スキル『ゴッドハンド』の転生拷問官。気がつけば、捕虜でハーレムを作っていた。   作:沙悟寺 綾太郎

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第十六話  帝都到着、復讐劇の始まり

「よっと」

 

 帝都の門前。ルークは馬車を降りる。夕日が降り、周囲が薄暗く染まり始めた頃だった。

 

「ここが、帝国の都か」

 

 続いて降りてきたアテナは仕切りにきょろきょろと周囲を見回しながら、一段二段と馬車を降りた。

 

「ねえ、ジンパチ。私、馬車から一人で降りれない」

 

「嘘つけ」

 

「ちっ」

 

 ミリーダはまるで、その身体能力を誇示するように、跳躍する。

 そして、ルークの胸へと勢いよく飛びついてくる。

 

「あー体が勝手にー(棒)。受け止めてー」

 

「ちょ、おま……」

 

「……ふふふふ」

 

 ルークが抱き止めるなり、ミリーダは顔を胸へと沈めて、鼻を何度も鳴らす。

 

「えーと、そろそろいいか?」

 

「うん。満足」

 

 ミリーダは回してきた腕を一度解いて、シフトしてきた。

 

「妙にご機嫌だな」

 

「私、気づいた。ジンパチと帝都にくる=デート。違う?」

 

「まあ、お前がそれでいいなら、いいよ」

 

「よし。宿屋は同室、お風呂も一緒、あと……ベッドはダブル。あと夜は***を××××する」

 

「うーん。と……そのぉ」

 

 断ろうとも思ったが、あまりにも狂気的なその目に、ルークは恐怖すら感じていた。

 

「なら決定。雌豚、そういうことだから、今日の夜は声を殺す必要ない」

 

「なんだ貴様っ! 喧嘩を売ってるのかっ!」

 

「さあ? どうだろうね」

 

「ぐぬぬ、許せんっ! 叩き切ってやるぅ!」

 

 突如として始まった追いかけっこにルークは軽く頭を抱える。

 

「ほら、油売ってないで行くぞ」

 

「「そんなの売ってないっ!!」」

 

 うん。二人に前世の世界の慣用句を使うのはやめよう。そう思った。

 

***

 

 ルーク達三人が向かったのは、帝都の南の区画に位置する巨大な屋敷。

 帝国軍参謀幹部、レイズ・バランタインの複数ある拠点の一つだ。

 

「やっと、来たようね」

 

 使用人に案内され、通された応接室には、既にレイズが待っていた。

 広い部屋には、質の良いソファーやテーブル。デスクまでが置かれているものの、

 

「待たせたな。それで、勇者どもは?」

 

「先日より、帝都に滞在しているわ」

 

「ふっ、もう来てるのか」

 

 ルークはぽきぽきと腕を鳴らす。

 

「分かってるとは思うけど、今回、帝国軍は大っぴらには動かせないわ」

 

「ああ」

 

 勇者とは、国同士の軋轢を越えた存在。魔王から世界を救った救世主だ。それを帝国が毒殺、謀殺したとあれば、世論はそれこそ敵になるだろう。

 

「だから、俺を使うんだろ。あんたは」

 

「そうよ。ここで、勇者達に何もできないまま、王国に帰すならば、魔王が消えた今世界の覇権を握るのは、王国。それだけは阻止しなければならない」

 

「その通りだ」

 

 勇者を見出すのに、あんな非人道的な手段をとったあの国が覇権を握ればどうなるのか、想像出来ない。

 

「一ついいか、レイズ・バランタイン」

 

 手を挙げたのは、アテナだった。

 

「ええ、構わないわよ」

 

「私の身柄は、恐らく今日のために確保したのだろう? なぜ? 私がいたところで、事態は何も変わらない」

 

 確かに。ルークも薄々はそう感じていた。

 アテナでは、勇者には勝てないし、恐らくは他のメンバーも同様。

 

 にも関わらず、レイズはあの日、アテナを手懐ければ、魔法使いを捕らえられると言った。

 

「当たらずも遠からずね。私が貴女を捉えた理由は、貴女自身ではない。……入って来なさい」

 

 がちゃり、ドアが開く。

 入って来たのは、金色の髪。ヒラヒラとした水色のドレスを纏ったお淑やかな令嬢だ。

 

「ん?」

 

 その目の色には、見覚えがあった。ルークが思うと同時だった。

 

「な、な、な、な、なぜっ!?」

 

 アテナが未だかつて無かったほどの動揺を見せた。

 

「皆様。お初にお目にかかります。私は王国王位継承権第三位にして──第二皇女。ナタリア。ナタリア・リース・クラウンでございます」

 

 

 クラウン。その家名は、紛れもない王国王家の証だ。

 

「アテナ。元気にやっていましたか?」

 

 姫君は柔らかな笑みを浮かべた。なんとなく、その優しい人柄の伝わってくるような所作だった。

 

「も、勿論でございます。それよりも、なぜ、ここに姫様がっ! はっ、まさかっ!」

 

 きりりと鋭い目を向けられる。ルークは否定するべく、首を振った。

 

 それは、レイズに聞け。そう目で訴える。

 

「アテナ。安心して、この人達は、今現状敵ではないわ。確かに貴女が捕まったと聞かされた時は、生きた心地がしなかったけれど」

 

「どういうことですか?」

 

 またもアテナはこちらに尋ねるように、ちらちらと視線を送ってくる。

 

「なるほどな。アテナを捕えることで、レイズ、あんたはそのお姫様に接触したかったわけだ」

 

「ええ。アテナを貴方に託したのは、貴方なら手懐けられると思ったのと同時に、酷いことはしないと思ったからよ」

 

「何が酷いことをしない、だ。私の体はもはや奴隷印によって……」

 

「実はあれは、偽物よ」

 

「「え?」」

 

 ルークの声とアテナの声が重なる。

 

「奴隷印なんて高級なものを易々と使えるわけがないでしょう? ああしたのは、貴女自身にルークから離れられないのだ、と思わせるためにしたまでよ」

 

「……て、ことは、アテナ……お前」

 

「な、なんだ、み、見るなっ!」

 

 つまり、アテナはただ言葉責めで快感を感じていただけ。そう言うことになる。

 

「……雌豚」

 

「くぅぅぅぅ!! 殺してくれぇぇ!!」

 

 叫ぶアテナは、真っ赤な顔で目尻には涙。

 

「ふふふ、良かったわね。アテナにもお友達が増えたみたいで安心したわ」

 

 お姫様の笑顔に少しサイコパスじみた何かを感じるのは、気のせいではないはずだ。

 

「話を戻すわね。何故、私たちが今ここに揃っているのか。それは私とナタリア姫の意見が完全に一致したからよ」

 

「ほう?」

 

 それは一体。

 

「──勇者御一行は、人類の味方ではない。そう、見解は一致したわ」

 

 




────

あとがき

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