【Tips!!】
芥川タバネの単純戦闘能力は、正義実現委員会全体で見たとき二番手にあたる。
前略。連邦生徒会長が失踪した。
それに伴って各地で発生した様々な事件・事案・事故については紹介を割愛させていただく。というか全部紹介してたら日が暮れてまた日が昇る。
まあしかし、このまま全てを『既に解決した』という説明だけで済ませてしまうというのも、味のない話か。それならばしょうがない、今どうなっているのかだけ説明しよう。
「おらああぁぁぁっ!! 行けええぇぇぇっ!!」
「撃て、撃てぇっ!! 絶対に鎮圧しろ!!」
──見ての通り、端的に言って
不良生徒の練度は、正直に言って基本的に低い。というか多分、明確に理由があって暴れているわけではないんだと思う。キヴォトスではままあることだ。有名になるために治安維持組織に喧嘩を売るなんて。
普段ならば、負けることはない。今回も無事鎮圧できる可能性の方が高い──が、ここ最近は
本当にいい迷惑だ。不良生徒たちはこちらの事情も考えてほしい。
連邦生徒会長が失踪した、と連邦生徒会がクロノスジャーナリズムスクール
連邦生徒会長は良くも悪くも
彼女は、
だがしかし。それでも不満を抱える者は存在する。それは連邦生徒会長個人に向けた不満ではなくて、もっと漠然とした、
彼女たちはきっと『
だけど、
少なくともそれは、
とにかく、今は鎮圧を優先しよう。私はそう考えて、配備されている無線機を手に取り、前線で指揮を
「あー、あー。こちら芥川タバネだ。前線はどうなっている? 押し込まれているか?」
〈前線、このままでは維持できません! 不良生徒の集団は、その……各個が既存の戦術を無視した動きをしていて……!〉
ふむ、なるほど。まあつまるところが素人すぎて逆にやりづらいと、そういうわけか。
何でもそうだ、例えばスポーツなんかでも、ずぶの素人より
それでは、素人を相手にする時はどうすればいいのか? 答えは簡単、圧倒的な差を見せつけすり潰すことだ。
ごめん、すり潰すは言いすぎた。一捻りしてやることだ。
「……うーん、ちょっと1年生ちゃんたちにはキツいことを任せちゃったかな」
ちょうどいい実戦経験になるかと思っていたのだが……うん、このままだと危ないな。連邦生徒会長がいなくなってからというもの、違法な武器なんかが出回っているせいで、結構な怪我をする子が増えてきているし。
まさか一介の不良生徒にまで、違法な武器が出回っているとは……少々想定が甘かったかな。連邦生徒会長の影響力を見誤っていた。
これ以上無理をさせて委員会活動が嫌いになっちゃったりしたらかわいそうだし……そうだな、そろそろ私が出るか。急に暴れると迷惑をかけるかもしれないし、今のうちに本部へと連絡を寄越しておこう。
「あーあー、こちら芥川タバネ。1年生ちゃんたちは頑張ってくれてたけど、そろそろ前線がキツそうだ。私が出てもいいか?」
〈……許可する〉
「……ん、あれ、ツルギ? あ、そっか。ハスミさんは連邦生徒会に文句言いに行ってるんだったな。いやあ失敬──それで、相手は多分違法な武器を持ってるんだが」
〈
「了解。
〈マシロ……ああ、そういうことか。別働隊の鎮圧が終わり次第向かわせる〉
さすが、ツルギは話が早い──まあそうでもなければ正義実現委員会の委員長など務まらんか。
「ありがとう、感謝する──ツルギも来るか?」
〈……いや、いい。過剰戦力だろう〉
過剰戦力……まあそれもそうか。それに、もし目の前で現在暴れている不良生徒たちが
さて、と。それじゃあ不良集団の諸君には、大人しくお縄についてもらうことにしよう。これも正義のため……いや、なんか、このセリフは悪役っぽすぎるな。やめよう。
と、そんなことを考えているうちに、私は前線へと到着した。その場には不良集団と、比較的戦闘に慣れている1年生ちゃんたちだけで急遽編成した部隊がいた。
ぱっと見た感じだと……ふむ、1年生ちゃんたちが結構押されていそうだな。急いで駆けつけて正解だった。
「1年生ちゃんたち、待たせたな、芥川タバネだ! 不良生徒の狙いは恐らく
「……はいっ!」
さて、わざわざ私が拡声器を持ってきて使った理由だが、先ほども言った通り、喧嘩を売って名を揚げたいと考えているのなら、当然有名なやつと戦った方がいいに決まっている。
自慢じゃないが、私は結構有名人だ。職業柄色々なところに顔を出すし、前線にも結構出るタイプだからな。出たがりと言えば出たがりなのだ。
出るとこ出てないって? ぶっ飛ばすぞ。
ともかく。血気盛んな連中ならば、これで釣られてくれるだろう──と、そういう思惑の上での行動だったわけだが、果たして不良生徒たちは狙い通りに、私と相対する形で向き合った。動かしやすくて助かる。
その数は二十九人。思っていたよりも少ないな。もっとも、目の前にいる二十九人だけで1年生ちゃんたちを手玉に取れるわけがないから、恐らく誰か一人、近くに潜伏して狙撃でもしているのだろう──ああ、いたいた。今は路地裏か。
気付いているが、気付いていないフリをしようか。一度作戦が上手くいったと思い込ませてから、狩る。もっとも油断したタイミングを、逃しはしない。
私は相手方にバレないように、愛銃である二丁の
「三十人……いや、二十九人か。不良生徒たち、今のうちに応援を呼んでおいたらどうだ? 大方違法な武器を手に入れて気が大きくなっているのだろうが、私を相手取るんじゃ役不足もいいところだぞ」
「お前、あれだろ? 『トリニティの〈梟〉』とか呼ばれてる、正義実現委員会の芥川タバネだろ。こりゃあアタシたちも運がいいね、まさかこんな有名人をぶっ倒せる日が来るなんてな!!」
不良集団のリーダー格らしき生徒がそう叫ぶと、不良生徒たちから大きな歓声が上がった。向こうさんは随分と士気が高いな……この感じだと、後ろで見ている1年生ちゃんたちも不安になってしまうかもな。
負けないけどさ。〈梟〉ナメんな。
「──お前は。お前たちは、どうして私が〈
一歩進んだ。
「は? そりゃあお前、見た目とかじゃないのかよ。デカい羽とその髪型、見るからに梟って感じだし」
「残念、ハズレだ。解答は何回でも受け付けるが、急ぐに越したことはないと思うぞ?」
二歩踏み入った。
「ははあ、テメェそうやって時間稼ぎをしようってんだろ。バレてんだよ、温室育ちの雛鳥が。はっ、交渉の仕方はバカみたいに
「時間稼ぎ、ねえ。確かにそうだが、それはそちらも同じことだろう? わざわざ
三歩──間合いに入った。
「……感謝だぁ? テメェ状況分かってんのか? こっちは三十人で、テメェは一人なんだろ、舐め腐りやがって。まあアタシらとしちゃあ好都合だぜ、手っ取り早く箔が付くってもんだ」
「いやいや、舐めてるだなんて、まさかそんな。だってこうでもしないと
四歩。間合いに侵入し、不良生徒の顔を見上げる。
「はっ、
「ほう、それは魅力的でなおかつ熱烈な提案だな。私の羽とは言わず、私本人を抱きしめてくれたっていいのだぞ? どうだろう、抱き心地は悪くないと思うのだが……」
歩みを止め、私は不良集団のリーダー(と思わしき生徒)の目の前で羽を広げながら、笑顔でそんなことを言ってやった。不良生徒はそれを聞いて、にやにやとした笑みを隠そうともしていなかった。
なるほど。ここなら射線も通っているし、そろそろ来るか、狙撃。
私は一度深呼吸をしてから、お前たちの企みなど知ったことかとでも言うように、不敵な笑みを浮かべてみせた。
「はっ、地面にでも抱かれとけ、お嬢様!」
次の瞬間。私の側頭部にとんでもない……想像していたよりもはるかに強い衝撃が走り、直後激痛に見舞われ、あまりの衝撃に私は横転しかけた──らしい。
まさか、これは……
「はははっ!
リーダー格と一緒に不良集団員が喜んでいる声が聞こえる。いやはや、しかしまさか対物ライフルを扱えるやつがいただなんて……そういうことは先に言ってくれよ。
あー、流石に……予想外だ。そこまでやるとは──
だけど。
だけどさ。
「舐めてんのはそっちも同じだろ」
「ははは──……は? いや、え? お前、なんで……どうして立ってる?」
どうして立ってるって、そりゃあお前。決まってるだろうが。
「格好付けて前に出てきたんだ。それなのに後輩の前で、格好悪いところ見せるわけにはいかないだろ?」
「はあ!?」
なんだよその反応は。まったく失礼なやつだな……頭に響くからあんまり騒がないでほしいんだけど。
「おっ、お前……痛みとか感じないのか!? いや、それにしたって怯むだろ普通!!」
「ここで仮に私が『痛みとか感じない』って言ったらどうなるんだ? お前たちも同じことを言えるのか?」
「……はあ? いきなり、何の話を──」
「
「なっ……!?」
そろそろマシロもこちらを捕捉している頃だろう。まあ必要ないとは思うが、一応通信を入れてみるとするか。
えーっと、マシロマシロ……よし、繋がったか。
「あーあー、こちら芥川タバネ。マシロ、聞こえるかな。いやそれにしても、だいぶ早かったな。今どの辺りだ?」
〈こちら
「そうか、それなら私の右手にある路地は視認できるな? そこを撃って欲しいんだ。一人隠れている──が、当てなくてもいい。威嚇という形になるしな」
〈……それ、私には当てられないって言ってるみたいに聞こえます。
構わんと、私がそう返した直後、右手の裏路地が
どんな威力だよ。そしてどんな神秘だよ。対物ライフルを入手して気が大きくなっていたのだろうとはいえ、流石にこれだと可哀想という気持ちが勝つな。
「ぁ、はぁ……? いや、いやいやいや、卑怯だろ、なんだよそれ……」
「私のかわいい後輩が対物ライフルをぶっ放して、そちらの狙撃手を一撃で仕留めてくれた。いやはや、やはり持つべきものは
不良グループはすっかり縮み上がってしまっているな。まあ、無理もないか。マシロは1年生ちゃんたちの中だと、色々とずば抜けているところがあるし。火力なんか、もはや筆頭格だろう。
……うーん。目の前の不良たちはすっかり萎縮しているし、これ、上手くやれば
聞いてみるか。困った時は直接聞くに限る。
「それで、お前たちはこれからどうするんだ? 時間を稼いでまで攻撃した私はご覧の通り元気だし、後方には……優秀な火力支援役がいる。そうでなくとも、うちの1年生ちゃんたちが控えているから、正直これ以上の争いは無駄だが」
遠回しに『降参しろ』と伝えてみる。戦力差は決定的だし、これ以上は向こうも痛い思いをするだけになってしまう。
それ故に、出来るだけ向こうのプライドを傷付けないように、こうして
「……舐めんじゃねえ、見下してんじゃねえ!! 憐憫垂れ腐って自分たちだけ上から目線で気持ち良くなろうってか? ふざけんな! アタシらはな、お前らのそういう『主導権はこっちにある』みたいな態度が
「……そうか。残念だ」
ま、そうなるよなあ。銃という分かりやすい武力を持っているからか、降伏勧告に応じる連中は本当に極めて
〈撃ちますか? 撃てますけど〉
「いや……いい。
〈ああ、なるほど……三十人くらいだから、まあ二分くらいですか。間に合うかな……〉
「ゆっくりで構わない。正直なところ、まだ頭がちょっと痛んでいてな。全力で動くのもあれだから、ほどほどにやるよ」
マシロにそう伝えて、私は不良集団のリーダーに向き合った。すでに向こうは
「かわいい後輩とやらに遺言は伝え終わったのかよ。だったらさっさとアタシらにやられて死んでくれや」
「私には、まだまだ成したい正義がたくさんあるんだ──だから、お前たちにやられるわけにはいかない。だから手荒になる、すまないな」
1年生ちゃんたちが見ている手前、手心を加えてやることも出来ない。
内心ちょっとした申し訳なさを覚えながらも、私は愛銃を両手に持ち、怒号を上げながらこちらに銃を向けている不良集団たちと相対した。
「──私は守護者、討つべきは悪逆。十四の翼誓に則り」
んじゃまあ、やるかあ。
後輩にも不良集団員にも聞こえるように、やや大きな声でそう言ってから、私は思い切って敵陣のど真ん中に飛び込んだ。
「っ……オメエらビビんな、相手は〈梟〉一人だ! 囲んで袋叩きにしてやれ!」
不良集団の親玉がそう言うと、まず初めにARを持った三人組が、私に向かって飛び込んできた。
……わざわざ
「死ねぇっ!! チビフクロウ!!」
さて。現在の私は数的不利を強いられているわけで。しかも三方向を囲まれているから、左右への回避は不可能。相手は文字通りに必死の突撃をかけてきている。絶体絶命というやつだな、うん。
となれば、当然。
「んなっ、
「バカ、落ち着け!
私はその場で素早く開脚し、地面と顔面がほとんど接するくらいの高さまで姿勢を低くした。
上をちらと見やると、三人のうち二人は呆気に取られ、未だに何が起こったのかを理解できていないようである。
……よし、この形なら一気に崩せるな。
「ぼやぼやするな!
「んなっ──がッ!?」
私は地面に接触する寸前で手を突き、左の不良生徒の顔面に、躰道で言うところの卍蹴り……っぽいのを思い切りぶち込んだ。私の蹴りは強いから、あの子は気絶してしまったらしい。
当然、不良生徒は蹴りの威力に耐えきれず宙を舞う。吹き飛んだ先には──
「なっ、女子の顔を蹴りやがった!? テメェっ、このッ……」
「ハッ、本物の戦場だぞ!? よそ見とは、感心しない──」
続いて、腰に携えた銃を手に取り。右手に持った
怒りに任せて大声を出していた不良生徒は、銃撃の痛みから一瞬
明確な隙。私は瞬時にそいつとの距離を詰め、胸ぐらを手で掴み、そのまま胴体ごと思いっきり地面に叩きつけた。
「──なッ!!」
「っ、がはッ……!?」
よしっ、これで二人始末した。順調にことが進んでいる……これも日頃の訓練の成果だな。
が、しかし、こんなところで安心しているわけにもいかない。そもそもの人数は三十人なわけで、今片づけたのはたったの三人だ。それに──
「まだ、お前が残ってるもんな?」
「ッ──!」
私の右側から飛びかかってきていた不良生徒がまだ残っている。その子がどうやら銃を撃ってきていたようだが……その銃弾は全て、私の巨大な羽に受け止められた。
真っ黒で大きな羽が、まるで花を落とす桜のように周囲を舞い散る。どうせすぐ生え変わるし問題はない。
私は銃を持ったまま突っ立っている不良生徒に視線を合わせる。明らかに怯えているが、しかし仲間たちの手前、逃げ出すわけにもいかないのだろう。
……銃口を向けたからには。私の方も、手加減とかしてやらないからな。
「くたばれっ、化け物がぁ!!」
悲鳴まじりにそう叫び、不良生徒は再びARを乱射する──よりも先に、私が懐へと潜り込む。
ARに手を添えて、銃口を上方向へと逸らし、そのお腹に左手で持った
「……えっ? あ、待って──」
直後、周囲に絶え間ない銃声が響き渡った。
続いて……静寂。恐らく、三人がかりであれば倒せるとでも思っていたのだろうけれど。
「おや、袋叩きにされるつもりだったのだが……これではどちらが
「ぐっ……一丁前にさえずりやがって! テメェら総がかりだ!! コイツのメンツを何が何でもぶっ潰すぞ!!」
まったく。
こんな煽りに乗るんじゃ、まだまだだな。
一斉にかかってくる不良集団の中心に飛び込みながら、私は作戦の成功を確信した。
「……何をしたら、こんなことになるんですか、タバネ先輩?」
ん、ああ……誰かと思ったら、マシロが到着したのか。いやあ、なんとか合流するまでにケリを付けられてよかった。
「何をって、そりゃあ正義を実現したのさ。トリニティの治安を守るのが、私たちの仕事だからな……そうだろう、マシロ?」
「はい。その点に関しては完全に同意ですし、異論を挟もうとも思ってもいません──」
「それから、反論を挟むつもりもありません。だから、どうしてこうなったのか──いや、
マシロは
まあつまり、正義実現委員会としての活動が好きな子ということだ。
嫌いじゃない……どころか、結構好きなタイプだ。話も合うし、素直に言うことも聞いてくれる。いや、正実の子たちはみんな素直に言うことを聞いてくれし、そもそも正実に嫌いな子なんていないけどね。
だからこそ、やはり先輩の身分としても、〈梟〉としても、間違った姿は見せられないなと、常々そう感じている。
っと。こんなことを考えるよりも、今はマシロの質問に答えてあげなきゃな。
「どうやったら……か。うーん、私は別に何か特別なことをやっているとか、そういうことは無いのだが……」
とは言っても、流石にこの質問に答えるのは難しい。本当に特別なことは何一つとしてやっていないからな、私。人一倍努力を重ねてきた自負はあるが、それだけだ。
それくらいやらなければ、憧れの人には追いつけなかったからな。今も追いついたつもりはないが。
「努力を惜しまなかっただけさ。特別……特筆すべきことは、本当にそれくらいだ。ほら、私は人よりも不器用だからな!」
「タバネ先輩、流石に
ん? ああ、不良集団の生徒たちをどうやってこんなに短時間で気絶させたのかって話をしてたんだっけ。いやあ失敬。
しかし、一つだけ訂正させてもらうとしようかな。
「いいや、これも努力の
私は自慢げに胸に手を当て、羽をばさっと広げながらそう口にした。実際これは自慢に思っている。だって訓練の成果を出せたのだからな。
ことが十全に運ぶことほどいいことはない。不意のトラブルなど不要だ。そう思って生きている。
……まあ本当は、頭を対物ライフルでぶち抜かれたことに対する怒りもちょっとだけ込められていたので、先の戦闘は十全とは程遠かったのだけど。
「……なるほど。確かに想定される全ての状況に即応性を持って対応できるというのは、戦術的にこれ以上ないアドバンテージになりますね。しかし、どうやって試そうか──」
「ん? ああ、それなら同級生に頼んで一緒にやってみるのはどうだ?」
「……同級生、ですか?」
これまでのマシロの言動からして、恐らくはあんまり1年生ちゃんたちの中に馴染めていない──というか、他の1年生ちゃんたちに
憧れるのは別に構わない。それはモチベーションになるからな。だけど、いざ実戦となれば、その憧れは捨てなければならない。治安維持組織として、全員が連携を取れるようにしておいた方がいいだろうしな。
……あと、マシロが友達をたくさん作れたら、私も嬉しいし。
「うん。私が今日ここで何をしていたのかを見た1年生ちゃんたちなら、多分嬉々として訓練の提案に乗ってくると思うぞ。私が『下がれ』と言ったとき、みんな悔しそうだったからな」
「それは……いえ、確かにいい機会かもしれません。それと、その……」
ん、どうしたんだろうか。『何か言いたいことがあるのだけど言いづらい』みたいな表情を浮かべているが──って、ああ。
何だよもう、かわいいなあ。私に遠慮なんかしなくてもいいのに。
「当然、私も協力しよう。まあここ最近は不良生徒の対応やらエデン条約関連の何やかんやで忙しいが……もう少しすれば、私も結構暇になる。その時ならば、多分手伝えると思うんだが……どうだろう?」
「本当ですか! ええ、ぜひお願いします。タバネ先輩に助力いただけるのならば、私としてはまさしく百人力ですから」
ははは。マシロったら、そんなに嬉しいこと言っても私からは何も出ないぞ。まったく、正実はみんないい子で困っちゃうなあ、わはは。
……ああ、こうなってくると、より一層
まだまだ精進しなければ。
「私でよければ、いつでも相談に乗るし、できる限り力にもなるよ。
「……? 話下手、ですか? タバネ先輩のことを話下手と思ったことはありませんが……どちらにせよ、私にとっては貴重な経験になります。機会が合えば、その時はよろしくお願いします」
マシロはそう言うと、身長よりも大きな対物ライフル──確か名前は正義の顕現だったか──を抱きかかえながら、私に向かってぺこりと一礼した。
かわいいな。撫でたい……けど、流石にやばいか。
「ところで、そういえば、タバネ先輩。ツルギ先輩から先ほど通信が入ったので、共有しておきたいことがあるのですが」
え? ツルギから?
「私に直接通信すればいいところを、わざわざマシロ経由で? なんだろう、見当も付かないな──」
私が顎に手を当てて考え込み始めるのと同時に。マシロは、ツルギが共有しようとしたことを私に伝達した。
「連邦生徒会に対する急を要する要件を伝え終わったので、
ああ。ハスミさんか。
思ってたよりも早く帰ってきたなあ。
……えっ? もう帰ってきたの?
「本当にっ!?」
「うわお。はい、本当です。ツルギ先輩からの情報ですから間違い無いです」
本当か本当に本当か!! 連邦生徒会は日頃から忙しいし連邦生徒会長が失踪して大変だろうから絶対取り合ってくれなくて、もっと時間がかかると思ってたのに!!
「こうしちゃいられない! マシロ、不良集団が持ってた対物ライフルは!?」
「回収しておきました。あと、気絶してる不良生徒は1年生で全員捕縛しておきました」
「オッケー完璧! それじゃあもうここ任せても大丈夫そうだから、わた……私はハスミさんに会ってくるから! 頼んだよー!!」
私はマシロにそう伝えると、全速力で正実の部室へと走って行った。この機会を
後ろの方から1年生ちゃんたちが『タバネ先輩ってハスミ先輩のことめっちゃ好きだよね〜』みたいな話をしているのが聞こえた気がするが、何とでも言うといい。
別に事実だから怒ったりしないし。そんなに器の狭い先輩じゃないからな、私は。もっと気楽に、もっと気軽に話しかけてくれていいんだぞ。
いやしかし、今はとにかくハスミさんだ。一通り鎮圧は終わったから、この隙間時間に会いに行くくらいなら問題ないはず。
連邦生徒会の対応がどうだったのかも聞きたいし、トリニティの外ではどんなことがあったのかも聞きたい。こちらも話したいことがたくさんある。
ハスミさんには、
たった一人の、他でもない
投稿時間はいつがいい?
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昼ごろ(12時くらい)
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夜ごろ(18〜21時くらい)