

 

「…」

 

心のどこかではわかっていた。

昔からずっとそうだ。

怜央とのデュエルで、自分自身でも気がついた。

私は、ただ…。

 

「灯は、ただそのコと一緒にいたいだけ。

もし戦うのが怖いなんて言ったら、置いて行かれちゃうもんね。

それがイヤなだけでしょ?」

 

やめて。

そんなこと、遊次に聞かせられない。

遊次がどう思うか、考えたくもない。

 

イヤだ。

 

 

「おねがい…もうやめて…」

 

しかし灯のか細い声は、誰にも届かない。

美蘭は無慈悲にも言葉を紡ぎ続ける。

 

「もし遊次クンが何もかも投げ出して逃げようって言ったら、灯はそうするよね?

むしろ、そっちの方が…」

 

「もうやめてッ!!」

 

灯は耳を塞ぎ、喉が張り裂けるほどの大声をあげる。

遊次はただ、目を丸くして、驚き、戸惑いことしかできなかった。

灯がこんなに叫ぶ姿は見たことがない。

なぜ灯がここまでパニックになっているのか、わからなかった。

 

「お願い、言わないで…」

 

灯は耳を塞ぎ、頭を抱え、目を泳がせている。

美蘭はまた、哀れみの眼差しで彼女を見つめる。

そして、その視線は後ろの遊次に向けられる。

 

「…そっか。じゃあ今度は遊次クンに聞くね。

なんでこんなコを、キミのワガママに巻き込むの?」

 

美蘭は遊次を睨みつけ、鋭く低い声で問いかける。

 

「それは…」

 

「灯、怖がってるじゃん。ホントは今にも逃げたくてしょうがないの。

灯は確かに強くなった。でもね、世界を背負って戦えるほど強くないよ」

 

「キミは何も思わないの?灯がこんなに苦しんでるのに」

 

遊次は俯く。

できれば、灯を危険に巻き込みたくない。

それはずっと思っていたことだ。

 

遊次は、オスカーに敗北した日の夜に見た悪夢を思い出す。

 

町に溢れるモンスター。

駆け寄ってくる灯。

頭上に落ちてくる巨大な看板。

手を伸ばしても、届かない。

 

あんな事が現実に起きるなんて、許されない。

でも自分のやっていることは、灯を危険の最前線に巻き込む行為に他ならない。

 

「…どっかで、俺は灯に甘えてたのかもしれねえ。

いつも、灯は俺の力になってくれて、だから…」

 

ダメ。

もう何も言わないで。

灯は遊次の方を振り向いた。

 

「やめて!!これは私が望んだことなの!

誰かが犠牲になった未来なんて、遊次は望まない!だから、私は…」

 

灯は遊次の言葉を遮り、なんとか言葉を紡ぐ。

 

「それって、ただそのコに振り回されてるだけじゃん!

じゃあ遊次クンがもし誰かを犠牲にすることを望んだら、灯も従うんだ!?

どんだけ"自分"がないわけ!?」

 

美蘭も感情をむき出しにして訴えかける。

彼女にとって、これは悪意も作為もなく、純粋なる本心だった。

 

「アタシらは、ドミノタウンの人達もちゃんと避難させるよ。守るよ。

灯、アンタのことも絶対に守ってあげる。もちろん遊次クンもね。

だからさ…大人しくアタシらに従いなよ。灯が戦う必要なんてない」

 

彼女の言葉は、優しくて、強かった。

友達だったからこそ、灯にはわかる。

美蘭は決して、計画を円滑に進めるために言葉を吐いているのではない。

 

故に、それは灯にとって、天使の囁きに等しかった。

 

(美蘭の言う通りだ。

もし遊次が全部投げ出して一緒に逃げようと言ったら、私は絶対にそうする。

戦わなくても、何かを背負わなくても、遊次と一緒にいられるから)

 

天使の温かい手が、私の首元を撫でる。

そのまま天使は、私の手を引いていく。

身を任せたら、どこかへ誘われてしまうだろう。

 

しかし灯は強く首を横に振って、なんとか精神を保とうとする。

現実に戻ろうとしている。

 

何も答えない灯を見かねて、美蘭は遊次へと言葉を投げる。

 

「遊次クン、キミが決めることだよ。

灯をこれ以上危険に巻き込まないで。

こんなことに首突っ込むだけでも、本当は超ヤバいんだよ?」

 

遊次にとっても、彼女の言葉は重くのしかかった。

灯を危険に巻き込みたくない。

もし何かが起きてからでは、後戻りはできない。

 

誰かを犠牲にした世界じゃ笑えない。

しかし、世界を救うために灯が犠牲になるのは、もっとありえない。

そんなことは、想像すらしたくなかった。

 

灯の決意や思いは無駄にしたくない。

でもその決意が、自分のためだったとしたら?

自分が、灯にそうさせてしまっているとしたら?

 

そんなことはこれまで考えたことがなかった。

しかし美蘭に言われたことは、まるで警告のように思えた。

今なら、まだ間に合うと。

 

遊次は葛藤の末に、迷いを秘めた表情で口を開く。

 

「…灯、ごめん。俺はお前の気持ちを見ようとしてなかった。

俺も、お前が危ない目に遭うのなんか本当はイヤだ。だから…」

 

「違うッ!!もうやめて!!」

 

それ以上先は聞きたくなかった。

私が遊次の願いを邪魔することになる。

私が遊次にとって、邪魔な存在になる。

それだけは、耐えられない。

そんなこと、あっちゃいけない。

 

灯は睨みつけるように前を見据える。

美蘭は動ずることなく、淡々と言葉を返す。

 

「そんな中途半端な気持ちじゃ、どうせアタシには勝てないよ。

だからさ、このデュエルが終わったら、灯をこの戦いから解放してあげなよ。

それが灯のためにできることでしょ」

 

「勝手に決めないでッ!」

 

灯は目を見開き、怒りを剥き出しにする。

そして、デュエルディスクを構え、戦闘態勢をとる。

 

「デュエルは始まったばっかりだ。カードを引けよ。

"俺"はお前に勝つ。お前を倒して、覚悟を証明する」

 

灯の口調は、デュエル中のものに変わっていた。

そうスイッチすることで、戦いへと無理やり自分を引き込んだ。

そうしなければ、耐えられそうになかった。

 

遊次は頭を押さえ、視線をフィールドへと戻す。

その表情には、明らかな迷いが現れていた。

 

「…そこまで言うなら、わかったよ。

もう戦おうなんて思えないぐらい、徹底的にブッ潰してあげる!」

 

美蘭もかつてない程に強い眼差しで灯を睨み返す。

 

戦いは混迷を極める。

勝つのは覚悟か。それとも、それを上回る恐怖か。

 

 

第66話「正反対の、似た者同士」 完

 

 

 

 

美蘭の反撃が始まる。

新たに現れたSモンスターは、もはやトカゲの範疇を超越した剛竜だった。

その圧倒的な支配力に、灯は追い詰められる。

 

灯はかつての遊次の言葉を思い出す。

「デュエルは魂の会話だ」。

いつまでも心を隠していては、美蘭とぶつかり合うことなどできないと悟る。

 

灯は胸の内を曝け出すも、遊次は強い罪悪感に苛まれる。

そしてその心の隙間を、美蘭は侵す。

 

あの日の約束。そこから全ては始まった。

それは呪いか、それとも。

 

 

「どんなに無茶な夢でも、絶対に諦めない。

誰も思いつかないような、ありえない方法で叶えちゃう」

 

「そんな遊次が……私は」

 

 

次回 第67話「約束という名の呪い」

 

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