遊戯王Next   作:湯(遊戯王SS投稿者)

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第85話:戒めの岩枷

迫り来る隕石型モンスター「悪星神」を打ち破るため、遊次たちNextの4人とオスカー、アリシアは外界から閉ざされた砂漠国家「ネフカ王国」へと降り立った。一行は神官ムルシドの手引きにより、大きな古文書を抱える少女「トト」と出会う。しかし彼女は国の禁忌に触れたことで、暴君アスラナクから命を狙われていた。

 

アスラナクはモンスターを人間よりも上位の存在であると考える「絶対派」思想であり、悪星神に立ち向かう遊次たちに協力する可能性は低い。トトを守り、世界を救う方法を見つけるためにはネフカ王国との衝突は避けられないことを思い知る。

 

突如として強襲した王国兵をイーサンが倒したことで窮地は免れるも、異国からの来訪者がトトを連れて逃走したことと、副指揮官が敗れたことが王宮へと知れ渡り、ついにアスラナクとその幹部である七使徒が動き出す。

 

軍の猛烈な追撃を受けて追いつめられる中、突如として反体制組織「ギルド」が現れる。彼らの手助けによって難を逃れるも、追っ手を止めなければギルドの拠点へ逃げ帰ることはできない。ギルドの判断により、灯はメンバーのヌーラと共に単騎で残り、ムウミン軍副指揮官ヘム・セケルと対峙することとなる。遊次たち他のメンバーは先を進み、オースデュエルの決着まで追っ手から逃げ続けなければならない状況だ。

 

灯は副指揮官ヘムに対し「強制オースデュエル」を発動。勝利すれば遊次たちを追うムウミン軍を止め、遠い岩山の頂上へと向かわせることで兵士を王宮から離し戦力を削る契約となっている。しかし敗北すれば灯は捕らえられ、追われている遊次たちもいずれは捕まってしまう。敗北の許されない決闘の幕が上がった。

 

 

黒い口髭を蓄え、黄金の鎧に身を包んだ壮年の副指揮官、ヘム・セケル。灯は彼と真っ向から対峙する。

張り詰めた一瞬の静寂。直後、2人の声が重なり合った。

 

「デュエル!」

灯のデュエルディスクのランプが緑色に点灯する。

 

「"俺"のターン!」

突如として変わった灯の一人称に、ヘムは眉を八の字に曲げて驚きを浮かべる。だが、それ以上の反応を示すことはなく、静かに前を見据える。

 

「ペイントメージ・オウトロメールを召喚!」

 

■ペイントメージ・オウトロメール

 効果モンスター

 レベル2/水/魔法使い/攻撃力900 守備力1100

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターと同じ属性の『ペイントメージ』モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 ②:フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。

 デッキから水属性モンスター1体を除外し、そのモンスターを水属性に変更する。

 

 

フィールドに現れたのは、大きな筆を携え、大きな丸眼鏡をかけた幼い少女のモンスターだ。首元で切り揃えられた丸みを帯びた髪は鮮やかな群青色をしている。口元には穏やかな微笑みを浮かべている。ゆったりとした紺色のワンピースの上に、灰色のラインで縁取られた同色のケープを羽織っている。右手には、自身の背丈ほどもある太く長い筆を握っている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/L2ww7Ir

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「オウトロメールの効果発動。フィールドのモンスター1体を対象に、そのモンスターと同じ属性のペイントメージをデッキから特殊召喚できる。オウトロメールと同じ水属性、ペイントメージ・シアンを特殊召喚!」

 

 

■ペイントメージ・シアン

 効果モンスター

 レベル4/水/魔法使い/攻撃力1400 守備力1200

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分の墓地の「ペイントメージ」モンスター1体を除外して発動できる。

 そのモンスターと同じ属性のカード名が異なる「ペイントメージ」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 ②:フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。

 デッキから水属性モンスター1体を除外し、そのモンスターを水属性に変更する。

 

 

フィールドに現れたのは、白を基調とした半袖のセーラー服を纏った少女のモンスターだ。肩まで伸びた鮮やかな青緑色の髪は、右目を覆い隠すように流れている。青い襟には白い一本線が走り、胸元には青いスカーフが結ばれている。短いスカートの裾からは、素足が覗く。右手には、自身の身長ほどもある巨大な筆を握りしめている。木製の柄にはオレンジ色のリボンが結ばれ、穂先は髪と同じ青緑色に染まっている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/fCK4IZy

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「さらに手札からペイントメージ・パレットを特殊召喚!このモンスターはペイントメージがフィールドにいる時、手札から特殊召喚できる」

 

 

■ペイントメージ・パレット

 効果モンスター/チューナー

 レベル2/光/魔法使い/攻撃力900 守備力500

 このカード名の①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。

 ①:自分フィールドに「ペイントメージ」モンスターが存在する場合、

 このカードは手札から特殊召喚できる。

 ②:このカードをS素材としたモンスターは以下の効果を得る。

 ●このカードはこのカードと同じ属性のモンスターの効果の対象にならない。

 

 

フィールドに現れたのは、木目の鮮やかな明るい茶色の木製パレットに、手足が生えたモンスターだ。その中央には、大きくて丸い二つの黒い瞳が直接描かれ、その下には小さな笑顔が浮かんでいる。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/23VcX92

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「レベル2のオウトロメールに、レベル2のパレットをチューニング!」

パレットの姿が眩い光の輪へと解けていく。円環の中を突き進むオウトロメールの体は、2つの鮮烈な星の光へと変換される。

 

「無邪気な彩が、鮮やかな勝利への道を描く。美しき終わりを飾る作品となれ!シンクロ召喚!

Sチューナー、ペイントメージ・カードル!」

 

 

■ペイントメージ・カードル

 シンクロモンスター/チューナー

 レベル4/光/魔法使い/攻撃力1700 守備力2000

 チューナー + チューナー以外のモンスター1体以上

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。

 このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

 ②:自分・相手ターンにフィールドの「ペイントメージ」モンスター1体を対象として発動できる。

 自分の除外状態の「ペイントメージ」モンスターを任意の数だけデッキに戻し、その枚数分、ターン終了時までそのモンスターのレベルを上げるか下げる(最小1まで)。

 ③:このカードをS素材としたモンスターは以下の効果を得る。

 ●1ターンに1度、このカードと同じ属性を持つ相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

現れたのは、木製の額縁のモンスターだ。四角い額縁の枠には金色の植物的な装飾があしらわれ、四隅には銀色の装飾が施されている。そこに収められているのは、首から上だけの真っ白な顔だ。表面は滑らかで、目は静かに閉じられており、静寂を保ったままフィールドに浮かび佇んでいる。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/4dBZhzU

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「さらに自分フィールドに地属性がいない時、ペイントメージ・ショコラを手札から特殊召喚できる!」

 

 

■ペイントメージ・ショコラ

 効果モンスター

 レベル2/地/魔法使い/攻撃力900 守備力1000

 このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

 ②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドに地属性モンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 ②:フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。

 デッキから地属性モンスター1体を除外し、そのモンスターを地属性に変更する。

 

 

現れたのは、自身の背丈ほどもある大きな筆を右手に持ち、茶色の装束を纏った少女だ。先端に白く丸い房飾りが付いた大きな茶色の三角帽子を被り、そこから覗く茶色の髪は右側で一房にまとめられている。身に纏っているのは、首元、袖口、そして裾に白い毛羽立ったボアが施された茶色の厚手のコート。右手に握られた木製の太い筆の穂先には、茶色い絵の具が付着している。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/TKnG29k

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「レベル2のペイントメージ・ショコラに、レベル4のペイントメージ・カードルをチューニング!」

 

カードルは光の粒子となってはじけ、光の輪へと変わる。その中をショコラが通り抜け、2つの星の光へと変換される。

 

「豊かな大地の息吹が、迷いを覚悟に塗り替える。

シンクロ召喚!現れよ、ペイントメージ・ミレー!」

 

 

■ペイントメージ・ミレー

 シンクロモンスター

 レベル6/地/魔法使い/攻撃力2000 守備力2400

 チューナー + チューナー以外の地属性モンスター1体以上

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールド上のモンスター1体を対象とし、属性を1つ宣言して発動できる。

 デッキから宣言した属性のモンスター1体を除外し、選んだモンスターは宣言した属性になる。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:このカードと同じ属性を持つ自分の墓地の「ペイントメージ」Sモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターを特殊召喚する。

 ③:自分フィールドのこのカードと同じ属性のモンスターの攻撃力は、

 フィールドのこのカードと同じ属性のモンスターの数×200アップする。

 

 

現れたそのモンスターは、茶色いソバージュの髪をした大人びた女性のモンスター。枯れ葉のようなカーキ色と黄土色のオーバーサイズなローブを纏っている。手には木の持ち手に白い刃がついた、筆のようなデザインの大きな鍬を持っている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/ecIroxE

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「ミレーの効果発動。お互いのターンに1度、デッキからモンスターを除外し、フィールドのモンスター1体を、除外したモンスターと同じ属性に変更できる。ペイントメージ・シャンパーニュを除外し、ミレー自身を光属性に変更!」

 

ミレーが手にした鋤の形をした筆を掲げると、その穂先から眩い黄色の絵の具が溢れ出す。彼女が力強く筆を振るうと、細かく波打つソバージュの髪と枯れ葉を思わせる衣服が、一瞬にして鮮やかな黄色へと塗り替えられた。

 

「さらにミレーの効果発動!1ターンに1度、自分と同じ属性のペイントメージを墓地から特殊召喚できる。再び現れよ、ペイントメージ・カードル!」

フィールドに再び額縁に真っ白な顔が象られたモンスターが姿を現す。

 

「ペイントメージ・シアンの効果発動。デッキから水属性モンスターを除外することで、フィールドのモンスター1体を水属性に変更する。ペイントメージ・オウトロメールを除外して、カードルを水属性に変更」

 

シアンが手にした大筆を勢いよく振るうと、穂先から青色の飛沫が放たれる。金色の植物装飾は白い珊瑚へと形を変え、背景の蔓模様は緩やかな水波の浮き彫りとなる。中央の白い顔は透明な流体へと質感を変化させ、閉じられた両目からとめどなく水を溢れさせていた。

 

「ペイントメージ・カードルの効果発動!除外されてるペイントメージを任意の数デッキに戻すことで、その数だけフィールドのペイントメージ1体のレベルを上げるか下げる。除外されてるシャンパーニュとオウトロメールをデッキに戻し、カードルのレベルを2つ下げる」

 

ペイントメージ・カードル ☆4→2

 

「レベル4のペイントメージ・シアンに、レベル2となったペイントメージ・カードルをチューニング!」

カードルは光の粒子となってはじけ、光の輪へと変わる。その中をシアンが通り抜け、4つの星の光へと変換される。

 

「清らかなる水流が、喧騒を静寂に塗り替える。

シンクロ召喚!現れよ、ペイントメージ・クールベ!」

 

 

■ペイントメージ・クールベ

 シンクロモンスター

 レベル6/水/魔法使い/攻撃力2300 守備力1800

 チューナー + チューナー以外の水属性モンスター1体以上

 このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールド上のモンスター1体を対象とし、属性を1つ宣言して発動できる。

 デッキから宣言した属性のモンスター1体を除外し、そのモンスターは宣言した属性になる。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:相手フィールドのこのカードと同じ属性を持つモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターは攻撃力が0となり、攻撃表示になる。

 ③:自分フィールドのこのカードと同じ属性を持つモンスターの数まで、

 相手フィールドの魔法・罠カードを対象として発動できる。

 そのカードを破壊する。

 

 

光が収束していくと、そこに立っていたのは、鮮やかな青い髪と、青の鎧を纏った女性の戦士だった。巨大な筆のような槍を構え、冷たい瞳で前を向いている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/SakWdi6

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「ペイントメージ・クールベも1ターンに1度、フィールドのモンスターの属性を変更できる。デッキからペイントメージ・シャンパーニュを除外して、自身を光属性に変更」

 

クールベが手にした槍型の筆を鋭く振るう。空を切る穂先から黄色の飛沫が舞い、彼女の青い髪と瞳、そして全身の鎧が、瞬く間に眩い黄色へと塗り替えられた。

 

「ペイントメージ・ミレーの効果で、自身と同じ属性を持つペイントメージの攻撃力は、フィールドのミレーと同じ属性のモンスターの数×200攻撃力が上がる。ミレーとクールベは共に光属性。よって2体の攻撃力は400アップ」

 

「カードを1枚セットしてターンエンド。カードルを素材としたモンスターは、同じ属性の相手モンスター1体を除外できる。つまり、ミレーもクールベも除外効果を使えるってことだ」

 

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【灯】

LP8000 手札:1

 

①ペイントメージ・ミレー(光) ATK2400

②ペイントメージ・クールベ(光) ATK2700

 

伏せカード:1

 

【ヘム】

LP8000 手札:5

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(迷うこともなくSモンスターを2体も…。これがデュエリアの決闘者…)

ヌーラは自分とさほど歳も変わらぬ灯の背中を見つめる。

 

ヘムはフィールドに立ち並ぶ2体のモンスターへ、射抜くような鋭い視線を向けた。放たれる重圧に灯は呑まれまいと気を張るが、ヘムは唐突にその場へ膝をつき、深く頭を垂れた。

 

「麗しの精霊よ。決闘の儀の名のもとに、我が精霊の力を振るうことを、どうかお赦しください」

 

不意の行動に灯は一瞬だけ虚を突かれたが、すぐに合点がいく。モンスターを崇拝する絶対派にとって、これが神聖な場における当然の礼儀なのだろう。

 

「私のターン、ドロー!」

ヘムは勢いよくカードを引き抜く。

 

「魔法カード『ミフナ・イスティドゥア』発動。デッキから『ミフナ』モンスター1体を除外することで、デッキから2体、ミフナと名の付くモンスターを特殊召喚できる。私はコストとして『ミフナ・アクラブ』を除外」

 

ヘムがデッキからカードを除外した瞬間、フィールドに半透明の岩のサソリが姿を現した。無骨な岩塊の身体には鋭い蒼の結晶が突き出し、青白い雷光を纏っている。大きく構えた右の鋏と長く伸びた尾には、青く発光する文字が刻印された輪がはめられていた。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/k5ek6nE

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モンスターがその尾を高く掲げると、ヘムの右腕に、青い文字が明滅する黒い枷が突如としてはめ込まれる。突然のことに、灯は思わず疑問の声を漏らした。

 

「ミフナ・アクラブが除外されている限り、私は通常召喚を行うことができない」

 

「…どういうことだ?なんでわざわざ自分に制約を与えるような効果が…?」

そのあまりの特殊な効果に、灯は腕を組み、不審げに目を細める。

 

「我がミフナの精霊は全て、除外されている場合に私に制約を課す効果を持つ。だがその代償に得られるものも大きい。私は魔法カードの効果により、デッキから『ミフナ・スラフファー』と『ミフナ・サルタウーン』を特殊召喚する」

 

ヘムが宣言すると、フィールドの地面に青い紋章が浮かび上がった。眩い光と共に現れたのは2体のモンスターだ。

 

1体は、硬い岩の甲羅を持つ亀の姿をしている。背からは無数の青い結晶が鋭く伸び、甲羅の縁には青い文字が刻まれた太い輪がはめ込まれている。胸元には鎖で繋がれた星型の飾りが青白く輝いていた。

 

■ミフナ・スラフファー

 効果モンスター

 レベル5/水/岩石/攻撃力2000 守備力1700

 このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:除外されたこのカードが除外状態である限り、自分は相手モンスターに攻撃宣言できない。

 ②:フィールドのこのカードを除外して発動できる。

 デッキから「ミフナ」儀式モンスター1体と「ミフナ」儀式魔法1枚を選び、手札に加える。この効果は無効化されない。

 ③:自分フィールドの「ミフナ」モンスターが破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外することができる。

 

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/FWtYfK2

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もう1体は、二本の太い足で直立する岩の体を持つ蟹のモンスターだ。他のミフナと同様、背中には青い結晶が密集し、胸元には星型の装飾が輝いている。両腕に備えた巨大な鋏と両足の付け根には、青い文字が刻印された輪が装着されていた。

 

 

■ミフナ・サルタウーン

 効果モンスター

 レベル4/水/岩石/攻撃力1500 守備力1100

 このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:除外されたこのカードが除外状態である限り、自分は墓地のモンスターを特殊召喚できない。

 ②:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。デッキから「ミフナ」モンスター2体を選び、墓地へ送る。

 ③:このカードを除外して儀式召喚したモンスターは以下の効果を得る。

 ●このカードの攻撃力は、「ミフナ」カードの効果で除外された自分の「ミフナ」モンスターの種類の数×200アップする。

 

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/2ulaoso

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「ミフナ・サルタウーンの効果発動。特殊召喚時、デッキからミフナを2体、墓地へ送ることができる。私はミフナ・アフタブートとミフナ・サマクを墓地へ送る」

 

灯は、ソリッドヴィジョンとして空間に展開された盤面情報へ目を走らせ、新たに現れたモンスターの効果を瞬時に読み取る。

 

(あの亀のモンスターは、自身を除外することで儀式モンスターと儀式魔法を手札に加える効果。だったら…)

 

「ペイントメージ・ミレーとクールベの効果発動!自身の属性を変更する!」

 

「ミレーの効果でデッキからペイントメージ・オウトロメールを除外して、自身を水属性に変える!」

ミレーが手にした鋤の形をした大筆を振るう。すると、彼女の波打つソバージュの髪と衣服が、一瞬にして鮮やかな水色へと染まった。

 

「さらにクールベの効果でデッキからペイントメージ・シアンを除外して、自身を水属性に変える!」

クールベが手にした槍型の筆を鋭く振るう。空を切った穂先の動きに呼応するように、黄色く染まっていた彼女の髪と鎧が、元の鮮やかな青色へと瞬時に戻っていった。

 

「カードルを素材としたミレーは、同じ属性の相手モンスター1体を除外できる!ミレーの効果発動!『ミフナ・スラフファー』を除外!」

 

ミレーが鋤の形をした筆を両手で構え、亀のモンスターへと狙いを定める。しかし、迎え撃つヘムの動きに焦りはない。待ち構えていたかのように手札を抜き放ち、ディスクへと素早くカードを装填した。

 

「そう来るのは読めていたのである。速攻魔法『ミフナ・ハスィーラ』発動!フィールドのミフナを1体除外し、デッキから2枚ドローする!」

 

ミレーが力強く筆を振り下ろす。だがその直前、標的であった岩の亀はフィールドから掻き消えていた。空を叩いたミレーの一撃は、むなしく不発に終わる。

 

「…それでも儀式モンスターと儀式魔法を手札に加える効果は止められた。それに、さっきの亀のモンスターもお前に制約を与えるはずだぜ」

 

しかし灯は前へと指を突きつけ前を見据えたままだ。同時にヘムの左腕にも新たな岩の枷がはめられる。その重さからか、彼の両腕はだらりと前へ垂れ下がる。

 

「ミフナ・スラフファーが除外されている限り、私は相手モンスターへ攻撃宣言できない」

 

ヘムの余裕を崩さぬ態度に、灯は小さく身構える。だが、すぐに展開された盤面から視線を外し、正面に立つ彼へ向けて口を開いた。

 

「ずいぶん難儀なデッキですね。人の趣味を否定するつもりはありませんけど、そんなに縛られるのが好きなんですか」

 

「人をマゾヒスト呼ばわりするでない。苦難を超えた果てにしか得られぬものがあるのだ。登山と同じである」

 

「なら丁度よかったですね。きっと良い景色が見れると思いますよ。あの山の頂上で」

灯は遠くに見える険しい岩山へと真っ直ぐ指を向けた。

 

「お喋りは程々にしてもらおう。尋問の前に声を枯らされては困るのである」

そう言うとヘムは手札から1枚のカードを表へと向ける。

 

「儀式魔法『ミフナ・ヌスク』発動!手札・フィールドのモンスターを除外し、そのレベル以下のミフナ儀式モンスターを手札より儀式召喚する!」

 

 

■ミフナ・ヌスク

 儀式魔法

 「ミフナ」儀式モンスターの降臨に必要。

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターを除外し、手札から「ミフナ」儀式モンスター1体を儀式召喚する。

 ②:墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「ミフナ」儀式モンスター1体を手札に加える。

 

 

「私はフィールドのミフナ・サルタウーンと、手札のミフナ・ティンニーンを除外し、儀式召喚を執り行う!」

 

フィールドに立つ岩石の蟹、ミフナ・サルタウーンが全身の青白い雷光を一層激しくさせた。そして同時に、無骨な岩石の身体に鋭い青い結晶の棘を纏い、額からは巨大な角を突き出した岩の竜のモンスターが現れる。2体の岩石のモンスターはフィールド中央で激しく衝突し、青白い光を放つエネルギーの渦へと姿を変えた。その渦は、2体のモンスターを呑み込み、そのまま空間の彼方へと吸い込まれていく。

 

「今除外された2体のミフナが除外状態である限り、私は墓地のモンスターを特殊召喚できず、墓地からカードを手札に加えることができない」

 

突如として、ヘムの両足に重厚な岩の枷がはめ込まれた。これで両手両足の全てが強固に囚われ、完全に身動きが封じられる。だが彼はその不自由な状態のまま、顔を上げて高らかに口上を唱え始めた。

 

「堅牢なる闘鬼よ、刻まれし戒めを供物とし、慈悲なき鉄槌を振り下ろし給え」

 

「儀式召喚!降臨せよ!ミフナ・ジャッバール!」

 

 

■ミフナ・ジャッバール

 儀式モンスター

 レベル8/水/岩石/攻撃力3700 守備力3500

 「ミフナ」儀式魔法カードにより降臨。

 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードは相手の効果で破壊されず、相手の効果の対象にならない。

 ②:自分・相手ターンに発動できる。除外状態となっている自分の「ミフナ」モンスターの種類の数だけ、相手は自身のフィールドのカードを選んで除外する(相手フィールドのカードの方が少ない場合、相手は自身フィールドの全てのカードを除外する)。

 ③:このカードがフィールドを離れた場合に発動できる。デッキから「ミフナ」魔法・罠カード1枚を選び、自分フィールドにセットする。

 

 

フィールド中央に収束したエネルギーの渦が、天を貫く青白い光の柱となって激しく立ち昇る。荒れ狂う雷光が足元の大地を砕き、その閃光の中から新たな姿が顕現した。

 

それは、鋭利な漆黒の重装甲で構成された岩の巨人であった。兜の奥深くで青い眼光のみが鋭く瞬いている。胸部には眩い光を放つコアが鎮座し、全身の装甲の至る所に青く発光する文字が刻み込まれていた。幾筋もの太い鎖が垂れ下がり、背後には文字が明滅する複数の光輪が浮遊している。両腕を広げて降臨したその全身からは、青白い雷光が激しく放たれていた。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/JwlqQhd

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「サルタウーンを儀式召喚の供物とした時、儀式モンスターの攻撃力は、ミフナカードによって除外されたミフナの種類につき200攻撃力がアップする」

ミフナ・ジャッバール ATK4500

 

「攻撃力4500…!」

灯は、フィールドへ降臨した重装甲の巨人を静かに見上げた。無機質な姿でありながら、そこから放たれる圧倒的な威圧感は周囲の空気を重く沈ませている。ヘムが自身へいくつもの枷を課してまで呼び出したモンスターだ。その底知れぬ力への警戒から、灯はさらに表情を引き締めた。

 

「ミフナ・ジャッバールの効果発動。お互いのターンに1度、除外されているミフナの種類だけ相手は自身のカードを選び、除外しなければならない。よって君のフィールドの全てのカードを除外してもらう!」

 

「なんだと…!」

灯は自分のフィールドにセットされたカードに視線を送る。それは罠カード「ペイントメージ・レインボーベール」。ペイントメージの攻撃力を上げ、魔法・罠カードへの耐性を与える効果だ。しかしこの効果の前には完全なる無力。灯は自分のカードを、自らの手で葬るほかなかった。

 

灯はデュエルディスクから3枚のカードを除外する。灯のフィールドにはカードが存在せず、眼前の巨人のその圧を直に浴びることとなる。

 

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【灯】

LP8000 手札:1

 

 

【ヘム】

LP8000 手札:3

 

①ミフナ・ジャッバール ATK4500

 

 

制約:通常召喚不可、モンスターへ攻撃不可、墓地から特殊召喚不可、サルベージ不可

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「うそっ…!」

一瞬にしてフィールドをもぬけの殻へと変えたヘムの切り札に、ヌーラは目を見開き驚嘆する。

 

ヘムは数々の制約を自分に課した上でこの儀式モンスターを呼びだした。そして儀式モンスターは除外されているミフナの種類が多いほど、その除去効果は力を増す。それは己に苛烈な枷を科してなお、得るに足る圧倒的な見返りだった。

 

「私は君のモンスターに攻撃できない制約を負っているが、君の場にモンスターはいない。さて、ではその身で我が精霊の力を味わうがよい」

 

堂々と言い放つヘムの威圧感に、灯はただギリッと奥歯を噛み締める。盾となるモンスターを失った彼女は、抗いようのない重圧にじりりと一歩後ずさるしかなかった。荒涼とした広野に、二人の間を割るように乾いた風が吹き抜ける。それは、無防備な身体へこれから容赦なく叩き込まれる、圧倒的な衝撃を予感させるものだった。

 

「バトル!ミフナ・ジャッバールよ、愚かなる娘へ鉄槌を下し給え!」

ヘムの咆哮に応じ、岩の鎧の巨人が動き出す。全身の装甲が青白い雷光を激しく放ち、背後の浮遊光輪が高速で回転を始めた。

 

ジャッバールは両腕を天に突き上げる。全身のコアから溢れ出た莫大な雷エネルギーが、巨人の頭上に実体を持たぬまま収束していく。それは、眩い光を放つ巨大な破壊の力そのものであった。唸りを上げる雷光の塊に向けて、巨人は突き上げた両腕を一気に振り下ろす。

 

灯は、目の前に迫る圧倒的な光の濁流をただ見上げるしかなかった。逃げる場所などどこにもない。彼女の世界が青白い閃光によって、瞬く間に塗りつぶされる。

 

「うあああああッ!!」

灯 LP8000→3500

 

莫大な質量と雷電を帯びた奔流が、灯の立つ場所へと容赦なく直撃した。爆音と共に地面が爆砕し、彼女の全身は雷光と岩石の嵐の中に呑み込まれる。凄まじい衝撃波がフィールド全体を駆け抜け、荒涼とした広野の土を激しく巻き上げた。

 

荒れ狂う爆風が、灯の身体を無造作に弾き飛ばす。抗う間もなく宙へ投げ出された彼女は、後方の硬い地面へと激しく叩きつけられた。勢いを殺しきれず、荒野の土を削るように何度も転がり、ようやくその動きを止める。

 

「私はこれにてターンエンドである。ミフナ・ジャッバールは相手の効果で破壊されず、相手の効果の対象にならぬ。さらに除外効果は相手ターンにも使用可能である」

 

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【灯】

LP3500 手札:1

 

 

【ヘム】

LP8000 手札:3

 

①ミフナ・ジャッバール ATK4500

 

 

制約:通常召喚不可、モンスターへ攻撃不可、墓地から特殊召喚不可、サルベージ不可

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もうもうと立ち込める砂塵の中、灯はうつ伏せに倒れ伏したまま動かない。

 

「さすが副指揮官。異人など相手になるまい」

「終わりだな、あの小娘も」

 

ヘムの背後に立つ二人の兵士は、もはや敗北などあり得ないと自軍の勝利を確信し、余裕の表情を浮かべている。

 

だがその時、土にまみれた指先が微かに動いた。灯は顔を歪め、荒い息を吐きながらも、ひび割れた大地へゆっくりと両手をつく。震える両膝に無理やり力を込め、ふらつく身体を支えるようにして、灯はじりじりと立ち上がった。

 

灯の瞳から闘志は消えていない。それどころか、その眼光は先ほどよりも一層鋭く研ぎ澄まされていた。満身創痍で立ち上がった彼女を見下ろし、ヘムは静かに問いを投げる。

 

「まだ立ち向かってくるか。何故そうまでして君たちは、異国の赤の他人であるトトを庇う?」

 

灯は手で膝の砂埃を払い落とし、ヘムを真っ直ぐに見据えて言葉を返す。

 

「子供を助けるのに、理由なんて要らない」

 

ヘムは表情を崩さず、無言を貫く。灯は怯まずにそのまま言葉を継いだ。

 

「むしろ、あなた達は何故そこまでして、あの子を狙うんですか?禁忌を知ったお父さんだけじゃなく、無関係なお母さんまで処刑したって…。そんなアスラナクの横暴に、あなたは納得してるんですか?」

 

二人の間を、再び荒野の風が大きな音を立てて駆け抜けていく。ヘムは僅かな沈黙の後に、口を開いた。

 

「思うことがないわけではない。しかし選択肢などないのである。アスラナク様が王となったことで、ついに絶対派の悲願を成し遂げる時が来たのであるからな」

 

「悲願?人間がモンスターに屈服することですか?」

 

ヘムはただ一度頷き、言葉を返す。

 

「デュエルディスクの普及に伴い、精霊を労働者のように行使する者たちが増えた。人間と精霊が手を取り合うと言えば聞こえはいいが、精霊が崇高な存在であると認識していればそんな真似はできぬ。それは精霊世界と共に生きた我が国の歴史に対する冒涜である。ここで食い止めねば…やがてこの国も外界と同様、信仰すら知らぬ国に成り下がる…!」

 

ヘムの言葉に、灯の脳裏には街の市場で人間とモンスターが共存する光景が蘇っていた。灯にとって、それは神秘的でただ心躍る景色だった。しかし絶対派はあの日常を許容しない。彼らにとってモンスターはあくまで信仰の対象であり、決して対等な隣人ではないのだ。同じ景色を見ていても、抱く思いが決定的に違う。灯はその深い隔たりを痛感した。

 

しかし灯の心は変わらない。真っ直ぐに彼を見つめ返し、はっきりと声を放つ。

 

「何を信じるかは人の自由です。それでも…誰かの自由を奪う自由は、誰にもない」

言葉を切ると同時、灯は腕のデュエルディスクを鋭く構え直す。そのまま視線を上へと向け、眼前に立ちはだかる巨大な岩の巨人を見上げた。

 

「俺のターン…ドロー!」

引いたカードを目にした灯は、さらに鋭く前を見据え、手札からカードをデュエルディスクに叩きつける。

 

「ペイントメージ・フランボワーズを召喚!」

 

■ペイントメージ・フランボワーズ

 効果モンスター

 レベル4/炎/魔法使い/攻撃力1800 守備力1200

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「ペイントメージ」モンスター1体を墓地に送る。

 ②:フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。

 デッキから炎属性モンスター1体を除外し、そのモンスターを炎属性に変更する。

 

 

フィールドに現れたのは、自身の背丈ほどもある巨大な絵筆を手にした少年のモンスターだ。赤紫色の髪に大きな紫色の瞳。頭には緑色のとんがり帽子を被り、ベージュのシャツの上から、金色のボタンがあしらわれた赤いオーバーオールを身につけている。右手に力強く握られている太い木製の絵筆は、金色の金具の先に、赤紫色の絵の具をたっぷりと含ませている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/EC2MtXb

※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

 

 

「フランボワーズの効果発動!召喚時、デッキからペイントメージ1体を墓地へ送る。俺はペイントメージ・トワールを墓地に送るぜ」

 

「速攻魔法発動!ペイントメージ・トロンプルイユ!フィールドのペイントメージ1体を墓地に送り、チューナーとチューナー以外のペイントメージをフィールドと墓地からそれぞれ除外して、そのレベルの合計分のレベルを持つペイントメージSモンスターを、S召喚扱いで特殊召喚できる!」

 

 

■ペイントメージ・トロンプルイユ

 速攻魔法

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分の手札・フィールドから「ペイントメージ」モンスター1体を墓地に送って発動できる。

 自分のフィールド・墓地からチューナーとチューナー以外の「ペイントメージ」モンスターを

 それぞれ1体ずつ除外し、その2体のレベルの合計と同じレベルを持つ

 「ペイントメージ」Sモンスター1体をS召喚扱いで特殊召喚する。

 自分フィールドにSモンスターが存在しない場合、

 除外するモンスターは2体とも墓地から選ぶことができる。

 

 

「俺はフランボワーズを墓地に送って効果を発動!俺のフィールドにSモンスターが存在しない場合、除外するモンスターは2体とも墓地から選択できる。俺は墓地のペイントメージ・ショコラと、ペイントメージ・カードルを除外して、レベル6のペイントメージSモンスターを特殊召喚する!」

 

 

「燃え盛る灼熱の業火が、恐れを勇気に塗り替える。

シンクロ召喚!ペイントメージ・ゴッホ!」

 

■ペイントメージ・ゴッホ

 シンクロモンスター

 レベル6/炎/魔法使い/攻撃力2100 守備力1500

 チューナー + チューナー以外の炎属性モンスター1体以上

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールド上のモンスター1体を対象とし、属性を1つ宣言して発動できる。

 デッキから宣言した属性のモンスター1体を除外し、そのモンスターは宣言した属性になる。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:相手フィールドのこのカードと同じ属性を持つモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを破壊し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える。

 

 

フィールドに現れたのは、深紅の甲冑に身を包み、白いマントを羽織った赤髪の剣士だ。右手には銀色の刃を持つ片手剣が握られ、左手にはパレットの形をした木製の盾が備えられている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/ND1RphH

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ゴッホはフィールドのモンスターの属性変更と、同じ属性のモンスターを破壊する効果を持つが、ヘムの儀式モンスターは対象耐性と破壊耐性を持つため、脅威にはならない。

 

「墓地のペイントメージ・トワールの効果発動!フィールドにペイントメージが存在する時、墓地から特殊召喚できる!」

 

■ペイントメージ・トワール

 効果モンスター/チューナー

 レベル2/地/魔法使い/攻撃力500 守備力1000

 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「ペイントメージ」モンスターが存在する場合に発動できる。

 このカードを墓地から特殊召喚する。

 この効果で特殊召喚したこのモンスターがフィールドを離れた場合、除外される。

 ②:このカードをS素材としたモンスターは以下の効果を得る。

 ●このカードの攻撃力はフィールド上のモンスターの属性の数×300ポイントアップする。

 

 

現れたのは、木製のイーゼルに置かれた、顔のある白いキャンバスだ。その表面には、数本のまつげと眉毛が上にある大きな黒い瞳、丸くピンク色の赤みのある頬、そして赤い線のシンプルな笑顔が描かれている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/8mTBAsH

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口髭を触りながら、ヘムは新たなチューナーモンスターを見つめる。

 

(新たなSモンスターに繋げる気か。あの娘の手札は0枚。墓地にも発動可能なカードは無い。あっけない幕引きであるな)

そして真っ直ぐに左腕を突き出し、低い声で宣言した。

 

「ミフナ・ジャッバールの効果を発動。除外されているミフナの種類だけ、相手は自分フィールドのカードを除外せねばならない」

 

もはや抵抗の余地はないと思われた灯だが、機を窺っていたように鋭く腕を振るい、声を放つ。

 

「ペイントメージ・ゴッホの効果発動!デッキからモンスターを除外して、フィールドのモンスター1体の属性をそのモンスターの属性に変更する!ペイントメージ・クレームを除外して、ゴッホを光属性に塗り替える!」

 

ゴッホが筆の形をした剣を振るうと、その身の甲冑と髪が、瞬く間にクリーム色へと塗り替えられる。しかし、すぐさまヘムが声を重ねた。

 

「無意味である!ミフナ・ジャッバールにより、君のモンスターは全て除外される!」

 

眼前に聳える岩の巨人が、巨大な両腕を大地に叩きつける。その一撃で生じた凄まじい衝撃波が空間そのものを歪ませ、フィールドを飲み込んだ。

 

しかし、灯の瞳は一切の揺らぎを見せない。

 

「除外されたペイントメージ・クレームの効果発動!このカードが除外された時、デッキからチューナーのペイントメージを1体、特殊召喚できる!」

 

「なんだと…」

ヘムの表情が初めて強張る。除外を契機に発動する効果など、彼の予測には微塵も存在していなかった。手札がゼロになった隙を突き、シンクロ召喚の芽を摘むためにジャッバールの効果を撃つ。それはヘムにとって疑いようのない好機であり、戦術上の必然だった。灯は彼が確実に効果を使ってくるこの瞬間を待っていたのだ。相手の最大の妨害を誘い出した後に呼び出されるそのチューナーこそが、灯が手繰り寄せた唯一の希望であった。

 

「俺はデッキからペイントメージ・エヴァンタイユを特殊召喚!」

 

■ペイントメージ・エヴァンタイユ

 効果モンスター/チューナー

 レベル2/闇/魔法使い/攻撃力800 守備力300

 このカード名の①②の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

 ①:このカードをリリースし、除外状態の自分のレベル4以下の「ペイントメージ」モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 ②:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「ペイントメージ」通常魔法カード1枚を手札に加える。

 

 

現れたのは、扇形ブラシの形をした小さなモンスターだった。体は全体的に黒く、頭部は荒々しい黒い毛で構成され、オレンジ色に光る瞳が強い怒りを放つ。胴体は木製の柄と、それを締める銀色の金属バンドでできており、短い手足で小さな拳を握りしめている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/UPHPfU5

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ヘムは妨害手段を使い切り、これ以上の灯の展開を阻害する術を持たない。だが対象耐性と効果破壊耐性を備え、4500の攻撃力を持つジャッバールを突破するのは容易ではないだろう。ヘムは未だ焦りの色を見せず、静かにフィールドを見据えている。

 

「エヴァンタイユをリリースして効果発動!デュエル中に1度、除外状態のレベル4以下のペイントメージを2体、特殊召喚する!現れよ、ペイントメージ・カードル、ペイントメージ・シアン!」

フィールドに現れたのは、額縁の中に白い顔が浮かぶSチューナーと、セーラー服を纏い、青緑色の髪で右目を覆い隠した筆を持つ少女のモンスターだ。

 

「リリースされたエヴァンタイユの効果発動。デュエル中に1度、フィールドから墓地へ送られた場合、デッキからペイントメージ通常魔法を1枚手札に加える。手札に加えるのはペイントメージ・ポリクローム」

 

「さらにペイントメージ・シアンの効果発動!墓地のペイントメージを1体除外して、その属性と同じでカード名が異なるペイントメージをデッキから特殊召喚する!エヴァンタイユを除外して、闇属性のペイントメージ・リラを特殊召喚!」

 

 

■ペイントメージ・リラ

 効果モンスター

 レベル4/闇/魔法使い/攻撃力1800 守備力1200

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

 デッキから「ペイントメージ」モンスター1体を手札に加える。

 ②:フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。

 デッキから闇属性モンスター1体を除外し、そのモンスターを闇属性に変更する。

 

 

フィールドに現れたのは、深い紫色のローブを纏い、同色の髪と瞳を持つ少女だ。頭には大きなフードを被り、その縁や袖口には明るい紫色のラインが走っている。右手には、木製の柄の先に紫色の絵具を含んだ大きな筆を握っている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/fHnFUJk

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「ペイントメージ・リラの効果発動。特殊召喚した時、デッキからペイントメージを1体手札に加えられる。俺はペイントメージ・フゼインを手札に加える。俺のフィールドの属性は光・水・闇。自分フィールドの属性が3種類以上の時、手札からペイントメージ・フゼインを特殊召喚できる!」

 

 

■ペイントメージ・フゼイン

 効果モンスター/チューナー

 レベル2/炎/魔法使い/攻撃力700 守備力800

 このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

 ②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分フィールドのモンスターの属性が3種類以上の場合、

 このカードは手札から特殊召喚できる。

 ②:墓地のこのカードを除外し、

 自分フィールドの「ペイントメージ」モンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が1000アップし、

 守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

 

現れたのは、円柱形の炭のモンスターだ。頭頂部は斜めに切り取られており、濃い灰色の体躯に半円形の目と真一文字の口が並ぶ。胴体からは、太く短い手脚が伸びている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/V5EGsFk

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「魔法カード『ペイントメージ・ポリクローム』発動!フィールドのモンスターの属性2種類につきカードを1枚ドローする」

 

 

■ペイントメージ・ポリクローム

 通常魔法

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールドの表側モンスターの属性の種類が2種類以上の場合に発動できる。

 フィールドの表側モンスターの属性2種類につき1枚、自分はデッキからドローする。

 属性の種類が4種類以上の場合、

 さらにデッキから「ペイントメージ」カード1枚を墓地に送ることができる。

 ②:自分フィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。

 デッキから「ペイントメージ」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「フィールドには4属性存在するため、カードを2枚ドロー!さらに属性が4種類以上の場合、デッキからペイントメージカードを墓地に送ることができる。俺は魔法カード『ペイントメージ・シャッフル』を墓地へ送る!」

 

「墓地に送ったペイントメージ・シャッフルの効果発動。墓地のペイントメージを3体デッキに戻して1枚ドローする。墓地のパレット、オウトロメール、フランボワーズをデッキに戻し、1枚ドロー!」

チューナーモンスター1体から、手札は0枚から3枚となり、フィールドには4体のモンスターが並び立つ。ヌーラはその鮮やかなまでの展開に目を丸くし、ただ呆然とフィールドを見つめる。

 

「行くぜ。レベル4『ペイントメージ・シアン』に、レベル4『ペイントメージ・カードル』をチューニング!」

カードルの姿が眩い光の輪へと解けていく。円環の中を突き進むシアンの体は、4つの鮮烈な星の光へと変換される。

 

 

「数多の彩より生まれし華麗なる精霊よ、その手で悪しき魂を塗り潰せ」

 

「シンクロ召喚!降臨せよ!

『ペイントメージ・アールヌーヴォー』!」

 

 

■ペイントメージ・アールヌーヴォー

 シンクロモンスター

 レベル8/光/魔法使い/攻撃力3000 守備力2400

 チューナー + チューナーと異なる属性のモンスター1体以上

 ①:このカードがフィールドに存在する限り、このカードのS素材となったモンスターと同じ属性を持つ相手フィールドのモンスターの効果は無効化される。

 ②:このカードは、S素材となったモンスターと同じ属性を持つ相手フィールドのモンスター全てに攻撃できる。

 

 

光と共にフィールドに現れたのは、虹色に輝く巨大な翼を広げ、純白のドレスを纏った精霊のような女性のモンスター。白金の髪にはティアラとヴェールが飾られ、青い瞳が静かに光を宿している。右手には、青い光を放つ金色の装飾が施された長い杖が握られている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/3kzg7o5

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「ペイントメージ・アールヌーヴォーが存在する限り、S素材としたモンスターの同じ属性の相手モンスターは、効果が無効化される。よって、ミフナ・ジャッバールの効果は無効!」

 

虹色の翼を羽ばたかせ、ペイントメージ・アールヌーヴォーが錫杖を高く振りかざす。その錫杖から放たれた無色の波動が、岩の巨人ジャッバールの全身を包み込む。波動が触れた箇所から、ジャッバールの体表を彩っていた色彩が急速に剥がれ落ちていく。まるで時間が止まったかのように無機質な灰色へと変貌し、石の彫像へと帰した。

 

「これでアンタのモンスターの対象耐性は消えた。俺は闇属性レベル4『ペイントメージ・リラ』に、レベル2『ペイントメージ・フゼイン』をチューニング!」

フゼインの姿が眩い光の輪へと解けていく。円環の中を突き進むリラの体は、4つの鮮烈な星の光へと変換される。

 

「纏わりつく漆黒の闇が、安寧を憂鬱に塗り替える。

S召喚!現れよ、ペイントメージ・ムンク!」

 

 

■ペイントメージ・ムンク

 シンクロモンスター

 レベル6/闇/魔法使い/攻撃力2400 守備力800

 チューナー + チューナー以外の闇属性モンスター1体以上

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 ①:フィールド上のモンスター1体を対象とし、属性を1つ宣言して発動できる。

 デッキから宣言した属性のモンスター1体を除外し、選んだモンスターは宣言した属性になる。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ②:このカードと同じ属性を持つ相手の墓地のモンスターが効果を発動した場合、

 またはこのカードと同じ属性を持つ相手の墓地のモンスターを対象とする効果が発動した場合に発動できる。

 その効果を無効にし、対象となった相手の墓地のモンスターを除外する。

 

 

フィールドに現れたのは、全身黒ずくめの若い男のモンスターだ。ボサボサの黒髪と、隈を強調した鋭い目つきで正面を睨んでいる。ダブルブレストの黒いロングコートを纏い、右手に銃を構える。その銃身の先端には紫色の穂先を持つ大きな筆が付き、側面には色とりどりの丸いボタンが並ぶ。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/hw4EFqv

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「ペイントメージ・ムンクの効果発動。デッキからペイントメージ・パステルを除外して、ミフナ・ジャッバールを光属性に変える」

ムンクが銃を構えると、その穂先はクリーム色へと変わる。引き金を引くと、銃口からクリーム色の光を纏った弾丸が放たれる。弾丸は灰色に石化していたジャッバールに命中し、その全身はまばゆい光を放つ質感へと変化する。

 

「ペイントメージ・アールヌーヴォーの効果発動!カードルを素材にしているアールヌーヴォーは、同じ属性の相手モンスターを除外できる。光属性となったミフナ・ジャッバールを除外する!」

アールヌーヴォーが錫杖を振り抜くと、眩い光がジャッバールの巨体を飲み込む。強烈な閃光に思わず目を瞑ったヘムが再び目を開くと、眼前に聳えていたはずの巨大な石の体は、跡形もなくフィールドから消失していた。

 

「やった!すごいっ!」

ヌーラは灯の背後で思わず両足を上げて飛び跳ねる。ヘムは険しい表情で重々しく口を開く。

 

「こうも容易くジャッバールを討つとは…。だがこの瞬間、ミフナ・ジャッバールの効果を発動!フィールドから離れた時、デッキから『ミフナ』儀式魔法を1枚、フィールドにセットする。私はミフナ・ウィラーサをセット」

灯はデュエルディスクから浮かび上がるソリッドヴィジョンのカードを一瞥する。一呼吸置いた後、前方を真っ直ぐに見据えて力強く腕を振り下ろす。

 

「バトル!ペイントメージ・アールヌーヴォーでダイレクトアタック!」

アールヌーヴォーが錫杖を高く掲げる。その先端で光と水が交じり合い、ひとつの魔法の球体が生み出される。標的を定めて錫杖を振り下ろすと、球体は猛スピードでヘムへと迫り、直撃と共に魔術の爆発を巻き起こす。

 

「ぐぉおおおお!!」

ヘム LP8000→5000

 

ヘムは咄嗟にデュエルディスクへ手を伸ばす。墓地から一枚のカードを引き抜き、表へ向ける。

 

「私がダメージを受けた時、墓地のミフナ・アフタブートを除外して効果発動!デッキからミフナを特殊召喚する!そしてアフタブートが除外されたことで、私は手札からモンスター効果での特殊召喚ができない制約を負う…!」

 

宣言と同時に、ヘムの首へさらに太い岩の枷がはめ込まれる。攻撃に耐えつつ、自らをさらに厳しい状況へと追い込んでいくヘムの姿は、敵対する灯の目にも痛々しく映る。

 

「ミフナ・アフタブートの効果により、私はデッキからミフナ・ルービヤーンを守備表示で特殊召喚する!」

 

フィールドに現れたのは、岩石で構成された海老のモンスターだ。全身は重厚な岩の甲殻で覆われ、背中には鋭い青いクリスタルが連なって生えている。頭部には長くしなる触角を持ち、青く発光する双眸を鋭く光らせている。一対の巨大なハサミの腕には青いルーン文字の刻まれた枷のような輪がはめ込まれ、扇状に広がる尾の先端もまた青い結晶で形成されている。

 

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/g9VRQqK

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岩のモンスターが障壁となったことで、これ以上はヘムにダメージを与えられない。灯は口元を引き結び、攻撃を続行した。

 

「ペイントメージ・ムンクで、ミフナ・ルービヤーンへ攻撃!」

ムンクが銃を構える。鋭い銃声が響き、漆黒の闇を纏う弾丸が岩の海老へ向けて放たれる。頑強な体は真っ直ぐに貫かれ、ひび割れと共に砕け散った。

 

「俺はカードを1枚セット。アールヌーヴォーによって、アンタの水属性モンスターの効果は無効化される。さらにムンクは、同じ属性の墓地でのモンスター効果を無効にして、さらに同じ属性の墓地のモンスターを対象とするカード効果を無効にする。ターンエンドだ」

 

-------------------------------------------------

【灯】

LP3500 手札:2

 

①ペイントメージ・アールヌーヴォー ATK3000

②ペイントメージ・ムンク ATK2400

 

伏せカード:1

 

【ヘム】

LP5000 手札:3

 

伏せカード:1(ミフナ・ウィラーサ)

制約:通常召喚不可、モンスターへ攻撃不可、墓地から特殊召喚不可、サルベージ不可、手札からモンスター効果による特殊召喚不可

--------------------------------------------------

 

「副指揮官…」

勝利を信じて疑わなかった2人の兵士から、余裕の笑みが消える。焦燥を滲ませてヘムを呼ぶ彼らの瞳には、微かな怯えが揺れていた。ヘムは振り返らず、背中越しに応じる。

 

「案ずるな。お前たちは、私の覚悟を知っているであろう」

その言葉に、兵士たちの脳裏にある夜の記憶が蘇る。薄暗い兵舎の中、安らかに眠りこける指揮官ムウミン。その姿から少し離れた場所で、ヘムを中心に静かに輪を作って語り合った光景だった。

 

 

ライフは未だ灯が下回っているものの、絶望的だった盤面は完全に覆された。アールヌーヴォーの永続的な無効効果が、強力な制圧となってフィールドを支配している。しかし副指揮官ヘムは、ある覚悟をもって再び灯へと挑もうとしている。

 

彼の覚悟の源とは何か。

そして彼にこの状況を覆す手立てはあるのか。

戦いは、まだ終わっていない。

 

 

第85話「戒めの岩枷」 完

 

 

 

 

副指揮官ヘムが語る、指揮官「ムウミン」という存在。彼女が王宮にもたらした変化は、配下であるヘムたちに確かな希望を与えていた。絶対派の悲願を成し遂げるため、彼らはアスラナクに従い、いかなる非情な手段も辞さない覚悟を見せる。

 

そして迎えたヘムのターン。新たに降臨した儀式モンスターの力は、灯たちの想像を遥かに超えていた。ヘムを縛る岩の枷が灯の身体をも捕縛し、逃れられぬ絶体絶命の窮地へと追い詰める。

 

自らの大義のために子供の命すら犠牲にしようとするヘム。

その狂信に対し、灯が導き出す答えとは。

そして絶望的な盤面を打ち破る一手は、果たして残されているのだろうか。

 

 

「子供の命を奪わなきゃ叶えられないようなものを…願いなんて呼ばせない!」

 

次回 第86話「希望を貫く凶弾」

 

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