灯の強い決意によって、美蘭とのオースデュエルに勝利したことで、
イーサンの生体認証を合わせると、Nextが手にするパラドックス・ブリッジの鍵は3つとなった。
残る鍵を可能な限り手にし、オスカーとの最終決戦での交渉を増やす。それが遊次達の直近の目標だ。
しかし、勝利の余韻に浸る間もなく、遊次・灯とは分かれて行動していたイーサンと怜央の前に、
ニーズヘッグ・エンタープライズ副社長「ルーカス・ヴラッドウッド」が現れる。
「強制オースデュエル発動」
ルーカスが高くデュエルディスクを掲げると、夜の公園に赤い円形の光が広がった。
「僕の要求は2つ。お前の持つパラドックス・ブリッジの生体認証と、お前の身柄の拘束だ」
「身柄の拘束だと…?」
ジェンとの戦いでは、あくまで生体認証の権利を要求するだけだったが、ルーカスはイーサンの身柄ごと要求してきた。
怜央は訝し気にルーカスを睨む。
「…おそらく、俺を人質に取れば、
身柄と引き換えに、他の2つの鍵も手に入ると踏んでるんだろう」
イーサンが人質に取られその身に危険が生じれば、遊次達も他の鍵を渡さざるを得ない。
ルーカスはそう考えているのだろう。
「フン、鍵が欲しけりゃデュエルで取り戻せよ。
人質なんか取るのは、負けるのが怖ェからだろ」
怜央は煽るようにルーカスを睨む。
しかしルーカスは冷ややかな目で彼を見下ろし続ける。
「人質を取ることにリターンはあれど、リスクは少ない。
お前みたいな低知能にはわからないだろうけど、より勝算を高めただけだ」
イーサンは動揺することなく落ち着いた様子で話す。
「強制オースデュエルであっても、その契約は平等でなければならない。
ならば俺からは、ニーズヘッグが所有するパラドックス・ブリッジの鍵2つを要求する。
それと、Nextへの強制オースデュエルを使用しないこともつけてもらう」
世界デュエル憲章により、オースデュエルは平等でなければならないと定められている。
相手の要求する契約が、自分の提示した契約と平等だと考えた時点で、DDASがそれを読み取り、契約を成立させる。
心を読み取るため、口だけで相手の要求を否定することはできない。
「契約内容を認める。僕が懸けるのはパラドックス・ブリッジ"ビースト"と"ストライフ"の鍵だ」
2人は手早く契約の整理を済ませる。
「オースデュエルの開始が宣言されました。内容確認中…」
プレイヤー1:ルーカス・ヴラッドウッド
条件①:イーサン・レイノルズによるパラドックス・ブリッジ"デーヴァ"への生体認証の使用権限を、ニーズヘッグ・エンタープライズに譲渡する
条件②:イーサン・レイノルズの身柄は、ルーカス・ヴラッドウッドに一任される
プレイヤー2:イーサン・レイノルズ
条件①:ニーズヘッグ・エンタープライズが所有するパラドックス・ブリッジ"ビースト"と"ストライフ"の鍵の所有権を、イーサン・レイノルズへ譲渡する
条件②:なんでも屋「Next」メンバーへの強制オースデュエルを禁ずる
詳細な契約内容は、ソリッドヴィジョンの契約書として両者の前に浮かび上がる。
そこには一切の別の解釈の余地がないほどに徹底された文章が記載されており、
承認した時点で、完全なる両者の意図通りの契約にしかならないようになっている。
イーサンとルーカスは指でソリッドヴィジョンの契約書にサインを行うと、DDASがオースデュエルの開始を宣言する。
「契約内容を承認します。デュエルの敗者は、勝者が提示した契約を履行する事が義務付けられます」
「デュエル!」
ルーカスのデュエルディスクにランプが灯る。
「僕のターン。手札から『ヘヴンアイズ・アコライト』を召喚」
■天界眼の灯火手(ヘヴンアイズ・アコライト)
ペンデュラム
レベル2/光/天使/攻400 守1000 スケール1
【P効果】
このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分メインフェイズに発動できる。
手札の「ヘヴンアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター1体をEXデッキに表側で加える。
②:このカードをリリースして発動できる。
デッキから「ヘヴンアイズ」カード1枚を手札に加える。
現れたのは、銀髪をなびかせた聖女だ。
その瞳は淡い白みがかった水色をしており、右手で黄金のランタンを掲げている。
白き装束に紅の外套を纏い、その頭上には精巧な金のサークレットを着けている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/aYwhBwP
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「ヘヴンアイズ・アコライトの効果発動。
召喚した時、EXデッキの表側に『ヘヴンアイズ』モンスターを置く。
僕は『天界眼の力翼霊(ヘヴンアイズ・ヴァーチュス)』をEXデッキへ送る」
(ペンデュラム使いか…)
召喚されたカード、そしてEXデッキの表側にカードを置くその性質から、
ルーカスの「天界眼(ヘヴンアイズ)」はペンデュラムデッキであることが見て取れた。
「さらに、アコライトをリリースして効果発動。
デッキから『天界眼』カード1枚を手札に加えられる。
手札に加えるのは『ヘヴンアイズ・ヘラルド』」
ルーカスがデュエルディスクを掲げると、その両端から新たなゾーンが飛び出す。
そして手札から2枚のカードを表へ向ける。
「僕は『ヘヴンアイズ・ヘラルド』と『ヘヴンアイズ・ゲートキーパー』をPゾーンにセッティング」
ルーカスの頭上に2体のモンスターが浮かび上がる。
天界眼の祝告使(ヘヴンアイズ・ヘラルド)は、白みがかった水色の瞳を持つ、白銀の髪の魔道士。
白の法衣に赤の装飾を纏い、胸元には蒼い石の首飾りを下げている。
その手には、青い光を放つ宝珠を冠した銀の杖を携えている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/mCnG2uS
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天界眼の聖門番(ヘヴンアイズ・ゲートキーパー)は、
白みがかった水色の瞳を持つ、重厚な白銀の甲冑を纏った老騎士。
金の縁取りが施された白い装甲に、鮮烈な赤の外套。
その手には、中心に蒼い光を宿した環状の意匠を持つ、巨大な斧槍が携えられていた。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/b69Nibb
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「ヘヴンアイズ・ヘラルドのP効果発動。
手札のPカードを1枚EXデッキに置き、そのカードとは別の『ヘヴンアイズ』モンスターを手札に加える。
手札の『ヘヴンアイズ・オスティアリウス』をEXデッキに置き、
デッキから『ヘヴンアイズ・カントル』を手札に加える」
■天界眼の祝告使(ヘヴンアイズ・ヘラルド)
ペンデュラム
レベル3/光/天使/攻900 守1300 スケール1
【P効果】
このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:手札のPモンスター1体を相手に見せて発動できる。
そのカードをEXデッキに表側で加え、
そのカードとはカード名が異なる「ヘヴンアイズ」モンスター1体をデッキから手札に加える。
②:EXモンスターゾーンのPモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターをメインモンスターゾーンに移動する。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻し、
自分のPゾーンの「ヘヴンアイズ」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
②:自分のフィールドの「ヘヴンアイズ」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、デッキからレベル5以上の「ヘヴンアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。
「さらにヘヴンアイズ・ゲートキーパーのP効果発動。
EXデッキの表側カードを1枚デッキに戻すことで、デッキからヘヴンアイズ魔法カードを手札に加える。
オスティアリウスをデッキに戻し、『ヘヴンアイズ・セレスティアルゲート』を手札に加える」
■天界眼の聖門番(ヘヴンアイズ・ゲートキーパー)
ペンデュラム
レベル5/光/天使/攻2000 守2400 スケール9
【P効果】
このカード名の②のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの「ヘヴンアイズ」モンスターは相手の効果で破壊されない。
②:自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。
デッキから「ヘヴンアイズ」魔法カード1枚を手札に加える。
【モンスター効果】
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがEXデッキから特殊召喚されている場合、
自分フィールドの「ヘヴンアイズ」モンスターは戦闘で破壊されない。
②:自分フィールドのカードを対象とする効果が発動した場合に発動できる。
その効果を無効にし、除外する。
「永続魔法『ヘヴンアイズ・セレスティアルゲート』発動」
■天界眼の真珠門(ヘヴンアイズ・セレスティアルゲート)
永続魔法
このカード名の②③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
自分の「ヘヴンアイズ」モンスターは相手の効果の対象にならない。
②:自分のEXデッキ(表側)のPモンスター1体を対象として発動できる。
そのカードを特殊召喚する。
③:自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
ルーカスの前に、光を裂いて真珠の門が姿を現した。
円環の意匠を帯びたその巨大な白き門は、さながら天国への入り口を思わせる神々しさを放っていた。
「セレスティアルゲートの効果発動。
EXデッキの『ヘヴンアイズ・アコライト』をデッキに戻し、2枚ドローする」
すでにルーカスの手札は、デュエル開始時の5枚にまで戻っている。
「さらにセレスティアルゲートのもう1つの効果発動。
1ターンに1度、EXデッキの表側Pモンスターを特殊召喚できる。
現れよ、ヘヴンアイズ・ヴァーチュス!」
■天界眼の力翼霊(ヘヴンアイズ・ヴァーチュス)
ペンデュラム
レベル6/光/天使/攻2200 守2100 スケール1
【P効果】
このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分が「ヘヴンアイズ」モンスターをP召喚した場合に発動できる。
相手の魔法・罠カードを全て破壊する。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがEXデッキから特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター1体を特殊召喚し、
デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター1体をEXデッキに表側で加える。
②:自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。
相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。
真珠の門が開き、その光の中から、白と紅に彩られた巨大な翼を広げ、鳥人の上級天使が姿を現した。
白銀の羽毛に包まれたその顔には、鋭い嘴と、冷徹に光る水色の瞳が備わっている。
白き衣に黄金の装飾を纏い、足には鋭利な金の鉤爪を備えている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/AfY9rth
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
「ヘヴンアイズ・ヴァーチュスの効果発動。
EXデッキから特殊召喚された時、ヘヴンアイズPモンスターを1体デッキから特殊召喚し、
さらにヘヴンアイズPモンスター1体をEXデッキに表側に加えることができる。
ヘヴンアイズ・エクスシーアを特殊召喚し、EXデッキにヘヴンアイズ・カントルを加える」
フィールドに、白銀の重装甲を纏った翼の騎士が降臨した。
白と紅に染まった巨大な翼を広げ、その手には光り輝く剣と、紅蓮の意匠が刻まれた大盾を携えている。
甲冑の奥からは、淡い水色の眼光が鋭く放たれていた。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/L6b38EK
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イーサンと怜央の眼前には、2体の上級天使。
その荘厳さは、まさに人智を超えた存在を目の前にするような威圧感があった。
「ヘヴンアイズ・ヘラルドのP効果発動。
1ターンに1度、EXモンスターゾーンのPモンスターを、メインモンスターゾーンに移動できる。
ヘヴンアイズ・ヴァーチュスをメインモンスターゾーンに移動する」
「Pスケールは1から9。よってレベル2から8のモンスターが同時に召喚可能」
ルーカスがゆっくりと右手を掲げると、頭上の巨大な振り子が左右に揺れ始める。
「天上の聖なる魂達よ、揺れ動く源流によりこの現し世に帰還せよ」
「ペンデュラム召喚!現れよ、我がモンスター達!」
口上を唱えると、ルーカスの頭上から3つの光がフィールドへと落ちる。
「EXデッキから『ヘヴンアイズ・カントル』、
手札から『ヘヴンアイズ・オスティアリウス』、『ヘヴンアイズ・ドミニオンズ』!」
天界眼の賛歌師(ヘヴンアイズ・カントル)は、幾重にも重なる白のフリルをあしらった法衣を纏う少女。
瞳は淡い水色で、銀の長髪を赤い紐でまとめ、腰には紅の帯を締めている。
その胸元には、青い宝珠をあしらった銀の飾りが下げられていた。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/9c9FlAm
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天界眼の結界手(ヘヴンアイズ・オスティアリウス)は、重い金髪で片目を隠した少年のモンスター。
瞳は白みがかった水色をしている。
朱の縁取りを施した白き法衣を纏い、胸元には巨大な青き眼の宝飾があしらわれている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/5eqpuR7
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そして、これら下級モンスターとは明らかに異質の風格を放つのが、上級天使である「天界眼の勧告者(ヘヴンアイズ・ドミニオンズ)」だ。
翼の先端を赤く染めた多翼の天使で、瞳は水色に発光している。
金色の冠と白い仮面、金装飾を施した白い法衣に赤い帯を垂らし、その手には、巨大な紅玉を冠した金色の長杖を携えている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/O2IHFKC
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【ルーカス】
LP8000 手札:3
①ヘヴンアイズ・ヴァーチュス ATK2200
②ヘヴンアイズ・エクスシーア ATK2500
③ヘヴンアイズ・オスティアリウス DEF1900
④ヘヴンアイズ・ドミニオンズ ATK2400
⑤ヘヴンアイズ・カントル DEF1500
永続魔法:セレスティアルゲート
Pゾーン:ヘラルド、ゲートキーパー
【イーサン】
LP8000 手札:5
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(モンスターが5体並んだ。P召喚もすでに使った。
だが…ルーカスのデッキはEXデッキの表側のカードを利用する効果がある。
今のアイツのEXデッキの表側カードは0枚。これで終わりとは思えない)
イーサンはフィールドを見つめ、考えを巡らせる。
「ヘヴンアイズ・オスティアリウスの効果発動。
自分フィールドの『ヘヴンアイズ』カードを破壊し、デッキから『ヘヴンアイズ』カードを1枚手札に加える」
■天界眼の結界手(ヘヴンアイズ・オスティアリウス)
ペンデュラム
レベル4/光/天使/攻1600 守1900 スケール9
【P効果】
①:自分の「ヘヴンアイズ」モンスターのP召喚は無効にされない。
②:自分フィールドの「ヘヴンアイズ」モンスターは戦闘で破壊されない。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:相手モンスターの攻撃宣言時、自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。
その攻撃を無効にする。
②:このカード以外の自分フィールドの「ヘヴンアイズ」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター1体を手札に加える。
この効果は相手ターンでも発動できる。
「僕はPゾーンの『ヘヴンアイズ・ヘラルド』を破壊し、デッキから『ヘヴンアイズ・アポロジスト』を手札に加える。
さらに『ヘヴンアイズ・アポロジスト』はフィールドにヘヴンアイズがいる時、手札から特殊召喚できる」
■天界眼の信仰者(ヘヴンアイズ・アポロジスト)
ペンデュラム
レベル2/光/天使/攻0 守0 スケール9
【P効果】
このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:Pゾーンのこのカードを破壊して発動できる。
デッキから「ヘヴンアイズ」Pカード1枚を自分のPゾーンに置く。
【モンスター効果】
このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドに「ヘヴンアイズ」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
②:自分フィールドの「ヘヴンアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターは、自分のEXデッキ(表側)の「ヘヴンアイズ・アポロジスト」の数によって以下の効果を得る。
●1体以上:このカードの攻撃力は、自分のEXデッキ(表側)の「ヘヴンアイズ・アポロジスト」の数×500アップする。
●2体以上:このカードは相手の魔法・罠カードの効果を受けない。
●3体:このカードは相手のモンスター効果を受けない。
現れたモンスターは、深く被ったフードの下、青い単眼を持つ白い仮面を被っている。
赤の縁取りが施された白い法衣を着ており、両手を祈るように固く結んでいる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/7X4p3WD
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「ヘヴンアイズ・アポロジストの効果発動。
自分フィールドのヘヴンアイズ1体に、効果を与える」
アポロジストはドミニオンズの前で膝をつき、深く頭を垂れた。
するとドミニオンズに、青い光が降り注ぐ。
「ドミニオンズには、新たな効果が与えられた。
EXデッキの表側のヘヴンアイズ・アポロジストの数によって、ドミニオンズは恩恵を得る」
夜の公園、赤く光る階段の頂。ルーカスは片手をポケットに入れ、悠然とそこに立っていた。
彼の周囲には白と赤の法衣や鎧を纏う天使たちが並び、不気味な威容を誇っている。
階段の上から投げられるルーカスの冷ややかな視線は、階下に佇むイーサンと怜央を静かに射抜いていた。
「見せてやるよ。抗えない力って奴を」
ルーカスは右手を高く掲げる。
「僕は、カントル、アポロジスト、エクスシーア、ヴァーチュスの4体をリンクマーカーにセット!
サーキットコンバイン!召喚条件は、EXデッキから特殊召喚されたモンスターを含む、モンスター4体!」
「ここでリンク召喚だと…」
これまで一度もリンク召喚を使用せず、すでにP召喚を終えている今、ルーカスは満を持してリンク召喚を始めた。
召喚条件に4体のモンスターを要求することからも、現れるモンスターが圧倒的な強さを誇ることが伺える。
4体が光となって弾け、地上に巨大なサーキットが展開される。
4つの回路が火が灯るように赤く染まり、その中心から天を貫く光の柱が立ち昇る。
「天界を統べる聖竜よ、救済の煌めきを放ち、輪廻の扉を開け」
ルーカスが口上を唱えると、まばゆい輝きが周囲を埋め尽くす中、光の奥から巨大な竜のシルエットが現れる。
「リンク召喚!光臨せよ、リンク4!
ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン!」
■天界眼の久遠竜(ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン)
リンク/ペンデュラム
リンク4/光/幻竜/攻3000 スケール9
【リンクマーカー:左/左下/右下/右】
EXデッキから特殊召喚されたモンスターを含む光属性モンスター4体
【P効果】
このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドのモンスターを対象とする相手の効果が発動した時、
自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
その効果を無効にし除外する。
②:自分・相手ターンに発動できる。
このカードのL素材となるモンスターをフィールドから墓地へ送り、PゾーンのこのカードをL召喚扱いで特殊召喚する。
【モンスター効果】
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードの攻撃力は、自分のEXデッキの表側のカードの数×200アップする。
②:このカードが特殊召喚した場合に発動できる。
自分のEXデッキ(表側)のPモンスターを可能な限り特殊召喚する。
③:相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に、EXデッキ(表側)のカード1枚をデッキに戻して発動できる。
それを無効にし、破壊する。
天を裂く光の奔流を突き破り、白銀の鱗を纏う巨大な竜がその全貌を晒した。
鮮血のような紅を宿した何重もの翼を広げ、首元には白き布を纏う。
白く鋭利な装飾羽が並ぶ頭部からは、青い眼光が鋭く放たれていた。
ただそこに存在するだけで天地を圧するその威容は、
神々しいまでの風格と、逃れようのない重圧を周囲に強いている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/K66hvXU
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眼前に聳え立つエターナルドラゴン。
その圧倒的な存在感を前に、イーサンと怜央は思わず息を呑み、視線を釘付けにされる。
だが、イーサンは弾かれたように我に返ると、手元のデュエルディスクから浮かび上がるカード情報に、その目を見開いた。
「リンク・ペンデュラムモンスターだと…!」
そこに表示されたのは、これまでの常識を逸脱した異様な色彩を放つカードだった。
カード全体を包むのはLモンスターを象徴する深みのある蒼。
しかし、その下部にはPモンスター特有の翠と橙のグラデーションが、左右のスケールと共に刻まれている。
「何…!?」
怜央もそのカードの特質性に驚愕する。
融合・S・X・儀式がPと併合される例は稀に存在する。
しかし、リンクとPを併せ持つモンスターはイーサンと怜央も見たことがなかった。
「この時、ヘヴンアイズ・エターナルドラゴンと、L素材となったヘヴンアイズ・カントルの効果発動。
カントルがフィールドを離れた場合、デッキからヘヴンアイズを1枚、EXデッキに加える。
僕は『ヘヴンアイズ・アポロジスト』をEXデッキに加える」
■天界眼の賛歌師(ヘヴンアイズ・カントル)
ペンデュラム
レベル3/光/天使/攻500 守1500 スケール1
【P効果】
このカード名の①②のP効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:自分の「ヘヴンアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、もう1度だけ続けてモンスターに攻撃できる。
②:自分フィールドの「ヘヴンアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターはこのターン、守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを自分の手札に加える。
②:このカードがフィールドから離れた場合に発動できる。
デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター1体をEXデッキに表側で加える。
「さらにチェーン1のエターナルドラゴンの効果!
このカードが特殊召喚された時、EXデッキの表側から可能な限りモンスターを特殊召喚する!
再び現れよ、ヘヴンアイズ・エクスシーア、ヘヴンアイズ・ヴァーチュス!」
エターナルドラゴンが、清冽な音色のごとき咆哮を天へと捧げた。
その咆哮に呼応し、天より二筋の光柱が降り注ぐ。
光の奔流の中から、天界から降り立つ使者の如く二体の姿が舞い降りた。
白と紅の巨大な翼を広げ、鋭利な金の鉤爪を備えた鳥人の天使、ヴァーチュス。
そして、白銀の鎧を纏い朱の外套を翻す騎士、エクスシーア。
2体は主である竜の傍らへと降り立ち、静かに並び立った。
「ヘヴンアイズ・エクスシーアの効果発動。
EXデッキから特殊召喚された時、デッキから2枚のPカードをEXデッキに加える」
■天界眼の威権士(ヘヴンアイズ・エクスシーア)
ペンデュラム
レベル7/光/天使/攻2500 守2400 スケール9
【P効果】
このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
①自分のEXデッキ(表側)のPモンスター1体を対象として発動できる。
そのカードを自分のもう片方のPゾーンに置く。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(このカードがEXデッキから特殊召喚されている場合、②の効果は1ターンに2度まで使用できる。)
①:このカードがEXデッキから特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター2体をEXデッキに表側で加える。
②:1ターンに1度、自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻し、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
「ヘヴンアイズ・オファニムとヘヴンアイズ・アルケーをEXデッキに加える。
アポロジストの効果を受けたドミニオンズは、EXデッキのアポロジスト1枚につき攻撃力が500アップし、
相手の魔法・罠カードの効果を受けない」
ヘヴンアイズ・ドミニオンズ ATK2400 → 3400
「さらにエターナルドラゴンは、EXデッキの表側のカードの数×200攻撃力が上がる。
僕はこれでターンエンドだ」
ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン ATK3000 → 4200
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【ルーカス】
LP8000 手札:3
①ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン ATK4200
②ヘヴンアイズ・ドミニオンズ ATK3400
③ヘヴンアイズ・オスティアリウス DEF1900
④ヘヴンアイズ・エクスシーア ATK2500
⑤ヘヴンアイズ・ヴァーチュス ATK2200
永続魔法:セレスティアルゲート
Pゾーン:ゲートキーパー
EXデッキ(表):ヘラルド、カントル、アポロジスト×2、オファニム、アルケー
③②④□⑤
□ ①
□□□□□
【イーサン】
LP8000 手札:5
--------------------------------------------------
イーサンの眼前に並び立つ、5体のモンスター。
そして頭上にはそれらを守るように戦槍を構えるゲートキーパーと、ルーカスの前に聳える真珠の門。
しかし、圧倒的なのはその荘厳さだけではなかった。
「今お前はすでに、窮地に立たされている。
あとは自分の目で確かめろ。いちいち説明してたら、それだけで声が枯れる」
イーサンはデュエルディスクから浮かび上がるソリッドヴィジョンで、盤面を確認する。
「…確かに、相当ヤバいみたいだな」
しばらくすると、イーサンは苦々しい笑みを浮かべながら呟いた。
「奴の場のほとんどのモンスターは、それぞれが1ターンに1度EXデッキの表側カードをデッキに戻して発動する効果を持つ…」
イーサンは瞬時に状況を把握し、怜央に伝える。
「エターナルドラゴンは召喚・特殊召喚の無効。ドミニオンズはモンスター効果の無効。
オスティアリウスは攻撃を無効にできて、エクスシーアは場のカード1枚を破壊できる。
さらにエクスシーアはEXデッキから特殊召喚されてると、破壊効果を2回使えるらしい」
「はぁ!?んな状況で、どう動けってんだ!?」
怜央は戦慄し、吐き捨てるように驚愕の声を上げた。
「しかもヘヴンアイズは、永続魔法の効果で効果の対象にならず、
Pゾーンのゲートキーパーにより効果で破壊されない。まさに鉄壁ってわけだ」
怜央はもはや声を上げることもできなかった。
目の前に立ち並ぶ怪物たちが放つ威圧感に気圧されながらも、あまりに理不尽な包囲網を前に、その表情は焦燥と戸惑いに激しく歪んでいた。
「まあ、やるだけやってみるさ。
俺のデッキも、簡単に息切れするほど弱くないからな」
イーサンはルーカスの方を見上げ、デュエルディスクを掲げる。
その闘志は揺らいでいない。
「俺のターン、ドロー!
俺のフィールドにモンスターがいない時、手札の『ヴォルタンク・インダクタ』を特殊召喚できる」
■ヴォルタンク・インダクタ
効果モンスター
レベル3/光/雷/攻撃力1000 守備力1500
このカード名の、②の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
②:自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
③:自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「ヴォルタンク」モンスター1体を墓地へ送る。
現れたのは青いコイル形状のモンスター。
金属装甲の外殻に銅線が幾重にも巻きつき、中央では青白い電流が迸っている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/4LXtcBt
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「インダクタの効果発動。デッキから『ヴォルタンク』カードを1枚墓地へ送る」
イーサンは一瞬、ルーカスの方へ視線を送るも、優先権はすぐにイーサンへと返って来た。
膨大な制圧力を持ちながらも、その使いどころはしっかりと見極めてくるようだ。
「デッキから『ヴォルタンク・ポテンショメータ』を墓地へ送る。
そして俺のヴォルタンクは、お互いのデッキがシャッフルされる度に、雷カウンターを置く効果を持つ。
今シャッフルされたことで、インダクタにカウンターが置かれる」
インダクタに雷が落ち、頭上に光の球が1つ浮かび上がる。
雷カウンター 0 → 1
「さらに墓地へ送られたヴォルタンク・ポテンショメータの効果発動。
デッキからヴォルタンク罠カードを1枚手札に加える。
『ヴォルタンク・グリッドパージ』を手札に加える」
「この時、さらにデッキがシャッフルされたことで、雷カウンターが置かれる」
雷カウンター 1 → 2
「手札からヴォルタンク・エンジンを召喚!」
■ヴォルタンク・エンジン
効果モンスター
レベル4/光/雷/攻撃力1800 守備力1200
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
②:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「ヴォルタンク・エンジン」以外の「ヴォルタンク」モンスター1体を手札に加える。
青いエンジンを模したモンスターは、金属光沢のある深い青色の体を持つ。
胴体は直方体に近い形状で、表面には複数のランプや操作盤のような装飾が施され、冷たい光を放つ。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/nb09OhR
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「召喚時、効果発動。デッキから『ヴォルタンク』モンスターを手札に加える」
ルーカスは一瞬、考える様子を見せるも、またも優先権がイーサンに返ってくる。
「…俺はデッキから『ヴォルタンク・モーター』を手札に加える。
シャッフルされたことで、インダクタとエンジンに雷カウンターが置かれる」
雷カウンター 2 → 4
(あれだけ妨害効果を持っていながら、やけにもったいぶるじゃないか。
確かに引っ張られる方が精神的にキツい部分はあるが、こっちの効果が通ってるのは事実。
ならば、全て使わせる前に封じてやる)
イーサンはすでに目標を定めている。
お互いの思惑が交差しあい、一瞬の静寂が生まれる。
「自分フィールドにヴォルタンクがおる時、手札からヴォルタンク・モーターを特殊召喚できる」
■ヴォルタンク・モーター
効果モンスター
レベル2/光/雷/攻撃力1100 守備力1500
このカード名の、②の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
②:自分フィールドに「ヴォルタンク」モンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
③:フィールドの雷カウンターを2つ取り除いて発動できる。
「ヴォルタンク・モーター」以外の「ヴォルタンク」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。
現れたのは青いモーター形状のモンスター。
外殻は精密な歯車とねじ部品が露出し、中央部に大型の回転軸が設けられている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/3jDG7gK
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「ヴォルタンク・モーターの効果発動。
雷カウンターを3つ使い、デッキからヴォルタンクを特殊召喚できる」
雷カウンター 4 → 1
イーサンのデュエルディスクのランプが赤に変わる。ルーカスに優先権がうつった合図だ。
しかし、すぐに優先権はイーサンへと戻ってくる。
(ここでもまだ使わないか…!)
エターナルドラゴンの特殊召喚無効もあるため、決定的なモンスターが現れた時点で止めることも考えられる。
確実にリソースを削り、イーサンの最終地点を更地にしようという考えだろうか。
「ヴォルタンク・モーターの効果で、デッキからヴォルタンク・コンデンサを特殊召喚」
■ヴォルタンク・コンデンサ
効果モンスター
レベル4/光/雷/攻撃力1600 守備力1000
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
②:フィールドの雷カウンターを2つ取り除き、
相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動する。そのカードを破壊する。
③:このカードが墓地に存在する場合、フィールドの雷カウンターを3つ取り除いて発動できる。
墓地のこのカードを特殊召喚する。
現れたモンスターは金属の青い円筒形の胴体を持つ。
胴体の中央から上向きに一直線に伸びる端子がついている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/NOqMzGy
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「デッキがシャッフルされたことで、ヴォルタンクに雷カウンターが置かれる」
雷カウンター 1→5
「ヴォルタンク・コンデンサの効果発動。
雷カウンターを2つ取り除き、相手の魔法・罠カード1枚を破壊する。
永続魔法『ヘヴンアイズ・セレスティアルゲート』を破壊」
雷カウンター 5→3
コンデンサが端子から電流を放つと、ルーカスのフィールドの永続魔法が破壊される。
これでヘヴンアイズを効果の対象にすることができる。
「永続魔法『ヴォルタンク・リファインドサーキット』発動」
カードの発動と共に、地面に白いサーキットが張り巡らされる。
「リファインドサーキットの効果発動。
フィールドのカードに、フィールドのリンクマーカーの数だけ雷カウンターを置く。
エターナルドラゴンに、リンクマーカー分のカウンターが置かれる」
雷カウンター 3→7
「へぇ…」
イーサンが相手モンスターにカウンターを置いたことに、ルーカスは意図を感じていた。
「俺は、ヴォルタンク・モーターとヴォルタンク・コンデンサをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!」
リンクマーカーが次々と輝き、空間に青白いサーキットが展開する。
モーターとコンデンサの輪郭が光の粒となり、線で結ばれていく。
モーターに置かれていた雷カウンターは空中へと霧散する。
雷カウンター 7→6
「光より現れし摩天、集いし雷は更なる牙城を呼び起こす」
「リンク召喚!リンク2、『ヴォルタンク・ライトニングロッド』!」
■ヴォルタンク・ライトニングロッド
リンクモンスター
リンク2/光/雷/攻1800
【リンクマーカー:下/左】
雷族モンスター2体
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いのデッキがシャッフルされる度に、
このカードおよびこのカードのリンク先のモンスターに雷カウンターを1つ置く。
②:このカードがリンク素材として墓地に送られた場合、
墓地の「ヴォルタンク」モンスター1体を対象として発動できる。
そのカードをデッキに戻し、自分はデッキから1枚ドローする。
③:フィールドの雷カウンターを2つ取り除き、
フィールドのカード1枚を対象として発動する。
そのカードを破壊する。
回路が完成すると同時に、二体の光が奔流となって中央へと収束した。
眩い蒼が爆ぜ、雷鳴のような轟きとともに、天へ貫く巨大な光柱が立ち上がる。
青いボディと、飛び出た大きないくつものネジが特徴的だ。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/bK4xj8i
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リンクモンスターが現れても、ルーカスは未だに効果を使わない。
やはり限界までリソースを使わせたいようだ。
「この時、永続魔法『ヴォルタンク・リファインドサーキット』の効果発動。
雷カウンターが置かれていたカードがフィールドを離れた時、そのカウンターを他のカードに置く。
ヴォルタンク・モーターに置かれていたカウンターを、ヘヴンアイズ・エクスシーアに置く」
エクスシーアの頭上から雷が落ちるも、一切動ずることはなかった。
その頭上に一つの光球が浮かび上がる。
雷カウンター 6→7
「ライトニングロッドの効果発動。
雷カウンターを2つ使い、フィールドのカード1枚を破壊する」
雷カウンター 7→5
「でも、Pゾーンのヘヴンアイズ・ゲートキーパーによって、僕のモンスターは破壊されない」
「ならばそのPカードを破壊する」
ライトニングロッドの頂点から雷が放たれ、ゲートキーパーは破壊される。
(これであのボンボン野郎のモンスターに耐性はなくなった。
無防備になるってわかってんのに、まだ効果を出し渋ってやがる)
それがルーカスのプレイスタイルか、はたまた何か思惑があるのか。
小さな違和感はイーサンとルーカスに積もり続ける。
(だが…この一手はさすがにスルーできないはずだ)
イーサンは手札から一枚のカードを取り出す。
「永続魔法『ヴォルタンク・ディフュージョン』発動!」
■ヴォルタンク・ディフュージョン
永続魔法
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが魔法・罠ゾーンに存在する限り、
雷カウンターが置かれた相手フィールドのモンスターの効果は無効化される。
②:相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードに雷カウンターを3つ置く。
「このカードがある限り、雷カウンターが置かれたモンスターの効果は無効化される」
破壊効果を持つエクスシーアと、召喚・特殊召喚無効を持つエターナルドラゴンには、雷カウンターが置かれている。
この効果を通せば、一気にルーカスのモンスター2体が効果を失うこととなる。
「それは見過ごせないな。ヘヴンアイズ・エクスシーアの効果発動。
EXデッキの『ヘヴンアイズ・ヘラルド』をデッキに戻して、その永続魔法を破壊する」
ヴォルタンク・ディフュージョンはまだ効果成立前だ。破壊するなら今しかない。
エクスシーアが、その剣を高く掲げて鋭い一閃を放つ。
空を裂く斬撃はイーサンの陣地へと奔り、永続魔法を無残に打ち砕いた。
しかし、これでようやくルーカスの妨害効果を一つ潰すことができた。
「だが、デッキがシャッフルされたことで、俺のヴォルタンクにカウンターが置かれる。
ライトニングロッドはリンク先のモンスターにもカウンターを置く」
雷カウンター 5→9
(これで終わらせないさ。楔はすでに打ち込んだ)
イーサンはルーカスの2体のモンスターの頭上に浮かぶ光球を見つめる。
「手札の『ヴォルタンク・スイッチギア』の効果発動。
雷カウンターを1つ取り除き、手札からこのカードを特殊召喚する」
雷カウンター 9→8
■ヴォルタンク・スイッチギア
効果モンスター
レベル5/光/雷/攻撃力2000 守備力2200
このカード名の②③④の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
②:フィールドの雷カウンターを1つ取り除いて発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
③:フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
自分の墓地の「ヴォルタンク」カードの枚数だけ、そのカードに雷カウンターを置く。
(最大10個まで)
④:フィールドの雷カウンターを3つ取り除いて発動できる。
相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力をターン終了時まで入れ替える。
現れたのは、深い蒼を基調とした大型の装置型モンスターだった。
分厚い外殻は複雑なラインで区画化され、幾層にも重なった金属板が精密機械のように組み上げられている。
正面には太いレバー状のパーツが突き出し、その根元からは青白い放電が微かに走っていた。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/QFFwsKl
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ルーカスはスイッチギアの躯体を見つめ、一瞬、思考を巡らせる。
「ヘヴンアイズ・エクスシーアの効果発動。
このカードはEXデッキから特殊召喚されていれば、2度効果を使用できる。
EXデッキのヘヴンアイズ・カントルをデッキに戻し、ヴォルタンク・スイッチギアを破壊する」
エクスシーアは剣を振り抜き光の一閃を放つと、蒼き大型装置は一瞬にして切断され、破壊された。
「だがデッキがシャッフルされたことで、俺のモンスターに雷カウンターが置かれる」
雷カウンター 8→12
(ここで破壊効果を使うか。俺が相手モンスターにカウンターを置き続けてると気付いたか?
もしその先の狙いまでアイツがわかっているとすれば、逆にそれこそが突破口だと言っているようなものだ)
「墓地のヴォルタンク・コンデンサの効果発動。
雷カウンターを3つ取り除き、このカードを特殊召喚する」
雷カウンター 12→9
フィールドに再び青い円筒形の胴体を持つ部品型モンスターが現れる。
「俺はヴォルタンク・コンデンサとリンク2のヴォルタンク・ライトニングロッドをリンクマーカーにセット。
サーキットコンバイン!」
リンクマーカーが次々と輝き、空間に青白いサーキットが展開する。
ライトニングロッドは半透明の分身体を作り、3体のモンスターの輪郭が光の粒となり、線で結ばれていく。
しかし、ここでルーカスが動き出す。
「ヘヴンアイズ・エターナルドラゴンの効果発動。
EXデッキのヘヴンアイズ・ゲートキーパーをデッキに戻し、そのリンク召喚を無効にする」
エターナルドラゴンの青い瞳が鋭く光った。
羽ばたきと共に放たれた白銀の衝撃が、展開されたサーキットを無慈悲に粉砕する。
出現するはずだった城郭は、その形を成す前に光の塵へと変えられ、虚空に霧散した。
「今、デッキがシャッフルされたことで、インダクタとエンジンに雷カウンターが置かれる」
雷カウンター 9→11
(相手がご丁寧にデッキをシャッフルしてくれるおかげで、カウンターはバンバン溜まってく。
有利な相手に当たったもんだ)
怜央は頭の中で密かにほくそ笑む。
イーサンは再び自分の手札に視線を送る。
残り手札は2枚。その内1枚はサーチした罠カードだ。
ここまでのリソースを使いながら、イーサンのフィールドには下級モンスター2体のみ。
ルーカスの極限まで妨害効果を使わない戦術が、クリティカルに効いている。
怜央は奥歯を強く噛んだ。
しかし、イーサンにとってはこれは想定内の出来事だった。
「さらにL素材として墓地へ送られたライトニングロッドの効果発動。
墓地のヴォルタンク・コンデンサをデッキに戻し、1枚ドロー。
さらにシャッフルが発生したことで、ヴォルタンクにカウンターが置かれる」
雷カウンター 11→13
イーサンはフィールドを見つめる。
(残るはドミニオンズの無効・破壊効果と、オスティアリウスの攻撃無効。
だが先に対処すべきはドミニオンズだ。アレさえ超えればどうとでもなる…!)
イーサンはライトニングロッドの効果でドローした1枚のカードに視線を送る。
それは1枚のフィールド魔法だった。
「フィールド魔法『ヴォルタンク・カレントコレクター』発動!
ヴォルタンクの攻撃力は雷カウンターの数×300アップし、1ターンに1度破壊を免れる」
周囲に、無機質な鉄のアンテナ群が張り巡らされる。
「墓地のヴォルタンク・ポテンショメータを除外して、効果発動。
墓地のヴォルタンクLモンスター1体をEXデッキに戻し、
そのリンクマーカーと同じレベルを持つヴォルタンクを、デッキから特殊召喚する。
リンク3のスパークキャッスルをEXデッキに戻し、レベル3『ヴォルタンク・アーム』を特殊召喚する」
■ヴォルタンク・アーム
効果モンスター
レベル3/光/雷/攻撃力1300 守備力1300
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
②:フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
フィールドの雷カウンターを全て取り除き、
取り除いた分だけ対象のカードに雷カウンターを乗せる。
③:このカードを墓地から除外し、
除外されている「ヴォルタンク」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードをデッキの一番下に戻す。
その後、戻したカードと同じ種類の「ヴォルタンク」カード1枚をデッキから手札に加える。
青いアーム形状のモンスターは、直線的な金属製の腕部を持つ。
腕には先端に大型のグリップ状の部品が装備され、複数の管や配線が側面に沿って配置されている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/SlcldTi
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「デッキがシャッフルされたことで、ヴォルタンクとフィールド魔法にカウンターが置かれる」
雷カウンター 13→17
「俺はヴォルタンク・アーム、ヴォルタンク・エンジンをリンクマーカーにセット。
サーキットコンバイン!」
2体のモンスターはサーキットのアローヘッドへと入ってゆく。
置かれていた雷カウンターは空中へ霧散する。
雷カウンター 17→13
「戦乱に生まれし摩擦、集いて天に轟く迅雷となる。
リンク召喚!リンク2『ヴォルタンク・パワージェネレーター』!」
■ヴォルタンク・パワージェネレーター
リンクモンスター
リンク2/光/雷/攻1700
【リンクマーカー:上/下】
雷族モンスター2体
このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いのデッキがシャッフルされる度に、
このカードおよびこのカードのリンク先のモンスターに雷カウンターを1つ置く。
②:相手がモンスターを召喚・特殊召喚する度に、そのモンスターに雷カウンターを1つ置く。
このカードが相互リンク状態の場合、この効果で置かれる雷カウンターの数は2つとなる。
③:フィールドの雷カウンターを3つ取り除き、自分の墓地の「ヴォルタンク」フィールド魔法・永続魔法・永続罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを自分フィールドに置く。
この効果は相手ターンでも発動できる。
現れたのは、高さ約5メートルの巨大な発電機のようなモンスターだ。
全身は濃い蒼色の鋼鉄装甲で覆われ、太いボルトとパイプが多数取り付けられている。
中央の塔からは、青白い稲妻を帯びたエネルギーが上空へ噴き出し、頂上の光の輪から激しいスパークを散らしている。
底部には巨大な送風ファンがあり、常に微細な電光を発している。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/A3i8gl4
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「墓地のヴォルタンク・アームを除外し、効果発動。
除外されているヴォルタンクをデッキの一番下に戻し、その後、同じ種類のヴォルタンクを手札に加える。
ヴォルタンク・ポテンショメータをデッキに戻し、モンスターカード『ヴォルタンク・リレー』を手札に加える」
「さらにシャッフルが発生したことで、モンスターとフィールド魔法に雷カウンターが置かれる。
パワージェネレーターのリンク先にはさらにカウンターが置かれる」
雷カウンター 13→17
「パワージェネレーターの効果発動。
雷カウンターを3つ取り除き、墓地の『ヴォルタンク・ディフュージョン』を発動する!」
雷カウンター 17→14
(あの永続魔法は、雷カウンターが置かれた相手モンスターの効果を無効にできる。
しかもヴォルタンク・ディフュージョンには、相手モンスターにカウンターを置く効果があったはずだ。
ってこたぁ、ボンボン野郎はこの効果を通すわけにはいかねえ)
怜央はすぐにイーサンの目論見を察知した。
これはルーカスの最後の一手を止めるための策であると。
「…そうはいかないな。ヘヴンアイズ・ドミニオンズの効果発動。
EXデッキのヘヴンアイズ・アポロジストをデッキに戻して、その効果を無効にし破壊する」
■天界眼の勧告者(ヘヴンアイズ・ドミニオンズ)
ペンデュラム
レベル7/光/天使/攻2400 守2700 スケール1
【P効果】
このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:もう片方のPゾーンに「ヘヴンアイズ」Pカードが存在する場合に発動できる。
Pゾーンのこのカードを特殊召喚する。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがEXデッキから特殊召喚された場合に発動できる。
相手フィールドの全ての表側カードの効果を、ターン終了時まで無効にする。
②:相手がモンスター効果を発動した場合、自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。
その効果を無効にして破壊する。
(ドミニオンズはEXデッキにアポロジストがいれば、その数に応じて攻撃力が上がり、魔法・罠カードの効果を受けなくなる。にも関わらず、アポロジストを戻すのか)
イーサンの中で小さな違和感が喉に引っかかった。
しかし、それは不自然とまでは言えないものだった。
ルーカスのEXデッキには上級モンスターが2体。
次のターンを見越してそのモンスターを保持しておく考えならば、アポロジストを優先してEXデッキに戻すのもおかしくはない。
ドミニオンズが長杖を掲げると、放たれた静謐な波動がサンダーフォートレスを包み込んだ。
激しい駆動音を立てていた機械は、一瞬でその機能を喪失して沈黙する。
「しかし、フィールド魔法の効果により、パワージェネレーターの破壊は免れる」
雷カウンター 14→13
「さらにデッキがシャッフルされたことで、俺のモンスターとフィールド魔法にカウンターが置かれる」
雷カウンター 13→17
「これでようやく、お前の小賢しい妨害は踏み越えた」
イーサンは左右に首を曲げ、ポキポキと骨の音を鳴らす。
ルーカスは何も言わず階段からフィールドを見下ろし、冷たい視線を向けている。
「永続魔法『ヴォルタンク・リファインドサーキット』の効果発動。
雷カウンターを2つ使い、このターン、もう1度通常召喚を行うことができる」
雷カウンター 17→15
「手札からヴォルタンク・リレーを召喚!」
■ヴォルタンク・リレー
効果モンスター
レベル3/光/雷/攻撃力1200 守備力900
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
②:このカードが召喚した場合、
墓地のレベル4以下の「ヴォルタンク」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
③:自分フィールドの「ヴォルタンク」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、フィールドのモンスターの数だけ、
フィールドの表側カードに雷カウンターを置く。
直方体の形状をしていた装置のような青色のモンスターが現れる。
前面中央には、固定された小型のボタンスイッチが配置され、両側にはそれぞれ金属製の端子が設置されている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/J4rW1NM
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「ヴォルタンク・リレーの召喚時、効果発動。
墓地のレベル4以下のヴォルタンクを復活させることができる。
ヴォルタンク・エンジンを復活させる」
フィールドに、複数のランプや操作盤が施された蒼い部品型モンスターが現れる。
そしてイーサンのモンスターは、雷カウンターの数×300攻撃力が上昇している。
-------------------------------------------------
【ルーカス】
LP8000 手札:3
①ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン(雷カウンター:2) ATK3800
②ヘヴンアイズ・ドミニオンズ ATK2900
③ヘヴンアイズ・オスティアリウス DEF1900
④ヘヴンアイズ・エクスシーア(雷カウンター:1) ATK2500
⑤ヘヴンアイズ・ヴァーチュス ATK2200
EXデッキ(表):オファニム、アルケー、アポロジスト×1
③②④□⑤
⑧ ①
□⑦⑨⑩□
【イーサン】
LP8000 手札:2(グリッドパージ)
⑦ヴォルタンク・インダクタ(雷カウンター:8) ATK5500
⑧ヴォルタンク・パワージェネレーター(雷カウンター:2) ATK6200
⑨ヴォルタンク・リレー ATK5700
⑩ヴォルタンク・エンジン ATK6300
永続魔法:ヴォルタンク・リファインドサーキット
フィールド魔法:ヴォルタンク・カレントコレクター(雷カウンター:2)
--------------------------------------------------
「ハハ、とんでもない攻撃力だな」
ルーカスはゆっくりとフィールドを見渡すと、他人事のように言う。
(奴も追い詰められているのが自分だとわかっているはず。
だが…この感覚はなんだ?あの余裕と態度が、どうも虚勢とは思えない。
まるで、何かが決定的に食い違っているような…)
それは、デュエリストとしての直感。
そして、ルーカスはその答え合わせをするように、邪悪な笑みを浮かべた。
「強いモンスターから止めていけば、僕の手数を減らせる。
お前はそう考えて、無効や破壊効果を持つ僕のモンスターの対策に注力した。
そして、見事に"見えている"障害を踏み越えたわけだ。おめでとう!」
ルーカスはわざとらしく拍手してみせる。
ここから一転攻勢をいう場面にも関わらず、イーサンと怜央の表情は険しい。
「テメェ、ゴチャゴチャ言ってねえでハッキリしやがれ!
なんか他に手があんのか、ただの負け惜しみか!」
ルーカスの飄々とした態度に、怜央は苛立ちを隠せなかった。
ルーカスはぴたりと拍手を止め、より一層冷たい眼で2人を見下ろす。
「…世界をかき乱すドブネズミが、偉そうな口を利くな」
ルーカスは心からの嫌悪を剝き出しにする。
「お前みたいな輩は、いつもそうやって肝心な事に耳を塞ぎ、ただ喧しく吠える。
本来、お前みたいな底辺とは、言葉を交わすことすらあってはならないのに」
ルーカスは奥歯を噛み締め、まるで憎悪を込めるように拳を握る。
しかし、何事もなかったかのようにすぐに顔を上げる。
そこには感情などない、ただ冷たい表情だけが浮かんでいる。
「そんなに答えが知りたいなら、教えてやる。
イーサン・レイノルズ、お前がもっとも警戒すべきは"不確定要素"だったんだよ」
「…なんだと?」
「エクスシーア、ドミニオンズ、エターナルドラゴン。
お前は目の前の障害を越えることに必死で、その奥に潜む影を見落とした。
それが…お前の"敗因"だ」
敗因。
つまり、ルーカスはこの状況で、自らの勝利を宣言している。
ルーカスの言葉の意味を探ろうと、イーサンはフィールドを見渡した。
そして、目に留まったのは、1体のモンスター。
ヘヴンアイズ・オスティアリウス。
他の切り札級のモンスターと比べて一段小さい、下級モンスターだ。
その金髪の少年は、モンスター達を守るように両手を広げている。
その効果は、EXデッキのカードを1枚戻して、攻撃を無効にする効果。
そして、自分・相手ターンに1度、自分のカードを破壊し、デッキからPモンスター1体を手札に加える効果。
ルーカスの言う「不確定要素」があるとすれば、そこしかない。
もしそこに、ルーカスの"勝機"があるとすれば。
「まさか…」
辻褄が合うように、組み上がる思考のパズル。
極限まで妨害効果の使用を先送りにするプレイ。
かと思えば、雷カウンターを置くことを嫌い、ヴォルタンク・スイッチギアに破壊効果を使用したこと。
そして、EXデッキに表向きで残された、未だ見ぬ上級モンスター2体。
まだ、言語化はできなかった。
しかし、イーサンの中で積み上がるその違和感の連続こそが、自分に襲いかかることだけはわかった。
「ヘヴンアイズ・オスティアリウスの効果発動。
他の自分フィールドの『ヘヴンアイズ』カードを破壊して、『ヘヴンアイズ』Pカードを1枚手札に加える。
僕は…ヘヴンアイズ・エターナルドラゴンを破壊して、デッキから『ヘヴンアイズ・プロフェット』を手札に加える!」
「何…!?」
何故ここで自らの切り札を犠牲にするのか、怜央には到底理解できなかった。
だがイーサンだけはルーカスの真の狙いに気付いていた。
(奴の本当の狙いは、エターナルドラゴンの破壊と、オスティアリウスで手札に加えるカード…!
オスティアリウスを守るために、アイツは他のモンスターの効果を極限まで使わず、
俺の視線をそっちに向けさせたんだ…!)
オスティアリウスが地面に掌をつくと、エターナルドラゴンの周囲に幾重もの結界が展開された。
逃れようのない圧力が内側へと収束し、白銀の巨躯は自ら砕け散るようにして、眩い光の破片へと還っていった。
ルーカスは1枚のカードをデッキから手札に加える。
「…だがシャッフルされたことで、俺のモンスターにカウンターが置かれる」
雷カウンター 15→21
カウンターが一気に増えたことで、イーサンのモンスターはさらに攻撃力を増加させる。
しかしそんなことは意に介さず、ルーカスは手札に加えたカードを表側へ向ける。
「この瞬間、手札に加えたヘヴンアイズ・プロフェットの効果発動!
ヘヴンアイズが破壊された時、このカードを特殊召喚し、破壊されたモンスターをPゾーンに置く!」
■天界眼の代弁者(ヘヴンアイズ・プロフェット)
ペンデュラム
レベル3/光/天使/攻1100 守800 スケール1
【P効果】
このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドのLモンスター以外の「ヘヴンアイズ」モンスター1体をリリースして発動できる。
そのカードと同じレベルの、カード名が異なる「ヘヴンアイズ」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。
②:Pゾーンのこのカードを破壊し、自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを自分のPゾーンに置く。
この効果は相手ターンでも発動できる。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの「ヘヴンアイズ」Pモンスターまたは「ヘヴンアイズ」Pカードが破壊された場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、破壊されたカードを自分のPゾーンに置く。
②:このカードがEXデッキに表側で加わった場合、
このカード以外の自分のEXデッキ(表側)のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
現れたのは、紺青の長髪をなびかせた女性の姿。
白銀の装飾が施された白の法衣を纏い、鮮やかな紅の帯が斜めに走る。
頬には神秘的な青い紋様が刻まれ、鋭く澄んだ水色の瞳が静かに周囲を射抜いていた。
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プロフェットは静かに地に跪き、祈るように両手を組んだ。
その恭しい仕草に呼応するように天空が開き、ルーカスの頭上遥か高みから、エターナルドラゴンが舞い降りる。
紅蓮の翼を広げたその神々しい竜は、ペンデュラムゾーンへと顕現した。
「…だからなんだよ。Pゾーンにセットされたからって…」
怜央はイーサンの表情に視線をやると、言葉を途絶えさせた。
ルーカスの頭上のエターナルドラゴンを見つめるイーサンの瞳は、強い後悔で揺らいでいたからだ。
「ヘヴンアイズ・エターナルドラゴンのペンデュラム効果発動!
このモンスターは、お互いのターンに1度、ペンデュラムゾーンからリンク召喚できる!」
「な…んだと……」
怜央はその常識を超越した効果に、絶句した。
「フィールドのオスティアリウス、エクスシーア、ドミニオンズ、ヴァーチュスを素材に、リンク召喚!
再び光臨せよ、ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン!」
フィールドの4体が眩い光柱へと姿を変え、頭上のエターナルドラゴンを射抜く。
そのエネルギーを全身に浴びた巨竜が、咆哮と共に天からフィールドへと急降下した。
大地を震わせて着地し、白銀の鱗を翻して再臨するその姿は、以前を遥かに凌ぐ神々しい圧力を放っていた。
エターナルドラゴンの再臨。それが意味するのは、新たなる絶望の幕開けだった。
「ヘヴンアイズ・エターナルドラゴンの効果発動!
このカードが特殊召喚した時、EXデッキの表側から可能な限りモンスターを特殊召喚できる!」
Pゾーンから特殊召喚されたエターナルドラゴンはメインモンスターゾーンに存在している。
よって、EXモンスターゾーンと、エターナルドラゴンの左右のリンク先にモンスターを特殊召喚できる。
「現れよ!ヘヴンアイズ・ドミニオンズ、
ヘヴンアイズ・オファニム、ヘヴンアイズ・アルケー!」
天から降り注ぐ三筋の激しい光柱が、再臨した竜の傍らに突き刺さった。
その輝きの中から、金色の冠と白い仮面の大天使『ドミニオンズ』が再び現れる。
その隣には、眩い白金の長髪をなびかせた雄々しき天使『アルケー』が凛と立つ。
白と金の豪奢な甲冑に身を包み、真紅のマントを翻すその手には、黄金の戦斧が握られている。
端正な顔立ちに宿る冷徹な意志と雄々しい姿は、戦場に強烈な圧力を放っていた。
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しかし、イーサンと怜央の視線は、それらをも霞ませる中央の異形に釘付けとなった。
「な…んだ…こいつ……」
そこに鎮座していたのは、常識的な生命の姿を逸脱した、理解を絶する天使『オファニム』。
幾重にも重なり合う無数の白い翼。その羽の一枚一枚には、おぞましいほどの数の「瞳」が埋め込まれ、瞬きもせずに二人を凝視している。
中心に爛々と輝く巨大な眼球と、背後に浮かぶ光輪が、神聖さを通り越した根源的な恐怖を突きつける。
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【ルーカス】
LP8000 手札:3
①ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン ATK3800
②ヘヴンアイズ・ドミニオンズ ATK2400
③ヘヴンアイズ・オファニム ATK2800
④ヘヴンアイズ・アルケー ATK2300
EXデッキ(表):オスティアリウス、ヴァーチュス、エクスシーア、アポロジスト
□□②①④
⑧ ③
□⑦⑨⑩□
【イーサン】
LP8000 手札:2(グリッドパージ)
⑦ヴォルタンク・インダクタ(雷カウンター:10) ATK6400
⑧ヴォルタンク・パワージェネレーター(雷カウンター:3) ATK7100
⑨ヴォルタンク・リレー ATK6400(雷カウンター:1)
⑩ヴォルタンク・エンジン ATK7200(雷カウンター:1)
永続魔法:ヴォルタンク・リファインドサーキット
フィールド魔法:ヴォルタンク・カレントコレクター(雷カウンター:3)
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全ての障害を越え、イーサンは反撃の機を得たはずだった。
しかし眼前には、新たな強大な障壁が立ち塞がっていた。
「EXデッキから特殊召喚された、ヘヴンアイズ・オファニムと、
ヘヴンアイズ・エクスシーアの効果発動!」
「ヘヴンアイズ・オファニムがEXデッキから特殊召喚された時、
EXデッキのモンスター1体をデッキに戻し、その攻撃力以下の相手モンスターを全て手札に戻す!」
「な…」
■天界眼の千里卿(ヘヴンアイズ・オファニム)
ペンデュラム
レベル8/光/天使/攻2800 守2400 スケール1
【P効果】
①:相手フィールドのモンスターの攻撃力は、自分のEXデッキの表側のカードの数×200ダウンする。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがEXデッキから特殊召喚された場合、自分のEXデッキのPカード1枚をデッキに戻して発動できる。
相手フィールドのモンスターを全て手札に戻す。
②:自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
このカードは、このカードの効果で装備したモンスターの効果を得る。
その強力な効果に、怜央はただ絶句するほかなかった。
圧倒されるイーサンと怜央に構わず、ルーカスは駒を進める。
「チェーン2のエクスシーアの効果により、EXデッキから特殊召喚された時、デッキからヘヴンアイズを2体、EXデッキに加える。アポロジストを2枚、EXデッキに加える」
「チェーン1のオファニムの効果!
EXデッキの『ヘヴンアイズ・ヴァーチュス』をEXデッキに戻し、お前のモンスターを全て手札へ戻す!」
オファニムの翼に刻まれた無数の瞳と、中心の巨大な眼球が一斉に不気味な白光を放った。
その瞬間、イーサンの頭上の空間を切り裂いて謎の巨大な円盤状の光が出現する。
そこから放たれる引力は、物理法則を無視した絶対的な重力波となってフィールドを蹂躙する。
5メートルもの巨躯を誇る重厚なパワージェネレーターでさえ、その圧倒的な力の前では無力だった。
鋼鉄の塊がまるで見えない手に引き上げられるようにして、ふわりと軽々と宙に浮き上がる。
他の3体と共に、その巨躯は光の粒子へと分解されながら、円盤の深淵へと容赦なく吸い込まれていった。
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【ルーカス】
LP8000 手札:3
①ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン ATK3800
②ヘヴンアイズ・オスティアリウス DEF1900
③ヘヴンアイズ・オファニム ATK2800
④ヘヴンアイズ・アルケー ATK2300
⑤ヘヴンアイズ・ドミニオンズ ATK2400
EXデッキ(表):オスティアリウス、エクスシーア、アポロジスト×2
【イーサン】
LP8000 手札:5(グリッドパージ、リブート、エンジン、リレー、インダクタ)
永続魔法:ヴォルタンク・リファインドサーキット
フィールド魔法:ヴォルタンク・カレントコレクター(雷カウンター:3)
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すべてのモンスターが門の奥底へ消え去ると、空いた空間は瞬時に閉塞する。
後に残されたのは、空虚で無機質なアンテナ群だけだった。
静寂が訪れる。
足掻き、抗い、戦った。
しかし、眼前には、立ち並ぶ大天使と、白銀の竜。そして、人智を超えた異形。
それは、戦意を喪失させるには十分すぎる光景だった。
「ヘヴンアイズ・アルケーには、相手の魔法・罠を無効にする効果がある。
お前が手札に加えた罠カードも、意味を成さない」
■天界眼の守護者(ヘヴンアイズ・アルケー)
ペンデュラム
レベル7/光/天使/攻2300 守2700 スケール9
【P効果】
①:1ターンに1度、自分の「ヘヴンアイズ」カードの効果を発動するために、
自分のEXデッキ(表側)のPカードをデッキに戻す場合、
代わりに相手フィールドの表側表示モンスター1体をデッキに戻すこともできる。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分メインフェイズに発動できる。
自分フィールドの「ヘヴンアイズ」魔法・罠カードの数だけ自分はデッキからドローし、
その後、ドローした枚数まで手札のPカードをEXデッキの表側に加える。
この効果でEXデッキに加えたカードが、ドローした枚数より少ない場合、自分は手札を全て捨てる。
②:相手が魔法・罠カードの効果を発動した場合、自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。
その効果を無効にして破壊する。
イーサンの手札の内1枚は、もう機能しない罠カード。
そして3枚は、召喚も特殊召喚もすることができないモンスター。
最後に残されたカードは、まだルーカスの知らない魔法カードだ。
イーサンは、その1枚に手を伸ばす。
まだわずかな闘志の宿った瞳で、上を見上げながら。
「…魔法カード『ヴォルタンク・リブート』発動。
墓地のヴォルタンクを蘇らせる」
■ヴォルタンク・リブート
通常魔法
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分の墓地の「ヴォルタンク」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
②:このカードが墓地に存在する場合に発動できる。
墓地のこのカードをデッキに加えてシャッフルする。
その後、自分はデッキから1枚ドローする。
イーサンは、圧するようにルーカスを視線で射貫く。
それはまるで、この一瞬が、最後の希望であるかのように。
だが、ルーカスは何もしない。
イーサンのデュエルディスクのランプは赤から緑へと変わる。
「…俺は墓地の、ヴォルタンク・ライトニングロッドを特殊召喚」
イーサンの場に、蒼き鉄の塔が現れた。
それはイーサンの背丈を大きく上回る巨躯であったが、
眼前に並び立つ"絶望"を前にしては、あまりにちっぽけで無力な、最後の足掻きに過ぎなかった。
その存在が、このデュエルにおいて何の意味も持たないことに、怜央すらも理解していた。
それでも、イーサンは足掻いた。
足掻いても、もはや何にもならないことは明らかだった。
だとしても、足掻いた。
「…墓地のヴォルタンク・リブートの効果、発動。
墓地のこのカードをシャッフルし、1枚ドローする」
「ヘヴンアイズ・アルケーの効果発動。
EXデッキのヘヴンアイズ・プロフェットをデッキに戻し、その効果を無効にする」
ルーカスはあっけなく、容易く、イーサンの最後の希望を握り潰した。
イーサンの左手が、だらりと垂れ下がる。
それを見た怜央は、もう打つ手がないことを悟る。
「…怜央」
イーサンは、静かに、しかし強く、後方の怜央を呼ぶ。
怜央は、返事をすることすらできなかった。
その声には、"覚悟"が滲んでいたからだ。
イーサンは振り向く。
そして、一言だけ、怜央に伝えた。
「もし俺に何があっても、鍵だけは渡すな…!」
そう告げるイーサンの瞳は、怜央の心臓を貫くほどに鋭く、決して揺らぐことのない確固たる意志を宿していた。
夜の公園の脇に、一台の赤い車が静かに停車する。
ドアが開き、中から降り立ったのは遊次と灯だった。
「ここだよな、怜央が言ってた場所」
「そのはずだけど…変だね、誰もいない」
2人は訝しみながらも、周囲を見渡しつつ広場の方へと足を踏み入れた。
その時、静寂を切り裂いて、耳をつんざくほどの叫び声が響き渡る。
2人は一瞬身を震わせたが、即座にその声の主を追って駆け出した。
視界が開けた先には、衝撃的な光景が広がっていた。
地面に膝をつき、血が滲むほどに拳を地面へ叩きつける怜央。
その前方には、ただ深く首を垂れ、顔を伏せるイーサンの背中があった。
そして彼らが仰ぎ見る階段の上には、物理法則を拒絶するような「天界の縮図」が顕現していた。
純白の甲冑を纏う天使たちが整然と並び、その中心には、数多の「瞳」を瞬かせる巨大な翼の塊が、異質な威圧感を放って浮かんでいる。
さらにその中心。鮮血を啜ったかのような紅蓮の翼を広げ、白銀の竜が静かに頭をもたげた。
竜は咆哮し、その翼を天に向けて垂直に直立させると、
翼の端々からこぼれ落ちる「光の雫」が、イーサンの直上にある虚空に巨大な「光の楔」を形成していく。
それは天の裁きとして、その場に固定された絶対的な滅びの宣告。
その楔は質量を増し、逃れ得ぬ「断罪」となってイーサンの頭上へと浮かび上がっていた。
「なんだよ、これ……」
遊次はただ、絶句するしかなかった。
どんなデュエルが行われたのか。
何故、こんなことになっているのか。
その過程を、到底想像することなどできなかった。
しかし、ただ結果だけは明らかだった。
イーサンは、負けるのだ。
「終わりだ。ヘヴンアイズ・エターナルドラゴンで、ダイレクトアタック」
ルーカスが腕を振り下ろすと、頭上の巨大な光の楔が、張り詰めた糸が切れるような音を立てて爆ぜる。
砕け散った光は、一滴の慈悲も残さない無数の矢へと変貌し、天を覆い尽くした。
刹那、光の豪雨がイーサン目掛けて一斉に襲いかかる。
「…………っ!!」
防ぐ術も、逃げ場もない。
暴力的なまでの輝きと衝撃がイーサンを呑み込み、その身体を激しく地面へと叩きつけた。
イーサン LP0
「イーサンッ!!!」
遊次がフィールドへ近寄ろうとするが、眩き光の雨が、その視界を遮った。
吹き荒れる光の渦が収束し、眼前に並び立っていたモンスターは役目を終えたかのように視界から消える。
やがて静寂が戻ったとき、そこには力なく伏したイーサンの姿があった。
怜央は地に膝をついたままだ。
灯は口元を押さえ、現実を直視できない様子だ。
そして遊次は、ゆっくり階段の頂上にいるルーカスに、視線を移す。
その瞳には、恐怖と怒りが入り交じっていた。
「勝者、ルーカス・ヴラッドウッド」
静寂に包まれた広場に、無機質な機械音声が響き渡る。
続いて、電子音と共にこの決闘によって確定した契約条項が宣告される。
「契約に基づき、イーサン・レイノルズの持つパラドックス・ブリッジ"デーヴァ"への生体認証の使用権限は、ニーズヘッグ・エンタープライズに帰属します。
併せて、イーサン・レイノルズの身柄は以後、ルーカス・ヴラッドウッドの一任下に置かれるものとします」
勝負は、決した。
壇上の審判者であるルーカスは、4人を見下し、吐き捨てる。
「ノブレス・オブリージュ。
世界を救うのは、"選ばれし者"だけだ」
第69話「天界眼(ヘヴンアイズ)」 完
オースデュエルで決した契約により、イーサンはニーズヘッグに捕らえられる。
イーサンを人質に、ルーカスは遊次達の所持する2つの鍵を要求する。
もし断れば、イーサンにはあらゆる苦痛が襲いかかることとなる。
ルーカスの要求に従い鍵を渡せば、ニーズヘッグはパラドックス・ブリッジを起動可能となる。
そうなれば、今度こそ明確にNextの敗北。
セカンド・コラプスが実行され、多くの人々が犠牲になってしまう。
しかしイーサンを見捨てることなど、考えられるはずもない。
遊次は苦悩の果てに、1つの答えに辿り着く。
そして、本来ならば言葉を交わすことすら許されぬ存在と、相まみえる。
「P・Bの鍵、その欠片は我が手の中。C・Nは龍の腹の中。
一刻の内に応答せよ。さもなくば、悲劇は起きる」
次回 第70話「三つ巴」