ファンタシースターオンライン2ニュージェネシス if 激動のハルファ   作:FY

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遅くなりました。色々伏線詰め込もうとしたら無駄に長くなり、読みにくくなりましたすみません。これからもっと頑張ります。


第18話 予感と違和感

ロストセントラルでの戦闘を終え、ロナの元へ戻ったヒスイは恐怖心で腰が抜けたのかは不明だが、とりあえず動けないロナを再び担ぎ、ロストセントラルのリューカーデバイスからセントラルシティへと帰還した。

 

「なんとか…戻れたな。まぁとにかく私らは誰かに目を付けられている…と考えた方がいいな。いや、私とロナか。どうしたもんか…。ロナ、大丈夫か?」

 

「う、うん。も、もう降ろしてくれていいよ。ありがとう、助かった。」

 

そう言われヒスイはロナを降ろすと、司令部へ向かおうとするも、ロナがそれを止めた。

 

「どうした?今回の件をクロフォードに伝えておかないと…。文句を言いに──」

 

「ダメ、…というかそもそも、司令部にはそれ相応の権限を持ってるアークスか、もしくはなにか呼び出しとか命令じゃないと入れないはずじゃないの?」

 

「あ?え?そうなの?私今まで普通に出入りしてたから知らないよ?」

 

「え?ヒスイって特別な権限か何かをもってるの?」

 

「うーん?…あー、クロフォードと仲がいいとか?あと蹴り飛ばす権利があるよ!…なーんてね。」

 

「は、はぁ?と、とにかく!今はダメだから!」

 

「うーんクロフォードはこんな事しないと思うけどなぁ。それに理由もないだろ?…たぶん。」

 

ヒスイはクロフォードに対して飛び蹴りを幾度となくやって来たことを思い返して「まさかな」、と思いつつそう言った。とりあえずクロフォードに今回の件を直接聞きたかったヒスイではあったが、ロナのしつこい忠告に根負けして、仕方なく聞きに行くのをやめることにした。とりあえずヒスイは休憩を取るのと誰かに追われているロナを休ませるべく、ロナを連れてヒスイ自身のクリスペに戻った。

 

「ほぃ、ここが私のクリスペだからとりあえずゆっくりしておいて。私は少し用があるから。」

 

ヒスイのクリスペにはゼノア達がヒスイの出発前と変わらずくつろぐ姿があった。

 

「ちょっと、どこ行く気?」

 

建物の前まで来たヒスイは踵を返してテレポーターへと戻った。ロナはテレポーターに乗って再びどこかへ行こうとするヒスイに質問した。

 

「まって、ヒスイどこ行く気?」

 

「武器の強化でもしようかなぁって!すぐ戻ってくるからさ。んじゃまた後でー。」

 

「あ!ちょっと!」

 

そしてクリスペからセントラルシティに戻ると、ヒスイはどこからか誰かに監視されているように感じた。

 

「(監視されている…?いや、気の所為?そもそも襲ってきたアイツらは───)」

 

色んなことを考えながらセントラルシティ内をフラフラと歩いていると突然遠くから聞こえてきた『ズドン!』という激突音に気付く。その音を聞いてすぐさまヒスイは音の正体を確認するため、セントラルシティの外壁に登り、辺りを見回すと、少し離れた場所で5体ほどの中型ドールズに対して一人応戦しているニアスの姿があった。それを見たヒスイは即座にニアスの方向へ跳躍する。

 

「ニアス!今助ける!下がれ!!」

 

ヒスイはあっという間にニアスの元に到着した。そして、ヒスイは走りつつ左の拳に力を込め始めると、それと同時に、フォトンも青白く輝きながら左拳に集まっていく。

 

「うぉぉぉぉーーッ───つゥぁーーッ!」

 

バキバキバギィィィーーン!ドガン!ドガァンッ!……ズドン───ッ!

 

ドールズの装甲を叩き割る音が聞こえたあと、最後の一体の体をブチ抜く音は周りへと響き渡り、同時に、ヒスイとドールズの戦いは終わった。

 

「おい。ヒスイ…なぜこんな所にいる。何をしに来た。」

 

そうヒスイに質問してきたニアスの表情はまるで恨んでいる人を睨むかのようなものだった。

 

「あ?そんなに獲物を横取りされたのが嫌だったか?押されてるように見えたから手伝ったつもりなんだけど───。あ、もしかしてお前の許可無しに窓突き破り退院したので怒ってる?」

 

「ハァ…そんな事など心底どうでもいいの…ただ窓突き破り退院なんて次からするな。窓の修理費も追加でかかってんだぞ…ハァ…ったく。…その何も知らなそうな感じどうやらあれはデマとみていいわけね。」

 

「デマ?何言ってんだ?」

 

「いいか、お前、今狙われてんだよ、分かりやすくいえば指名手配犯みたいなもんだ。」

 

「へぇ、そんで?てかなんで?」

 

「はぁ、お前はバカだと思っていたが想像以上にバカのようだな。いまアークス内部の一部のヤツらがお前を狙っているよ。捕まえたら500万メセタのボーナスが出るなんて噂もあるぞ。本当かは知らないが。」

 

「…安っ…、、、装備の強化に使うくらいの額じゃないか…。なんかショック…。」

 

「それで気を落とすところもバカ故だろうな。まあ舐められてんだよ。バカだし。」

 

「さっきからバカバカうるさいな!お前だって目つき悪すぎんだよ医者にしちゃぁよぉ!」

 

「はいはい。ソーデスネー。まぁとにかく狙われてるから逃げとけ。助けはしないからな。」

 

「なっ、なんで?」

 

「なんでって。お前が捕まろうと何だろうと知るかっ。それに私はお前に興味などないからな。私が興味を持つのは医療に関する技術で、助けるのは窓を突き破って勝手に退院しないでちゃんと医療費を払ってから正面玄関から退院する奴だ。」

 

「そんな感じの顔してるもんな、ワタシは医療にしかキョーミアリマセーンってな。」

 

ヒスイはへらへらしながらニアスの頭を手でボンポンする。

 

「…………ムカつくなこいつ。お前…この後どうするつもりだ。」

 

「疑い晴れるまで逃亡生活ってとこかなぁ?」

 

「まぁそれしかないしな。正気の沙汰ではないが。」

 

「私けっこうしぶといよ?だから大丈夫大丈夫ー!」

 

「お前は身体の傷を治す前に頭の治療した方が良かったかもな。…とりあえず死ぬなよ。まだ医療費払われてないから。死ぬなら医療費払ってから死ぬか捕まれ。」

 

2人が話しているとセントラルシティの方から4つの人影が近付いてきている事に気付く。ヒスイはその4人と1戦交えるつもりでいるため、ニアスにこの場から離れろと伝えた。そう言われたニアスは速やかにその場を離れて行った。

 

「来たか…、何やらそうとう私に熱心な方がいらっしゃるようで…。さてと、どんな人達かなぁ。前のやつらとかかねぇ?リベンジしに来ると予想しておこう───。」

 

徐々に4人と距離が詰まっていく。そしてついにヒスイと4人の距離が20メートルを切った。そして互いの顔を見合う。1人は小柄でほっそりした体格のデューマンの女、もうひとりは生意気そうなツインテールのヒューマンの女でいくつか追加装備のようなものを装備している。そしてキリッとした目のクールそうなヒューマンの男と、その横に頬まで覆われている仮面つけた女がいる。その4人の間に堂々と立っている5人目はバイザーを付けていて目元の見えない騎士のような格好をしたヒューマンの女で、ヒスイはこのヒューマンの女を姿と雰囲気からしてリーダー格だと言うのを確信した。

 

「5対1…勝ち目は…───って!?」

 

相手を確認していたヒスイに向かってヒュオン!とワイヤーの攻撃が飛んでくる。それを飛ばして来たのは生意気そうなヒューマンの女だった。

 

「危な…!おいおいせっかくチームで来てるなら何かこう…名乗るとか、肩書きがあるならそれ言ったりとか、楽しみにしてたんだけど…その…ない感じ…?」

 

ヒスイは何か事情を知るために雰囲気が和らぐように話しかけてみるも…

 

「キャハハッ!…大人しく捕まりなぁ!」

 

ツインテールの生意気ヒューマンの甲高い笑い声とともに、ブォン!と再びワイヤーによる攻撃が飛んできた。ヒスイの策は失敗に終わった。

 

「ちょ、はや───ッ!」

 

あまりの攻撃速度に冷や汗をかくヒスイ。そして一瞬このまま戦うか逃げるかを考えた結果、逃げる事にした。ヒスイは下手に戦って負傷して逃げられなくなるより、初めから逃げて、そのまま追っ手を撒ききってしまおうと考えていた。

 

「ふーっ───。はぁっ───!」

 

ギュン!と大きな一歩を踏み出し、ものすごい速度で走る。

 

「ふふ、どうだぁ!私のフォトンハイダッシュは!追いつけないだろ!」

 

フォトンハイダッシュとヒスイが名付けたこの安直すぎる名前の走行術は体内のフォトンを脚に一気に送り込み、圧縮、地面を蹴る瞬間にその圧縮したフォトンを放出することで通常のフォトンダッシュよりも素早い速度で走ることが出来るというものである。

 

「…その程度ぉ?案外大したことないのねぇ〜。ぎゃははははっ!」

 

後方から声がした。生意気そうなヒューマン女だけはヒスイのフォトンハイダッシュについて来ていた。他の4人はついてきていない。…しかしヒスイはそんな事よりも彼女の笑い声が気に入らなくてしょうがなかった。

 

「うわっ、きったねぇ笑い声…。そういう風に笑うやつ嫌いなんだよ私は。」

 

「ザコが無駄口なんか言っちゃってさぁ!!とっととくたばって床でもペロペロ舐めときなさいよぉ!クソアマぁ!」

 

「クソアマって…こいつ…、本当に嫌いかも…!」

 

ヒスイが生意気ヒューマン女の一言一句に不快感を覚えていると、再びワイヤーによる攻撃が飛んでくる

 

ヒュォーンーーーッ!

 

先程よりもさらに素早くなるワイヤー攻撃をヒスイはギリギリで躱し続ける。

 

「ちっ、危ないなぁ!」

 

ヒスイは段々と激化していくワイヤーによる攻撃を気配だけで避けるのは厳しいと感じ、生意気ヒューマン女の方へと方向転換をした。

 

「お?なんだ?死にたくなったのかあ?殺してやるよぉ!」

 

生意気ヒューマン女はさっきよりも激しくワイヤーを振り回し始める。

 

「ワイヤーをブンブン振り回しやがって!チッ…こうなったらもうヤケクソだぁ!いっその事突っ込んでやるッ…!」

 

ヒスイは振り回されるワイヤーの隙間を縫うように動きワイヤーによる攻撃を回避しつつ、生意気な女へと接近しきることに成功し、彼女の腹部へ三発の拳を叩き込むことに成功し、生意気ヒューマン女は大きく姿勢を崩すしたところにすかさず追撃の一撃を放つ。

 

ドカッ!

 

「ご…ハッ…ァッ…、…く、クソぉ…何だこのクソアマ…ぁ!」

 

「クソアマ…ねぇ、汚い言葉も使って笑い声も汚くて実力も酷いなんて…、そんなんじゃイケイケな彼氏出来ないぞぉっ!」

 

ドゴンッッ!

 

ヒスイはトドメと言わんばかりの一撃を腹部に叩き込んだ。

 

「もう二度とアンタに会いたくないよ…、クソ野郎。」

 

ヒスイはそう言ってから、逃走を再開した。少なくとも10分以上は走り続けているのだが未だにダウンさせた生意気女以外の4人は追いかけて来る。

 

「しつこいぞぉ!流石に!スタミナバケモンか?!…ふと思ったがあの生意気女嫌われてたのか…?誰も助けに来なかったもんな。」

 

ヒスイはただひたすらに逃げる一方で、ヒスイを追いかける4人側では動きがあった。

 

「はぁ…そろそろダルくなってきたかな〜。…"アレ"を使っていい?」

 

仮面をつけた女は騎士風の女に何かの使用の許可を伺うと騎士風の女は不満そうにしつつも使用の許可を下した。

 

「りょうか〜い!チャチャッとやっちゃうねぇー。」

 

「あまり奴に傷をつけるなよ、アークスの貴重な戦力であり我々の実験サンプルだ。」

 

「"アレ"使って、ボロボロになって死ぬようなゴミだったら要らないんじゃない?正直ぃ。」

 

「黙れ。奴は主が欲しがっているのだから指示どうりにしろ。これは『アークスの未来に関わる』のかもしれないのだから。」

 

「はいはい、わかってますよ。あるじのためあるじのため〜。正味ダルいけど。んじゃあ、やっちゃってくるからー。」

 

「頼みますよ。くれぐれも殺さないように…ね。」

 

「ちっ、しつこいなぁ…!アテン!いや…ノマジェアはいい加減黙って!」

 

「今は作戦行動中なのでその名で呼ばないでください。というかそもそもその名はもう捨てたのでそれで呼ばないでください。正直少し不愉快です。」

 

「誰も聞ないっての。どうせ周りには他のアークスは居ないし、お前の名前なんかに興味なんて無いんだよ。それにノマジェアって名前を捨てた事なんざ、私にはどうだっていいの。それじゃ、またねぇ〜。」

 

仮面をつけた女は3人手を振りつつ、走る速度を上げてヒスイの追跡を続ける。残った3人はその場で追跡をやめ、立ち止まった。すると残った3人のうちの1人であるヒューマンの男のゼンがアテンに問いかける。

 

「彼女…テンション上がってます?…先輩どう思います?」

 

「…正直、彼女は高揚はしてると思いますよ。ですがまぁ率先して動いてくれているので文句は無いです。…奴に…ヒスイに勝って捕まえられるかどうかは別として…ですが。まぁ仕上げは私が行きます、2人の戦いがどうなったかの確認ついでに。それに恐らく彼女はヒスイに負けると思いますよ…………。あと、先輩呼びは困るのでやめていただくとありがたいのですが。」

 

「え、その…イヤぁ…でしたか?」

 

「いえ…そういう訳では無いですが。」

 

「…照れてるのよ。アテンは。」

 

先程まで一言も話さなかったほっそりした小柄な体型のデューマンの女のレナが口を開いた。

 

「…レナ。そんなことは無いです。決して。勝手な事を言わないでください。」

 

そういいつつ、アテンの頬は少し赤くなっていた。

 

一方でヒスイは、徐々に仮面をつけた女に距離を縮められている事に気が付き、焦り始めていた。

 

「速い…!?そんな…、向こうの方が速度が上だって言うのか?!でも今は単独の様だな…?1人ずつ来る理由がわからない…。だが、罠かもしれないが、早急に決着をつけてしまえば!」

 

ヒスイは右足を軸に回り、後ろへ思いっきり方向転換をして、仮面の女へと突っ込む。

 

「せぇぇぇーーーいッ!」

 

「そう来るか───!ならこっちだって、やってやるわよ!」

 

仮面の女は素早くスピアーを構えて、ヒスイへと突っ込んでいく。

 

ヒスイのナックルと仮面の女のスピアーが衝突し、ズガァァァァン!と大きな衝撃音と共に火花が散る。

 

「互角…ッ!なの?!」

 

「じゃぁない!うぉぉぉぉっ!」

 

ヒスイの力が仮面の女を上回り、鍔迫り合いに押し勝ち、仮面の女は吹き飛ばされるも、何とか受け身を取って次の攻撃への姿勢を整える。

 

「…思ってたよりもやる…っ!この仮面女…!思ったより力任せで楽には行かないかもしれない…。それなら、戦闘技術で押し切ってやる!」

 

「そうくるなら!これを使ってお前を叩きのめしてやるっ!アークス戦闘支援システム兵器…M.A.R.S!起動っ!」

 

「なッ?!そいつはァ…、対ドールズ用のじゃないか…!」

 

ヒスイから見て仮面の女の左側に巨大なブレードと、画面の女の周囲に幾つかの物体などが浮遊しつつ、それらが展開される。

 

「はぁぁーーーッ!」

 

仮面の女はヒスイに向かって巨大ブレードを振り下ろす。

 

それをヒスイがなんとか両拳で防ぐと、ガギィィィィ!という音が鳴り響いた。その後何とか巨大ブレードを押し返し、仮面の女に攻撃を行う。だが…

 

バチィィイィィィイイィィン!!!

 

という電撃音と共に、ヒスイの攻撃が弾かれると共にヒスイ自身も吹き飛ばされた。

 

これはM.A.R.Sの防御機能のうちのひとつである物理防御バリアによるものである。このバリアは大型のエネミーの強力な一撃にも耐えうるほどの防御性能を誇っている。

 

「くそぉっ!こっちの攻撃が通らない!これじゃあ───!」

 

「なーに…ボケッとしてる暇があるとでも?一方的にやられる痛さと怖さを思い知っちゃえ!ヒスイ!」

 

仮面の女は再び巨大ブレードを振り下ろし、それをヒスイは間一髪で横に飛び、避けることに成功する。

 

「く…くそぉ、、逃げることしか出来ない───ッ!」

 

「ちょこまか動いちゃってさぁ!いい加減諦めたりしたらどう?!」

 

仮面の女はヒスイに対してあらゆる角度からブレードによる斬撃を叩き込む。だが、ヒスイは逃げつつも、しっかりと隙を伺っていた。

 

「私に諦めるという言葉は無い!諦めが悪い奴なのさ!私はなぁ!……そこぉッ!」

 

仮面の女のM.A.R.Sのブレードの攻撃を間一髪で避け続け、スキを見逃すことなく、すかさずM.A.R.S本体へ攻撃を叩き込むヒスイ。ダメージはあまり入っていないようではあったが、仮面の女は確実にイラつき始めているように、ヒスイは見えたというか、感じていた。

 

「お前みたいな弱い奴ほど無駄に踏ん張る…そういうの本当に大嫌いだ!バカバカしくてしょうがない、見てるこっちが恥ずかしくなる!」

 

「あー、そうかいそうかい、んな事ぁ知らないね!その弱い奴に未だにまともな一撃も入れられてないお前の方がよっぽど弱いさ!弱さを自覚しろッ、この…仮面女ァッ!」

 

「ぐぅっ…だァまァれぇぇぇぇ!!」

 

ヒスイの挑発に乗った仮面の女は全力でヒスイに向かってブレードを振り下ろす。

 

「かかったな、仮面女ァ!そろそろ…だろうからなぁ!」

 

「なっ!M.A.R.Sのバッテリーが!なんでこんなに早く?!」

 

仮面の女の周囲に浮かんでいたM.A.R.Sが消失する。バッテリー切れである。元々M.A.R.Sはバッテリーは時間で切れるが、彼女の場合は通常よりも早く切れたのだ。理由としてはヒスイによる攻撃を防ぐために、バリアーを展開していたのだが、ヒスイの高火力の攻撃を防ぐのに多くのエネルギーを消費してしまっていたからである。たかが数発と言えど威力が重ければ、当然バリアーの出力をあげなければ防ぐことは出来ない。ヒスイはそれを利用し、回避に集中し、確実に攻撃を叩き込めるタイミングだけを狙って、そこで高火力の攻撃を放っていたのだった。

 

[M.A.R.Sシステム、活動限界。]

 

仮面の女のM.A.R.Sシステムが停止し、消失する。

 

「こんなバカに…私なんかが!私が負けるものかぁぁあぁっ!」

 

M.A.R.Sが解除された直後、すぐさまヒスイに向かって攻撃を繰り出す仮面の女。

 

「これで仕留めるッ!グラインド───」

 

それに対して真っ向から一撃で仕留めようとするヒスイ。

 

「止まれ。」

 

そしてその二人の間に突如として現れたアテン。

 

「なッ───!?」  「アテン、なんで!?」

 

ガァァァァァァァァン!という衝撃音と共に火花が散る。そして二人の間に現れたアテンはツインブレードを1本づつで、二人の攻撃を防いでいた。

 

「私の拳がツインブレードの片側だけで!?そんなばかな!」

 

ヒスイは攻撃か防がれたままそのままの状態で押し込み、アテンの姿勢を崩そうとするも失敗してしまう。

 

「アテン!邪魔しないで!こいつは私がァ!」

 

「甘いです。非常に。」

 

「くっ…、私の攻撃が通らない…?!ダイダルソードの胸部装甲を貫通出来るはずの威力だぞ!なんなんだその武器は!…いや、武器じゃない…、これは力量差か?!だとしたら…そうか…フォトンか、フォトンをそんな風に使えるのか…!かなりのやり手だなこいつぅッ…!」

 

「ほぅ、察しがいいですね。その通りです。あなたの言う通り、この武器に私のフォトンを纏わせてます。普通、武器は敵に攻撃を与える際に、敵に向かって流すように…武器が敵に当たる瞬間、それと共にフォトンのこもった衝撃が敵に流れます。しかし私は初めから常に武器に纏わせている…。その為、敵にフォトンを押し込む動作を必要としない。これにより、無駄なフォトン操作をすること無く、攻撃から防御に素早く転じることも可能になり、無駄なフォトン消費も抑えられます。つまり、攻防一体の戦闘方法です。」

 

「器用なやつだな。常に安定して武器にフォトンを纏わせ続けるのは簡単にできる訳じゃない…。繊細なフォトン制御能力は必要なはずだ。厄介な技術を持ってる!…こいつは……!」

 

ヒスイはアテンの実力を察し、すぐさま距離を取った。

 

「…正直それにすぐ気付く上であなたもそれなりの技術と知識はある様で…。ただ、強いかどうかは別ですが。」

 

「言ってくれるな、その言い方は。挑発か?」

 

「解釈は貴女に任せます。」

 

「ふん、そうかい。試すか?どっちが強いか!」

 

ヒスイ、アテンの両者は互いに武器を構える。

 

「ちょっと、私の事は無視ってわけ?」

 

仮面の女がズイッとアテンの視界の中に入ってきて睨む。

 

「ネィア、ここは退きますよ。」

 

「はぁぁぁぁ?!ふざけてるの?目の前に対象がいるのになんで───!」

 

「対象?なんの?私が?」

 

ヒスイが首を傾げて、仮面の女もといネィアに問いかける。

 

「あっ…。いや、これはその…討伐目標って事よ!貴様が!」

 

「(絶対違うよなぁ…)」とヒスイは思い、ネィアにどうにかしてボロが出ないか試し始める。

 

「なぁ、ネィア…教えてくれよぉ…。」

 

「さっき言ったことが全てだ。それだけだ!だから聞くなぁー!」

 

「焦ってる?汗かいてるよ?」

 

「ちがっ、これはぁ!貴様と戦ったからであってぇ!」

 

ネィアはそういいながら腕をブンブン振って怒る。

 

「はははっ。そうかぁ、ところでネィアは強いなぁ!」

 

「ふ、フフン!そうでしょそうでしょ?すごいでしょ!たっくさん練習したんだから当然!目標のヒスイ"さん"と戦えるなんてよかっ…あ、え。えと。あー、…そう!ヒスイをボコボコにするために鍛えたんだから!」

 

「"さん"?何だ急に?私が殴った時のショックかなんかで頭がおかしくなったのか…?」

 

「ち、ちちちちがう!違うわ!疲れて間違えただけで!」

 

ヒスイの発言にネィアは地団駄を踏んで怒った。

 

「これについては私から。」

 

アテンが話にやや無理やりに入ってくる。

 

「え?」

 

「ネィアは貴女の事をいつからか一方的にライバル視していて、いつしか"さん"付けで呼ぶようになっていました。」

 

「ちなみにだけどなんでライバル視し始めた?」

 

「え、いやぁ圧倒的なインパクトがあってかっこいいから負けてられないなぁ…って!え、えへへ!」

 

ヒスイはそれを聞いて心底、ライバル視をするにしては理由が薄すぎる様な気がしてなんだか納得出来なかったが、仕方なく納得する事にした。

 

「じゃ、じゃあ、あのお前みたいな弱い奴はなんとかかんとかって言ってたのは?」

 

「じ、実は…念願のライバルと戦えてた嬉しくてついニヤけそうだったので…つ、つい抑えようと……へ、へへへへ…。」

 

「は、はは…。そ、そうかい。えっと、うん。(照れ隠しにしちゃ酷い発言だった気が…)」

 

ヒスイは何と返したらいいのか分からず言葉が詰まってしまい、苦笑いするしか無かった。

 

「さて…じゃあ私はこれで…帰っちゃおうかなー。」

 

そのままの勢いでサラッとセントラルに戻ってクリスペに戻る為に、ヒスイがこっそりその場から逃げようとすると、それに気付いたがヒスイにレナが話しかける。

 

「どこへ行くんです?ヒスイさん。あ、そうそう、ヒスイさん。きっと今頃ロナは回収されていますよ。」

 

「なっ…?!一体どうやって?」

 

「簡単です。クリスペこと、クリエイティブスペースには、誰が所有しているスペースなのか判別するためにコードが割り振られているのは知っていますね?」

 

「それは知っているが…!お前らに教えた事なんて…!」

 

「ええ、では、どうやって知ったと思いますか?あなた方のコードをどうやって知ったか…。ヒントは誰がコードを管理しているか…。」

 

「まさか!」

 

「ええ、そのまさかですよ。…えっと、たぶん。」

 

「キレがないな…。で、まさか、セントラルタワーのアークスのお偉いさんでも脅したのか?」

 

「まさか、脅すなんて面倒なことしないですけど?」

 

「は…?じゃ、じゃあどうやって!」

 

「はぁ…頭が固いですね、ヒスイは。"元々"…そんなことする必要がないって言ってるんですよ?」

 

「うん?」

 

「ほんっとに頭が固いですね。バカなんてレベルじゃないです。こんな人が本当に器になるんですか?アテン。あ、器だから平気か。中身じゃないんですもんね。なるほど…。ちゃんと考えていらっしゃられる訳だ、主も───」

 

レナが、ヒスイ自身のことをボロクソに言いつつ、自分1人で話を完結させているのがヒスイは不愉快だったが、ロナのについての話を聞くため、これ以上レナの機嫌を損ねない様に大人しく長いレナの独り言を聞いていると、アテンがレナに声をかけた。

 

「…待たせていますよ。」

 

「あー、夢中になって忘れてた。それで、さっきの"元々"そんな事をする必要が無いっていうのは、つまり簡単に言えばクリスペの管理に携わってるアークス上層部の内に私たちの仲間がいるってわけだ。当然仲間なわけだから、お願いすればちちゃーっとアンタのクリスペに入れるって訳。数分前くらいには私たちの部下がアンタのクリスペに入ってロナを回収してきたから。理解できた?」

 

「なるほどねぇ。なら確かめてやるまでだ、本当かどうかなぁ。」

 

そういうとヒスイはセントラルシティの方へ向かって全力疾走し始めた。

 

「あ、器が逃げますよ?足止めします。」

 

レナがライフルを構える。

 

「いいです、行かせて構いません。まだ奴は"その時"ではないです。器になりきっていない。器として最適な状態にするまでは直接の手出しはしない。器といえど、意思ある1人で、尚且つ1000年前の遺産だ。大切にせねばならない。」

 

「ただの入れ物に何をそこまで…?よく分からない、アテン。」

 

「その時が来ればあの方が教えてくれます。今はただ待つ。実際今回は見に来て正解だった。あの様子ではまだ足りない。いずれ、全てを壊す存在になるのだから───。」

 

 

一方でヒスイは…。

ヒスイは大丈夫だと、ただの虚仮威しだと思っていたが、心底不安ではあった。ロナは本当に連れ去られたのか、ゼノア達は無事なのか。様々な不安と焦りでヒスイの足は段々と速くなる。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁっ…!速くっ!もっと速く走らないと…!」

 

さらに大きくなる不安感からヒスイは自身の過去最高速度を超えた。今までよりもかなり速く走っている。数分してセントラルシティに着いた。そしてヒスイはすぐさまクリスペにワープした。ワープが完了すると同時にすぐさま家の中に飛び込んだヒスイの目に映ったのは…のんびりしているゼノア達だった。ロナもしっかり居た。

 

「あ、あれ…?」

 

ヒスイは開いた口が塞がらなかった。何らかの被害は受けているものだと思っていたのだが、何の被害も無かったからである。

 

「これは一体…?」

 

「あ、帰ってきた。」

 

驚きのあまり口を開けたまま突っ立っているヒスイ。それを見たロナがヒスイに近付いていき、ヒスイの口の中にイチゴをジャンプして入れた。

 

「はい、イチゴ。多分不味い。」

 

イチゴを口に突然入れられてもヒスイはフリーズしていた。少ししてイチゴを噛み、ヒスイはロナに何も無かったのか聞く。

 

「…味薄っ。ぐにゃっとしてるし。そんで、…何もなかったのか?」

 

「いや、あったはあったよ。このクリスペに来て数分後くらいに突然このクリスペに武装した奴らが来て、私のこと捕まえようとして来たんだけど…その…。ん…。」

 

ロナが指を指した方向を見るとそこにはソファーでゴロゴロしてるアカネがいた。

 

「ん〜、あのへんなひとたちは〜、私がちゃちゃーっとぉ〜追い返したよぉ〜。まぁ、寝るからぁ〜。おやすみぃ〜。すぴぃ〜…。」

 

「あ、うん…。その、ロナ…アカネはどんな風にそいつらを追い返したんだ?」

 

「カタナで一振りで吹き飛ばしてビビらせてた。そんで敵が帰って行ったよ…。『ダメだよ〜』って言いながら放った一振りはすごい威力だったよ。ただ何故か物は切れてないからさ、研究者として気になったんだけど、記録できなかったし。正確には測定不能だった…か。でも、一つだけわかったことがあったよ。」

 

「何がわかったんだ?」

 

「"殺意がほんの少しも。"ヒスイと真逆"。」

 

「え、そんなに私殺意剥き出し?」

 

「君と初めて会ったときにドールズに襲撃されたあとに白い集団に狙撃された時…あの時、一瞬おぞましい程の殺意を私は感じた。…まさか、自覚ないの?」

 

「そんなまさか…、自覚も何も、アイツらに対して単に反射的に睨んだくらいで、別に殺意なんて…。」

 

「ふーん、あっそう。まぁ、後で調べさせてね、色々。にしても、奴らもかなり手段が強引になってきたね。てか、ヒスイ何してたの。もしかして寄り道?だとしたら許さないよ?ほら、早く何してたか言いなさいよぉ!ヒスイー!」

 

ロナが目を細めてヒスイに問い詰める。

 

「おいおい、そんなグイグイ来るな…いや、寄り道じゃなくて。…武器の強化しようと思ってたらなんか見られてる気がしてそっからまさかと思って、セントラルシティの外に行って誰が付けてきてるのか確かめようとしたら、知り合いに会って、ドールズに襲われてたから助けた後に───」

 

ヒスイはさっきの出来事をまとめて話した。するとその話の途中でアテンというワードを出すとロナがヒスイの両方の二の腕を掴んで突然大声で確認してくる。

 

「はぁ!?ヒスイ、アテンたちに会ったの?しかもその仲間と戦った?!どこもケガしてないの?!」

 

「ああ。生意気野郎は弱かったし、ネィアとか言う仮面つけた奴にはそこそこ苦戦はしたけどこれといって攻撃は食らってない。」

 

「よくもまあ無傷で終わったね。」

 

「へへへ、それほどでも…。」

 

「褒めてない!アテンと戦ってたらタダじゃすまなかったはずだよ。」

 

「褒めてないのか。ヒスイは悲しいよぉ。褒めてよぉ。…まぁ確かにアテンは私のでかい一撃をデュアルブレードの片方で防いでたし。フォトンの操作もとてつもない精度だった。確かにあれはかなり強い。」

 

「そう、アテンは強いわ。その4人の中でリーダー的な存在で戦闘能力は恐らくアークスの中でもトップクラス…。真っ向から勝つなんて…無茶の極みだわ。」

 

「4人?って事はやっぱりあの生意気女野郎の事はロナは何も知らないのか?」

 

「うん。そんな生意気な奴が居るなんて初めて聞いた。」

 

「という事はそいつはそのチームの新入りとかってこと?」

 

「そう考えて間違いないね。」

 

「てか何でロナはそんなにアイツらに詳しいんだ?」

 

「実は少し前まであの人達に捕まっていたんだ、私。」

 

「へぇ…え?」

 

「初めてヒスイに依頼した日、その数日前に逃げて来たんだ。…正確にはある人に助けてもらったっていうか…、逃がしてもらったんだけどね…。」

 

「その人は?」

 

「それが…行方知れずで、私を助けた後にその人も逃げられたかわからなくて。」

 

「顔は覚えてないのか?」

 

「顔は分からなかったよ。私目隠しされてて…。声はどっかで聞いた事があったような気がしたんだけど…。」

 

「そうか…何も特徴が分からないんじゃなぁ…。声だけが頼りか。もし向こうの奴らのアジトかどっかにカチコミ行く時着いてくる?」

 

「それ下手したら私また捕まるんですけどー?」

 

「おいおい、私はそんなに弱くないぞ。」

 

「アテンと戦って勝った人を私は誰一人知らないの。」

 

「え、そんなに強いのか?ますます戦いたいなぁ、そこら辺とかに歩いてたりしないのか?」

 

「そんなわけあるか!てか命知らず過ぎるでしょヒスイ!」

 

「へへへ。」

 

「へへへ。じゃないの、そもそも武器的にも厳しいよ?アンタの使ってる武器って大して出力も出ない新米向けのナックルじゃないの?」

 

「そうだけどそんな事言われてもなぁ…私はこれじゃないとまともに戦えないんだよ。いや、マトモというよりは私のフォトン制御が下手だから?かな?」

 

「え?どういう事?」

 

「うーんと、私は体内のフォトン保有量というか貯蔵量?が他のアークスよりズバ抜けて多いらしくてさ、それでいて一度に放出できるフォトンの量も他のアークスに比べて多いらしくて、過剰な威力で攻撃し続けたら周囲に無駄な被害が及びかねないからな。」

 

「だから出力の少ないプリムナックルを?」

 

「そう、普通は大体の人は実力に準じて武器を替えてくと思うけど私はさっき言った事情からどのクラスの武器も全部プリムシリーズだよ。簡単に言えばストッパーの役割をさせてる。」

 

「でも、物理的な力のあるヒスイからしたら耐久面的にはキツいんじゃ…」

 

「ああ、まぁ5、6回戦闘したら壊れるかな。多分今使ってるのもそろそろ───」

 

「…よし、決めた!」

 

ヒスイの言葉を遮るようにロナがそういうと、ヒスイの肩をガシッと掴む。

 

「私がヒスイ専用のナックル作ってあげる!」

 

「え?いいの?」

 

「良いの良いの!それに前回の時のお礼もあるし!」

 

「ロストセントラルで何か探させた時のか。」

 

「そうそう!あ、その時拾ったのちょっと見せてくれるかい?」

 

そう言われたヒスイはマグのアイテムストレージからあの時拾ったものを全て渡した。

 

「はいこれ。」

 

「割と多かったね…。」

 

「これなんなんだ?何かのコア?何かしらの力は感じるけどよく分からないぞ。」

 

「うーん、あくまで補助的なくらいの動力源だとおもう。前々から気になってたパーツでさ、このサイズの動力源で何かしらの装置のメインの動力にはなり得ないとおもう。まぁ、どのくらいの規模のものを動かすかによるけど。」

 

「へぇ、私機械には詳しくないからなぁ。」

 

「これは色々使えそうだねぇー…。これは天才メカニックのロナに任せなさぁーい!」

 

「そういやお前メカニックだったっけ。」

 

「そう、私はこのハルファで一番の技術を持ってるメカニックだぁー!多分ね!はっはっはーっ!って事で前回のお礼としてまずは君の武器を作ってあげよーう!」

 

「え?いいのー!?って…でも私は高出力のは使えないから作る時に面白みに欠けると思うけど───」

 

「チッチッチ〜!あまいよ、あまい、生クリームの様にあまったるいよぉ〜!ヒスイの、君だけの武器を作るんだ、キミの物理的なパワーに耐えられるだけの耐久性と、過剰な威力を制御できる機能を持ったものをつくってあげるよ!」

 

「ほんとか!?やっとプリムナックル以外のを使えるのか?!」

 

「もちろん!」

 

「うっし!あ、でも素材とかは?」

 

「素材はもう揃ってるよ!さっきのパーツと、以前に奴らに捕まってた時にちょこーっと拝借してきたやつ!」

 

ロナはそう言うと、ヒスイの腕を引っ張り、ヒスイが留守にしていた間にヒスイの家の裏に勝手に増設された部屋にヒスイを連れ込んだ。

 

「ここは?」

 

「ここは私のラボ!内装は持ち運び可能なレベルにまとめられるハイテク機能付き!すごいでしょ!」

 

「なんか勝手に置かれ───ムぐっ。」

 

「はいはいキニシナイ、キニシナイ!」

 

ロナはヒスイの口を手で塞ぎつつ、ラボの中にある椅子に座らせた。その一方でゼノア達はというと…

 

「あー、もっとなんかこう…遊撃部隊っぽいことをさぁー。」

 

最近の出撃回数の少なさに不満を漏らしていた。ネルアはもちろんだが、ゼノアも意外にも不満を漏らしていた。

 

「ネルア、そんなこと言ったって出撃許可出されないとドールズ討伐は無理なんだよ。まぁ、あくまでドールズ討伐以外の目的での探索なら許されるだろうけど。鉱石採取とか、植物採集とか。誰かの依頼とか。」

 

「じゃぁー、ゼノアがどっかから依頼かなんか見つけてきてよ〜。アタシはもう退屈すぎて嫌になっちゃうよー!!」

 

ネルアはそう言うとソファーに寝ながら手足をドタバタする。

 

「子供みたいに駄々こねるなよぉ…。ホコリ舞うだろ?」

 

「やーだーやーだー!エネミー討伐したーい!」

 

そう言いながら今度はソファーから立ったと思ったらミヌの肩を掴んで揺さぶる。

 

「うげぇ…めんどくさい…、あででででっ!痛い痛い!やめてよこのバカネルア!首の骨おかしくなるでしょマヌケ!私を殺す気?!やめてっての!」

 

ベチィン!!!

 

ネルアのしつこさに耐えかねたミヌはネルアの頬をぶっ叩いた。そしてぶっ叩かれたネルアは「ホゲェッ!」という悲鳴と共にぶっ飛んだ。

 

「ふん。そこでしばらく倒れてなさいよ。」

 

「あは…ははは…。」

 

ゼノアはその様子を見て苦笑いしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第19話に続く

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