異世界が滅亡する。俺の腐れ縁の親友はなんてことがないかのようにそう口にした。
「な、何言っているんだよ、、。あの世界が滅亡する?冗談もたいがいにしろよ、、。」
俺はそう思わず口にしたが、この言葉が噓かどうかなんてもう分かっていた。
俺の親友は絶対に俺に噓は言わない。そう分かっていたが、あの世界が滅ぶなんて、俺は信じたくなかったのだ。
『うん、、滅亡するね。君が何とかしない限り、近い将来にあの世界は暗闇に覆われた死の世界になってしまうだろう、、。』
「そんな、、。」
俺は顔を俯かせる。信じられなかった。脳がこの言葉を理解することを拒んでいる。あの世界が滅ぶ?ギルドの奴らも、フレンさんも、社築さんも、、、そしてリゼ・ヘルエスタさんも、みんな消えてしまうっていうのか?
「っけど、お前言ってたじゃねぇか!あの世界で困ったことが起きても、滅亡するまでじゃねえって!」
『その筈だったんだけどね、、。』
KAMIは深いため息をついた。
『確かにあの時、君にそう言ったときはまだあの世界の危機は大したものじゃなかったんだ、、けどどうやらあの世界でイレギュラーが起きたみたいでね。このまま何も手を打たないと滅亡するみたいになってしまった。』
「い、イレギュラーってなんだよ?」
『それはまだ分からない。今調べているけどなんかノイズが酷くてね、、正直手をこまねいているんだ。』
神様であるKAMIがてこずっているというのは相当だ。いったいあの世界で何が起きているんだ、、?
『そこでだ。』
KAMIに何やら考えがあるみたいだ。俺は喉をごくりと鳴らして、耳を傾ける。
『今まで散々言ってきたけど、NIJI、君にあの世界を託したい。あそこでイレギュラーを調べて出来れば解決、、まではいかなくともイレギュラーの正体を調べてきてほしいんだ。』
その解決策は、、俺が最も恐れていた答えだった。
「なあKAMI、、。」
『うん?なんだい?』
「どうして俺なんだ?俺はただの異世界オタクの高校生だ。俺じゃなくても、、探せばもっと適任の人がいるだろう。」
俺は翔太たちにお情けでグループに入れてもらい、散々パシられているような情けない陰キャだ。こんな俺が異世界を救う?無理だって。絶対他の誰かにやってもらった方がいいって。
『言っただろ?君じゃないと滅亡するって。』
「え?」
『神様は自分の管理する異世界の声を聞くことができるんだ。それで色々と質問に答えてもらってる。この世界でいう所のチャットなんたらと言った所かな?それで聞いて見たところ、君に任せなければ100%この世界が滅ぶってね。』
俺はポカンと口を開ける。俺じゃないと確実に異世界が滅ぶ?マジかよ。そのAIもどきポンコツ過ぎないか?
「、、、ダメだ。俺なんかじゃ絶対に、、。」
『ダメじゃないさ。君ならあの世界を何とか出来るよ。』
「っっ!お前に俺の何が分かるんだよ!!」
『分かるとも。』
「えっ、、。」
KAMIの優しい声色に俺は荒ぶっていた心がスーッと落ち着くのを感じた。
『言っただろう?僕は神様だって。いや、神様以前に僕は君の親友だ。君の弱いところも、、強いところも全部知っている。』
「俺の強いところ、、。」
『ほら、まだ僕のレベルが低かったころ、高レベルのプレイヤーに絡まれた事があっただろう?その時NIJIは僕を庇ってpvpであいつと戦ってくれた。』
「まあ、あいつはムカつく言い方してたもんな、、。」
『それでボコボコにされてレアアイテム全部巻き上げられていたね。あの時のNIJI、泣きべそになってたよね?』
「思い出させてるんじゃねえよ!てかなんで知ってるんだよ!?」
「神様だからね!!」
あの時は徹夜でクエストに言って手に入れたレアアイテムまで分捕られて涙が止まらなかったな、、思い出したら腹立ってきた。あいつ、いつか絶対ボコす。
「それで流石に僕が申し訳なくなって謝った時に、君が言った言葉を覚えてる?」
「いや、、「お前のせいで大損だ!」とかか?」
『「気にすんな。取られたアイテムはまた手に入れればいい。親友のお前を守れただけで俺の勝利だ」ってね。』
「ほぇえ!?」
マジで?俺こんな痛すぎるセリフをお吐きになったの?、、、はっず!!もし俺がベッドに寝転がっていたら顔を真っ赤にしてゴロゴロしているんだけど!?
『あれはホントかっこよかったなー、つい胸がキュンキュンしてしまったよ。』
「気持ち悪いこと言ってんじゃねえよ、、。」
野郎に好かれても何もうれしくないYO。
「あれはほらあれだ、、単に若気の至りっていうか、、。」
『けど助けてくれた。僕は一言も「助けて」なんて言ってないのに。』
「いやだから、、。」
『君はスクールカーストでも底辺のリア臭だ。グループ内では毎回パシリにされてほかのメンバーのボケをいじることも許されず毎日のように失敗を馬鹿にされてクラス内では「一生独身になりそうランキング」上位でーー』
「ちょっと黙ってくれない!?」
聞きたくない真実をペラペラとまくし立てるんじゃねえよ!?てかランキングの事は初めて聞いたんだけど!?、、知りたくなかった。
『そんな大変な立場で君は自分よりも強大な相手に立ち向かった。これは誰でも出来ることじゃない。少なくともこの数百年見たことないね。』
「、、、、。」
『あの世界が君を選んだ時、僕は心の底から安心したよ。ああ、あいつならきっと何とかしてくれるってね。』
「全く、、買い被りすぎだろ、、。」
そう毒付きながらも俺は目の潤みを止めることが出来なかった。今まで家族以外から何一つ認めてもらえなかったのだ。いつの間にかこんなにも暖かい言葉に弱くなってしまったらしい。
「なあ、KAMI。」
『うん。』
「これは俺にしか出来ないんだよな?」
『世界は噓をつかないよ。』
「俺にだったら救えるんだよな?」
『神様が認めた男だよ?むしろ役不足なぐらいさ。』
、、、正直、この決断をするにはとてつもない勇気が必要だった。けど、、この瞬間に決めたかった。もし今この道を選ばなければ一生後悔すると思ったからだ。
「やる、、正直出来るかどうかも分からないし出来る気もしない、、だけど、俺に出来ること、、俺にだけ出来ることがあるんなら精一杯もがいてやる!」
『excellent!!君ならそう言うと思ったよ!!』
KAMIは心の底から嬉しそうな声を挙げる。俺は握りこぶしをぎゅっと握りしめる。神様に宣誓したんだ。もう後戻りはできない、、いや、しない!
『いやー、そう言ってもらって良かったよー、流石に担当の世界を滅ぼしちゃったら怒られちゃうからね。じゃあ、そういうことで。』
「え、、ちょ、おい!?」
まさかまた突然異世界に転移させる気か!?あたふたする俺の前でパソコンが虹色に光りだす。
「うわ!?」
咄嗟に身構える俺。光はしばらく輝いていたがそれが収まると、、俺は自室の机に座っていた。つまり移動してはなかった。
「あ、あれ、、?」
思わず辺りをキョロキョロする俺。訳が分からず首を傾げていると、ふと右手の薬指に変な感触を感じた。
「指輪、、?」
俺の右手の薬指にはまっていたのは虹色に輝く指輪だった。何やら宝石らしきもので作られており、中央にはマ○オのパック○らしきキャラクターと虹が組み合わさったマークが彫られていた。
『贈り物は気にいってもらえたかな?』
「うはああい!?」
指輪に気を取られていた俺はいきなり聞こえてきたKAMIの声につい飛び上がりそうになる。
「え?これってお前の仕業なの?てかなんだよこれ?」
『それはね、君と僕とのエンゲージリングだよ!!』
「だからさぁお前、、。」
さっきも言ったけどさぁ、、野郎に好かれてもさぁ、、。
『冗談はさておき、それはいわゆる世界を渡るライセンスみたいなものなんだ。』
「ライセンス?」
『普通、世界同士を渡るには神様か、それに親しい存在しか渡ることが出来ない。けど限られた人にその権限を仮発行することが出来るんだ。』
「へえー、、。」
『要するにそれを使えば地球と異世界を交互に行き来することが出来るってこと。他にも色々と便利な機能を付与しているから活用してね!』
俺はまじまじと指輪を眺める。これもいわゆるラノベでいう「神器」とかそういう部類に入るのだろうか?見た目なんだかオモチャっぽいけど。
『あ、言っておくけどくれぐれも誰かに渡したり失くしたりしないでくれよ?もしそうなったら怒られるだけじゃ済まないからさ、、。』
「わ、分かった分かった!」
確かにライセンスを失くしたら大変だもんな、、けど学校ではどうしよう、、ケースでも買うか?
『じゃあNIJI。』
「お、おう。」
『改めて言うけど、世界の危機を救うのは簡単な道のりじゃない。強大な敵に膝をつくこともあるかもしれないし、大切なものを失って心が折れることもあるかもしれない。君にその覚悟がある?』
「、、ああ。とっくに覚悟は出来てるよ。」
『、、ふふ、それを聞いて安心したよ。』
俺はKAMIの、、神様が信じた男だ。これで出来なかったら俺は相当な無能だってことだ。気が抜けないな。
『じゃあNIJI。』
「おう!異世界にいく覚悟は出来てるぜ!!」
『いやそろそろご飯食べなよ。もう19時だよ?』
「三条――!!ご飯出来てるよーー!!」
「、、、、、。」
そういえばコイツ変なところで真面目だったよな。俺はそう思った。
今まで(一応)毎日更新してきましたが、一応これからは不定期更新にしたいと思います。
理由は色々とありますが、一番の理由は他にも描きたい小説がまだまだたくさんあるので、時間が欲しいのがあります。
もちろん、エタらずにきちんと完結させるつもりです。