ファンタシースターオンライン2ニュージェネシス if 激動のハルファ   作:FY

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第13話 耐久戦

僕とマリは互いに武器を構えた。向こうはテクニック主体の攻撃なので距離を離されれば超近接戦のみのファイターである僕には厳しい戦闘になるかもしれない。そして何よりここは病院。他の人への被害も抑えるために外にでも連れ出して戦わなければ。

 

「……っ…。来ないならこっちから行くぞ!」

 

「構いませんよ?」

 

「うおぉぉぉ!」

 

僕は素早く近づき攻撃を放った。

 

「微妙だね。」

 

そう言われて、威力よりも速さ重視の一撃がスルッと避けられた。人と戦ったことなんてないのでどう攻めればいいのか分からない。…が今は何としてもアカネが動ける様に落ち着くまでは持ち堪えなくてはならない。とにかくまずはマリをアカネから離すために誘導しなくては…!

 

「これならどうだぁ!」

 

先程よりも威力はさらに落ちるがさらに速い連撃を繰り出すもののスルスルと避けられ、一向に当たる気配がない。このままではジリ貧になる…、何とかしないと…!

 

「考えてて足が止まってるよ?…フォイエ!」

 

マリがロッドを振ると僕の足元に向かって火の塊が飛んで来きたので、僕はバックステップして避けたが着弾したところに天井の高さギリギリの人一人分の火柱がゴゥゥ!と音を立てながら発生した。

 

「炎系統のテクニックか!こんな狭いところで良くもまぁ燃やそうとするな?」

 

「私は威力の加減も出来るからそこら辺心配するよりも自分が丸焦げにならないように注意した方がいいと思うなぁぁぁ〜。」

 

「くっ、部屋の外に出たらどう?…マリも戦いにくいだろ?」

 

「まぁ…どうせアカネが動けるようになるまでに少しでも私との距離を離す…という算段だろうけどぉ…、いいよ?乗ってあげるよ。」

 

そういうとマリは自分から窓から外に飛び出て行った。自分からこっちの作戦に乗るということはなにか向こうも考えがあるのだろう。せめてネルアかヒスイがいれば…。そんな事より早くマリを追いかけないと何をするかわかったもんじゃない。

 

「ミヌ、僕はマリの気を引く為に追いかける。マリが隙を見せて逃げれるようだったらアカネと一緒に逃げてくれ。レスタサインで回復したといえど無理はしないでね。」

 

「わかってるわ。それに私もそこまでやわじゃない。アカネくらいだったら担いで逃げれるわよ。私たちの心配をするよりも自分の心配をしたらどう?」

 

ミヌが半笑いでそう言った。確かに自分の方を心配した方がいよな…。なにせアカネを鍔迫り合いの状況から押し切って吹っ飛ばせるんだ。アカネより力も技術も無い自分に勝ち目はほぼ無いだろう。だが今はそれでも戦わなければならない。ミヌとアカネが安全な所まで逃げれたのならこっちも本気で逃げればなんとかなるかもしれない。

 

「戻ってくるから助けに来ようなんて思わないでね、ミヌ。」

 

「わかってるわよ。それに私はゼノアがやられるなんて微塵も思っちゃいないんだから。」

 

「そうやって面と向かって言われると恥ずかしいからよせって!…それじゃ、行ってくる。」

 

そう言って僕も窓から外へ飛び出し、マリを追う。

 

「マリ…僕はお前を倒す!」

 

マリと僕は病院のすぐ横の何も無い場所で即座に戦闘を始めた。

 

「テクニックを使われる前に近付いてしまえば!」

 

僕は全力でマリへ向かって走る。初撃を当てて姿勢を崩せばそのままこちらの流れに持ち込めるはずだ。

 

「そこぉっ!」

 

マリの懐に飛び込み腹部に向かって渾身のアッパーを繰り出した。が、何もリアクションしない。まさか効いていないのか?それでもとにかく攻撃を繰り出し続けるが余裕そうな顔をして僕を見ている。

 

「体には当たってるはずなのに…!まるでダメージが入っていないじゃないか!」

 

「ギ・ゾンデ。」

 

マリがその場から動くこと無くロッドを振る。それも暇そうに。そして次の瞬間雷が僕の裏に落ちた。

 

「なっ?!」

 

「次は直撃だ。耐えられるといいね。」

 

急いでマリから距離を取りつつ動き回らないと当たるかもしれない。あんなのに当たったら無事では済まないだろう。そう考えているとマリが再びロッドを振りかざし、唱えた。

 

「ギ・ゾン──」

 

「お前ぇッ!」

 

誰かが建物の間から勢いよく飛び出て、マリのロッドを蹴飛ばした。

 

「チッ…武器が…まぁ、もう2本あるからそれ使えばいいや。にしても厄介なのが増えちゃったなぁ…?ねぇ?」

 

「アタシからすれば褒め言葉だな!なんだか嫌な感じがする方に向かってみれば…なにやら盛り上がってるようで?何してるんだゼノア?」

 

「詳しい説明は後だ!とにかくこいつをどうにかしないとアカネが危ない!」

 

「なんだか分からないけどあいつの足止めをしとけばいいんだろ?任せろ!」

 

「足手まといが2人になったところで何も変わらないよ?」

 

「それは…どうかなァ!!もらったッ!」

 

次の瞬間マリの足元に影ができて、少しずつ大きくなってゆく。

 

「まさか…上?!」

 

「せぇぇぇぇぇぇいやぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

その声とともにガキィン!マリがロッドで攻撃を防ぎ、音が鳴り響き、その後に着地音が聞こえた。

 

「この蹴りは…この強さは…そうかァ…貴女がヒスイって人ねぇ〜。アカネと一緒に活動しているアークス。圧倒的な実力を持っているアカネと行動を共にしているが実力の差は歴然。雲泥の差。ただのお荷物。役たたず。それがヒスイ、貴女よ。貴女はアカネの邪魔をしているから私の敵。」

 

「…ボロクソに言ってくれるじゃない。それに気にしてることピンポイントでさ。気に食わないね、アンタ。」

 

「隙あり…!」

 

僕はマリがヒスイの方に意識が向いたのを感じ取り、再び距離を詰める。これなら重い一撃を入れれる!

 

「アッパーをくらえぇ!」

 

「いやっ…!」

 

マリが怯み、避けることなく僕のナックルが腹部に当たった。ここから繋げて行けばやれるはずだ。

 

「なーんてね!馬鹿だなぁ、君は実に馬鹿だ!燃えカスになっちゃえ!ギ・フォイエ!」

 

「ゼノア、下がれ!アカネから離れろ!…いや、間に合わないか!」

 

アカネの真上から炎の渦が出来上がっていく。渦が落ちてきながら範囲も徐々に広がっていく。このままだと燃やされる。迂闊に近付きすぎた様だ。避けれないと、諦めかけた瞬間横からヒスイの声がした。

 

「諦めるな、まだ避けれる!」

 

「ヒスイまで巻き込まれる!来ないで!」

 

「うるさい!そんなにトロくないぞ私は!」

 

そのままヒスイは腰を抜かしていた僕を抱き抱えて炎の渦の範囲外に向かって走る。

 

「間に合わないかも…!ゼノア、下敷きになったらごめん!」

 

ヒスイはそう言うと前方に勢いよく飛び込んだ。

 

「これでもギリギリ間に合わないか!なら!」

 

ヒスイは僕を抱えた状態から突き飛ばした。

 

「ちょ、何やってるんだよ!ヒスイ!」

 

「ごめんごめん、無理矢理だったからさ。」

 

「そうじゃない!ヒスイが間に合わな───」

 

僕がヒスイを引っ張ろうと手を伸ばすがその先にいたヒスイが炎の渦に巻き込まれた。

 

「間に合わなかったね。ざーんねん!」

 

ギ・フォイエの炎が消えていくなかで、ヒスイはしっかりと立っていた。

 

「こんなので燃えカスにでもなると思ったか?ああ?あちこちヒリヒリして痛いけどまだまだ戦えるぞ、私はァ!」

 

「ならぁ、戦闘継続と行こうかなぁ!」

 

「臨むところだ!アカネのパチモンさんよぉ!」

 

ヒスイは引かずに戦い続けるようだ。あまり無理はして欲しくない。とはいえ原因は僕にあるが…。

 

「そうして動けているのも今のうちだよ?」

 

「ふん、そっちこそ余裕こいてられんのも今のうちだぞ。何もしないならこっちから仕掛けてやるよ!」

 

「ふふ…『フォイエブランド』ってのを知ってる?」

 

「あ?」

 

マリはその言葉を聞いて反応の遅れたヒスイに向かってフォイエを再び放つ。

 

「しまっ───」

 

ボゴォゥゥ!と音を立てながらヒスイを炎が包む。ヒスイは突然威力の増したフォイエに驚きつつも何とか炎の渦巻きの中で燃えながらマリを攻撃する体制に入る。炎に全く臆せず、自身の体が燃えているにも関わらず冷静を保っていた。

 

「勝負は、優勢になっても相手を倒すまで押し切らないとダメだぞ。そのフォイエブランドとかっていうので威力を増したつもりだろうが…。無駄だった様だな。」

 

「このっ…、このアカネに引っ付いてるだけのイキリ女があぁぁぁあぁ!!」

 

「甘いなぁ!焦りは禁物だぞ!」

 

ヒスイは焦るマリに向かって走り出し、マリは何度も何度も様々なテクニックを放つが食らいながらも全て耐えきってヒスイがついにマリの目の前まで迫った。

 

「このぉっ…!野郎ぉ!」

 

ヒスイがトドメの一撃をマリの腹部に向かって放とうと、拳を前に突き出そうとした瞬間上から声が聞こえた。

 

「ダメーッ!それ以上は…やめてよ!」

 

「アカネ?!…いや、まぁ自分と瓜二つの人がやられるのは見たくないから当然か…。それに色々と聞きたいからな…。」

 

ヒスイはゆっくりとマリから離れ、気が抜けたかのように地面に座り込んだ。その後アカネが3階の病室の窓から飛び降りてマリに駆け寄った。ミヌは幸い、心臓に刃が当たっておらず、呼吸もあった。そのままアカネはミヌとマリを医療センターに運び、ヒスイは暴れ過ぎたことを司令部にて説教される事に。僕とネルアはしばらく待機を命じられたのでしばらく、僕のクリエイティブスペースに自分達の家でも作って暇を潰すことにした。そんなこんなでマリの一件から3日経ち、ミヌは絶対安静を条件に退院した。ヒスイはセントラルシティ内での無断戦闘による一時的なアークスとしての活動を休止する処分をされる事になり、アカネはマリに色々聞こうとしているようだがマリは何も話さず、進捗がないそうだ。とはいえ自分にもヒスイと同じく無断戦闘による何らかの処罰を受けてもいいはずなのに何も無かったのはヒスイが事情を説明した上で僕の分も全て請け負ってくれたかららしい。とても申し訳ないと感じてはいるが今は自分のできる範囲で役に立つ事をしようと思う。

 

 

第14話へ続く

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