個性『幻想体収容所』:RETAKE   作:T.T小説ううぅぅ…

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ちょっと今回から火曜投稿から月曜投稿にしますね。なんか特別な回じゃ無いのに5000字行った…


黒い森に光る目

「……つまり、その少年が?」

 

ホークスがいるのは日本ヒーロー公安委員会の本部が置かれている建物。ホークスの目の前にその会長と部下達である。

 

「ええ、彼自身は認知していませんが…ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの協力で判明しました。」

「…"L社"か。」

 

いつもは冷たくホークスを遇らう彼らも、今回ばかりはホークスやプッシーキャッツに頭を下げる他ない。あの後、なんとか復活したラグドールが唯一把握出来たのは"ロボトミーコーポレーション"という単語。それを聞いたホークスがこうして公安委員会に連絡したのだ。

 

「僅かに収集できた情報によれば、韓国では発展に伴い、エネルギー需要が急増していたらしい。」

「そのエネルギー問題解決に名乗り出たのがL社であり、方法ははっきりしていないもののエネルギーの大量生産に成功。韓国有数の大企業グループ『翼』の一社として名を馳せた。」

「その後、何らかの計画を実行したが、その際に何らかのトラブルがあり、予定されていた期間より短い間しか行われなかった。」

 

資料にはその最中かと思われる写真がある。まるで天高く登っていく光の柱の様子が収められている。

 

「これは"白夜、黒昼事件"として韓国社会で知られています。またこの事件の後、L社は全関係者が姿を眩ませています。」

「そしてL社が消えた数日後、"ピアニスト事件"が起きた。」

「…………ッ」

「死者大多数、被害建造物数計り知れず…彼一人でこの被害を?」

「そのようです。その時の混乱時に世界に情報が流出し、韓国の統治機関に調査を許可してもらったのが11年前の事です。」

「…話が逸れたな。件の少年はどうする?」

 

一人の発言に同調するように周りの人達は唸った。

 

「他国の事案なら他国に任せたいが…どうもあそこは信用ならん。」

「情報は漏れたとて詳細が不明だ。あそこが抱える闇は底知らず…」

「仮に『頭』に少年を突き出すとしても…事がすぐ丸く収まる、なんてことはあり得ないだろう。」

「噂じゃ『頭』はかの『魔王』とも繋がりがあるとか。いずれにせよ『頭』に、いや韓国にその少年を送り出すのはまずい。」

 

その発言に全員首を縦に振った。

 

「会長、ここは一旦我々で様子を見るべきかと。」

「…そうね。本当は早期解決したいところだけど…あの国が不安定且つ未知数故に慎重に決めなければならない。さもないと更なる混乱が生まれるわ。ホークス、彼の状態は?」

「一応俺の独断でヒーローの道へ行かせています。危険なのは重々承知ですが、彼は可能性の塊ですよ。あれはいつか立派なヒーローになりますよ。」

「……分かったわ。引き続き彼の観察を続けて、何かあったらすぐに連絡を。」

「はいはい、分かってますよ。」

 

鋭い目つきを向ける会長にホークスは両手を挙げてヘラヘラと笑っていた。

 

 

「いやー…参ったもんだね。」

 

その日の深夜。ぐったりと肩の力を落としながらもホークスは羽を羽ばたかせ飛んでいた。この数十時間、韓国関係の事案を何百もこなしていたからだ。韓国関連となると国家も動かざるを得ない事態になるのは、それほど韓国という地が異常であるのが分かるだろう。

 

「さーて…どうなってるかな?」

 

目先に見える目的地を見据えながら、ホークスは自身が見つけた少年のことを考える。危険性を加味しても、あそこまで可能性のあるヒーローの卵はそう安易に現れない。自分の一挙手一投足が彼を左右するだろうと考えながらホークスは目的地に着いた。

 

「……………?」

 

はて?とホークスは違和感に気づいた。確かに深夜であるから暗いのは理解していても、ここまでこの場所は暗かったかと。

辺りを見渡す。静かな風に押されて靡く木々は不気味な黒色をしている。地面は活気を失ったかのようにザラザラとした土が、折れた枝と枯れ葉に覆われている。

 

「……おーい?空巣くーん?」

 

応答を願う声を出すと同時に背中の羽を飛ばす。少年の居場所と安否を探るため、そしてこの違和感を作り出している敵の位置を探るためだ。ホークスは警戒体制を維持して歩み出す。

 

ズシン…ズシン…

 

その行動を見ていたかの様に地響きが鳴り始めた。慎重に相手の位置を調べようとするも、何故か羽が反応しない。周りが一層暗くなる。いつどこからやって来てもおかしくない。そう考えるとホークスは息を呑んだ。

 

パキッ

「!!」

 

背後から枝の折れる音。瞬時にホークスは羽を飛ばす。だがいつまで経っても刺さった感触はしない。避けられた、とすぐ辺りを見渡そうとした瞬間…

 

「!?」

 

それは視界に現れた。黄色の目が、ホークスをじっと見つめている。一つではない、二つ、三つ、四つ……無数の目が見つめている。体は丸っこく、そこからか細い足と手と嘴が生え、手にはランプを持っている。

 

「なっ……?!」

 

通常の生物とは常軌を逸した見た目に、ホークスは驚愕せざるを得なかった。その驚愕してる時間は、優に相手に先手を取らせるほどだったと気づいたときにはもう遅かった。

 

カランカラーン…

 

「ッ!…………………………………」

 

その怪物の攻撃の軌道を避けようとしたホークスは思考を手放した。目は黄色くなり、怪物が持つランプの光をただ見つめている。やがて怪物が目を赤く光らせ、くちを開く。ペンギンのように二重の牙を生やした口が、ホークスの頭を呑み込んで閉じられる…

 

 

「あー疲れたー…ラグドールさん大丈夫かな?」

 

一歩一歩足を動かす空巣は嫌気を吐き出すように呟いた。ホークスに呼ばれて来たが、店長の店閉めの手伝いをしていたので疲れている。

 

「なんか一つでも分かれば良いんだけど、特にお前とか。」

 

ラグドールが得た結果が気になると、空巣が視線を向ける先に彼の肩に乗る小鳥がいた。相変わらず微動だにせず、首を軽く伸ばしているだけである。

 

「いきなりぶっ倒れるほどの情報って一体……?」

 

空巣は立ち止まった。目の前には前にも行ったことのあるはずの森が広がっていた。だが様子がおかしい、ここまで心臓を圧迫されるような空気をこの森を持っていたのか?

 

「……なぁ、これなんかおかしい…」

 

空巣が小鳥に違和感を共有しようとした次の瞬間、小鳥は森に向かって飛び出した。

 

「ちょ!?何処行くんだ?!」

 

すぐさま空巣も追いかけるが、小鳥の飛行速度に追いつける訳がなく。一心不乱に追いかけていくと、悍ましいものを発見した。

 

「!!?」

 

空巣の視線の先には、膝の力をが抜けてランプを見つめるホークスと、無数の目を持つ怪物だった。

 

(不味い!!)

 

空巣は一瞬の迷いもなく走り出した。怪物の牙がホークスの頭に迫り来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっぶねぇ!」

 

空巣はなんとかホークスを連れてその怪物の攻撃を回避した。

 

『………!!』

 

逃げられたことに気づいた怪物は空巣見つけると、『邪魔をするな』とでも言いたそうな目を向け、ドシンドシンと足音を鳴らして走り始めた。

 

「ッ!不味いな…」

 

相手の狙いはホークス。そのホークス当人はランプの光から目を逸らさずランプに向けて手を伸ばしている。

 

「あのランプの火を消せたら…ぐっ?!」

 

相手の武器のカラクリを理解した空巣に強い衝撃が襲った。その犯人は他でもないホークスだ。空巣を抱擁を振り解いたホークスは一心不乱にランプ目掛けて歩き始めた。

 

(ランプの光に魅了されてるってか!くそっ…ブフッ!)

 

ホークスに殴られた所を押さえながら、空巣はホークスを止めようと走る。しかし個性の反動がやってきて立て直した体制を崩してしまう既に怪物はホークスの目の前にやって来ていた。

 

「ホークス!!」

 

空巣が叫ぼうが、ホークスには全く届かない。怪物がまた口を開く。

 

ドスッ!

 

その瞬間、怪物の目が一斉に閉じられた。ランプが離される。何が起きたのかわからない空巣が呆けている間に怪物は目を苦しそうに開いた。一つの目が他と違い赤くなっていた。どうやら目を潰されたそうだ。

 

「まさか…ピー助!」

 

まさかと思って空巣が見たのは、行方知らずだった小鳥が木に止まっている姿だった。怪物も恨めしいように小鳥に視線を向けたが、何故か怪物は目を見開いた。するとドシンドシンと小鳥の方に向かっていった。

 

「!今のうちに…!」

 

それを見た少年は素早くランプへと駆け寄る。ホークスはその場に座り込んでぼーっとその光を見つめている。あのロウソクの火か光が原因か、そう思った空巣はランプの中にある火を見せないために着ていた上着を被せた。

 

「………ッ!ここは…」

「ホークス!大丈夫ですか!?」

 

結果、ホークスの目の色が元に戻り正気を取り戻した。

 

「!そうだ、怪物は!」

「あいつは今ピー助が気を引いて…」

 

『僕のランプ!』

 

「うっ?!」

 

ホークスに事実を伝えようとした空巣に、突如として甲高い悲鳴が聞こえて来て耳を抑えた。聞こえた方向を見て見ると、怪物が空巣の事を見ていた。

 

『何て事するんだ!これじゃあ怪物を探せられないじゃないか!どうしてくれるんだ!』

「……喋ってる。」

「?どういう意味?」

「いや、あいつ喋ってるんです。聞こえませんか?」

「…聞こえないね。鳴いてもいないし。」

「んん?」

『無視しないでよ!僕のランプをどこに隠したんだ!』

 

坦々と起きてることを伝える空巣に、ホークスは頭を傾げた。怪物はふざけたことばかりする二人に腑が煮えくり返っていた。

 

『同志小鳥よ!この愚かな二人は僕の「救済」を得るに値しない!すぐに「処罰」するんだ!』

「え?ピー助こいつの友達なんですか?」

「いや俺に言われても何だけど?!」

 

怪物は振り返り仲間に、空巣がいつも乗っけている小鳥に訴えた。まさかの仲間に空巣はびっくりした。

 

『……翼の男ならまだしも、その少年に手を出すことは我には出来ない。』

『え?どうして?』

『我は彼の異能によってここに顕現している。万が一少年を「処罰」すれば、我は消えることになるだろう。我は少年と一心同体、我の運命は少年の手に掛かっていると言っても過言ではない。』

「…要するに俺が死ぬとお前も消える可能性が高いと?」

『その通りだ。』

「え、僕置いてけぼり?」

 

小鳥は口を開き、その怪物と少年に自身の考えを共有した。尚会話が聞こえないホークスは完全に蚊帳の外に閉め出されていた。

 

「話を変えて悪いが、今更なんでお前らの声が聞こえる…というか喋れるんだ?」

『…それはお前が己の異能と向き合った結果だろう。お前が体験した悲劇、憎悪が、15年もの間、我らの声を塞いでいたのだろう。』

「……あー」

 

小鳥の言葉に確かにと納得する少年。15年も溜まった憎悪が個性に制限を掛けていても不思議じゃないと心当たりしかないのだ。

 

『僕の……ランプ……』

「あ、ごめんな。返すけどこっちに危害を加えないでくれよ?」

『………………』

(嫌そう…)

 

ランプを無くしてしょげていた怪物が条件付きでランプが返されるのに嫌そうな顔をしていたのだけホークスは感じ取った。いずれにせよ敵対すれば、せっかく再会できた仲間の命が危ういので怪物は渋々条件を呑む事にした。

 

「よしよし、頼むから今襲うなよ?」

『流石に守るよ…いや、僕を何だと思ってるんだ。僕はただ皆んなを怪物から救いたいだけなんだ。』

「なる…ほど?ちなみにその手段は?」

『簡単だ!怪物に殺される前に殺せば怪物に殺されることは無い!

「アウトだわバカ!?鳥頭過ぎるだろ?!」

「なんだって?」

「かくかくしかじか」

「うんアウト。」

 

自分が怪物じゃないと証明しようとした怪物に耳を傾けた空巣、倫理観無い無いな言い訳によってずっこけた。話の聞いたホークスも指でバツ印を描いた。

 

『そう言えば同志小鳥、同志長鳥を見かけた?彼も見つけられてないんだ。』

『長鳥か…何度か()()()から出ようとした際に見かけたことがある。ということは…』

 

どうやらもう一人…一羽仲間がいたらしい。小鳥が空巣の方を見る。

 

「……まさか?」

『こちらの頼みで済まないが…我らの仲間がいるはずだ。出してくれ。』

「不安しかない…」

『…あの時お前は誓ったはずだろう、自身と向き合い、ヒーローになると。』

「……ハッ、頭冴えた良い鳥だよ全く。」

 

己が個性の頼りを思わず否定したくなる空巣だが、小鳥に挑発紛いの促しを貰ってやることにした。

 

しかし小鳥を出して以来、個性をしっかり発動したことがないので慎重に行う。目を閉じてイメージを浮かべる。クレーンゲームのように景品を狙うイメージで行こうとしたが、徐々に赤い光が強くなる。空洞だ。先の見えない洞窟のような空洞が頭に入ってくる。よく見てみると、周囲には金庫のような箱が何個も浮いている。赤いランプが真ん中にピカピカと光っていて、まるで選択可能とどれもこれもアピールしているようだ。しかし、不思議と一つの箱に手が伸びて行った。

 

『彼の天秤はあらゆる種類の罪を、公正に評価することができます。』

 

女性の声がそんな文章を読み上げた気がした。プシューッと煙が出たかと思えば金庫の重い扉が開く。

 

鳥籠が開かれ、一羽の鳥が飛び出した。




図書館履修中なんですが…これ"ねじれの影響を受けた者"と"幻想体"と同じなのだろうか?ロボトミのMODでそんな奴らがあるので…
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