ファンタシースターオンライン2ニュージェネシス if 激動のハルファ 作:FY
──────巨大ドルトリス強襲事件から3日後…。
「…あれから意識戻って無いね、ヒスイ。そろそろドールズも休んでくれないかなぁ。」
僕はヒスイが意識を失ってから毎日ヒスイの病室に行っているが、一向に意識が戻る兆しが無い。
「うん。…この3日間、ヒスイ無しの遊撃隊は正直キツかった。敵の出現頻度が高くなってるし…。俺だって疲れてきたよ、ゼノア。」
「ああ…。」
ネルアやミヌもよく病室に来るのだが、来る度にこの話ばかりだ。ヒスイのマグであるアウルアに残っていた3日前の戦闘記録に映っていた通常よりも巨大なドルトリスとは別にあの紫色に光るドールズが2日前から大量に落ちてくる様になった。従来よりも耐久力が高く、攻撃の威力も動きも素早い。それをヒスイ無しで戦っていたので毎回苦戦を強いられている。アカネもバディのヒスイが居ない為、モチベーション的にも戦いにくいのかもしれない。
「…リテムリージョンか…。」
ミヌがそう呟いた声が聞こえた。ミヌもいつの間にか病室に来ていたらしい。
「リテムリージョン?何だそれ。」
「セントラルシティから北の方にある砂漠地帯よ。で、そこのリテムシティを長年苦しめて来たレヌス・リテムとかって言うドールズが倒されたんだって。」
「ほーん。誰が倒したんだ?」
「アイナとマノンと…知らない名前ね。でも、その人も星渡りらしいわ。」
「へぇー、そいつと会ってみたいな俺。」
「なんでよ?」
「そりゃあ、長年リテムシティのアークスを苦しめて来た強いドールズを倒したんだろ?そんなに強いならその強さを自分の目で見てみたいんだ。」
「ははっ、ネルアらしいな。そう言えばアカネは?」
「ゼノアはアカネから聞いて無かったの?今日から暫く用事でいないって。」
「聞いてないよ、ミヌ。初耳なんだけど。で、その用事って?」
「なんかドルトリスとの交戦後にレゾルの森でヒスイが倒れてた時に近くに人がいたらしくて、その人を探すのに集中したいから暫く今日はレゾルの森に居るって言ってたわよ。」
もしかしてあの後すぐにセントラルシティに戻らなかったのってその人探してたからか?
「そんなやつ居たのか?気付かなかったけどやっぱりベテランなんだな…。感覚が鋭いのかな。」
「きっとそうなんでしょ、ネルアは鈍感だからもう少し勘を鍛えた方がいいわよ?」
「何をぉ!お前だってたまに察しが悪い時あるだろぉ!他にも─────」
「はいはい喧嘩は病院の外でどうぞ。廊下でやんなよバカ2人。」
病室でうるさくされるとヒスイに申し訳ないと思うので僕は毎回2人が喧嘩した時は部屋の外に押し出し、病院の外で喧嘩する様に言っているがそれでも病院の外ではなく廊下で喧嘩を続けている。いつも通り、ミヌがまたネルアを馬鹿にして、ネルアが怒っている様だ。すると廊下から他のアークスの会話が聞こえてきた。
「ダークファルスの襲撃から4日後…あれ以来あのデカブツは音沙汰無しか…。中型ドールズの出現頻度が上がってるけどそれ以外は特に無いし、クロフォードが2日前に発表したセントラルキャノンだかは理論上ダークファルスに有効打を与えられるらしいけど本当なのかなぁ…。さっさとあんなデカイの倒して安心したいよ…。」
廊下に歩いていた他のアークスがそう呟いていたのを聞き、エアリオタウンが壊滅した日から4日しか経っていないという事実に僕はハッとした。他の人ならたかが4日間と思うかもしれないがこのハルファに来てから色々なことが起こりすぎて、僕の中では1週間くらいだと感じてしまいそうな程の4日間だった。
「4日間ねぇ…ダークファルスとアークス入隊試験の日以外でなんかあったっけなぁ」
最近変わったことと言えばドールズの出現頻度が増えた事のみ…。ダークファルスも姿を現さず、ただ時間が過ぎていくだけである。そう僕が思っていると、ガタンッ!とヒスイの寝ているベッドの方から音がしたので急いでベッドを隠しているカーテンを開けると、ヒスイが目を覚まして起き上がっていた。
「…死ぬかと思った。死にかけてからどのくらい経った?ゼノア。」
「3日経った。その間に大した事は起きてないよ。ただヒスイが戦ったあの紫色に光ってる中型がハルファのあちこちに出現するようになったって事くらい。」
「ドルトリスは?逃げた?」
「ヒスイが瀕死まで追い込んでくれてたお陰で倒せた。被害はないよ。」
「そっか…ならいいや。クロフォードは何か言ってた?」
「無茶しすぎって怒ってた。」
「げぇ…司令室に行きたくねぇな…。そういやアカネは?」
「3日前にヒスイが倒れてた時、その時に不審な人がいたからその人が気になるから手掛かりないか調べるためにレゾルの森に行くって…」
「いつから!」
焦っているのか冷や汗を流すヒスイ。
「き、今日から手掛かりを探すって…。」
「…嫌な予感がする、私の服は?」
「病室のクローゼットにあるから持ってくるよ。」
僕がクローゼットからヒスイの服を取ってきて、渡すとヒスイは素早く着替えを済まし、病室の窓を開けてそこから外に飛び出し、フォトングライドで滑空し始めた。
「ゼノア、医療担当の人来たら私は任務に行ったからって言っておいてー!ちょっとアカネを探しにレゾルの森まで行ってくる!」
「ちょ、ちょっと待って!もし危険なになったら僕たちを呼んでよね!?」
「そうだな…呼んだ時はついでにクロフォードを連れてきてくれ!」
「なんでクロフォード呼ぶの?って、ちょっと待ってよ!ヒスイ!…って…行っちゃった。」
とりあえず僕はヒスイからの連絡が来るまで病室で待つことにした。待っている間にケンカの最中であろうネルアとミヌの様子を確認する事にした。
「おーい2人とももうそろそろ…って、また副医院長に怒られてるのか…?いつもよりも怒らせてるっぽいし。」
「アタシ悪くないから!先に悪口言ったミヌの方がどう考えても悪いでしょ!?」
「はァ?!ネルアが馬鹿過ぎてこっちはもう嫌なのよ!くだらない事ばっかり言ってさぁ!とにかく、手間がかかるアンタが悪いのよ!」
「…チッ、あのさァ…。」
うげっ、声がでかいから耳を塞いでおこう…。それにいつもより怖いし…。
「テメェらが1番うるせぇし、馬鹿なんだよぉ!病院で騒ぐバカはここだとテメェらだけなんだよ、何回言えば騒ぐの辞めんだよ!ドールズの大群の中に放り込んでやろうかこのクソ共が!」
キレ散らかしているあの人は天才的な医療技術と知識で若くしてここの病院の副医院長になった人である。名前はニアス。普段は優しいらしいのだが、怒るとこのように恐ろしい事になる。
「す、すみませんでしたもうやらないです!」
そう言ってミヌは顔を青ざめさせ、廊下の窓を開けて病院からフォトングライドで逃げていった。一方でネルアはまだニアスに反抗しているようだ。いくらなんでも諦めが悪いにも程がある。
「アタシは認めない!元はと言えばミヌがアタシをバカにしたのがわる───」
「テメェらのどっちが馬鹿とかじゃなくて、ウチが言ってるのはここで騒ぐなって事なんだよ理解しやがれこのどアホ女ァ!!」
「な、なにをぉぉぉ!」
「ゴチャゴチャうるせぇ!」
ニアスがネルアを蹴り飛ばそうと左足を大きく踏み込み、右足をあげ、蹴り殺さんとする勢いで右足を振り下ろす。
「やばいっ、死ぬかも!」
「こっから出てけ!生意気どアホ女ぁぁぁ!」
「うぐぇェっ!」
ニアスの蹴りは見事にネルアの腹に当たり、ドスっと音が聞こえた次の瞬間にネルアが開いていた窓から外へ吹っ飛んで行ってしまった。
「二度と来るな!」
そうネルアが飛んで行った方向に怒鳴った後ニアスがブツブツ文句を言いながら他の病室に入っていった。ニアスのキレた恐ろしい光景を見た僕の足は恐怖心で生まれたての子鹿の様に震えが止まらなかった。ドールズ以外に対して殺されるのではと感じたのはこれが初めてだった。
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一方、レゾルの森へ向かったヒスイは…
「あ、アカネ…?なんでそんな怪我してんだよ…?誰にやられたんだよ!おい、しっかりしろって!」
血だらけのアカネを発見したのだった。
第10話へ続く
投稿遅れてすみませんですた