ついに始まった、遊次とオスカーの最終決戦。
オスカーは遊次に対し「なんでも屋Nextがセカンド・コラプス計画に従うこと」を条件とした強制オースデュエルを仕掛ける。対して遊次も「セカンド・コラプス計画の破棄」を突きつけ、雌雄を決する戦いの火蓋が切られた。
遊次は先攻から対オスカーの戦術を披露。自分の魔法&罠ゾーンを埋め尽くした後、それを相手の魔法・罠ゾーンと入れ替えることで、装備魔法を多用するオスカーの盤面を物理的に圧迫した。
しかしオスカーは装備魔法を送り付ける戦術で応戦。遊次のフィールドにいる「幽玄のカリオストロ」に対し、装備魔法「ホラーアームズ・デモンズコア」を発動する。これは装備モンスターをアンデット族に変え、効果発動時にコントロールを奪うというものだ。
「幽玄のカリオストロ」は相手の効果を「自身のコントロールを相手に移す」効果に書き換えることができる。だが、その効果を使えばカリオストロはオスカーの場に移る。装備魔法つきのアンデット族を融合素材とするオスカーにとって、それは好都合な展開となってしまう。
さらにオスカーは破壊効果を持つ「アームドホラー・ペルフェゴル」を召喚。このままカリオストロが破壊されれば、遊次は総攻撃を受け大きくライフを失う。
残された手は2つ。
1つは、カリオストロの効果でペルフェゴルの破壊効果を書き換えること。しかしデモンズコアの効果により、カリオストロはオスカーに奪われる。
もう1つは、墓地の「爆炎の予告状」をルパンによって除外し、相手フィールドを一掃すること。これならば大ダメージは防げるが、同時に自らが仕掛けた魔法&罠ゾーンのロックも破壊してしまう。
もしオスカーの魔法&罠ゾーンが空けば「アームドホラー・ドラゴン」の融合召喚を許してしまう。装備魔法を装備したアンデット族3体を素材とする、かつて遊次を敗北させたモンスターだ。
"あいつだけは降臨させてはならない"。その警戒が、遊次の決断を鈍らせていた。
遊次は手札の1枚のカードに視線を送る。
それは「妖義賊-助太刀のサルバトーレ」。
自分のモンスターの破壊に反応して手札から特殊召喚し、さらには相手の墓地のモンスターを奪うカードだ。
(コイツがいれば、バトルフェイズ中に俺を守るモンスターが2体増えるから、死ぬことはねえ。だったら、次のターンのことを考えて魔法・罠を圧迫した状態を残しておきたい。そうすりゃ、オスカーはどう転んでも装備魔法を1枚しか使えない。融合モンスターを呼ばれても、装備魔法が1枚なら怖くねえしな)
ペルフェゴルの効果に対して、カリオストロの効果を使えばいい。そうすればアームドホラー・ドラゴンが現れることはないのだ。
遊次は意を決して前を向く。
しかしふと、その視線はオスカーの頭上へと吸い寄せられた。そこにいたのは、シチベエの効果で自分のPゾーンから相手の場へと移された「妖義賊-山嵐のユライ」の姿だ。
その存在を視認した瞬間、遊次の瞳が大きく見開かれ、全身を鋭い戦慄が駆け抜けた。
遊次の脳裏に、一瞬よぎった光景。それは、カリオストロがオスカーのフィールドへ移った直後、オスカーが伏せられたカードを開くと、その頭上にいるユライが遊次のフィールドへと急下降し、斧を振り抜く姿。そして現れる、悪魔のアンデット、アームドホラー・ドラゴン。
(…ダメだ!カリオストロを渡したら、死ぬ…!)
背筋を走る凍えるような寒気が全身を貫く。
突如として石のように硬直し、凄まじい形相を晒す遊次の姿。そのあまりの変貌に、灯はただならぬ危うさを感じ取っていた。
遊次はある重大な見落としをしていた。それは、オスカーのフィールドに"自分のカード"があるということ。
カリオストロがオスカーの場に移れば、オスカーの場に伏せられた「妖義賊がフィールドにいる場合」に発動できるカードがその条件を満たすこととなる。
それは、罠カード「妖義賊の羽衣」。
遊次が前のターンに手札に加えたカードだ。
これをオスカーが発動すれば、圧迫した魔法・罠ゾーンに空きができてしまう。
さらにオスカーのPゾーンの山嵐のユライは、元々の持ち主が相手となるカードの効果を発動した時、相手フィールドのカードを1枚破壊する効果を持つ。「妖義賊の羽衣」の発動をトリガーにユライの効果が発動されれば、遊次の場のモンスターは破壊されてしまう。
そして魔法・罠ゾーンが空いたことで新たな装備魔法が装備されれば、デモンズコアによってオスカーの場に移ったカリオストロを含め、装備カードを装備したモンスターは3体。アームドホラー・ドラゴンの融合召喚を避ける手段はない。そして装備魔法によって攻撃力を4500に上昇させたアームドホラー・ドラゴンの2回攻撃が遊次を襲う。
つまり、ペルフェゴルの効果をカリオストロで無効にした時点で、遊次は敗北していたのだ。
優先権を返すわずかコンマ数秒前の、この瞬間に。
遊次はぎりりと奥歯を噛み締め、墓地から引き抜いた一枚のカードを鋭く突き出した。
「怪盗ルパンの効果発動!相手から奪ったモンスターを素材としている時、墓地の予告状を除外できる!爆炎の予告状を除外!」
ルパンの手元で紅蓮に燃える予告状が、真っ直ぐに前方へと投げ込まれる。
「破滅の未来を見たか」
オスカーは俯瞰したように小さく呟く。
「除外された爆炎の予告状の効果発動!相手フィールドのカードを全て破壊する!」
直後、鼓膜を震わせる爆音とともに、フィールドに渦のような火炎が燃え広がった。逆巻く業火は地を這い、最前線の亡者たちを足元から執拗に舐め上げる。声にならない呻きを上げながら、アンデット達は熱波に灼かれ、その肉体をボロボロと崩しながら炎の底へと溶け落ちていった。
破壊の連鎖は止まらない。勢いを増した爆炎は舞い上がり、オスカーの頭上に浮遊する義賊や背後の魔法・罠をも瞬く間に灰へと変える。そしてカリオストロに寄生していた禍々しい心臓が、ガラス細工のように爆砕する。
荒れ狂う炎がようやく収まり、黒煙がゆっくりと流れていく。遮られていた視界が晴れたその先。静まり返った焼け野原に、霧のヴェールを纏った海賊テューロバスだけが取り残されていた。
「バンシーヴェイルを装備したテューロバスは相手の効果を受けない」
バンシーヴェイルはアームドホラー・アルベレトの効果により遊次のフィールドへ置かれているため、破壊を免れている。
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【遊次】
LP8000 手札:4(儀式の予告状)
①妖義賊-怪盗ルパン DEF1500
②妖義賊-幽玄のカリオストロ ATK2700
③妖義賊-美巧のアカホシ ATK2800
④妖義賊-夜駆けのシチベエ DEF1500
装備魔法:バンシーヴェイル
【オスカー】
LP8000 手札:3(ショックグリーヴ)
①アームドホラー・テューロバス ATK1600
(バンシーヴェイル装備)
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オスカーのフィールドはほとんど壊滅状態だ。大きな打撃を与えたことには変わりない。それでも、遊次は苦々しい表情のままだった。
オスカーは言った。「縄を解く方法は、自らが足掻くだけではない」と。彼は自らの手を使うことなく、遊次にその縄を解かせたのだ。
「墓地のアームドホラ・フュージョンの効果発動。このカードを除外し、墓地のアームドホラー2体を特殊召喚し、墓地の装備魔法を装備する。そしてその2体を素材に融合召喚を行う」
■アームドホラー・フュージョン
速攻魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドのモンスターを融合素材とし、「アームドホラー」融合モンスター1体を融合召喚する。
②:このカードを墓地から除外し、自分の墓地の「アームドホラー」モンスターを任意の数だけ対象として発動できる。
それらのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。
その後、選んだ枚数と同じ数だけ自分の墓地の「ホラーアームズ」装備魔法を選択してこの効果で特殊召喚したモンスターに装備し、
それらのモンスターを融合素材として、「アームドホラー」融合モンスター1体を融合召喚する。
この効果で融合召喚したモンスターはこのターン、直接攻撃できない。
「墓地のファイノメネウスとメラブエルを復活させ、デモンズコアとディアボリックキャノンを装備。この2体で融合召喚を行う。召喚条件は、装備カードを装備したアンデット族2体」
地を割って這い出したファイノメネウスの胸腔で、血管の浮き出た心臓――デモンズコアが拍動を始める。呼応するように、隣り合うメラブエルもまた、両肩に捩じれた骨の双砲ディアボリックキャノンを構えて立ち上がった。二体の亡骸は、直後に足元で逆巻く紫の渦へと引きずり込まれ、その姿を深淵の中へ融解させていく。
装備カードを装備したモンスター同士の融合という異質な条件に、ハイドは興味深そうに声をあげる。これまで隠されて来た彼の実力を目にし、満足げな笑みを浮かべながら。
「奈落の誘いに抗いし不屈の英雄。その朽ちぬ魂は絶望をも支配する」
「融合召喚!
現れ出でよ『アームドホラー・ディオメデウス』!」
■アームドホラー・ディオメデウス
融合モンスター
レベル6/闇/アンデット/攻撃力2600 守備力2000
装備カードを装備しているアンデット族モンスター2体
このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが融合召喚した場合に発動できる。
自分のデッキ・墓地・手札から装備魔法カードを2枚まで選び、このカードに装備する。
この効果に対して相手はカードの効果を発動できない。
②:相手モンスターが効果を発動した時、このカードに装備されている装備カード1枚を墓地へ送って発動できる。
その発動を無効にし除外する。
③:自分の墓地のアンデット族モンスター2体を除外して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚し、墓地または除外状態の装備カード1枚をこのカードに装備する。
現れたモンスターは、黒鉄の鎧をまとった亡霊の騎士。鈍く金を帯びた装甲は幾重にも重なり、胸部と腰には骸骨を模した装飾が施されている。兜の奥は暗く沈み、表情は読めない。だが、その沈黙そのものが威圧となって空気を支配していた。手にした剣は長く、刃に埋め込まれた青い紋が静かに脈動している。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/SSDQ8Ua
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「墓地のデモンズコアの効果発動。装備モンスターが融合素材となった時、カードを1枚ドローする」
「融合召喚されたディオメデウスの効果発動。デッキ・墓地・手札から装備魔法を2枚、自身に装備する。この効果に相手はチェーンできない。墓地からディアボリックキャノンを、デッキからインファーナルクローを装備」
ディアボリックキャノンがディオメデウスの両肩を強引に繋ぎ止め、右腕に黒鉄を捩じり鍛え上げた巨大な爪『インファーナル・クロー』が装着される。
「ディアボリックキャノンを装備したディオメデウスの攻撃力は1000アップし、2回の攻撃が可能となる。さらにチェーン1のデモンズコアの効果により1枚ドローする」
フィールドが破壊されたことなど意に介さず、オスカーは再び淡々と処理を始める。しかしこの光景は遊次の想像通りだ。
「ディオメデウスは自身の装備カードを墓地に送ることで、相手モンスターの効果を無効にし除外できる。この効果は装備カードが尽きぬ限り使用可能だ」
アリシアはその融合モンスターの圧倒的な強さに慄き、低く呟く。
「これでは神楽君は手も足も出ない…」
蒼月はその隣で、彼女に意味ありげな視線を送った。
「手札のアームドホラー・エタナフォラスの効果発動。レベル5以上のアームドホラーが俺のフィールドに存在する時、手札から特殊召喚できる」
■アームドホラー・エタナフォラス
効果モンスター
レベル6/闇/アンデット/攻撃力2200 守備力1700
このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドにレベル5以上の「アームドホラー」モンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
②:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「アームドホラー」罠カード1枚を手札に加える。
③:相手が魔法カードの効果を発動した場合に発動できる。
その効果を無効にして破壊する。
現れたのは、黒き外套を纏う骸の王。嘴のような仮面の奥で青白い光が瞬き、背後には淡い光輪が浮かぶ。その身は、骨と朽ちた羽根で構成された巨鷲のアンデットにまたがって飛行している。鷲の胸骨の奥で蒼光が脈打ち、鎖に吊られた宝石が微かに揺れている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/gC6iDvp
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「エタナフォラスの特殊召喚時、効果発動。デッキからアームドホラー罠カード1枚を手札に加える」
オスカーが手札に加えたのは「アームドホラー・ブラッドロップ」という永続罠だった。
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【遊次】
LP8000 手札:4(儀式の予告状)
①妖義賊-怪盗ルパン DEF1500
②妖義賊-幽玄のカリオストロ ATK2700
③妖義賊-美巧のアカホシ ATK2800
④妖義賊-夜駆けのシチベエ DEF1500
装備魔法:バンシーヴェイル
【オスカー】
LP8000 手札:4(ショックグリーヴ、ブラッドロップ)
①アームドホラー・テューロバス ATK1600
(バンシーヴェイル装備)
②アームドホラー・ディオメデウス ATK3600
(ディアボリックキャノン、インファーナルクロー装備)
③アームドホラー・エタナフォラス ATK2200
装備魔法:ディアボリックキャノン、インファーナルクロー
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カリオストロの効果書き換えは、あくまでのフィールドの効果に対して発動可能であるため、エタナフォラスの特殊召喚を止めることはできない。また、罠カードサーチ効果をカリオストロで止めようとしても、ディオメデウスの効果で除外されてしまう。そうなれば壁モンスターが消え、ダメージが増えるのみだ。
しかし、オスカーも現状はこれ以上の展開はできずにいた。ディオメデウスの融合召喚後、ディオメデウスに1枚だけ装備魔法を装備させるルートもある。その場合、エタナフォラスにデモンズコアを装備すれば、装備カードを装備したモンスターは3体。テューロバスの効果で融合召喚を行えば、アームドホラー・ドラゴンを呼び出せる。
しかしこの効果にカリオストロの効果をチェーンすれば、そのコストとして遊次のフィールドのバンシーヴェイルが墓地へ送られ、テューロバスの装備カードが外れる。さらにカリオストロの効果を無効にするためには、ディオメデウスは自身の装備カードを墓地へ送る必要がある。そうなれば装備カードを装備しているのはエタナフォラスのみとなり、アームドホラー・ドラゴンどころか融合召喚そのものが不発となってしまうからだ。
「バトル。アームドホラー・ディオメデウスで幽玄のカリオストロに攻撃」
ディオメデウスが手にした大剣のルーンに、冷たい蒼光が宿る。鋼を振り抜く一閃とともに、空間を歪めるほど強烈な霊的波動が放たれた。実体を伴わぬ蒼い衝撃はカリオストロの胴体を真っ向から刺し貫き、その輪郭を内側から爆ぜさせると、亡霊のごとく暗がりの底へ霧散させていった。
「ぐっ…!」
遊次 LP8000 → 7100
「チェーン1でディアボリックキャノン、チェーン2でインファーナルクローの効果を発動。ディアボリックキャノンは、装備モンスターが相手モンスターを破壊した場合、デッキからアームドホラーを特殊召喚する。インファーナルクローは、装備モンスターが相手モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの元々の攻撃力分ダメージを与える」
「このままじゃ遊次のライフが…!」
観客席の灯たちは目を見開き、遊次へ死の刃が突き付けられている事実を知る。デッキからどんなモンスターを呼ばれるかわからない以上、この連撃とバーンダメージで一気にライフを減らすことは致命傷に繋がる。しかし遊次は真っ直ぐ前を見据えたまま、手札の1枚のカードを表へ向ける。
「手札の『妖義賊-助太刀のサルバトーレ』の効果発動!自分のモンスターが破壊された時、コイツを手札から特殊召喚して、さらに相手の墓地のモンスター1体を俺のフィールドに特殊召喚できる!」
この効果が通れば一気に壁モンスターが2体増え、遊次へのダイレクトアタックは不可能となる。
オスカーが採る選択は一つだった。
「アームドホラー・ディオメデウスの効果発動。装備されているインファーナルクローを墓地へ送り、その効果を無効にし除外する」
「だけどインファーナルクローがフィールドからなくなった以上、ダメージを与える効果も消える!」
サルバトーレの効果が無効になることも当然、遊次には折り込み済みだった。遊次の狙いは、ディオメデウスの装備魔法を1枚削り、2回攻撃+特殊召喚、またはバーンダメージのどちらかを打ち消すこと。
灯はほっと胸をなで下ろし、大きく息を吐く。
「…そのタフネスは称賛に値する。だが逆転の一手にはならん。チェーン1のホラーアームズ・ディアボリックキャノンの効果により、デッキからアームドホラーを特殊召喚する。現れよ、アームドホラー・ケルヴァラク」
■アームドホラー・ケルヴァラク
効果モンスター
レベル7/闇/アンデット/攻撃力2400 守備力2000
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:手札の「アームドホラー」モンスター1体を相手に見せて発動できる。
そのカードを墓地へ送り、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力をターン終了時まで半分にする。
②:相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを除外する。
このカードが装備カードを装備している場合、この効果は相手ターンでも発動できる。
③:お互いのエンドフェイズに発動できる。
自分のデッキから「アームドホラー」魔法カード1枚を手札に加える。
現れたのは大きな槍を携えた上級アンデット族モンスターだ。全身は黒鉄の鎧に覆われ、髑髏の顔の眼窩から青い光が漏れ、冷ややかな輝きが周囲を照らす。青白い炎を宿した燭台が片手からぶら下がり、揺れるたびに鎧の影が不気味に伸びる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/OXS7xax
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「ディアボリックキャノンを装備したディオメデウスは連撃が可能。ディオメデウスで美巧のアカホシへ攻撃」
アームドホラー・フュージョンの墓地効果で召喚されたモンスターは、このターン直接攻撃できない。ディオメデウスの両肩に据えられた砲口が唸りを上げ、濃密な闇が収束する。次の瞬間、空間が歪むほどの魔力圧が溢れ、二条の闇が同時に放たれた。奔る砲撃は一直線にアカホシを貫き、爆ぜる黒光の中でその躯を跡形もなく破壊した。
「ぐっ…!」
遊次LP7100→6300
「アームドホラー・テューロバスで、夜駆けのシチベエを攻撃」
テューロバスが銃を水平に構え、シチベエへ狙いを定めた。引き金と共に放たれた青い爆炎が、標的の胸元を無慈悲に貫く。甲高い悲鳴と共に衝撃にのけぞるシチベエの肉体は、内側から溢れ出す光に飲み込まれ、激しい明滅の末にガラスのように爆砕した。
「アームドホラー・エタナフォラスで怪盗ルパンへ攻撃」
エタナフォラスは大鷲のアンデットに乗り、空を滑空しながら、右手を掲げた。掌に浮かぶ魔法陣が淡い蒼光を放ち、周囲の空気を震わせる。瞬く間に凝縮された魔力が弾丸となり、鋭い音を残して解き放たれた。奔る魔導弾は一直線にルパンへと突き進み、衝突の瞬間、眩い光とともに爆ぜた。
これで遊次のフィールドにモンスターは存在しない。遊次の秘策を軽々しく超え、追い詰めるオスカーの背中を見つめ、美蘭は久方ぶりに笑みを浮かべた。
「アームドホラー・ケルヴァラクでダイレクトアタック」
ケルヴァラクの眼窩が蒼く閃いた。次の瞬間、重装の身体が地を踏み鳴らし、振りかぶられた長槍が唸りを上げ、漆黒の軌跡を描いて突き出された。鋭い穂先は空気を裂き、遊次の胸を貫く。
「があぁああっ…!!」
LP 6300 → 3900
その衝撃に、遊次は思わず膝をつく。
「バトルフェイズは終了だ」
なんとか一命を取り留めたことで、灯は大きく息を吐く。数多の障壁を超え、遊次のライフは一気に削られてしまった。やはり簡単に敵う相手ではないことを、痛いほど実感させられる。
しかし、まだオスカーのターンは終わっていない。次に発せられる彼の声は、遊次達を再び不安の最中へと突き落とす。
「メインフェイズ2。アームドホラー・テューロバスの効果発動。フィールドのモンスターを素材に、融合召喚を行う」
「っ、まだ何かあるってのかよ…!」
装備カードを装備したモンスターは2体。アームドホラー・ドラゴンの召喚条件は満たしていない。それは即ち、未知のモンスターの降臨を意味していた。
「召喚条件は、装備モンスターを装備したアンデット族融合モンスター1体と、装備モンスターを装備したアンデット族1体。テューロバスとディオメデウスを素材に、融合召喚を行う」
指定された2体のモンスターは、足元で逆巻く紫の渦へと引きずり込まれてゆく。
「煉獄の悪魔と交わりし賢者よ、冥界の秩序に背き、死せる魂を呼び醒ませ」
「融合召喚。降臨せよ!
『アームドホラー・アスクレマリウス』」
■アームドホラー・アスクレマリウス
融合モンスター
レベル7/闇/アンデット/攻撃力2400 守備力2700
装備カードを装備しているアンデット族融合モンスター+装備カードを装備しているアンデット族モンスター
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが融合召喚した場合に発動できる。
自分のデッキ・墓地・手札から装備魔法カードを2枚まで選び、このカードに装備する。
②:このカードの装備カード2枚を墓地へ送って発動できる。
デッキから「アームドホラー」魔法カードまたは「ホラーアームズ」装備魔法カード1枚を手札に加え、「アームドホラー」罠カード1枚を墓地へ送る。
③:自分・相手ターンに、自分フィールドの装備カード1枚を墓地に送り、
墓地の「アームドホラー」融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
現れたのは、額の中央に巨大な単眼を宿した異形の魔導士だ。引き裂かれた漆黒の法衣を纏い、剥き出しになった肋骨の檻の中では、蒼い霊的な炎が絶え間なく明滅を繰り返している。握りしめた杖の先には蛇の頭骨が据えられ、その顎からは絶えることなく死の冷気を帯びた青い煙が溢れ出していた。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/3eeVKlh
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「融合召喚されたアスクレマリウス、墓地へ送られたテューロバスの効果が同時に発動。チェーン2のテューロバスの効果により、このカードが効果によって墓地へ送られた時、デッキからホラーアームズを1枚墓地へ送ることができる。ホラーアームズ・ネクロメイルを墓地へ送る」
「チェーン1のアスクレマリウスの効果。融合召喚した時、デッキ・墓地・手札の装備魔法を2枚まで装備できる。墓地のネクロメイルとデッキのマレフィックアイを装備」
アスクレマリウスに白骨を組んだ鎧が装備される。さらにその単眼に装飾具が深く食い込む。黒鉄で鋳造された環は、まるで呪縛の鎖の一部のように眼窩を覆い、その中央に埋め込まれた宝玉が不気味な赤黒い光を脈打たせている。
「アスクレマリウスの効果発動。1ターンに1度、自身の装備カードを2枚墓地へ送ることで、デッキからアームドホラーまたはホラーアームズ魔法カードを1枚手札に加え、ホラーアームズ罠カード1枚を墓地へ送る。永続魔法『アームドホラー・カースエンブレイス』を手札に加え、罠カード『アームドホラー・デスラトル』を墓地へ送る」
「墓地へ送られたマレフィックアイとネクロメイルの効果発動。1ターンに1度手札へと戻る。手札に加えた永続魔法『アームドホラー・カースエンブレイス』を発動。この永続魔法が存在する限り、俺のホラーアームズ装備魔法は効果で破壊されない」
■アームドホラー・カースエンブレイス
永続魔法
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの「ホラーアームズ」装備魔法カードは相手の効果で破壊されない。
②:自分メインフェイズに発動できる。
手札から「アームドホラー」モンスター1体を特殊召喚する。
③:自分フィールドの装備カードを装備していない「アームドホラー」モンスター1体を対象として発動できる。
手札・デッキから「ホラーアームズ」装備魔法カード1枚を選び、そのモンスターに装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
オスカーの前に、骨で構成された巨大な両腕が現れる。魔女の腕を思わせるように、爪は長く、細長い。
「永続魔法『アームドホラー・カースエンブレイス』の効果発動。お互いのターンに1度『アームドホラー』モンスター1体に、デッキからホラーアームズを装備できる。ホラーアームズ・スティジアンウィングを装備」
アスクレマリウスに黒鉄の翼が装備される。骨格は機械のように節で分かれ、表面には焼けた鉄と霜のような白錆が入り混じる。薄く伸びた金属膜には細かい裂け目が走り、内側を通る青白い光が脈打つたび、ひびの縁が微かに開閉する。
「アスクレマリウスの効果発動。お互いのターンに1度、装備魔法を1枚墓地へ送り、墓地のアームドホラー融合モンスターを特殊召喚できる。スティジアンウィングを墓地へ送り、ディオメデウスを復活させる」
再び黒鉄の鎧をまとった亡霊の騎士がフィールドへ現れる。
「墓地へ送られたスティジアンウィングは、自身の効果で手札へと戻る。手札からホラーアームズ・ネクロメイルをディオメデウスへと装備。さらに手札からホラーアームズ・スティジアンウィングをケルヴァラクに装備する」
ディオメデウスは白骨の鎧を纏い、ケルヴァラクは黒鉄の翼を装着する。
「ケルヴァラクの効果発動。相手の墓地のカードを1枚除外することができる。貴様の『妖義賊の羽衣』を除外する」
今除外されたカードは、墓地から除外することで墓地の妖義賊を復活させるカードだ。
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド。エンドフェイズ時、ケルヴァラクの効果発動。デッキからアームドホラー魔法カードを手札に加えることができる。アームドホラー・ヴィシャスサイクルを手札に加える」
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【遊次】
LP3900 手札:3(儀式の予告状)
【オスカー】
LP8000 手札:5(ショックグリーヴ、マレフィックアイ、ヴィシャスサイクル)
①アームドホラー・アスクレマリウス ATK2400
②アームドホラー・エタナフォラス ATK2200
③アームドホラー・ケルヴァラク ATK2400
(スティジアンウィング装備)
④アームドホラー・ディオメデウス ATK3600
(ネクロメイル装備)
装備魔法:ネクロメイル、スティジアンウィング
永続魔法:カースエンブレイス
伏せカード:1
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相手モンスター効果を無効にし除外するディオメデウス。能動的に墓地の融合モンスターを蘇生するアスクレマリウス。不気味に息を顰めるセットカード。遊次に大ダメージを与えた後、オスカーはこの圧倒的な制圧盤面を作り上げた。
「これがオスカー・ヴラッドウッドのデュエルか。
禍々しく力強い、だが非常に繊細だ」
ハイドの口から、低く絞り出すような唸り声が響く。
遊次は険しい表情でフィールドを見つめる。
1歩間違えれば、あと0コンマ数秒判断が遅れれば、自分は負けていた。
険しい表情の遊次の心を読むかのように、オスカーは悠然たる佇まいで静かに口を開いた。
「安心するがいい。貴様は"正しき未来"を選んだ」
その言葉には、一切の悪意はないだろう。皮肉ですらなく、文字通り、遊次は正しい未来を選んだのだ。
「…はっ、よく言うぜ」
遊次は自嘲的な笑みを浮かべる。
その正しさは、オスカーが定義したものに他ならない。
選んだのではなく、選ばされた未来。
遊次はただ敗北を避けただけに過ぎない。
オスカーにとってはどちらに転んでもよかった。
秘策は打ち破られた。しかし、それでも生きている。
1度目のデュエルとは違う。
状況も、そして遊次の覚悟も。
「何が正しき未来だ。お前が思い描いたとおりになんかさせねえぞ。このデュエルも、この世界もな」
遊次は眼前の威圧を真っ向から撥ね退け、淀みのない意志をその言葉に乗せた。
互いの視線が交差し、静かな火花を散らす。
「貴様らが俺達と拮抗するまでに至ったのは、真に覚悟を持ったからだろう。
しかしそれは、世界を"救う"覚悟ではない。世界を"巻き込む"覚悟だ」
オスカーは遊次達の覚悟は認めながらも、彼らの目指すものを否定する。
存在するのかすらわからない"誰も犠牲にしない道"を求める遊次達は、オスカーにとっては変わらず「世界の敵」なのだ。
真っ向から向けられる敵意に、遊次は慄くことなく言葉を返す。
「やってみなきゃわかんねえだろ。お前の想定通りにならねえってことは、もう俺達が証明したはずだぜ」
遊次は喉を震わせ、オスカーへと言葉を叩きつけ続ける。
「お前、言ってたよな。デュエルを愛する人を、1人たりとも失いたくないって。俺はその言葉に嘘はねえって思ったぜ。でもよ…だったら何千・何万人を犠牲にすんのが、正しい未来なのかよ!」
熱を帯びた叫びを真っ向から受けながらも、オスカーは眉ひとつ動かさない。自らの選択に対する揺るぎない確信を、温度を欠いた平坦な声音で返した。
「不確定な希望に縋るべきではない。
確実に、より多くを救う道を選んだだけだ」
「…そりゃ、そうかもしんねえけどよ。悔しくねえのかよ!誰かを見殺しにしなきゃなんねえんだぞ!」
荒ぶる遊次の激情と、極寒の如く冷え切ったオスカーの意志。二人の相容れない言葉は、空中で激しくぶつかり合う。
「悔しい、か。そのような言葉は、世界のために死に征く者達への冒涜だ」
「んだと…」
オスカーの言葉には、慈悲の欠片もなかった。それは、散りゆく命をあらかじめ数に含めているという、冷徹な意味を持つ。
元より彼らの計画は、空間の裂け目より現れるモンスターを、こちらの世界から召喚したモンスターで迎え撃つもののはずだ。ドミノタウンの人々も非難させると言っていた。しかしオスカーは、犠牲のない未来を自ら否定したのだ。
「その考えこそが、貴様らの本質だろう。
感情に振り回され、世界を振り回す」
オスカーはマントを鋭く翻し、何かを握り潰すかのように右手を突き出した。
「幻想に手を伸ばすのは、誰かを救うためではない。己が救われるためだ。
そうしている間だけは、希望に酔いしれていられるからな」
遊次は目を見開き、言葉を失う。
決して、彼の言葉を否定できなかった。どこまでいっても、遊次達が戦うのは「自分がそうしたいから」に他ならない。自分達の我儘に、世界を振り回していることも事実だ。
しかし、それでも、彼らはその道を選んだ。
その自覚と意志こそが、彼らをここに至らしめた。
遊次はただ前を向き続ける。
決して現実から目を背けることなく、決意を言葉にする。
「幻想だって決めつけんなよ。
俺は絶対に、その光を掴んでみせる!」
この問答に答えはない。
しかしその者の熱情と覚悟は、デュエルという形で表れる。この問いに決着を着けるには、デュエルに勝利するしかない。
「俺のターン…ドロー!」
遊次は勢いよくカードを引く。
「アームドホラー・ケルヴァラクの効果発動。このカードが装備カードを装備している時、相手ターンにも墓地のカードを除外できる。罠カード『妖義賊の見参』を除外する」
除外されたカードは、墓地から除外することで墓地の妖義賊1体を手札に戻す効果を持つ。遊次のリソースが次々と奪われてゆく。
さらにオスカーがデュエルディスクに触れる。
「永続罠発動。『アームドホラー・ブラッドロップ』」
瞬間、漆黒の鉄棘を四方に突き出した巨大なシリンダーが、重圧を伴って虚空へと出現した。強固な外殻に守られた内部では、意思を持つかのように脈動する深紅の液体が、激しく波打っている。それはまるで、注射器のようにも見える。
「アームドホラー・ブラッドロップの効果発動。自分フィールドにアンデット族のトークンを生み出し、このカードを装備カード扱いとして装備する」
■アームドホラー・ブラッドロップ
永続罠
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分・相手ターンに発動できる。
自分フィールドに「アームドホラートークン」(アンデット族・闇・星1・攻/守0)1体を守備表示で特殊召喚し、このカードを装備カード扱いとしてそのトークンに装備する。
このカードがフィールドを離れた時にそのトークンは破壊される。
②:自分・相手メインフェイズに発動できる。
このカードの装備モンスターを含む「アームドホラー」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを自分のフィールドから選んで墓地へ送り、
その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
その尖った先端から、重く粘ついた赤い雫が一滴、静かに零れ落ちる。地に触れた雫は吸い寄せられるように形を成し、皮膚の一枚もなく、剥き出しの筋繊維を血に濡らした亡者の姿へと変貌した。そして直後、装置の側面から節くれ立った鋼の虫脚が次々と這い出す。それは現れたトークンの背部を無慈悲に貫き、その肉体へ強引に接続された。
「アームドホラー・ブラッドロップの効果発動。トークンを含むモンスターを素材に融合召喚できる。装備カードを装備したアームドホラー・トークン、ケルヴァラク、ディオメデウスを素材に融合!」
虚空に渦巻く紫色の裂け目。その深淵が、紅い亡者とケルヴァラク、そしてディオメデウスを容赦なく呑み込んでいく。そこから溢れ出す圧倒的な波動は、これから現れる強大な存在を確信させるに十分な威圧を放っていた。
遊次は両足に力を込めて踏ん張り、眼前の渦を真っ向から見据える。
「くる…あのモンスターが…!」
観客席で見守る灯の心臓も、渦の脈動に呼応し、今にも弾けんばかりに跳ねていた。
「亡魂の深淵より出でし魔竜よ、具現した畏怖を纏い万物を喰らい尽くせ」
「融合召喚。現れよ我が魂!アームドホラー・ドラゴン!」
■アームドホラー・ドラゴン
融合モンスター
レベル8/闇/アンデット/攻撃力3500 守備力3300
装備カードを装備しているアンデット族モンスター3体
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが融合召喚した場合に発動できる。
自分のデッキ・墓地・手札から装備魔法カードを3枚まで選び、このカードに装備する。
この効果に対して相手は効果を発動できない。
②:自分フィールドの装備カードを任意の数墓地に送って発動できる。
その数だけ相手フィールドのカードを選んで墓地へ送る。
この効果は相手ターンでも発動できる。
③:自分の手札・フィールド・墓地からアンデット族モンスターと装備魔法カードを3枚ずつ除外して発動できる。
このカードを融合召喚扱いとして墓地から特殊召喚する。
現れたのは、黒い骨が剥き出しとなった悪魔のようなアンデットのドラゴン。頭部は、巨大な髑髏そのものだ。鋭く逆巻く二対の角が天を睨み、空洞の眼窩には、血の色をした呪いの光が燃え上がっている。大きく開いた顎からは不揃いで巨大な牙が覗き、冷徹な破壊の意思を宿している。胸郭の隙間からは命のない空洞が覗き、圧倒的な畏怖と威圧を放つ。胸部の中心には、赤く禍々しい核が微かに脈動している。
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アームドホラー・ドラゴンの喉奥から、地底を揺さぶるような不気味な咆哮が迸る。その禍々しい威容を前に、遊次の脳裏には、かつてこのモンスターによって完膚なきまでに撃ち抜かれ、敗北を喫した絶望が鮮明に蘇った。
「なんと、おぞましい…」
眼前に君臨したオスカーの切り札を前にして、アリシアは逃れようのない畏怖に、ただ身を震わせる。
「ディオメデウスが融合素材として墓地へ送られたことで、装備していた『ホラーアームズ・ネクロメイル』の効果が発動する。装備モンスターが墓地へ送られた時、そのモンスターを特殊召喚しこのカードを装備する。さらに相手の手札をランダムに1枚捨てる」
「チェーン2、アームドホラー・ドラゴンの融合召喚時の効果を発動。デッキ・手札・墓地の装備カードを3枚まで装備する。墓地のディアボリックキャノンとバンシーヴェイルを装備する」
アームドホラー・ドラゴンの両肩には白骨の双砲がせり出し、その背後へ、黒い霧の魔女がベールのように寄り添う。
「チェーン1のネクロメイルの効果により、ディオメデウスは復活し、ネクロメイルを装備する。その後、貴様の手札をランダムに1枚捨てる」
フィールドへ舞い戻った黒き鎧の霊騎士の身体を、白骨の装甲が次々と覆っていく。ディオメデウスがゆらりと右手を持ち上げると、遊次が構える手札の一枚に漆黒の闇が這い上がり、そのままカードを跡形もなく飲み込んだ。墓地へ送られたのは「妖義賊-雲龍のリヘイ」だ。
まだスタンバイフェイズにも関わらず次々と襲い来る魔の手に、遊次は頭の整理がつかない。まるで嵐に晒されているようだ。険しい表情のまま、なんとか前を向き続ける。
「墓地へ送られたスティジアンウィングの効果発動。このカードを手札に戻す。さらに墓地のアームドホラー・アルベレトを除外し、効果発動。手札の装備魔法をアームドホラーに装備することができる。スティジアンウィングをディオメデウスへと装備」
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【遊次】
LP3900 手札:3(儀式の予告状)
【オスカー】
LP8000 手札:5(ショックグリーヴ、マレフィックアイ、ヴィシャスサイクル)
①アームドホラー・アスクレマリウス ATK2400
②アームドホラー・エタナフォラス ATK2200
③アームドホラー・ドラゴン ATK4500
(ディアボリックキャノン、バンシーヴェイル装備)
④アームドホラー・ディオメデウス ATK3600
(ネクロメイル、スティジアンウィング装備)
装備魔法:ネクロメイル、スティジアンウィング、ディアボリックキャノン、バンシーヴェイル
永続魔法:カースエンブレイス
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「アームドホラー・ドラゴンはフィールドの装備カードを墓地へ送ることで、その数だけ相手フィールドのカードを選んで墓地へ送ることができる。さらにバンシーヴェイルを装備していることで、相手の効果を受けない」
目まぐるしく変遷するフィールドに、一同は意識を追いつかせることができずにいた。遊次は必死で戦況を整理する。
(ディオメデウスは装備カードの数だけモンスター効果を無効にできる。エタナフォラスは魔法を1度無効にできる。アームドホラー・ドラゴンは俺のフィールドを墓地に送る効果。ディオメデウスは装備魔法の効果で効果の対象にできず破壊もできない。さらに永続魔法で、装備魔法を追加で装備できる…)
「最悪の状況だな、こりゃ…」
遊次は自嘲するように笑う。観客席に立つ灯たちは、ただ遊次の背中に希望を託すことしかできずにいた。
遊次は手札を見つめながら思考を巡らせる。
聳える壁は高い。さらに無効にするかしないかの駆け引きも多く、すぐに答えは出せずにいた。
「墓地の『妖義賊の下準備』を除外して効果発動!墓地のルパン、カリオストロ、シェパードをデッキに戻して、1枚ドローする!」
このカードはシチベエによってオスカーの場に移動し、爆炎の予告状にて破壊されたカードだ。遊次は祈るようにデッキトップに置いた指に力を込め、一気に引き抜く。そして、活路を見出したかのように目を見開く。
「手札から魔法カード『妖義賊の復活』発動!相手から奪ったカードが俺の場にある時、墓地の妖義賊を復活させる!対象は『駿足のジロキチ』!」
■妖義賊の復活
通常魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:元々の持ち主が相手となるカードが自分フィールドに存在する場合、
墓地の「ミスティックラン」モンスター1体を対象として発動する。
そのモンスターを特殊召喚する。
②:このカードが墓地に存在する場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分の墓地の「予告状」カード1枚を除外する。
オスカーはデュエルディスクから浮かび上がるソリッドビジョンによってカード情報を確認する。
(エタナフォラスでこのカードを無効にすることができるが…このカードは墓地から予告状を除外する効果も持っている。ここで特殊召喚されるモンスターはディオメデウスで止めることが可能である以上、エタナフォラスの効果を使うべきではない)
オスカーは即座に結論を出し、優先権を遊次へと返す。
そしてフィールドにほっかむりを被ったネズミのモンスターが現れた。
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「ジロキチの効果発動!召喚時、デッキから妖義賊を1体手札に加える!」
「アームドホラー・ディオメデウスの効果発動。装備されているネクロメイルを墓地へ送り、その効果を無効化・除外する」
ディオメデウスが右手を掲げると、冷たい霊気の炎が噴き上がる。ジロキチはその炎に巻かれて身を捩り、跡形もなく消滅した。
しかし遊次は勢いを止めることなくさらなるカードを手に取る。
「俺は手札から『妖義賊-深緑のロビン』を召喚!」
■妖義賊-深緑のロビン
効果モンスター
レベル4/風/戦士/攻撃力1800 守備力500
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが召喚・特殊召喚した場合、
自分の墓地のレベル4以下の「ミスティックラン」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
②:手札から「予告状」カード1枚を捨て、
墓地の「ミスティックラン」魔法・罠1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
③:このカードがリリースされた場合、
相手フィールドの表側モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの効果を無効にする。
現れたのは緑色の外套を纏い弓を持った若い青年のモンスター。顔は威厳を帯びた鋭い目を持ち、茶髪のセンターパートをしている。首元にはシンプルなオレンジ色の緑色のマフラーが巻かれている。
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ロビンは召喚時、墓地のレベル4以下の妖義賊を蘇生する効果を持つが、今は墓地にモンスターはいない。
遊次は現れたロビンへ視線を流し、次いで眼前のディオメデウスを見つめる。彼はゆっくりと、確かめるように指を折り始めた。親指。人差し指。わずかな間を挟んで、中指が曲げられる。遊次は短く頷き、再び正面へと視線を戻した。
オスカーは目を細め、その一連の所作を鋭く見据えている。その行為に何の意味があるのかを探るように。
「ロビンの効果発動!手札の予告状を捨てて、墓地の『ミスティックラン』魔法・罠カード1枚を手札に加えることができる。儀式の予告状を捨てて、墓地のフィールド魔法『妖義賊の秘密回廊』を回収する!」
オスカーは逡巡する。この効果をディオメデウスで無効にすべきかどうか。
(対象のフィールド魔法は、発動時に予告状を手札に加え、妖義賊に対象耐性を与える。さらに妖義賊がリリースされた時に1枚ドローする効果。止める必要があるとすれば予告状を手札に加える効果だ)
「予告状」には、3枚のドローを可能とするものや、相手フィールドのカード全てを破壊するものがある。それを手札に加えられれば逆転の芽となる可能性も否定できない。しかしオスカーには引っかかる点があった。それは、先ほど遊次が指折り数えていたことだ。親指、人差し指、中指。カウントは3つ。
(あれはディオメデウスの無効効果の数を数えていたはずだ。永続魔法での装備カードの追加を考えれば、ディオメデウスの無効効果の上限はあと2回。そして奴のカウントは3つ。奴の手にはディオメデウスを超える手筈があると考えれば辻褄が合う)
ロビンからディオメデウスへと視線を移し、親指、人差し指、中指とカウントを進めたあの仕草。それはまるで、ここでディオメデウスが動くこと自体が、初めから遊次の計算通りであるかのように見えた。
(ディオメデウスの効果を踏み越えるための数にロビンをカウントしているのであれば、奴の想定を崩すために、ディオメデウスの効果を使用すべきではない。フィールド魔法も予告状も、エタナフォラスの効果で無効にできる。ディオメデウスで止める必要性はない)
オスカーは答えを出し、何もせずに優先権を返却する。ロビンで回収した魔法カードによる影響は、エタナフォラスでケアできる。
それなら、ディオメデウスの無効効果は温存しておくべきという判断だ。
「フィールド魔法『妖義賊の秘密回廊』発動!発動時、デッキから予告状カードを手札に加える!」
■妖義賊の秘密回廊
フィールド魔法
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードの発動時の処理として、「予告状」魔法カード1枚をデッキから手札に加えることができる。
②:自分フィールドの「ミスティックラン」モンスター、または元々の持ち主が相手となるモンスターを対象とする
相手フィールドのモンスター効果が発動した場合に発動できる。
発動した効果を無効にする。
③:自分フィールドの「ミスティックラン」モンスターがリリースされた場合に発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。
このカードをエタナフォラスで無効にするかどうか、オスカーは思考を巡らせる。
(この効果を通せば予告状を手札に加えられる。墓地に存在する『妖義賊の復活』の効果により除外し、効果を発動することが可能。だが奴の墓地にはすでに「儀式の予告状」が存在する以上、このフィールド魔法を止めても儀式の予告状の効果は止められん。ならば、エタナフォラスの効果は墓地の『妖義賊の復活』に使用すべきだ)
墓地に予告状を除外する「妖義賊の復活」が存在する以上、このフィールド魔法を止めても遊次には手が残されている。
しかし「妖義賊の復活」そのものをエタナフォラスで止めてしまえば、ここで手札に加えられる予告状も、墓地にある儀式の予告状も無効化することができる。
つまり、このフィールド魔法を止めるのは得策ではないということだ。オスカーは何もせずに優先権を返す。
オーケストラホールに古い石畳の床が1枚ずつ広がってゆき、フィールド全体に張り巡らされる。壁には重厚な木材が使われている。茶色く染まった柱が霧の中にぼんやりと浮かび、暗い空間の中に優美な雰囲気を感じさせる
「俺はデッキから一攫千金の予告状を手札に加える。そしてそのまま発動!」
■一攫千金の予告状
通常魔法
①:このカードは発動後、墓地に送られる。
このカードの発動から2ターン後の自分メインフェイズに、このカードを墓地から除外できる。
②:自分の手札が1枚以下で、このカードが墓地から除外された場合に発動できる。
自分はデッキから3枚ドローする。
予告状は発動したターンには何も起こらず、除外された時に初めて効果が適用される。
しかし刹那、遊次は不敵な笑みを浮かべた。
「ありがとな。俺の思い通りに動いてくれて」
遊次は1枚のカードをデュエルディスクへと装填する。
「手札から罠カード『妖義賊の秘技』発動!このカードは妖義賊がフィールドにいる時、手札から発動できる!」
■妖義賊の秘技
通常罠
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのコントロールを得る。
自分フィールドに「ミスティックラン」モンスターが存在する場合、
この効果は手札からも発動できる。
②:自分・相手ターンのエンドフェイズ時、このカードが墓地に存在し、
自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。
このカードを自分フィールドにセットする。
この効果でセットしたこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。
「俺はお前のフィールドのアームドホラー・エタナフォラスを奪う!」
その罠カードの発動と共に、オスカーは静かに髪をかき上げた。
ロビンの右手に、一本の縄が実体化する。鋭く放たれたそれはエタナフォラスを逃さず絡め取り、遊次のフィールドへと引き戻す。
遊次は満足げに自身の頭上を舞うエタナフォラスを見つめる。
「お前はとことん手を抜かねえ奴だ。ディオメデウスが何回も無効効果を使えても、その使いどころはキッチリ見極める。ましてや、俺がディオメデウスの効果回数を明らかに意識してるってわかってりゃ、なおさらな」
事態を掴みきれない観衆を置き去りにして、遊次は言葉を繋ぐ。
「俺はロビンにディオメデウスの効果を使われたくなかった。で、お前のフィールドには魔法を無効にするエタナフォラスがいるから、回収した魔法カードはそっちで無効にすりゃあいいって考えもある。だからそっちの方向にちょっちばかし"誘導"させてもらった」
それは盤上の攻防から完全に逸脱した、盤外の心理戦だ。オスカーは怪訝な視線を遊次に向けた。
「あの指折りも、意図的に俺に見せつけていたのか。ロビンにディオメデウスの効果が使われることを、貴様が想定していると見せるために」
「その通り!」
遊次は凛々しい笑みを浮かべ、オスカーを見据えた。
「ちょっと!何そのめっちゃ小賢しいやり口!やっぱロクな男じゃないじゃん、アンタ!」
美蘭がステージの下からヤジを飛ばす。
「…でも、これが遊次のデュエル。ほんのちょっとの動作だけで、デュエルの展開を変えちゃうんだから」
灯はふっと柔らかい笑みを浮かべ、ステージに視線を戻す。
「お前は"予告状"への対抗策として、エタナフォラスを計算に入れる。でもエタナフォラスを奪っちまえば、その算段は崩れるってわけだ。しかもエタナフォラスが俺の場にいれば、お前は永続魔法でディオメデウスに装備魔法を追加することもできねえ」
自身の魔法カードを通し、同時に相手の一手を封じる。その無駄のないプレイにハイドは満足げに笑う。
しかし蒼月はある疑問を口にする。
「しかし、エタナフォラスを奪う手段があるならば、何故フィールド魔法を発動する前に使わなかったのです?フィールド魔法を無効にされる可能性もあったはずですが」
遊次はエタナフォラスを奪う前に、フィールド魔法を発動した。オスカーがそれを無効にすることはなかったが、無効にされる確率は0ではなかったはずだ。その前に罠カードでエタナフォラスを奪っていれば、その可能性を0にできていた。
遊次は観客席の方に顔を向け、蒼月の言葉に応じる。
「その順序だったら、俺がフィールド魔法を発動した時点で手札は0。もう他に手がないのがバレちまうだろ。そうなりゃ、オスカーがアームドホラー・ドラゴンでフィールド魔法を墓地に送って、俺は予告状を手札に加えられずに終了だ」
遊次はわざとらしく肩をすくめてみせる。
蒼月は顎に手を置き小さく何度も頷く。
「成程。あえて手札を1枚残せば、オスカー氏はそのカードを警戒し、アームドホラー・ドラゴンの効果を残す。だからフィールド魔法の効果を通せると」
しかしオスカーは冷静に言葉を返す。
その言葉は遊次を試すようでもあった。
「だが、ロビンもフィールド魔法も、俺の気まぐれ一つでいつでも無効にできた。貴様の考えは机上の空論に過ぎないはずだ」
遊次は人差し指を立て、横に振って見せる。
「お前のデュエルに気まぐれなんかあるわけねえだろ。それに、危ない橋ぐらい渡らなきゃお前は倒せねえよ」
それ以上はオスカーは何も言わなかった。盤面を整理し、相手のカードを的確に把握し、論理的に考えれば、高い次元にいるデュエリストであれば同じ結論に辿り着く。
そのオスカーの正しさを、遊次は信じたのだ。
「これで準備は整った!俺はこのカードに希望を託す!墓地の『妖義賊の復活』を除外して効果発動!墓地の予告状を1枚除外する!対象は『一攫千金の予告状』!」
「除外された一攫千金の予告状の効果発動!手札が1枚以下の時、カードを3枚ドローできる!」
■一攫千金の予告状
通常魔法
①:このカードは発動後、墓地に送られる。
このカードの発動から2ターン後の自分メインフェイズに、このカードを墓地から除外できる。
②:自分の手札が1枚以下で、このカードが墓地から除外された場合に発動できる。
自分はデッキから3枚ドローする。
遊次は一気に3枚のカードを引き抜く。しかし瞬間、オスカーも動きを見せる。
「墓地の罠カード『アームドホラー・デスラトル』の効果発動。フィールド・墓地より、装備カードのないモンスターに装備可能。アスクレマリウスに装備」
■アームドホラー・デスラトル
永続罠
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分・相手ターンに、自分フィールドの装備カードを装備していないアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。
フィールド・墓地からこのカードを対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
②:EXデッキから特殊召喚された相手モンスターが効果を発動した場合、装備カード扱いのこのカードを墓地へ送り、
自分フィールドの「アームドホラー」モンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターを対象の自分モンスターに装備カード扱いとして装備する。相手はこのターン、そのカードと同じ種類(融合・S・X・P・リンク)のモンスター効果は無効になる。
「この罠カードは、EXデッキから特殊召喚された相手モンスターが効果を発動した時、装備カード扱いのこのカードを墓地へ送り、そのモンスターを装備カードとして俺のモンスターに装備させる。さらに装備したカードと同じ種類の相手モンスターの効果は無効となる」
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【遊次】
LP3900 手札:3
①妖義賊-深緑のロビン ATK1800
②アームドホラー・エタナフォラス ATK2200
フィールド魔法:妖義賊の秘密回廊
【オスカー】
LP8000 手札:5(ショックグリーヴ、マレフィックアイ、アームドホラー・ヴィシャスサイクル)
①アームドホラー・アスクレマリウス ATK2400
(アームドホラー・デスラトル装備)
②アームドホラー・ドラゴン ATK4500
(ディアボリックキャノン、バンシーヴェイル装備)
③アームドホラー・ディオメデウス ATK2600
(スティジアンウィング装備)
装備魔法:ディアボリックキャノン、バンシーヴェイル、スティジアンウィング
永続魔法:カースエンブレイス
永続罠:アームドホラー・デスラトル
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モンスター・魔法が無効となり、フリーチェーンで数多のカードが葬られるという、完全なるオスカーの支配下。
遊次は心理戦を制し、3枚のドローという唯一の希望を掴み取った。
それは、まさしくNextに残された最後の望み。
再び交差する、遊次とオスカーの視線。1ターンで多くのライフを失い、窮地に立たされた遊次。その眼前には、圧倒的な力を有する"絶望"が立ちはだかる。
この決戦を制さなければ、多くの犠牲の伴う計画が遂行されることは免れない。
遊次はこの戦いに勝利し、誰も犠牲にしない未来を掴むことができるのか。
第75話「正しき未来」 完
オスカーの展開する圧倒的な制圧盤面。
その攻略は、一歩踏み外せば終わる死の綱渡りに他ならない。
「貴様らは幻想に手を伸ばしているだけだ」とオスカーは冷徹に吐き捨てた。
だが遊次はその言葉に抗うように、希望を繋いでゆく。
その背中に灯たちは勝機を見出し、ニーズヘッグは予期せぬ不安を募らせる。
そして遊次は突き付ける。
「お前はこの光景を想像していなかったはずだ」と。
対するオスカーは、眉一つ動かさず返す。
「貴様には、現実など見えていない」。
果たしてこのデュエルで示されるのは、ただ冷たき現実か。
はたまた、幻想にも等しい現実か。
「お前が言う"幻想"ってヤツも、この世界のどっかにあるかもしんねえだろ。
誰も犠牲にしない、最高の未来が」
次回 第76話「譲り受けた魂」