ファンタシースターオンライン2ニュージェネシス if 激動のハルファ 作:FY
2人に気付かれる事なく付近の高台に降りたその集団は付近にドールズなどのエネミーや他のアークスの姿が無いか確認すると、リーダーと思わしき人物以外は元いた高台から離れ、別の高台や、付近のちょっとした物陰に隠れるように散開した。一方でその集団に気付いていないヒスイ達はセントラルシティへ帰る為に、来る時に使ったリューカーデバイスまで戻ろうとしていた。
「さて…と、付近にドールズの反応もないし、戻るか。」
「まって。」
リューカーデバイスに向かおうとするヒスイの腕を掴み、呼び止めた。
「んぁ?どうしたんだ?」
「私がここに来たのは君にある事を知らせに来たからなんだよ。」
「じゃあ私指定でドールズ討伐の依頼を出したのもロナ?」
「え、私じゃないよそれは。…まさか。」
ロナの手に汗が滲みだすと同時に、突然小声でブツブツと呟き始めた。
「ロ、ロナ?どうした?大丈夫か?」
なにかに焦り始め、しゃがみこんでしまったロナ、その一方で集団のリーダーと思わしき人物は冷静に無線で散開した仲間に無線を入れ始めた。
「見つけた、間違いない…ヒスイだ、奴を撃て。しかも丁度よく以前から依頼されていたもう1人の目標もいる、こんなチャンスはない、各員逃がすなよ。次に私が無線で許可を出したら攻撃しろ。」
焦るロナの様子を見てただ事ではないのを察したヒスイは、急いで周囲に何か怪しい人影や物が無いか見渡すが、何も誰も見当たらない。あるのは建物などの残骸だけだ。ヒスイはとりあえず立てなくなったロナに肩を貸して、リューカーデバイスまで移動しようとした次の瞬間、ヒスイは一瞬の殺気を感じ取り、ロナを引っ張りつつその場から素早く離れた。そしてさっきまで居た位置に1発のフォトン弾が飛んできた。どうやら間一髪で避けることができたようだ。しかし状況としては依然として危機的な事には変わりは無いためヒスイはロナを背負って付近の物陰に隠れるようにしながら急いでリューカーデバイスの方へ走り始める。
「ちょっ、どうなってるんだ!これは!それに今のは…!」
ヒスイを狙った1発のフォトン弾は新武器種のスナイパーライフルから放たれたものであり、それに気付いた。その武器から放たれる弾丸の速度と威力は圧倒的であり、たった1発でも当たる場所によっては同じ遠距離武器であるアサルトライフルやランチャーの一撃よりも 致命傷になりうる。そのためヒスイは攻撃してきた者の位置の特定よりも、ひとまず避けることを優先した。そして動けないロナを近くにあった岩陰に隠し、自身は奴らの気を引くために表に飛び出した。
「ウォォーーッ!でやぁッ!」
ドゴン───ッ!
ヒスイはかなりの勢いで地面を1発殴って前方の地面を隆起させ、砂煙を上げる。そしてその砂煙が集団のリーダー格であろう者の所まで広がったのを確認し、ジャンプして奴らの目と鼻の先という距離まで近付くが、互いの姿は砂煙のせいで見えていない。が、ヒスイは正確に奴らの位置へ向かってツインマシンガンを撃ち始めた。
ダダダダダダッ!
「こ、こいつなんて私たちの位置がわかって───!」
「くそっ、このままだと一方的にやられる!各員、ライフルに切り替えてホーミング弾を撃て!砂煙だろうと範囲内なら武器がロックオンして追ってくれる!」
「ロックオン完了、撃ちます!」
複数の弾丸がヒスイ目掛けて迫っていく。それを見たヒスイは走って回避しようと試みるも当然しっかりと追尾してくる。しかしそれと同時にヒスイはあることに気付く。
「この追尾弾…私のフォトンか何かに反応して追尾しているのなら…それならァ!一か八かの賭けだが試す価値はあるよなぁ!」
ヒスイは何かを思いついたように身体に力を貯め始めた。
「ハァァーッ!」
すると突然、ヒスイの体を中心として、円が広がっていくように数十体のヒスイの分身が現れたのだ。そしてそのまま分身が散らばると同時にヒスイの目の前にまで迫っていたホーミング弾が、他の分身目掛けて方向転換をした。が、1発ヒスイの腹部に命中してしまう。それでもヒスイは怯む事なく、集団のリーダーのアークスに向かって接近していく。
「お前ェッ!これでも食らってくたばりやがれぇぁッ!」
ヒスイが手をグーの形に握りしめて、構えた。
「クソ───ッ!や、ヤメっ…!」
そして、リーダーの目の前に着地してその拳は───
「ツァァァーーッ!セイッ!」
ヒスイのパンチはリーダーの腹部に勢いよくめり込んだ。
「ゥグッ…クソぉ…このぉ───」
ドサッ…
リーダーの彼女は悲鳴を抑えるようにしながら力無く倒れた。
「クソッタレが!おととい来やがれ!そんで、取り巻きの奴らはこいつを拾ってさっさと帰れ!死なせてないからなぁ!そして二度と関わってくるな!関わってきたら次は無いからなぁ!!バァーカ!チッ…。」
そう吐き捨てるようにヒスイは奴らに向かって言った後、ロナのところまで戻ろうとしたがリーダーの仲間が一向にリーダーを助けようとせず、立ち止まって怯えるようにヒスイを見ていた。彼らはヒスイがリーダーを助けようとした隙に攻撃を仕掛けてくるのでは無いかと疑っていたのだ。それを見て感じ取ったヒスイは、「お前らと違って人に対しては不意打ちなんかしないんだよアホ共。だからちゃんと回収しとけよな。」といってそのままロナの元へ戻ったのだった。
第18話に続く