【完結】転生したらアバンギャルド君だったのでリオ会長を救います   作:天神茶々

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その誓いだけは、守ってみせる。

 

「ここのクレープ、美味しいわね」

 

『それは良かった。事前に調べてきたかいがあったよ』

 

「いつもありがとう。けれど、このクレープを美味しいと感じられるのは、きっとあなたと一緒の時間を過ごしているからだと思うわ」

 

『…………』

 

 初手からの高火力技に、再び気を失いかけるドローンが一機。

 

 優しい笑みを浮かべながら、様々なトッピングの乗ったクレープを小さく頬張る彼女、調月リオを守る様に周囲を飛行するAMASと呼ばれるドローン。

 

 そのドローンから音声と映像のデータを受け取っているのが、何を隠そう、アバンギャルド君すなわち俺なのである。

 

「それにしても残念ね。本当だったら端末越しではなく、本物のあなたとデートがしたかったのだけれど……」

 

()()()()()()はもう少し後だもんな。それまで世間様に、アバンギャルド君のことは秘密ってことで』

 

「えぇ。今あなたが外に出てしまえば、みんなの注目を集めてしまうから。

 あまりのカッコよさに、通りすがった全員の人が振り返ってしまうわ」

 

『……ソウダネ』

 

 その場合、振り返った理由は間違いなく、デザインを奇抜に感じたか、恐ろしく感じたかのどちらかだろう。

 

 なのだが、それを告げるとリオは目に見えてショボンとなるので、決して口にはしなかった。

 

 代わりに、後でトキに送る用の写真をこっそり撮影しながら、とりとめのない話題を何となく投げかけてみる。

 

「それにしても、クレープを食べたいなんて珍しいな」

 

「以前、トキが見せてくれた写真があったの。

 C&Cのメンバーと、任務帰りにみんなでクレープを食べた写真。

『好きな人と一緒に、放課後スイーツを食べる。アバン様もおススメしていた青春活動です』

 なんて言って、いつの間にか仲良くなっていたみたい。

 その写真を見て、私もあなたとクレープを食べに行きたいと思ったの」

 

『ありゃりゃ。友だち出来るかなレースは、トキの優勝だな』

 

 悲しいことに、我ら調月リオ陣営、友だちの数がゼロという共通点を持っていた。

 

 リオは、昔の敵を作りやすい性格ゆえに、友人と呼べるほど誰かと仲良くなれず。

 トキは、ずっとリオのボディーガードをしていたため、友人を作ることはなく。

 そして俺は、そもそも他人と関われない立場だったので言わずもがな。

 

 そのため、いつかの日の雑談で、誰が友だちを最初に作れるのかと話し合ったことを、不意に思い出した。

 

「予想通り、トキが最初に作ってしまったわね。

 C&Cとの任務中にあった出来事を話すトキは、いつもよりどこか楽しそうなの」

 

『こりゃいつの間にか、トキがたくさんの友だちと過ごすようになって、俺たちと過ごす時間が少なくなる日も近いかもな』

 

「かもしれないわね。でも、確率的にそうなる可能性は低いわ」

 

『確かに。だってトキは本当に――』

 

「えぇ。貴方のことが大好きだもの」

『まぁ、リオのことが大好きだもんな』

 

『「――え?」』

 

 AMASのスピーカーから発せられた声と、リオの声が重なる。

 お互いにキョトンと見つめ合って、不思議そうに瞬きをする彼女の姿が、視界に映る。

 

「何を言ってるの? あなた、あんなに分かりやすいトキの好意に気が付いてないの……?」

 

『いやいや、確かに慕ってくれてるなとは思う場面もあるけどさ。

 俺のことよりも、リオの方が絶対に好きだって。

 あんなに一生懸命に誰かに尽くすなんて、愛がなきゃ出来ないだろ』

 

「いいえ。トキは私よりも、あなたのことの方が好きに違いないわ。

 トキがあんなに強くなったのは、あなたの隣に立つのに相応しい人になるためなのよ?

 途方もない努力を積み重ねて、個人の力で未来予測を行うなんて、並大抵の想いがなければ出来ないはずよ」

 

『まさか笑。こんなロボットの俺にそこまで思うわけないって。

 それに比べて、リオはリーダーとしての責任感もあって、支えてあげたくなる魅力も――』

 

「そんなことないわ。あなたは世界が滅ぶような困難でも、前に立って切り開いてくれる輝きがあるの。それにどれだけ助けられたことか――」

 

『いやいや、リオの方が――』

 

「いいえ、あなたの方が――」

 

 互いに、互いの魅力を語り続けること約30分。

 

 お互いのカードは切れることなく、周りの目も忘れて大熱戦が始まった討論は、両者一歩も譲らないまま最終局面へ。

 

「……このままでは、埒が明かないわね」

 

『……そうだな。ここは1つ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?』

 

「分かったわ。私が電話を掛けるから、少し待っていてちょうだい」

 

 携帯端末を取り出したリオは、迷わず彼女の電話番号にかけると、スピーカー状態にして、俺にも聞こえるように準備する。

 そして、2コール目が鳴り始める前に、話題の中心にいた彼女からの声が聞こえてきた。

 

『もしもしリオ様。何か緊急の要件でしょうか?

 でしたら、私にお任せを。丁度C&Cとの任務も終わりましたので』

 

「トキ、いつもありがとう。実は、ちょっとトキに聞きたいことがあるの」

 

『……? はい、リオ様のお願いでしたら何でもお答えしますが……?』

 

 少し困惑気味の声が聞こえてくる中、リオはキリっとした表情で問いかける。

 

「単刀直入に言うわ。トキはアバンギャルド君と私なら、どちらの方が好き?」

 

『どちらも愛しておりますが』

 

「いえ、そうじゃなくて……」

 

『どちらか一方しか選べないとしても、私はリオ様とアバン様の両方を選びます。

 2人が今にも崖から落ちそうになっているなら、最強メイドたる私が両方救ってみせます。

 私にとって、リオ様もアバン様も心から大切な方であり、これからの人生に欠かせない大切な存在ですので』

 

「…………」

 

 その声には、先程までの俺たちと同じ、何を言われようとも意見を曲げる気はないという確固たる意志を感じて。

 結果こうなるのかと思いながら、溜息とともに討論の結果を口にした。

 

『…………本人に直接聞いてみても、引き分けか』

 

『むっ。その声はアバン様の声。アバン様も一緒に聞いていらっしゃったのですね。

 お2人に、改めて愛の言葉を伝えるいい機会になりました』

 

『わーお。めっちゃポジティブシンキングじゃんね』

 

『私は最強メイドですので』

 

 それは無敵の返しなのかな? と思いつつ、思い出すのはレッドウィンターの某工務部長。

 現世で関わりを持つことがあるのかは不明だが、個人的には縁がないことを祈っている。

 

 だって、俺は思いっきり権力者(調月リオ)の味方だし。

 ”あたしたちは、この地におけるすべての権力者と資本家が消えるまで闘争を止めない!”と言われて、ミレニアムまで敵にされれば大騒動待ったなしである。

 

 

『ところで、話は変わるのですが』

 

『ん? どうかしたのかトキ』

 

 そんなくだらないことを考えていると、何かあったのか、今度はトキの方から話しかけられる。

 

 ――それが、俺たちを背後から突き刺す致命の刃とは知らずに。

 

 

『電話越しに、他の大勢の方の声が聞こえますね。外出中ですか?

 まさかとは思いますが……私に黙って2人でデートしていた、なんてことはありませんよね?』

 

 

  ……そ、そんなくだらない脅し、レッドウィンターじゃ挨拶にもならないぞ(焦)。

 

 

「――そ、そんなことはないわよ、トキ」

 

『詳しく……説明してください。

 今、私は冷静さを欠こうとしています』

 

 背筋が凍るような、強烈な恐怖を感じたのは俺だけではなかったのか。

 リオも震え声でトキと応答しており、そして、一瞬で負け戦へと追い込まれていた。

 

『まさかですが、最近C&Cとの任務が少し増えたのは、こうして2人きりでデートする機会を作るためではありませんよね?』

 

「そんなことないわ!! 私は、あなたが他の人とも交流する機会を作りたくて――!!」

 

『ありがとうございます。それで、本当のところは?』

 

「…………1割ほど、デートに誘えたらなって。今日ようやく誘えたのだけれど」

 

『……その機会がこれまで何度あったのか、優しい私は聞かないことにします』

 

 気が付けば勝負は完全に決着がついていたみたいで、恥ずかしそうに顔を赤らめるリオと、電話越しに溜息を吐くトキの姿が。

 そして、勝者となったトキが敗者である私たちに、講和条件を提示する。

 

『先程もお伝えしましたが、私はリオ様もアバン様も愛しています。

 ですので、端的にお伝えするとズルいです。羨ましいです。

 リオ様とアバン様には、それぞれ後日、私と2人でデートをしてもらいます。

 これは決定事項ですので、いかなる言い訳も受け付けません』

 

『おーい、トキちゃーん!! 早く一緒にゲームセンター行こー!!』

 

『む。アスナ先輩に呼ばれてしまいました。

 では、日程調整は帰ってからするとしましょう。

 …………、逃げないでくださいね?』

 

 ツー、ツーと音がして、トキからの通話は切れてしまう。

 どうしてこうなってしまったのかという気持ちはあったが、経緯はともあれ、起こってしまったことは仕方がない。

 

「……次の場所に、行きましょうか」

 

『……そうだな』

 

 リオが手にしたままだったクレープの紙を近くに捨てて、次の目的地であるお店に向かう。

 その間、俺たちは一言も喋ることなく、無言で移動し続けていた。

 

(よくよく思い返してみれば、かなり恥ずかしいことをしていた気がするんだよな、俺たち)

 

 先程まで俺がリオとやっていたことを簡潔に述べるなら、お互いの良いところを順番に30分休憩なしで、大声で言い争うというもの。

 

 しかも、ミレニアム学区内という衆人環境に加え、リオはそこで生徒会長を務める有名人。

 

 言い合いをしていた時は気づかなかったが、AMASのログを確認すると、いつの間にかたくさん集まっていた野次馬からは「え、あれ調月会長……?」「相手と揉めて……揉めて?」「おっと、痴話喧嘩か?」といったコメントが寄せられている。

 

 って、何が痴話喧嘩じゃ。

 

 その他たくさんの恥ずかしくなるコメントを確認し終える頃には、目的のお店が見えてきて。

 路地の奥の方にある場所で、ひっそりとお店を構える個人店。

 

 ギリギリ1人が通れる扉を開けると、カランカランという音が、俺たちを出迎えてくれる。

 扉の先に広がっていたのは、棚いっぱいに所狭しと並べられた素材たち。

 そのほとんどが、一般的なお店だと滅多に手に入らないレア物ばかりなのは、ここの店主のこだわり。

 

 リオ曰く、AMASを始めとして、名もなき神々の技術を多用するロボットは、ミレニアムで使われることの多い汎用的な素材と、基本的に相性が悪いらしい。

 ゆえに、素材が足りなくなった時はいつもお世話になっているお店がこの場所なのだ。

 

 たくさんの商品を順番に眺めていくリオの邪魔にならないように、そして大事な商品に万が一が起こらないように、慎重にドローンを動かしていく。

 

『そういえば、今日は何を買うつもりなんだ?』

 

「実は、具体的に何を買うかは決まってないの。

 なるべく、いい素材を使いたいとは思っているのだけれど……」

 

『既存の物を補充するんじゃなくて、新しいロボでも作るのか?』

 

 最初はデートの言い訳かとも思っていたのだが、どうやら買い足したいものがあったのは本当らしく、俺には違いがよく分からない様々な素材を、真剣に吟味していく。

 

 女の子は服を選ぶのに何時間もかかるというが、リオの場合はちょっと違ったらしい。

 

「今回の機体はなるべく、名も無き神の力の変換効率を落とさないようなものを作りたいの。

 今までより、更に繊細な設計が求められるから、素材にはこだわりたくて」

 

『なるほど。新兵器でも作るのか?』

 

「何を作るのかは、出来るまでの秘密よ」

 

 人差し指を唇に当てるリオの仕草に、少しドキドキしつつ。

 俺はふと、気になったことを聞いてみることにした。

 

『リオって、ロボットつくるの全然苦に感じてないよな』

 

「……? えぇそうね」

 

『だから、リオはものづくりとか好きなのかなって。

 アリスとKeyの問題とかが片付いて、世界が平和になったらさ。

 趣味と実益を兼ねて、色んなものをたくさん作るリオの姿とか見れるのかな』

 

 ピタリと、リオの動きが僅かな間だけ止まる。

 そして、何事もなかったかのように、素材の選別を再開しながら、何でもないように呟いた。

 

「――私はね、これまで自分の未来のことを考えてこなかったの」

 

『え?』

 

「自分1人での限界を悟って、多数のために少数を切り捨てる道を選んだ日から。

 いつか、世界(多数)のために私自身の命(少数)を切り捨てる日が来て、その日が私の人生を終える日だと、そう思っていたの」

 

 瞬間、脳裏に蘇ったのは、この世界ではなく原作のリオが取った行動。

 彼女が世界を守るために用意した要塞都市エリドゥが、Keyの手によって乗っ取られ、世界を滅ぼす兵器に作り替えられかけた時のこと。

 

 絶体絶命の状況の中、原作の彼女が選んだ行動は、自分1人だけがエリドゥに残り、Keyの企みを止めるためにその命を犠牲にすることだった。

 

「だけど、あなたのおかげで、選べなかったはず(少数)の人たちも救えるようになった」

 

『…………』

 

「私の未来は変わった。きっと、私自身を犠牲にする日は来ないのでしょうね」

 

 そう語っている間に素材を選び終えたのか、いくつかの素材を持ってレジへと向かい、会計を済ませて外へと出る。

 何とも言えない気持ちのまま、俺はリオの後ろを追いかけた。

 

「でも、それからの日々も大変で、名も無き神々の王女だけでなく、色彩に神名十文字(デカグラマトン)の存在まで出てくる始末。

 キヴォトスにはどうして、こんなに多くの滅びが訪れるのでしょうね」

 

『……それは、俺も激しく同意だな』

 

 ちなみに、セトの憤怒や雷帝の遺産など、世界が滅ぶ厄災はまだまだ盛りだくさんである。

 

「だからまずは、それらの問題を解決するのが先ね。

 果たして、全て終わるのがいつになるかは分からないけれど。

 もしかすると、”卒業”の方が先にくるかもしれない」

 

『まぁ、そのために()()()()の準備もしてるんだし。

 後、冗談でも卒業の方が先だって言うのは、本当にそうなりそうだから止めてくれ。

 いつか、世界を守る責任から解放されて、普通の女の子として遊ぶリオを見るのが夢なのに』

 

「……そうなの?」

 

 どこか期待するような、あるいは何かを値踏みするような目でリオはこちらを見つめている。

 その理由を理解するより前に、リオに再び声を掛けられた。

 

「未来の話は、一旦私の宿題にしておくわ。

 目の前の問題が、あまりにも大きすぎるから」

 

『それはそうなのが、何か理不尽だな』

 

「そう? 私は、トキやあなたがいてくれるから、何も問題だと思わないけれど」

 

『……そういうとこだぞ、リオ』

 

 だから、隣で支えてあげたくなるんだよなと思っていると、リオは一度俺の前で立ち止まり、レンズの正面に立つと、こちらを真っすぐと見つめてこう告げた。

 

 

「だから、私と一緒にいて。

これからも、ずっと隣にいてちょうだい」

 

 

 この時の映像を、俺はAMASやアバンギャルド君のデータ上に残さなかった。

 けれど、魂にその姿が焼きついたような気がして。

 

「わ、私……何か不適切なことを言ったかしら……?」

 

『……いや、そんなことはないよ』

 

 ドローンを動かして、リオの華奢な手に触れる。

 今この時ほど、AMASに自身の手がないことを悔しく思った瞬間はなかった。

 

 中世の騎士をイメージしながら、主に相応しき方に贈るべき言葉を捧ぐ。

 

『誓うよ。いつまでも、調月リオの未来を切り開く剣であると』

 

「ありがとう。あなたとトキがいれば、私は何度でも滅びを越えて行ける」

 

 これまで何度もかかげた誓いを、これから何度でもあなたに捧ぐ。

 

 いつか、世界に本当の平和が訪れて、リオが報われる日が来るまで。

 いつまでも、世界の犠牲になって、リオが命を落とす日が来ないように。

 

 決して破らせない誓いと共に、俺たちのデートは終わっていった。

 

 …………。

 

 …………ちなみに、余談だが。

 

 

 

 

 

 

「――完成したわ」

 

 

「「…………(絶句)」」

 

 後日、見せたいものがあるとリオに呼び出された俺とトキは、その余りにも凄惨な光景に言葉を失っていた。

 

 戦闘用のAMASをベースにした機体に、テレビ程の大きさのモニターが取り付けられたその姿。

 移動用のホイールはそのままに、左右の銃火器は取り外され、アームと飛行用のブースターが取り付けられていて。

 

 もしもこれが、ただの新型であれば、いつものリオで微笑ましいなで終わっていただろう。

 

 でも、そうはならなかった。

 ならなかったんだよ、K()e()y()

 

「いつまでも、アリスとKeyが同じ体を共有しているのは不便かなと思って、Keyのための新しい機体を用意してみたの。

 信号の入力から出力の誤差は約0.001%。そして、名も無き神の力の変換効率はこれまで実現できなかった75%を記録。

 デザインも、合理さを限界まで追求して無駄のないように設計したわ」

 

 えぇ、前衛的(アバンギャルド)ねと満足げに笑顔を浮かべるリオを横目に、俺とトキはアイコンタクトでこれからの説得方針を確認し合う。

 

 トキの目は、俺と同じく、可及的速やかなKeyの救出を訴えていた。

 

「リオ様、少し申し訳にくいのですが、アバン様から少しお話があるそうです」

 

「あら? どうかしたの?」

 

「あー、ほらあれだ。Keyは元々アリスの体で動かす前提で作られた存在だろ?

 だから、あくまで人間の体を動かすように最適化されたAIであって、悪いけど、リオが作ったその体だと、Key自身との相性が悪いと思うんだよ俺、うん」

 

 本当の理由(デザインが独特)を誤魔化しながら、もっともらしい言い訳を必死に並べ立てる。

 

 実際俺も、転生直後は人の体とアバンギャルド君の体の動かし方の違いに慣れず、まともに移動できなかった時期があるので、一応嘘は言っていない。

 

 普段よりも一層気合を入れて作ったであろうリオを、悲しい気持ちにさせるのには俺もトキも強い抵抗があったが、今回ばかりはKeyの尊厳を優先した。

 

「そう。それは残念ね……」

 

「まぁ。Keyだってアリスと一緒にいれて悪い気はしてないだろうし、しばらくは様子見ってことで――」

 

「なら、今度は人型の構造を考えましょう。人工たんぱく質を扱うのは初めてだけど、まずはやってみないことには始まらないわ」

 

「「…………」」

 

 早速デザイン案を書き出し始めたリオを見つめる、我ら主従2人。

 再びアイコンタクトによる意思疎通を行った後、主人に秘密で、ある1つの誓いを立てた。

 

 即ち、可能な限り長く、出来るのであれば永久に、Keyの新しい体を用意するサプライズを長引かせ続けるという誓いを。

 

 





 次回、一旦アリスとKeyの話に戻ります。
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