スキル『ゴッドハンド』の転生拷問官。気がつけば、捕虜でハーレムを作っていた。   作:沙悟寺 綾太郎

12 / 31
第十二話  勇者一行、魔法使い捕獲作戦始まる。

 

 一夜が明けて、町へと戻ってきたルークら三人は一旦、別行動となった。

 

 アテナとミリーダは、旅の疲れを癒すため……そして、ダンジョンであったなんやかんやを洗い流すべく、浴場へと。

 

 その間にルークは、行きつけの酒場へと向かった。

 いつものような騒乱さはない。それもそのはず、男たちの視線はバーカウンターに腰を下ろした一人の美女へと注がれていたからだ。

 

「美人だなぁ」

「ああ、あれは伝説級の美しさだ。声、掛けてみるか?」

「やめとけ。隣の席に掛かってる外套。ありゃ、帝国軍の大幹部様だ」

「ひぇぇ。てことは、無礼でも働いた日には、打首確定かぁ」

 

 男たちのひそひそとした声にルークは心の中で頷いていた。

 確かに、あの女を怒らせれば何をされるか、容易に想像がつく。

 

「お待たせ。待ったかい? 親愛なる君」

 

 後ろから、ルークは鼻にかけた声を出しながら、場違いな美女、レイズ・バランタインの隣へと腰掛けた。

 

「遅いわよ。召喚状は昨日には届いていたはずでしょう?」

 

「あー、実は出かけててな。帰ってきたのは、ついさっきだ」

 

「はぁ、ほんといい加減ね。貴方。ミリーダは?」

 

「今は、風呂」

 

「そ。無事ならそれでいいわ」

 

 城門の詰め所で教えて貰わなければ、遅刻どころでは済まなかっただろう。

 

「この店は、奢りだよな?」

 

「何? 私が貴方を呼び出して、一度でもお金を払わせたことあったかしら」

 

「確かに。マスター、一番高い酒を頼む」

 

「……ほんと、そのうち上官侮辱罪で罰を与えようかしら」

 

 その目は、とても冗談には見えない。

 

「じょ、冗談だよ。おい! こら! なに一番高い酒を注いでやがるっ! 飲まねぇからな!! 水だ! 水をくれっ!」

 

「えぇ……」

 

 マスターは呆れた顔で、やれやれとこちらを見ていた。……申し訳ないが、理解して欲しい。

 

「仕事の件だけど……」

 

 レイズが切り出した。

 

「勇者御一行が魔王討伐の帰り道に、帝都に寄るんだろ?」

 

「……誰から聞いた?」

 

「パトロンだ」

 

「そう、あの魔女ってわけね」

 

 レイズはぴくりと瞼を震わせて、言い当てるとグラスを傾けた。

 

「ま、そうだな」

 

「あまり肩入れしすぎないようにね、あれは魔族。人ではないのだから」

 

「俺が肩入れするように見えるか? あれに」

 

「さあ、どうでしょうね。だって、貴方はどこまで行っても鬼畜のふりをしている善人じゃない」

 

 痛いところをついてくるものだ。ルークは鼻で笑った。

 

「それで、俺はどうすりゃいい?」

 

「とりあえず、今日中に帝都へと発ちなさい。ここからならば、馬車で二日で着くはずよ」

 

「……それ以降は? また指示待ちか?」

 

 自然と言葉に怒りのようなものが混じった。それもほとんど無意識に。

 

「冷静になりなさい。復讐を早るのは分かるけど、今焦ってもどうにもならないでしょう」

 

「……ああ。そうだな。すまん」

 

「それじゃあ、私は一足先に帝都に戻るわ。貴方もすぐに来なさいね」

 

「はいよー」

 

 レイズはそう言って店から出て行った。どうせなら一緒に行けばいいと思ったが、転移魔法を使って戻るつまりなのだろう。

 

「さてさて、俺も準備するかぁ」

 

 提供された水を一気な飲み干して、ルークも店を出た。

 

***

 

 貸し切った浴場。湯気が立ち上る湯船の中、二人の間には妙に気まずい空気が流れていた。

 

「「……」」

 

 ミリーダとアテナは視線すら一度として合わせることなく、お互いにそっぽを向いている。

 

「なあ、一つ……いいか?」

 

 アテナが何かを決意したように振り返ると、その豊満な胸の動きによって、水面が柔らかく揺れた。

 

「なに?」

 

 ミリーダはアテナの視線に訝しむような視線を返し、湯船の中、体に巻いたタオルをギュッと摘み上げる。それは何かを隠しているようだった。

 

「お前と、あいつは恋人……なのか?」

 

「っ!?」

 

 アテナの言葉に、ミリーダは目を見開いた。

 

「な、なんだ? 間違っていたのか?」

 

「いいえ、その通り。恋人。それがなに?」

 

 全くの嘘だ。ルークがもしものこの場にいたのなら、そう言っただろう。

 だが、ここにはいない。それだけだった。

 

「やはり、か。ならば、教えてくれ。奴は何故、王国を裏切り、この国にいるんだ?」

 

「……それは」

 

 ミリーダは湯船の中で膝を抱える。

 それを言っても良いのか、迷っていたのだ。

 

「知ってはいるんだな。頼む、別に奴を陥れたいとかそういうのではないんだ。ただ、私にはどうにも、奴がただの下衆とは思えないんだ」

 

 初めて会った時もそう。色々されはしたが、傷つけられることはなかった。

 

 森での時もそう、戦わされはしたが、常にこちらを見て助太刀を伺っていた。アテナの攻撃にも反撃はせず、笑みすら浮かべていた。

 

「直接、ジンパチから聞いたわけじゃないけど……」

 

 ミリーダは視線を逸らしながら、口を開く。

 

「勿論、それで構わん。聞かせてくれ」

 

「勇者一行と王国は、ね」

 

 すっとミリーダは吐息を漏らしてから、残り半分の言葉を紡いだ。

 

「──ジンパチの友達二人を、殺したんだよ」

  

 

 

 




────

あとがき

お読みいただいてありがとうございます。
これからも頑張って続きを書いていきますので、作品フォローや星レビューを付けて応援していただけると、とても嬉しい限りです。
どうぞ、よろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。