遊戯王Next   作:湯(遊戯王SS投稿者)

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第71話:次元の塔

大都会の喧騒の中に、威厳を放つ赤煉瓦とテラコッタ造りの壮麗な建築物が鎮座している。

「デュエリア・シンフォニーホール」。

精緻な彫刻が施されたアーチ状の入り口と重厚な石造りの柱は、周囲の近代的なビル群とは一線を画す圧倒的な格調を漂わせていた。

 

その豪奢な建物の前で、遊次・灯・怜央の3人は居心地悪そうに立ち尽くしている。

怜央は苛立ちを隠そうともせず、石畳の地面を何度も強く叩くように足踏みを繰り返していた。

 

今から約1時間前、イーサンがルーカス達に連れ去られ、その身を人質に遊次達の所有するパラドックス・ブリッジの鍵を要求されていた。

しかし遊次の「大統領への直談判」という奇策により、Next対ニーズヘッグの戦いにデュエリア政府が介入。

大統領マキシム・ハイドは、イーサンを解放しなければ政府はNextに味方すると言い放ち、オスカーは渋々それを受け入れた。

 

そしてデュエリア政府は、自らの「モンスターワールド侵攻計画」を放棄せざるを得ないことを認め、

Nextとニーズヘッグ、パラドックス・ブリッジを巡る戦いを制した方に協力すると宣言。

 

わずか8ヶ月で隕石から世界を守るためには、デュエリア政府の協力が必須だ。

ニーズヘッグにとっても、デュエリア政府を見限り強硬手段に出るメリットは少ない。

 

決戦の場は、メインシティに荘厳と佇む「デュエリア・シンフォニーホール」。

遊次達は、ルーカスとジェンがイーサンを連れて現れるのを、今か今かと待っている。

 

 

「…来た!」

 

車道へ視線を向けていた遊次が、不意に目を見開く。

通りの奥から、漆黒の塗装を施された一台の高級車が滑るように現れた。

洗練されたデュエリアの街並みにおいても、その車両の放つ異彩は際立っている。

 

車は遊次たちの前で音もなく停車し、後部座席からルーカスが姿を現した。

彼は遊次と短く視線を交わす。

 

「イーサンは!?」

遊次の鬼気迫る声に、ルーカスは無言のまま車へと目を向けた。

運転席からジェンが降り立ち、後部座席のドアを開ける。

そこから、緑色のパーマヘアの男が足を踏み出した。

 

「イーサン!!」

3人は一斉に、待ちわびた仲間の元へと駆け寄る。

 

「よかった…本当に…」

灯は目に涙を浮かべ、震える声で安堵を口にした。

 

「…心配かけて悪かった。俺が負けたせいで…」

イーサンは思い詰めたように俯く。

 

「何言ってやがる。お前がそこのデカブツに勝ってなきゃ、とうに俺達の戦いは終わってた」

 

怜央は車の傍らに立つ大男「ジェン・ズーシャ」を顎で指しながら言う。

ジェンも感情の読み取れない表情で一瞬こちらに視線を送った。

 

「イーサンに何もしてねえだろうな?」

遊次が鋭い眼光でルーカスを睨みつける。

 

「…何のことだい?それより、早く会場に入ろうよ」

大衆の目に晒されているからか、ルーカスはわざとらしく、薄ら寒いほどに優しい口調で白々しく言い放つ。

 

「大丈夫だ。俺の身柄に関する契約もすでに破棄されてる」

イーサンの言葉に、遊次はほっとした様子で「そうか」と答える。

 

ルーカスがオーケストラホールの扉を開ける。

遊次達も意を決してその後に続いてホールへと足を踏み入れた。

 

視界に飛び込んできたのは、圧倒的な静謐と豪奢が同居する巨大な空間だった。

幾千ものクリスタルが連なるシャンデリアが天井から吊り下げられ、柔らかな光が黄金色の装飾を施された壁面を照らし出している。

緩やかな弧を描きながら上層のバルコニー席まで続くその光景は、数多の名演を刻んできた歴史の重みを感じさせる。

 

舞台を囲むように配置された客席は、深い赤のベルベットで統一されていた。

真っ先に視界を捉えたのは、中央の客席に鎮座する影だった。

白髪のオールバックに、仕立ての良い上着越しでも分かる屈強な背中。

否が応でも視線を引き寄せるその主、大統領マキシム・ハイドは、座ったまま入り口の方を振り向いた。

 

「待ちくたびれたよ、英雄候補の諸君」

 

声を張らずともホールに響くその地響きのような声と、彼が放つ圧倒的な存在感。

灯はその場に射すくめられ、ハイドをまともに直視することさえできずにいた。

 

ハイドの両隣には蒼月とアリシア、2人の大統領補佐官が立っている。

蒼月が中央のステージを指し示した。

 

「両陣営のデュエリストはどうぞあちらへ。すでにゲストは揃っています」

 

促されるように遊次が視線を巡らせると、ホールの壁に背を預け、悠然と腕を組んでいるオスカーの姿があった。

その隣には美蘭がしおらしい様子で立っている。

先ほどの灯とのデュエルでの敗北によるものか、暗く浮かない表情をしている。

 

遊次は、隣に立つ怜央の横顔に視線を走らせた。

怜央はただ一点、前方にある壇上だけを射抜くように見つめ、迷いのない足取りで階段を上っていく。

対峙するようにルーカスも進み出て、二人はステージの中央で真っ向から向き合った。

かつて数多の演奏者が並んだであろうその広大な舞台は、今宵、デュエルフィールドへと変わる。

 

ルーカスは冷徹な眼差しを向け、射抜くような鋭さで怜央を見据えた。

 

「お前達みたいな凡人は、いつも浅い考えで世界を掻き乱す。

許せないな、本当に…」

 

抑え込まれたその静かな声には、剥き出しの憎悪にも似た、尋常ならざる怒りが滲んでいた。

そこには、何か裏付けがあるかのように見えた。

 

「浅ェだの深ェだの、知ったこっちゃねえよ。

世界様に迷惑かけようが、俺は俺が守りてえモンのために戦う」

 

怜央は動じることなく、真っ向から言葉を叩きつけた。

二人は同時に左腕のデュエルディスクを起動させ、臨戦態勢へと入る。

 

「俺からの契約は2つ。イーサンの生体認証を返せ。

それと、Nextに対して強制オースデュエルを使うな」

 

「僕からも2つ。君の持つパラドックス・ブリッジの鍵を渡すことと、

セカンド・コラプス計画にまつわるあらゆる事実を口外しないこと。

鍵は当然持ってるんだろうね?」

 

「あぁ。"グール"の所有権は俺が持ってる」

 

両者は素早く契約を整理する。

怜央はすでに鍵の一つの所有権を灯から譲り受けていた。

オースデュエルは真実を前提にして行われるものだ。

虚偽が含まれる時点でオースデュエルは成立しない。

 

「オースデュエルの開始が宣言されました。内容確認中…」

 

プレイヤー1:鉄城怜央

条件①:ニーズヘッグ・エンタープライズが所有するパラドックス・ブリッジ"デーヴァ"の生体認証使用権限を、イーサン・レイノルズへ返還する

条件②:なんでも屋「Next」メンバーへの強制オースデュエルを禁ずる

 

プレイヤー2:ルーカス・ヴラッドウッド

条件①:パラドックス・ブリッジ"グール"の鍵の所有権を、ルーカス・ヴラッドウッドに譲渡する

条件②:Nextはセカンド・コラプス計画にまつわる事実を口外しないこと

 

詳細な契約内容は、ソリッドヴィジョンの契約書として両者の前に浮かび上がる。

そこには一切の別の解釈の余地がないほどに徹底された文章が記載されており、

承認した時点で、完全なる両者の意図通りの契約にしかならないようになっている。

 

怜央とルーカスは指でソリッドヴィジョンの契約書にサインを行うと、DDASがオースデュエルの開始を宣言する。

 

「契約内容を承認します。デュエルの敗者は、勝者が提示した契約を履行する事が義務付けられます」

 

「デュエル!」

ルーカスのデュエルディスクにランプが灯る。

 

「僕のターン。手札からヘヴンアイズ・アコライトを召喚」

 

■天界眼の灯火手(ヘヴンアイズ・アコライト)

 ペンデュラム

 レベル2/光/天使/攻400 守1000 スケール1

 【P効果】

 このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分メインフェイズに発動できる。

 手札の「ヘヴンアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。

 【モンスター効果】

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター1体をEXデッキに表側で加える。

 ②:このカードをリリースして発動できる。

 デッキから「ヘヴンアイズ」カード1枚を手札に加える。

 

 

現れたのは、銀髪をなびかせた聖女だ。

その瞳は淡い白みがかった水色をしており、右手で黄金のランタンを掲げている。

白き装束に紅の外套を纏い、その頭上には精巧な金のサークレットを着けている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/aYwhBwP

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「ヘヴンアイズ・アコライトの効果発動。

召喚時の効果により、EXデッキの表側にヘヴンアイズ・ヴァーチュスを置く」

 

「さらにヘヴンアイズ・アコライトをリリースすることで効果発動。

デッキから『ヘヴンアイズ』カードを手札に加える。

僕が手札に加えるのは永続魔法『ヘヴンアイズ・セレスティアルゲート』。

そして今手札に加えたこのカードを発動する」

 

 

■天界眼の真珠門(ヘヴンアイズ・セレスティアルゲート)

 永続魔法

 このカード名の②③の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、

 自分の「ヘヴンアイズ」モンスターは相手の効果の対象にならない。

 ②:自分のEXデッキ(表側)のPモンスター1体を対象として発動できる。

 そのカードを特殊召喚する。

 ③:自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。

 自分はデッキから2枚ドローする。

 

ルーカスの眼前に、光を裂いて真珠の門が姿を現した。

円環の意匠を帯びたその巨大な白き門は、天国への入り口を思わせる神々しさを放っている。

 

「ヘヴンアイズ・セレスティアルゲートの効果発動。

1ターンに1度、EXデッキの表側のモンスターを特殊召喚できる。

現れよ、ヘヴンアイズ・ヴァーチュス!」

 

 

■天界眼の力翼霊(ヘヴンアイズ・ヴァーチュス)

 ペンデュラム

 レベル6/光/天使/攻2200 守2100 スケール1

 【P効果】

 このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分が「ヘヴンアイズ」モンスターをP召喚した場合に発動できる。

 相手の魔法・罠カードを全て破壊する。

 【モンスター効果】

 このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードがEXデッキから特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター1体を特殊召喚し、

 デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター1体をEXデッキに表側で加える。

 ②:自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。

 相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

真珠の門が開き、その光の中から、白と紅に彩られた巨大な翼を広げ、鳥人の上級天使が姿を現した。

白銀の羽毛に包まれたその顔には、鋭い嘴と、冷徹に光る水色の瞳が備わっている。

白き衣に黄金の装飾を纏い、足には鋭利な金の鉤爪を備えている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/AfY9rth

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「ヘヴンアイズ・ヴァーチュスの効果発動。

EXデッキから特殊召喚された場合、ヘヴンアイズ1体をデッキから特殊召喚し、

さらにヘヴンアイズをEXデッキに表側で加えることができる。

ヘヴンアイズ・エクスシーアを特殊召喚し、ヘヴンアイズ・アルケーをEXデッキに表側で加える」

 

フィールドに、白銀の重装甲を纏った翼の騎士が降臨した。

白と紅に染まった巨大な翼を広げ、その手には光り輝く剣と、紅蓮の意匠が刻まれた大盾を携えている。

甲冑の奥からは、淡い水色の眼光が鋭く放たれていた。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/L6b38EK

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「エクスシーアの効果発動。EXデッキのヘヴンアイズ・アコライトをデッキに戻し、ヘヴンアイズ・ヴァーチュスを破壊する」

 

エクスシーアが剣を鋭く突き出し、目の前のヴァーチュスを深く刺し貫いた。

衝撃と共にヴァーチュスの体は砕け散り、そのままフィールドから消え去った。

 

(自分のモンスターを破壊…?EXモンスターゾーンを空けるのが狙いか)

怜央はフィールドを見つめ、思考を巡らせる。

 

ルーカスはデュエルディスクを高らかに掲げると、その両端からPゾーンが出現する。

 

「僕はスケール1のヘヴンアイズ・プロフェットと、

スケール9のヘヴンアイズ・オスティアリウスをPスケールにセッティング!」

 

ルーカスの頭上に2体のモンスターが浮かび上がる。

プロフェットは紺青の長髪をなびかせた女性のモンスター。

白銀の装飾が施された白の法衣を纏い、鮮やかな紅の帯が斜めに走る。

頬には神秘的な青い紋様が刻まれ、鋭く澄んだ水色の瞳が静かに揺らめく。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/4CwNMmb

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オスティアリウスは重い金髪で片目を隠した少年のモンスター。

瞳は白みがかった水色をしており、朱の縁取りを施した白き法衣を纏う。

胸元には巨大な青き眼の宝飾があしらわれている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/5eqpuR7

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ルーカスは端然とした立ち姿で両足を揃え、静かに右手を掲げた。

 

「Pスケールは1から9。よって、レベル2から8のモンスターが同時に召喚可能」

呼応するように、頭上の巨大な振り子が左右へと揺れ始める。

 

「天上の聖なる魂達よ、揺れ動く源流によりこの現し世に帰還せよ」

 

「ペンデュラム召喚!現れよ、我がモンスター達!」

口上を唱えると、ルーカスの頭上から2つの光がフィールドへと落ちる。

 

「手札からヘヴンアイズ・ヘラルド!

EXデッキからヘヴンアイズ・アルケー!」

 

ヘラルドは、白みがかった水色の瞳を持つ、白銀の髪の魔道士。

白の法衣に赤の装飾を纏い、胸元には蒼い石の首飾りを下げている。

その手には、青い光を放つ宝珠を冠した銀の杖を携えている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/mCnG2uS

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そしてアルケーは、眩い白金の長髪をなびかせた雄々しき天使。

白と金の豪奢な甲冑に身を包み、真紅のマントを翻すその手には、黄金の戦斧が握られている。

端正な顔立ちに宿る冷徹な意志と雄々しい姿は、戦場に強烈な圧力を放っていた。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/oTtCp46

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「ヘヴンアイズ・アルケーの効果発動。

メインフェイズに1度、自分フィールドの『ヘヴンアイズ』魔法・罠カードの数だけドローし、

その後ドローした枚数だけ、手札のPカードをEXデッキに加える」

 

 

■天界眼の守護者(ヘヴンアイズ・アルケー)

 ペンデュラム

 レベル7/光/天使/攻2300 守2700 スケール9

 【P効果】

 ①:1ターンに1度、自分の「ヘヴンアイズ」カードの効果を発動するために、

 自分のEXデッキ(表側)のPカードをデッキに戻す場合、

 代わりに相手フィールドの表側表示モンスター1体をデッキに戻すこともできる。

 【モンスター効果】

 このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分メインフェイズに発動できる。

 自分フィールドの「ヘヴンアイズ」魔法・罠カードの数だけ自分はデッキからドローし、

 その後、ドローした枚数まで手札のPカードをEXデッキの表側に加える。

 この効果でEXデッキに加えたカードが、ドローした枚数より少ない場合、自分は手札を全て捨てる。

 ②:相手が魔法・罠カードの効果を発動した場合、自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。

 その効果を無効にして破壊する。

 

 

「Pカードは魔法カード扱い。よって永続魔法と合わせてフィールドのヘヴンアイズ魔法カードは3枚。

僕は3枚のカードをドローし、手札からアコライト、オファニム、カントルの3枚をEXデッキに表側で加える」

 

「さらに永続魔法『ヘヴンアイズ・セレスティアルゲート』の効果発動。

EXデッキの表側のPカードを1枚デッキに戻し、2枚ドローできる。

アコライトをデッキに戻し、2枚ドローする」

 

(あれだけフィールドにカードを揃えていながら、手札は減っていない。

EXデッキの表側カードを利用するPデッキか…)

 

蒼月は壇上のルーカスへと視線を据え、その実力を冷静に推し量る。

圧倒的な展開を行いながら、そのリソースは途切れることなく、むしろ増えていく一方だ。

彼を倒すことはやはり容易ではないと、怜央は悟る。

 

「ヘヴンアイズ・ヘラルドの効果発動。

Pゾーンのヘヴンアイズを1体、特殊召喚できる」

 

■天界眼の祝告使(ヘヴンアイズ・ヘラルド)

 ペンデュラム

 レベル3/光/天使/攻900 守1300 スケール1

 【P効果】

 このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:手札のPモンスター1体を相手に見せて発動できる。

 そのカードをEXデッキに表側で加え、

 そのカードとはカード名が異なる「ヘヴンアイズ」モンスター1体をデッキから手札に加える。

 ②:EXモンスターゾーンのPモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターをメインモンスターゾーンに移動する。

 【モンスター効果】

 このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

 ①:自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻し、

 自分のPゾーンの「ヘヴンアイズ」カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを自分フィールドに特殊召喚する。

 ②:自分のフィールドの「ヘヴンアイズ」カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを破壊し、デッキからレベル5以上の「ヘヴンアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「Pゾーンのヘヴンアイズ・オスティアリウスを特殊召喚!」

 

■天界眼の結界手(ヘヴンアイズ・オスティアリウス)

 ペンデュラム

 レベル4/光/天使/攻1600 守1900 スケール9

 【P効果】

 ①:自分の「ヘヴンアイズ」モンスターのP召喚は無効にされない。

 ②:自分フィールドの「ヘヴンアイズ」モンスターは戦闘で破壊されない。

 【モンスター効果】

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:相手モンスターの攻撃宣言時、自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻して発動できる。

 その攻撃を無効にする。

 ②:このカード以外の自分フィールドの「ヘヴンアイズ」カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを破壊し、デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター1体を手札に加える。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

ヘラルドが杖を高らかに掲げると、ルーカスの頭上からオスティアリウスがゆらりと降り立つ。

 

「さらに手札からヘヴンアイズ・ゲートキーパーをPゾーンにセット」

 

ルーカスの頭上に現れたのは、白みがかった水色の瞳を持つ、重厚な白銀の甲冑を纏った老騎士。

金の縁取りが施された白い装甲に、鮮烈な赤の外套。

その手には、中心に蒼い光を宿した環状の意匠を持つ、巨大な斧槍が携えられていた。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/b69Nibb

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「僕は、エクスシーア、アルケー、ヘラルド、オスティアリウスの4体をリンクマーカーにセット!

サーキットコンバイン!召喚条件は、EXデッキから特殊召喚されたモンスターを含む、モンスター4体!」

 

「ここでリンク召喚…!?」

 

「P召喚はもう終わってるってのに…」

想定外のタイミングで放たれた一手に、灯と遊次は驚きと警戒の入り混じった声を上げた。

 

 

4体が光となって弾け、地上に巨大なサーキットが展開される。

4つの回路が火が灯るように赤く染まり、その中心から天を貫く光の柱が立ち昇る。

 

「天界を統べる聖竜よ、救済の煌めきを放ち、輪廻の扉を開け」

 

ルーカスが口上を唱えると、まばゆい輝きが周囲を埋め尽くす中、光の奥から巨大な竜のシルエットが現れる。

 

「リンク召喚!光臨せよ、リンク4!

ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン!」

 

 

■天界眼の久遠竜(ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン)

 リンク/ペンデュラム

 リンク4/光/幻竜/攻3000 スケール9

 【リンクマーカー:左/左下/右下/右】

 EXデッキから特殊召喚されたモンスターを含む光属性モンスター4体

 【P効果】

 このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドのモンスターを対象とする相手の効果が発動した時、

 自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。

 その効果を無効にし除外する。

 ②:自分・相手ターンに発動できる。

 このカードのL素材となるモンスターをフィールドから墓地へ送り、PゾーンのこのカードをL召喚扱いで特殊召喚する。

 【モンスター効果】

 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードの攻撃力は、自分のEXデッキの表側のカードの数×200アップする。

 ②:このカードが特殊召喚した場合に発動できる。

 自分のEXデッキ(表側)のPモンスターを可能な限り特殊召喚する。

 ③:相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に、EXデッキ(表側)のカード1枚をデッキに戻して発動できる。

 それを無効にし、破壊する。

 

 

天を裂く光の奔流を突き破り、白銀の鱗を纏う巨大な竜がその全貌を晒した。

鮮血のような紅を宿した何重もの翼を広げ、首元には白き布を纏う。

白く鋭利な装飾羽が並ぶ頭部からは、青い眼光が鋭く放たれていた。

ただそこに存在するだけで天地を圧するその威容は、

神々しいまでの風格と、逃れようのない重圧を周囲に強いている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/K66hvXU

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「…出やがったな」

眼前の白銀の幻竜を、怜央は睨みつけるように見上げる。

 

「これがルーカス・ヴラッドウッドの切り札か…」

 

アリシアは吐息を漏らすように呟いた。

世界的に知られるニーズヘッグ・エンタープライズの副社長という地位にありながら、彼の切り札を目にした者は極めて少ない。

オスカーの意向により隠密行動を常とする彼らにとって、衆目に自らのデッキを晒す機会は、これまで徹底して制限されてきたからだ。

 

「…実に美しい」

膝の上に置いた両の拳を固く握り、ハイドはただ一言、深く噛み締めるように口にした。

 

「ヘヴンアイズ・エターナルドラゴンの効果発動。

EXデッキから特殊召喚された時、EXデッキの表側から可能な限りPモンスターを特殊召喚できる。

現れよ、ヘヴンアイズ・アルケー!ヘヴンアイズ・エクスシーア!」

 

エターナルドラゴンが奏でるような咆哮を響かせると、天を衝く光の柱から二つの影が降り立つ。

眩い白金の長髪をなびかせた雄々しき天使、そして白銀の重装甲を纏った翼の騎士。

神々しい威容を湛えた2体のモンスターが、静かにフィールドへとその身を下ろした。

 

「ガッハッハ!疑似的に2度目のP召喚を行うとは!」

ハイドは満足げに喉を鳴らし、豪快な笑い声を響かせた。

 

「ヘヴンアイズ・エクスシーアの効果発動。

EXデッキから特殊召喚された場合、デッキからヘヴンアイズPモンスターを2体、EXデッキに表側で加える。

ヘヴンアイズ・アポロジスト2枚をEXデッキに加える」

 

■天界眼の威権士(ヘヴンアイズ・エクスシーア)

 ペンデュラム

 レベル7/光/天使/攻2500 守2400 スケール9

 【P効果】

 このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①自分のEXデッキ(表側)のPモンスター1体を対象として発動できる。

 そのカードを自分のもう片方のPゾーンに置く。

 【モンスター効果】

 このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 (このカードがEXデッキから特殊召喚されている場合、②の効果は1ターンに2度まで使用できる。)

 ①:このカードがEXデッキから特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「ヘヴンアイズ」Pモンスター2体をEXデッキに表側で加える。

 ②:1ターンに1度、自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚をデッキに戻し、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

フィールドに次々と天使が降臨する。

しかしルーカスがその手を止めることはなかった。

 

「手札のヘヴンアイズ・アポロジストは場にヘヴンアイズがいる時、手札から特殊召喚できる」

 

■天界眼の信仰者(ヘヴンアイズ・アポロジスト)

 ペンデュラム

 レベル2/光/天使/攻0 守0 スケール9

 【P効果】

 このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:Pゾーンのこのカードを破壊して発動できる。

 デッキから「ヘヴンアイズ」Pカード1枚を自分のPゾーンに置く。

 【モンスター効果】

 このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

 ②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドに「ヘヴンアイズ」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 ②:自分フィールドの「ヘヴンアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターは、自分のEXデッキ(表側)の「ヘヴンアイズ・アポロジスト」の数によって以下の効果を得る。

 ●1体以上:このカードの攻撃力は、自分のEXデッキ(表側)の「ヘヴンアイズ・アポロジスト」の数×500アップする。

 ●2体以上:このカードは相手の魔法・罠カードの効果を受けない。

 ●3体:このカードは相手のモンスター効果を受けない。

 

現れたモンスターは、深く被ったフードの下、青い単眼を持つ白い仮面を被っている。

赤の縁取りが施された白い法衣を着ており、両手を祈るように固く結んでいる。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/7X4p3WD

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「ヘヴンアイズ・アポロジストの効果発動。

エターナルドラゴンを対象に、効果を付与する」

 

アポロジストはエターナルドラゴンの前で膝をつき、深く頭を垂れた。

するとエターナルドラゴンに、青い光が降り注ぐ。

 

「ヘヴンアイズ・プロフェットのP効果発動。

自分フィールドの『ヘヴンアイズ』モンスターをリリースし、

カード名が異なる同じレベルのヘヴンアイズをデッキから特殊召喚できる」

 

 

■天界眼の代弁者(ヘヴンアイズ・プロフェット)

 ペンデュラム

 レベル3/光/天使/攻1100 守800 スケール1

 【P効果】

 このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドのLモンスター以外の「ヘヴンアイズ」モンスター1体をリリースして発動できる。

 そのカードと同じレベルの、カード名が異なる「ヘヴンアイズ」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 ②:Pゾーンのこのカードを破壊し、自分のEXデッキ(表側)のPカード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを自分のPゾーンに置く。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 【モンスター効果】

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドの「ヘヴンアイズ」Pモンスターまたは「ヘヴンアイズ」Pカードが破壊された場合に発動できる。

 このカードを手札から特殊召喚し、破壊されたカードを自分のPゾーンに置く。

 ②:このカードがEXデッキに表側で加わった場合、

 このカード以外の自分のEXデッキ(表側)のカード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを手札に加える。

 

「レベル2のアポロジストをリリースして、デッキからヘヴンアイズ・アコライトを守備表示で特殊召喚する」

右手にランタンを掲げた銀髪の聖女が膝をついてフィールドに現れる。

 

「僕はこれでターンエンドだ。

エターナルドラゴンはEXデッキの表側のカード1枚につき攻撃力が200上がる。

さらにアポロジストによって得た効果で、EXデッキのアポロジスト1枚につき攻撃力が500アップする」

 

ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン ATK3000 → 6100

 

-------------------------------------------------

【ルーカス】

LP8000 手札:1

 

①ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン ATK6100

②ヘヴンアイズ・アルケー ATK2300

③ヘヴンアイズ・エクスシーア ATK2500

④ヘヴンアイズ・アコライト DEF1000

 

Pゾーン:▲プロフェット、■ゲートキーパー

EXデッキ(表):ヴァーチュス、オファニム、ヘラルド、オスティアリウス、カントル、アポロジスト×3

永続魔法:ヘヴンアイズ・セレスティアルゲート

 

▲□□□■

□④②□③

 □ ①

□□□□□

□□□□□

 

【怜央】

LP8000 手札:5

--------------------------------------------------

 

「さらにEXデッキにアポロジストが2枚以上いれば、エターナルドラゴンは相手の魔法・罠の効果を受けない。

3枚あれば、エターナルドラゴンはモンスター効果も受けなくなる」

 

「今はEXデッキにアポロジストが3枚だ。ってことは…」

 

「エターナルドラゴンはモンスター・魔法・罠の効果を受けない…。

攻撃力6100の、完全耐性…!」

 

オーケストラホールに燦然と輝く白銀の幻竜。

遊次と灯はその美しくも圧倒的なる強さを、逃れようのない重圧として痛感する。

 

「エクスシーア、アルケー、エターナルドラゴンは、EXデッキの表側カードを1枚デッキに戻すことで、

それぞれカードの破壊、魔法・罠の無効化、召喚・特殊召喚の無効化が可能。

さらに永続魔法とPゾーンのゲートキーパーがある限り、ヘヴンアイズは効果の対象にならず、効果で破壊されない」

 

逃げ場のない事実を突きつけるルーカスの声が、冷酷に響く。

 

「ガッハッハ!これはもう勝負あったかな?小さな英雄候補くん」

 

ハイドが嘲笑を湛えた眼差しを向ける。

だが、怜央はその視線を真っ向から跳ね返し、不敵に言い放った。

 

「俺の名は鉄城怜央だ。

こんなフィールド、今からぶっ壊してやるからよく見とけ。大統領"閣下様"よ」

 

言い放つと同時に、怜央は鋭い眼光を崩さぬまま、デッキトップに指を掛けた。

 

「俺のターン、ドロー!」

静まり返ったホールに、鋭いドロー音が響き渡る。

 

「永続魔法『スチームアーミー・サプリングバトルライン』発動!

このカードが存在する限り、俺の魔法・罠カードは破壊されねえ」

 

 

■爆焔鉄甲補給戦線(スチームアーミー・サプリングバトルライン)

 永続魔法

 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在し、

 自分フィールドに「スチームアーミー」モンスターが存在する限り、

 このカード以外の自分フィールドの魔法・罠カードは相手のカードの効果で破壊されない。

 ②:自分フィールドのX素材の無い「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として発動できる。

 墓地・除外状態のモンスターを2体まで選び、そのモンスターの下に重ねてX素材とする。

 ③:装備モンスターが破壊された事で自分の「スチームアーミー」モンスターが墓地へ送られた場合に発動できる。

 自分はデッキから1枚ドローする。

 

 

(この効果を通せば、アルケーの効果で魔法・罠カードを破壊できなくなるが…少なくとも無効にはできる。ここで使うべきじゃない)

 

ルーカスはアルケーの無効効果を使用することなく、怜央に優先権を返す。

 

「フィールド魔法『スチームアーミー・デッドゾーン』を発動!

発動時の効果処理として、スチームアーミーを1体、デッキから手札に加える」

 

 

■爆焔鉄甲閉鎖密集地帯(スチームアーミー・デッドゾーン)

 フィールド魔法

 このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードの発動時の処理として、「スチームアーミー」モンスター1体をデッキから手札に加えることができる。

 ②:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、

 お互いのプレイヤーは、自分のモンスターが1体以上存在する場合、

 自分のモンスターと同じ縦列または隣のモンスターゾーンにしかモンスターを召喚・特殊召喚・セットできない。

 ③:相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その位置を他の相手のメインモンスターゾーンに移動する。

 

 

「ならばその効果に対して、ヘヴンアイズ・アルケーの効果発動。

EXデッキのヘヴンアイズ・ヘラルドをデッキに戻すことで、その効果処理を無効にして破壊する」

 

アルケーがその輝く翼を大きく広げると、奔流となって溢れ出した光がフィールドを飲み込み、発動された効果を無に帰した。

 

「だが、サプリングバトルラインの効果でフィールド魔法は破壊されねえ。

このカードがある限り、お互いに自分のモンスターと同じ縦列か隣にしかモンスターを召喚・特殊召喚できない」

 

アルケーの効果は発動の無効ではなく、効果の無効化だ。

すでに発動済のフィールド魔法は永続魔法によって守られる。

 

周囲の景色が激しく変転を始める。

壮麗なホールを侵食するように、巨大な鉄柵と鋭利な棘が四方にそびえ立ち、閉鎖的な密集地帯が作り上げられた。

赤黒い暗雲が空を覆い、荒廃した地面には生々しい戦闘の痕跡が刻まれている。

 

「手札からスチームアーミー・バーン・スナイパーを召喚!」

 

■爆焔鉄甲 灼狙撃兵(バーン・スナイパー)

 効果モンスター

 レベル4/炎/機械/攻撃力1800 守備力900

 このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、

 対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「スチームアーミー」モンスター1体を手札に加える。

 ③:相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを破壊し、相手に800ポイントのダメージを与える。

 

 

肩から腕にかけてライフルが取り付けられた銅色の機兵が姿を現す。

目にはゴーグル型のレンズが装着されている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/sp2cODa

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

「バーン・スナイパーの召喚時、効果発動。

デッキからスチームアーミー1体を手札に加える。

スチームアーミー・モールス・シグナラーを手札に加えるぜ」

 

「バーン・スナイパーの効果発動。

1ターンに1度、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を破壊して800のダメージを与える。

破壊するのはその永続魔法だ」

 

怜央が言い放つと同時に、バーン・スナイパーが銃口を火吹かせた。

放たれた弾丸はルーカスの前に聳える真珠の門を正確に射抜き、爆砕する。

飛び散る破片と共にルーカスへ熱い衝撃が走る。

 

ルーカス LP8000 → 7200

 

「さらに手札のスチームアーミー・バリケイド・ビルダーを捨て、

スチームアーミー・モールス・シグナラーを特殊召喚!

コイツは手札の『スチームアーミー』カードを1枚捨てて手札から特殊召喚できる」

 

■爆焔鉄甲 号通信兵(モールス・シグナラー)

 効果モンスター

 レベル4/炎/機械/攻撃力1600 守備力1700

 このカード名の、②の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

 ①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、

 対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:このカードは手札の「スチームアーミー」カード1枚を捨てることで、

 手札から特殊召喚できる。

 ③:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから装備カード扱いとなった場合の効果を持つ

 「スチームアーミー」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

現れたのは、錆びた鋼鉄の装甲をまとった機械の通信兵。

胸のモニターと片目のレンズに波打つ通信波が浮かび、信号を受信している。

右手にはアンテナ付きのドライバー、左手には円形の送信装置を握っている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/Phs4Zrr

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「モールスシグナラーの効果発動!

特殊召喚時、デッキから装備カード扱いとなった場合の効果を持つスチームアーミーを特殊召喚できる。

スチームアーミー・ランタン・ナパームを特殊召喚する」

 

■爆焔鉄甲 明照夷弾(ランタン・ナパーム)

 効果モンスター

 レベル4/炎/機械/攻撃力1000 守備力1600

 このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 このカードは魔法&罠ゾーンに1枚しか存在できない。

 ①:このカードがフィールド・墓地に存在する場合、

 自分フィールドの「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として発動できる。

 このカードをそのモンスターの下に重ねてX素材とする。

 ②:このカードの装備モンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。

 ③:装備モンスターが破壊される事によってこのカードが墓地へ送られた場合に発動する。

 破壊された装備モンスターと同じ縦列・隣のカードを全て破壊する。

 

 

現れたモンスターはランタンとナパーム弾が合わさった姿をしている。

縦長の円筒形で作られており、上部には丈夫な金属製の持ち手が付いている。

中央部分にある格子窓からは、内部で揺らめく鮮やかな赤い液体が透けて見える。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/pAOfcoD

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

 

「俺はバーン・スナイパーとランタン・ナパームでオーバーレイ!

2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 

2体のモンスターが眩い光の奔流と化し、地面に現れた銀河の渦へと吸い込まれていく。

激しいエネルギーが弾ける中、怜央の鋭い叫びが荒れ果てた戦場に響き渡った。

 

「猛進する重厚なる鉄塊、その汽笛は激戦の始まりを告げる!

エクシーズ召喚!ランク4!スチームアーミー・レイル・エクスプレス!」

 

空間を裂いて、漆黒の巨大な鉄塊が姿を現した。

もうもうと立ち昇る黒煙と共に、無数の配管と歯車を露わにした蒸気機関車が降り立つ。

煙突からは赤々とした火柱が吹き出し、煤に汚れた重厚な車体は周囲の熱気を孕んで鈍く光る。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/LXkoeMH

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

「赦すはずがない。ヘヴンアイズ・エターナルドラゴンの効果発動。

EXデッキのヘヴンアイズ・ヴァーチュスをデッキに戻し、そのX召喚を無効にする」

 

エターナルドラゴンが紅に染まる翼を広げる。

降り注ぐ白銀の光が、実体化しかけていた巨大な鉄塊を無慈悲に包み込む。

蒸気機関車はその姿を維持できず、線路ごと光の粒子へと分解され、戦場から跡形もなく消え去った。

 

「フッ…手札4枚を消費しながら未だモンスターはゼロですか」

蒼月の舐めるような視線を受け、怜央は隠すことなく苛立ちを露わにした。

 

「ナメんじゃねえ!魔法カード『爆焔鉄甲錆処理槽(スチームアーミー・スチールディゾルブ)』発動!

自分フィールドの表側の『スチームアーミー』魔法・罠を1枚墓地へ送り、2枚のドローができる!」

 

■爆焔鉄甲錆処理槽(スチームアーミー・スチールディゾルブ)

 通常魔法

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分の表側の「スチームアーミー」魔法・罠カード1枚を墓地に送って発動できる。

 自分はデッキから2枚ドローする。

 ②:墓地のこのカードを除外し、

 墓地の「スチームアーミー」モンスター3体を対象として発動できる。

 それらのカードをデッキに戻し、

 デッキから「スチームアーミー」魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。

 

 

「俺はフィールド魔法を墓地へ送り、2枚ドローする」

 

怜央がカードを墓地へ送ると、戦場を覆っていた鉄柵や荒廃した景色が、見る間に赤黒く錆び付いてゆく。

荒廃した景色が剥がれ落ちるように霧散していき、再びオーケストラホールの高い天井と壮麗な空間が現れる。

 

ドローしたカードを見つめる怜央の眼差しは、確信めいた鋭さを増し、一層激しく燃え上がる。

 

「『RUM-リラプス・フォース』発動!

ライフを半分払い、墓地のXモンスターの1つ上のランクを持つモンスターを、X召喚する!

墓地のレイル・エクスプレスを素材に、ランクアップエクシーズチェンジ!」

 

怜央 LP8000 → 4000

 

■RUM-リラプス・フォース

 速攻魔法

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できず、②の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

 ①:LPを半分払い、自分の墓地の「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターよりランクが1つ高い「スチームアーミー」Xモンスター1体を

 X召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚し、このカード及び対象のモンスターをそのX素材とする。

 ②:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「スチームアーミー」Xモンスターが存在する場合、

 フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 自分のフィールド・墓地の「スチームアーミー」モンスター1体を

 対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 

急激に減少するライフカウンターの音と共に、怜央の眼前で凄まじいエネルギーが渦を巻く。

 

「ランクアップマジック…面白いではないか」

 

ハイドの口元に不敵な笑みが刻まれる。

ルーカスが眉をひそめ、警戒を露わに身構える。

その視線の先で、レイルエクスプレスの漆黒の巨躯は、渦巻く銀河の闇へと呑み込まれていった。

圧縮された強大なエネルギーが火花を散らし、激しい光の中で新たな形への再構築が始まる。

 

「暴走する鋼鉄の覇者よ、燃え上がる戦士の魂を乗せ、勝利の彼方へ突き進め!」

 

「エクシーズ召喚!ランク5!

スチームアーミー・ブレイブロード・エクスプレス!」

 

■爆焔鉄甲 暴燃烈車(ブレイブロード・エクスプレス)

 エクシーズモンスター

 ランク5/炎/機械/攻撃力2500 守備力3000

 レベル5モンスター×2

 このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

 「スチームアーミー」モンスターを装備した相手モンスターの攻撃力は、

 装備している「スチームアーミー」モンスターの攻撃力分ダウンする。

 ②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

 自分フィールドの「スチームアーミー」カードは相手の効果で破壊されない。

 ③:このカードのX素材を2つまで取り除いて発動できる。

 取り除いた数だけデッキから「スチームアーミー」モンスターを特殊召喚する。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

轟音と共に白煙が噴き上がり、その中から深紅の重装甲に覆われた鋼鉄の塊が姿を現した。

鋭角的な流線型のフロントが熱気を帯びて眼光のように輝き、地響きを立てて線路と共にフィールドに現れる。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/BcwMtxm

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

「やったっ!」

真っ赤な鋼の列車が姿を現すと、灯はぱっと目を輝かせた。

 

「さらに『RUM-リラプス・フォース』はブレイブロード・エクスプレスの素材となる」

ブレイブロード・エクスプレスの周囲に漂う光球が1つ増える。

 

「ブレイブロード・エクスプレスがいる限り、俺の『スチームアーミー』カードは効果で破壊されねえ。

テメェのエクスシーアの破壊効果はもう効かねえぜ」

 

怜央は眼前に立ちはだかる白銀の重装甲の騎士を鋭く指さした。

 

「よし…!これでアイツの妨害効果は全部乗り越えた!」

遊次は力強く拳を握りしめて歓喜を露わにする。

 

「だがPカードによる破壊耐性はまだ残っている。

怜央が得意とする連鎖破壊戦術は機能しない。

エターナルドラゴンの完全耐性も維持されてる。油断はできないぞ」

 

イーサンは真剣な表情で、ステージを見つめ続ける。

その声に、遊次と灯も気を引き締め直す。

 

「ブレイブロード・エクスプレスの効果発動!

オーバーレイユニットを2つ使い、デッキからスチームアーミーを2体呼び出す!」

 

列車の周囲を漂っていた二つの光球が弾ける。

 

「現れろ!スチームアーミー・ヒート・エンジニア!

スチームアーミー・ファーネス・メディック!」

 

激しく噴き出した蒸気を割り、2体の鋼鉄兵が躍り出た。

ヒート・エンジニアは両腕にバーナーとレンチが装着された機兵。

ファーネス・メディックは琥珀色のオイルが満ちる注射器を携えた衛生兵。

2体は不気味な駆動音を響かせ、戦場へと降り立った。

 

ヒート・エンジニア:ttps://imgur.com/a/2TvljEP

ファーネス・メディック:ttps://imgur.com/a/pdPIdaY

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「ファーネスメディックの効果発動。

1ターンに1度手札のスチームアーミーを1体捨て、カードを2枚ドローする。

その後、手札を1枚デッキの一番下に戻す」

 

■爆焔鉄甲 炉衛生兵(ファーネス・メディック)

 効果モンスター

 レベル4/炎/機械/攻撃力1300 守備力1800

 このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、

 対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:このターン墓地に送られた「爆焔鉄甲 炉衛生兵」以外の

 自分の墓地の「スチームアーミー」モンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターを特殊召喚する。

 ③:手札の「スチームアーミー」モンスター1体を捨てて発動できる。

 自分はデッキから2枚ドローし、その後1枚選んでデッキの一番下に戻す。

 

「手札のスチームアーミー・キー・ロケットボムを捨て、2枚ドロー。

その後手札を1枚デッキの一番下に戻す」

 

「さらにこの時、手札から捨てられたキー・ロケットボムの効果発動。

このカードが手札から捨てられた場合、墓地の『スチームアーミー』カード1枚を手札に加える。

俺は墓地のフィールド魔法『スチームアーミー・デッドゾーン』を手札に戻す」

 

「ファーネス・メディックの効果発動。

このターン墓地に送られたスチームアーミーを墓地から特殊召喚できる。

現れよ、スチームアーミー・キー・ロケットボム!」

 

■爆焔鉄甲 鍵発射弾(キー・ロケットボム)

 効果モンスター

 レベル4/炎/機械/攻撃力900 守備力1800

 このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 このカードは魔法&罠ゾーンに1枚しか存在できない。

 ①:このカードが手札から墓地に送られた場合、

 自分の墓地の「スチームアーミー」カード1枚を対象として発動できる。

 そのカードを手札に加える。

 ②:このカードの装備モンスターは自身と同じ縦列のモンスターしか攻撃対象に選択できない。

 ③:装備モンスターが破壊される事によってこのカードが墓地へ送られた場合に発動する。

 破壊された装備モンスターをコントロールするプレイヤーの同じ縦列・隣のカードを全て破壊する。

 

 

召喚されたのは鍵の形を模したロケット弾のモンスターだ。

黒く煤けた外殻に覆われ、先端部は鍵の形をしており、鋭い歯が複雑に配置されている。

ロケットの胴体にはパイプやチューブが絡み合い、動力を供給するための仕組みが見て取れる。

背面には小型のフィンが配置されており、小さな歯車で動かされる。

尾部には三つの小型のノズルがあり、細かいバネやボルトがその動きを支えている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/dDgA2VA

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

「ファーネス・メディックの効果発動。

お互いのターンに1度、フィールドのスチームアーミー1体をお前のモンスターに装備できる。

キー・ロケットボムをエクスシーアに装備する!」

 

怜央が発動を宣言すると、逡巡の間もなくルーカスは右手を横に振り抜く。

 

「ヘヴンアイズ・エクスシーアの効果発動!

EXデッキのヘヴンアイズ・オスティアリウスをデッキに戻し、自分自身を破壊する!」

 

「ほぉ…」

ルーカスの迷いなき決断にハイドは小さく唸る。

 

命令を受けたエクスシーアは、迷うことなくその白銀の剣を自らの胸元へと突き立てた。

自身の刃に装甲を貫かれた騎士は、内側から溢れ出す眩い光に飲み込まれ、激しい衝撃と共に跡形もなく砕け散った。

 

「アイツ…怜央のデッキの性質をもう理解してやがる」

 

遊次が戦況を見つめ、低く呟く。

そして傍らに立つイーサンが、その意図をなぞるように言葉を添えた。

 

「エクスシーアと同じ縦列にあるPカードが破壊されれば、ヘヴンアイズは破壊耐性を失う。

だからルーカスはすぐに自らのモンスターを切り捨てたんだ」

 

怜央のデッキはスチームアーミーを装備した相手モンスターを破壊し、同じ縦列・または隣に破壊を連鎖していく性質を持つ。

もしエクスシーアがフィールドに残っていれば、エクスシーアが戦闘破壊された場合、

同じ縦列のPゾーンのゲートキーパーまで破壊されてしまい、ヘヴンアイズは破壊耐性を失うこととなる。

その後、別の爆弾が装備されモンスターが破壊されれば、破壊は連鎖し、

完全耐性を持つエターナルドラゴン以外は全て破壊されてしまう危険性がある。

 

ブレイブロードが存在する限り、怜央のカードは破壊できない。

よってルーカスは自らエクスシーアを足切りする道を選んだのだ。

 

「どうやら鼻は利くらしいな。だが、本番はこっからだぜ」

怜央はディスク上の二枚のカードを重ね、エクストラデッキから黒いカードを引き抜いた。

 

「俺はフィールドのヒート・エンジニアとファーネス・メディックでオーバーレイネットワークを構築!」

二体の機兵が光の渦へと呑み込まれ、激しい火花が散る。

 

「燃え盛る鋼鉄の機兵よ、爆煙と共に現れ、敵陣を焦土と化せ!」

 

「エクシーズ召喚!ランク4!

『爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)』!」

 

 

■爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)

 エクシーズモンスター

 ランク4/炎/機械/攻撃力2400 守備力2400

 レベル4モンスター×2

 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードの攻撃力はこのカードのX素材の数×200ポイントアップする。

 ②:このカードのX素材を一つ取り除き、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターを破壊する。

 このカードが炎属性モンスターをX素材としている場合、この効果は相手ターンでも発動できる。

 ③:このカードのX素材を任意の数取り除き、

 その数だけフィールドのモンスターを対象として発動できる。

 対象のモンスター以外の自分のフィールド・墓地の「スチームアーミー」モンスターを選び、

 対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。

 

 

赤と黒の金属板で覆われた炎を纏う鋼鉄の機兵が姿を現す。

背中には大きな燃料タンクとブースターが、左腕にはバーナーが装備されている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/xCmWHEi

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白煙の中から現れた切り札の姿に、遊次達の表情には力強い希望が宿る。

 

「エクスプロードの攻撃力はX素材の数×200アップする。

さらに手札からフィールド魔法『スチームアーミー・デッドゾーン』を再び発動!」

 

フィールドは有刺鉄線が張り巡らされた荒野の戦場へと姿を変える。

 

怜央のフィールドには2体のXモンスターが並び立つ。

荒れ果てた戦場に、煤けた鉄の黒と美しき翼の白がコントラストを描いている。

 

「エクスプロードのオーバーレイユニットを1つ使い、効果発動。

墓地のスチームアーミーを相手モンスターに装備する。

アルケーに墓地のランタン・ナパームを装備!」

 

怜央が右手を振り下ろすと同時に、アルケーの体に不気味な物体が食らいついた。

怪しく燃える『ランタン・ナパーム』の鎖が蛇のように獲物の体へ絡みつき、爆弾を固定するように相手の身を強引に締め上げた。

 

「ブレイブロード・エクスプレスの効果により、

相手モンスターの攻撃力は、装備されているスチームアーミーの攻撃力分ダウンする。

さらにランタン・ナパームが装備されたモンスターの攻撃力は500下がる」

 

ヘヴンアイズ・アルケー ATK2300 → 800

 

-------------------------------------------------

【ルーカス】

LP7200 手札:1

 

①ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン ATK5700

②ヘヴンアイズ・アルケー ATK800

 (スチームアーミー・ランタン・ナパーム装備)

③ヘヴンアイズ・アコライト DEF1000

 

Pゾーン:▲プロフェット、■ゲートキーパー

EXデッキ(表):オファニム、エクスシーア、カントル、アポロジスト×3

 

▲□□□■

□③②□□

 □ ①

□⑦⑧□□

□□□□□

 

【怜央】

LP4000 手札:2

 

⑦スチームアーミー・ブレイブロード・エクスプレス(X素材0) ATK2500

⑧スチームアーミー・エクスプロード(X素材1) ATK2600

 

フィールド魔法:スチームアーミー・デッドゾーン

永続魔法:スチームアーミー・サプリングバトルライン

--------------------------------------------------

 

「ドブネズミらしく、無様に足掻くじゃないか。

でも僕のエターナルドラゴンを倒すには遠く及ばない」

 

ルーカスは余裕を崩さず、静かに言い放つ。

怜央は幾つもの妨害効果を潜り抜けXモンスターを展開するも、エターナルドラゴンは未だ完全耐性と高打点を誇っている。

 

しかし怜央は眼前の白銀の竜を仰ぎ見ると、真っ直ぐルーカスを見据えて言葉を返す。

 

「知らねえようだから教えてやる。

デュエルモンスターズってのはモンスターを全部倒すゲームじゃねえ。

相手のライフを0にするゲームだぜ」

 

煽るようなその言葉に、ルーカスの瞳にはいっそう冷徹な怒りが滲む。

 

「それに、ソイツも無敵ってわけじゃねえだろ。

テメェのモンスターが効果を使うには、EXデッキの表側にモンスターがいなきゃならねえ。

つまり、いつかは"弾切れ"を起こすってわけだ」

 

怜央の言葉に、ルーカスはただ静かに首を横に振った。

 

「弾切れ…ね。確かに起こり得るさ、"理論上は"な。

ヘヴンアイズは破壊されてもEXデッキ…天へと還る。

お前が僕のモンスターを破壊すれば、弾は切れるどころか補充されていく一方だ」

 

しかし、怜央は不敵に口角を吊り上げた。

 

「おめでたい奴だぜ。

まさか、死んだ奴がみんな天国に行くと思ってんのか?」

 

「…何?」

 

射抜くような視線を真っ向から受け止め、怜央は1枚のカードを手札から引き抜く。

 

「永続魔法発動!『スチームアーミー・ディメンションタワー』!」

 

地鳴りとともに、怜央の背後からどす黒く煤けた鉄塔がせり上がった。

螺旋を描いて天へと伸びるその塔は、無骨なリベットと赤錆に覆われている。

装甲の隙間からは重苦しい黒煙が絶え間なく噴き出し、戦場を鉄臭い威圧感で塗り潰した。

 

「このカードが存在する限り、スチームアーミーとのバトルで破壊されたモンスターは、墓地へ行かず除外され、

スチームアーミーの相手カードを破壊する効果は、全て除外する効果に変わる」

 

巨大な塔の出現とともに、フィールドを漂っていた空気が不気味に熱を帯びていく。

 

「なんだと…」

ルーカスの表情が初めて険しくなる。

 

「さらに、俺のスチームアーミーは装備モンスターが破壊されることで破壊が連鎖するが、

この永続魔法があれば装備モンスターが除外された時、さらに周囲のモンスターを除外できるようになる」

 

怜央は一歩踏み出し、逃げ場を断つように声を研ぎ澄ませた。

 

「つまり…Pゾーンのゲートキーパーの破壊耐性は意味を成さねぇ。

テメェのモンスターをぶっ倒せば、そいつは次元の彼方に飛ばされちまうってわけだ」

 

■爆焔鉄甲次元塔(スチームアーミー・ディメンションタワー)

 永続魔法

 このカード名の③④の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、

 自分の「スチームアーミー」モンスターとの戦闘で破壊された相手モンスターは墓地へ行かず除外され、

 自分の「スチームアーミー」モンスターの「カードを破壊する」効果は「カードを除外する」効果となる。

 ②:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、

 自分の「スチームアーミー」モンスターの「装備モンスターが破壊されることで墓地へ送られた場合」の効果は、

 「装備モンスターが除外されることで墓地へ送られた場合」の効果となる。

 ③:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、

 自分の除外状態の「スチームアーミー」モンスター1体を対象として発動できる。

 そのカードを特殊召喚するか、手札に加える。

 ④:お互いのエンドフェイズに発動できる。

 このターン、フィールドから除外されたカードの枚数×500のダメージを相手に与える。

 

ルーカスは口を閉ざしたまま、険しい眼差しを盤面に注ぐ。

 

「イーサンがテメェのデッキを暴いたおかげで、このカードを積めたんだ。

アイツの戦いも無駄にはしねェ」

怜央は鋭く腕を振り、さらに攻勢を強める。

 

「フィールド魔法『スチームアーミー・デッドゾーン』の効果発動!

1ターンに1度、相手モンスターの位置を変更する!アルケーの位置を右端に変更する」

 

怜央が指を差すと、アルケーは瞬時に右端のゾーンへと移し替えられた。

 

-------------------------------------------------

【ルーカス】

LP7200 手札:1

 

①ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン ATK5700

②ヘヴンアイズ・アルケー ATK800

 (スチームアーミー・ランタン・ナパーム装備)

③ヘヴンアイズ・アコライト DEF1000

 

Pゾーン:▲プロフェット、■ゲートキーパー

EXデッキ(表):オファニム、エクスシーア、、カントル、アポロジスト×3

 

▲□□□■

□③□□②

 □ ①

□⑦⑧□□

□□□□□

 

【怜央】

LP4000 手札:1

 

⑦スチームアーミー・ブレイブロード・エクスプレス(X素材0) ATK2500

⑧スチームアーミー・エクスプロード(X素材1) ATK2600

 

フィールド魔法:スチームアーミー・デッドゾーン

永続魔法:スチームアーミー・サプリングバトルライン、スチームアーミー・ディメンションタワー

--------------------------------------------------

 

「バトル!スチームアーミー・エクスプロードで、ヘヴンアイズ・アルケーを攻撃ッ!」

 

エクスプロードの左腕に備わるバーナーが唸りを上げ、猛烈な火炎が放たれる。

アルケーは翼を盾に炎を凌ごうとしたが、その直後、怜央の背後にそびえ立つディメンションタワーが激しい音を立てて駆動を開始した。

溢れ出した黒煙は放たれた炎を飲み込んで膨れ上がり、そのままルーカスへと襲いかかる。

 

「くッ…!」

ルーカス LP7200 → 5400

 

アルケーがいた足元には、ランタン型の爆弾から油が零れ出し、地面をなめるように火が広がり始めていた。

怜央はニヤリとニヒルに笑い、銃口のように2本指を前に突き出す。

 

「アルケーが除外されたことで、ランタン・ナパームは墓地へ送られた。

この時、ランタン・ナパームの効果発動!

装備モンスターがいた位置と同じ縦列・隣のカードを全て除外する!

Pゾーンのゲートキーパーを除外!」

 

その瞬間、ナパーム弾が凄まじい衝撃を伴って炸裂し、噴き上がった爆炎がゲートキーパーを無慈悲に包み込んだ。

断末魔が焦熱の空気を切り裂く中、ディメンションタワーが地を揺らす重低音を響かせて駆動する。

噴出口から溢れ出した濃厚な黒煙は、猛り狂う炎さえも飲み込んで膨張し、瞬く間に戦場の光を塗りつぶしていった。

やがて悲鳴が消え、重苦しい煙が静かに引いたときには、そこにはもうゲートキーパーの姿はなかった。

 

「ようやく風穴を開けたな」

ルーカスに痛手を与えられたことで、イーサンの声には希望が浮かぶ。

 

「ブレイブロード・エクスプレスで、ヘヴンアイズ・アコライトに攻撃!」

 

ブレイブロード・エクスプレスの巨体が烈火を噴き上げ、アコライトへと続く紅蓮の線路を敷設した。

炎の渦を纏って加速する鋼鉄の質量が、逃げ場のない衝撃となって標的を粉砕する。

崩れ落ちる彼女の姿を飲み込むように、背後ではディメンションタワーが重厚な音を立てて再動した。

噴出口から溢れ出した濃厚な黒煙が瞬く間にフィールドを浸食し、砕け散った残滓を捉えて彼方へと除外した。

 

(あの少年…ルーカス・ヴラッドウッドと互角に渡り合っている。

もしや、本当に彼らがニーズヘッグに勝利する可能性も…)

 

アリシアは信じられないといった様子で、対峙する二人を見つめる。

 

ルーカスはぶっきらぼうにスーツのポケットに手を突っ込んでいる。

その表情はすでに涼しい顔に戻っていた。

 

「除外することで破壊耐性を貫通し、EXデッキにもカードを送らせない…ドブネズミにしてはうまく考えたな。

でも、エターナルドラゴンさえ残っていればどうとでもなる」

 

ルーカスの傍らにはエターナルドラゴン…白銀の幻竜が悠然と存在している。

戦地さながらの炎と煙のなかでさえ、そのモンスターは未だ燦然と輝きを放ち続けていた。

 

「多少のダメージは受けたが、致命傷にはならない。

僕に与えたダメージより、自分が支払ったライフコストの方が大きい始末だ。

代償と結果が釣り合っていないな?」

 

怜央のライフは4000。

攻撃力5000オーバーのエターナルドラゴンがいる中、このライフで次のルーカスのターンを乗り越えなければならない。

遊次は浮き足立ちかけていた気持ちを押さえ、再び真剣な表情に戻る。

 

「まだEXデッキの表側にはアポロジスト以外のカードが3枚も残ってる。

このままじゃ、エターナルドラゴンの完全耐性を剥がす前に、お前のライフが尽きる」

 

ルーカスの余裕の言葉に、怜央は静かに返す。

 

「ドブネズミ相手に随分お喋りだな。

さっさと駆除してみろよ、坊っちゃん」

 

ルーカスは一切笑っていない瞳のまま、口元を無理やり歪めて言う。

 

「よかったよ、ドブネズミの自覚があったんだな」

 

ルーカスと激しく視線を交えたまま、怜央はデュエルディスクに触れる。

 

「メインフェイズ2。墓地のランタン・ナパームの効果発動。

このカードはフィールド・墓地から、スチームアーミーXモンスターのオーバーレイユニットにできる。

エクスプロードのオーバーレイユニットに変換する」

 

エクスプロードの周囲に漂う光球が一つ増え、その攻撃力が上がる。

 

スチームアーミー・エクスプロード ATK2800

 

「さらに永続魔法『スチームアーミー・サプリングバトルライン』の効果発動。

1ターンに1度、オーバーレイユニットを持たないXモンスターに、墓地から素材を2つ付与する。

メルト・コーポラルとファーネス・メディックを、ブレイブロードの素材とする」

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ。

この時、永続魔法『スチームアーミー・ディメンションタワー』の効果発動!

お互いのエンドフェイズに、相手フィールドから除外されたカードの数×500のダメージを与える!」

 

聳え立つディメンションタワーの排気孔から、圧縮された蒸気が轟音と共に噴き出した。

黒煙を伴う熱波の奔流が、ルーカスを容赦なく飲み込んでいく。

 

「ッ…」

ルーカス LP5400 → 3900

 

-------------------------------------------------

【ルーカス】

LP3900 手札:1

 

①ヘヴンアイズ・エターナルドラゴン ATK5700

 

Pゾーン:▲プロフェット

EXデッキ(表):オファニム、エクスシーア、カントル、アポロジスト×3

 

▲□□□□

□□□□□

 □ ①

□⑦⑧□□

□□□□□

 

【怜央】

LP4000 手札:0

 

⑦スチームアーミー・ブレイブロード・エクスプレス(X素材2) ATK2500

⑧スチームアーミー・エクスプロード(X素材2) ATK2800

 

フィールド魔法:スチームアーミー・デッドゾーン

永続魔法:スチームアーミー・サプリングバトルライン、スチームアーミー・ディメンションタワー

伏せカード:1

--------------------------------------------------

 

EXデッキにアポロジストが3枚ある限り、エターナルドラゴンは完全耐性を持つ。

怜央はディメンションタワーという一手により、ルーカスのEXデッキに溜めさせないことで、

いずれはアポロジストをEXデッキから排除せざるを得なくなると考えるが、エターナルドラゴンを倒すには至らなかった。

 

ルーカスのEXデッキには、強力な上級Pモンスターが置かれている。

次なるP召喚を許せば、モンスターの圧倒的な効果が怜央に牙を剥くこととなる。

 

次のターンでライフを守りきれなければ反撃のチャンスは得られない。

戦いはまだ、始まったばかりだ。

 

第71話「次元の塔」 完

 

 

 

 

怜央の鉄壁の守りを覆すために、ルーカスは猛攻を仕掛ける。

そしてまたも口にする。「凡人が世界を乱すな」と。

 

その瞳に怜央は疑念を抱く。

他人を蔑みドブネズミ扱いするルーカスが、正義のために世界を救おうと本気で考えているとは思えない。

 

ルーカスは言う。これは"使命"だと。

彼の脳裏には、雨の中、地に頭をつけ必死に縋りつく祖父…ヘックス・ヴラッドウッドの姿が浮かぶ。

 

その光景は、ルーカスに強い執念と怒りを植え付けた。

 

 

「すぐ腐る甘い泥をこねくり回すだけの無能が、

なんで"その人"を貶められるんだ?」

 

次回 第72話「ノブレス・オブリージュ」

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