スキル『ゴッドハンド』の転生拷問官。気がつけば、捕虜でハーレムを作っていた。   作:沙悟寺 綾太郎

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第二十四話  王国へと向かう4人と、迫る痴女

 

「はぁぁぁー、なんであたしがー」

 

 帝都を発ち、はや二日。

 現在地は、帝都と王国の国境付近。

 平野を抜ければ、村へと着く頃合いだ。

 

「いつまで文句言ってんだ。そろそろ、耳にタコが出来るわ」

 

 馬車の中、エーリカとアテナは眠っている。ルークは二人の寝顔をなんとなく見ながら、ストレージの整理をしていた。

 

「なんか面白い話してよ。退屈で死んじゃいそう」

 

「あー、面白い話か。この前、とある大魔法使い様を抱いたんだが、ちょっと気になったんだよなぁ。乳首の横にあったホクロ」

 

「はぁぁぁ!!! あんた! 見たなぁ!?」

 

 激昂する大魔法使い様。どうやら、気にしていたらしい。……まあ、している時もずっと隠すような素振りを取っていたから、だろうと思ったが。

 

「そう怒るなよ、二人が起きちまう。あと、魔力が暴走して、馬車がぶっ壊れそうだ」

 

「そんなこと、あるわけ……っ!?」

 

 シズクが首を横に振った瞬間だった。

 馬の悲鳴が響き渡り、馬車は激しく揺れに襲われた。

 振動が止まる、どうやら馬車は停止してしまったらしい。

 

「な、何事だ!?」

 

 流石のアテナも飛び起きた。

 

「な、なに?」

 

 エーリカも起きたようで、アテナに不安そうに抱きついている。

 

「へへ、降りてきなっ!」

 

 外から聞こえてきたのは、野太い声。

 

「あー、そういうことね。うん」

 

 大体の状況は理解した。

 

「そんじゃ、ちょっと行ってくる」

 

 野盗にでも出会したらしい。

 

「ちょっと待て。ここは騎士として私が」

 

 アテナが立ち上がる。

 

「いや、お前はその子の子守りをしててくれ」

 

 ルークは制止する。

 エーリカが懐いているのは、この場で唯一アテナにだけだ。何かあれば、面倒臭い。

 

「そうね、騎士さんの手を煩わせるわけにはいかないわ」

 

「ああ、そういうことだ。てことで、ここは俺が……」

 

 ぱっぱと終わらせてしまおう。そう思った矢先。

 

「──ええ。行きましょうか」

 

 自信満々な笑みを浮かべて、シズクは杖をストレージから取り出した。

 

「はあ?」

 

「なによ?」

 

 何故だが、シズクは妙に乗り気だった。

 

「暇なのよ、こういうトラブルがあった方が楽しいじゃない」

 

「そうかよ。なら、一緒に行くか」

 

 話がついて、ルークとシズクは馬車を降りる。馬車の前方へと回った。

 

「へっ! お前ら喜べっ! これはとんだ上玉だぞっ!」

 

 周囲の野盗から歓声が上がる。袖を乱雑に破ったその衣装は、世紀末を彷彿とさせる。

 

「汚物が、自ら消毒されにやってきたみたいだな」

 

「ぷっ」

 

 どうやら、ネタが分かったらしい。シズクは噛み殺すようにくすくすと笑っている。

 

「てめぇら、何を笑ってやがる。気にいらねぇ」

 

 そう言ったのは、野盗の先頭。一際、目立つスキンヘッドの男。

 恐らくは野盗団の頭領なのだろう。

 

「あ、いや、気にしないでくれ。それより、要件は?」

 

「へっ、簡単なことだ。持ち物と金、そして、その女を置いていけ」

 

「……だそうだが?」

 

 ルークは視線で問う。

 

「はあ? 私にあいつらの相手をしろって? 無理、絶対無理」

 

「だそうだが?」

 

 今度は、スキンヘッドの男へと問うてみる。

 

「は、なら交渉決裂だな……お前ら、やっちま……」

 

「──《ブリザード・チェイン》」

 

 唐突に、シズクの杖より放たれたそれは数えることすら馬鹿馬鹿しい数の氷の鎖。

 

「なっ!?」

 

 鎖は、頭領以外全員の体を貫くと、被弾した箇所から凍らせていく。

 あっという間に氷像の展示会会場だ。

 

「はい、お片付け終了」

 

「て、テメェ何者だっ!?」

 

「大魔法使いよ、不細工な男に名乗る名は持ってないわ。……あれは、あんたに任せるわよ?」

 

 シズクはつまらなさそうに唇を尖らせた。

 

「はいよ……悪いが、先を急いでるんでな」

 

「ま、待てっ!!」

 

 ルークの拳は、あまりにも容易く男を吹き飛ばしたのだった。

 

***

 

「はぁ、先を越されてしまったかのぉ」

 

 平野を行く馬車を見送った少女は、芝居掛かった言葉の後で大きなため息を吐いた。

 

「……ん、殺してないだと? ふふ、やはり儂はついておるな」

 

 女はすぐさま駆け出すと、馬車を襲い、成敗された野盗団の元へと向かった。

 

「……ちっ。全く、とんでもねぇ連中だったぜ。ん? お前、誰だ?」

 

「気にするな、汝等(うぬら)には関係ない」

 

 野盗団は傷を負いながらも、全員命に別状はないようだった。

 頭領の視線が女を捉える。

 その途端だった。

 

「……ち、痴女?」

 

 その格好は正気の沙汰とは言えなかった。

 胸を包帯のようなもので、巻かれており、腰はパンツのみ。

 

「ふむ。汝等は……よしよし」

 

 少女はストレージから一枚の紙切れを取り出し、男らと見比べる。

 

「貴様の名前は、スキンズで間違いないかのぉ?」

 

「は、俺も有名になったもんだな、おうとも……」

 

 男が頷いた刹那。

 

「──そうか、ならば。その首を貰おうか」

 

 紛れもない刀の一閃は、男の首を捉える。

 容易に、その脊椎を断った。

 

「ひっ、ひぃ!? ボスがっ!」

 

 周りの男達が悲鳴を上げる最中で、少女は地面を転がった男の首を持ち上げる。

 

「これで、賞金首三つ目。さて、次の標的は」

 

 またもストレージに腕を突き入れ、もう一枚の紙を取る。

 

「──大魔法使い シズク……か」

 

 少女は、くすりと不気味に笑った。

 





────

あとがき

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