スキル『ゴッドハンド』の転生拷問官。気がつけば、捕虜でハーレムを作っていた。   作:沙悟寺 綾太郎

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第五話 女騎士と媚薬

 

「今回集まって頂いたのは、他でもない。君たちの中に勇者がいる」

 

 二度目の十五歳。十代の少年少女を一堂に集めた王宮、王座の前にてそんな宰相の声が響いた。

 

「え? 勇者?」

「なんの話?」

 

 周りも俺と同じ連中なのだろう。なんとなく戸惑う様子を見ていれば、そんな気がした。

 

「左様。勇者とは、魔王を打ち倒しこの世に平穏をもたらす救世主のことよ」

 

「……救世主か」

 

 少しわくわくした。何せ、自分がそうなのかもしれないと。元いた世界で死ぬほどやったRPGゲームの主人公のようだったからだ。

 

「では、今から一人一人、前に出てもらう。その才能を測らせてもらおう」

 

 しかし。

 

「おお、まさしくその才能。賢者といえよう」

 

 最初の一人は、そう言われた。

 続いて二人目。

 

「なるほど。その才能。一流の戦士と見受けられる」

 

 その後も、次々と才能を見そめられていく奴ら。そして、ついに俺の番が来た。

 

「……これは」

 

 宰相は、眉根を寄せた。それがいい意味なのか悪い意味なのか分からなかった俺は、ごくりと期待に喉を鳴らした。

 

「次の者」

「え? ちょ、反応なし?」

「後がつかえてるんだ。早くどけ」

 

 ああ。よくはなかったみたいだ。まあ、選ばれし者ってだけで満足ではあるが。

 

「あいつ、なんもなしだってよ」

「だっせ」

 

 ふっ。まあ、せいぜい今は馬鹿にしてろよ。 俺はは内心余裕だった。何せ、俺にはレジェンドスキルがあるからだ。

 

 

「よし。これで全員の鑑定は終了したな。これより、貴様らにはとあるダンジョンに挑んでもらう」

 

 

「「おぉ!」」

 

 

 きっと宰相の言葉に浮かれたからだろう、恐れた声ではなく、もはやそれは歓声だった。

 

「三人一組だ。こちらで決めるから少し待たれよ」

 

 数分? いや数十分? 正直、時計がないから今一度分からなかったけれど、それなりに長いようで短いような時間の後で、俺達は指定された組みで固まり始めた。

 

「よろしくな!」

 

 一人はいかにも好青年と言った風貌の男。

 そして、

 

「……よろしく」

 

 もう一人は、ふんわりとしたボブヘアの少女。しかも、かなりの美少女だ。

 

「ではついて来い。ダンジョンはこの王宮の地下にある」

 

………

 

「初めまして。俺は神崎ユウキ。気がついたらこの世界に召喚されてたんだ!」

 

 一振りの剣を腰へと差した少年は、洞窟のようなダンジョン最奥に届きそうなくらいの大きな声で言った。

 なんとも真っ直ぐそうな奴だ。

 

「俺はジンパチ。この世界に来て、十年くらいかな……あ、敬語使った方がいい、ですか?」

 

 とりあえず、年下らしいことは分かった。

 見た目はどう見ても、高校生くらいだ。

 

 俺は転生者だから今の年齢よりもずっと歳上だ。とはいえ、説明するのも面倒臭い。ここは合わせておこう。

 

「ああ! よろしくな! 甚八君! 敬語はいらんぞ!」

 

「なら、俺も呼び捨てで頼む。堅苦しいのはあきあきなんだ」

 

「分かったぞ! ジンパチ!」

 

「おうよ、頼むぜ。ユウキ」

 

「よしよし。それじゃあ、君も自己紹介をお願い出来るか?」

 

 ユウキの目が杖を抱えた少女へと向いた。

 

「……私は……その本名はちょっと言えない」

 

 少女は楽しげな俺とユウキをよそに、少女はびくついたような様子でダンジョンの中に視線を這わせながらいった。

 

「なら、あだ名だ! あだ名でいいから教えてもらえるか!?」

 

「う、え……えーと、じゃあ……ミライかな」

 

「そうか! よろしく頼む! ミライっ!」

 

「え、ええ」

 

 ほー。こういう時の単細胞系男子は素直に凄いなぁ。普通、そこまでぐいぐいと距離を詰めれるか?

 

「んじゃ、自己紹介も終わったし、ダンジョンの先に進みますかぁ」

 

 俺たちはついに、ダンジョンの奥地へと向かったのだ。

 ユウキとミライ。そして、その二つの名は、生涯俺が忘れることの出来ない名前だ。

 

***

 

「はぁ、はぁ。クソっ! どれだけいるんだ!?」

 

 赤い目をした無数の野犬へと、アテナは鋭く剣を振り続けていた。

 野犬と言っても勿論ただの犬ではない。

 ウルフィンドッグと呼ばれる立派な魔物だ。

 

「くっ! 体が、重いっ!」

 

 額には玉の汗が浮き、疲労が色濃く見える。

 

「おーい、騎士様ー。そろそろ終わりますかぁー?」

 

 木の上からランタンを片手にルークが尋ねると、アテナは舌打ちを一つしてから答えた。

 

「どこを! どう見れば! お前はそんな風に見えるのだ!!」

 

「え? あ、無理そう? 無理なら無理って早く言えよー代わってやるぞー」

 

 揶揄いながらもルークは思う。

 確かにルークによってとあるハンデを与えてはいたが、この程度の実力で、よくもまあ王国騎士でも有数と表されたものだ、と。

 

「舐めるなっ! 下郎めっ! この剣を代償に本気を出させてもらうぞっ!」

 

 しかし、その評価はすぐさま覆された。

 

「──宝剣技抜刀。クラウソラスっ!!」

 

 アテナの剣は煌々と光を放ち、まるで稲妻の如く迸る。

 宝剣。聞いたことはある。確か王国の騎士の家系に代々伝わる奥義の一つだ。

 

「おー。まじか」

 

 前言撤回。これは王国有数の肩書に間違いはない。

 なのだろうが……。

 

「……んっ。はぁ……ひっ、くぅ」

 

 その顔は徐々に紅潮し、足はぶるぶると弱々しく震え始めた。

 

「……あ、流石にここまでか」

 

 実は、本当に……ちょっとした悪戯気分で、アテナの食事に媚薬を入れてみたのだ。流石に、高位の騎士ともなれば効かないと思ったのだ。

 

「ま、仕方ないな」

 

 ま、とりあえずはここまでで良いとしよう。

 ルークはランタンを枝先は引っ掛けて、飛び降りた。

 

「さてさて、良いもの見せて貰ったからな。俺も一つ見せてやるよ」

 

 ルークが地面へと着地するなり、野犬の群れは途端に警戒の色を示し、距離を取る。

 

「えーとえーと。おっ、これはお手頃だな」

 

 首を軽く左右に振って、ルークは拳大の石を拾い上げた。

 

「ふんぬ!」

 

 それを両手で包み込んで、力を込める。

 石は容易に粉々に砕けた。

 そして。

 

「──秘技。いしつぶてぇぇぇ!!」

 

 辺り一体に、投げた。否、投げ散らかした。

 

「な、何をして……はあ!?」

 

 ふざけてるのかと呆れた目をしていたアテナの表情が驚愕に満たされる。

 

 何故ならば、辺り一帯へと投げられた石のカケラたちはまるで散弾銃のように拡散しながら、野犬たちの体を貫き、あまつさえ木々の太い幹すらも貫通して見せたのだ。

 

「ふぅ。こんなもんか……っ!?」

 

 ルークが野犬を殲滅し終えると同時、アテナは急激に肉薄すると容赦なくその頭へと剣を振り下ろす。

 

 しかし。

 

「……あ、あぶねぇー。流石に怖いわ」

 

「き、貴様っ!?」

 

 その一撃はルークの頭蓋を捉える直前で停止した。押し留めたのは、まさかの。

 

「何者だっ! なぜこの剣技を止められるっ! し、しかも、指二本で!」

 

 人差し指と中指の二本でルークは剣身を挟んで止めていたのだ。

 

「まあ……自分、ゴッドハンドなもんで」

 

「くっ」

 

「おいおい、これは粗相ですね。はい」

 

 ルークが言うと同時。アテナははっと顔を青くした。しかし、すぐその後で茹でられた甲殻類のように赤く染め直した。

 

「っっっ!!!」

 

 からんと音を立てて、その手から剣が落ちる。同時に、アテナは片腕で下腹部をもう片方の手で、自分の豊満な胸を掴むように抱え込む。

 

「んっ!! こ、こんなのっ! んんっ! んんっ!!! き、貴様何を……した?」

 

「いや、粗相したのは、お前じゃん」

 

「そ、そうかもしれない……が、違う。こんなに敏感になってるのは……お゛っかしい!」

 

 ついに膝を降り、木の幹へと体を預けるアテナ。

 

「ん? あー。そういうことね。うん。それなら……」

 

 ルークはアテナの顎を指先でなぞった。

 またも、絶頂するような喘ぎがアテナの口から漏れる。

 

「媚薬、だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




────

あとがき

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