個性『幻想体収容所』:RETAKE   作:T.T小説ううぅぅ…

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前回のあらすじ

鳥が三羽集結した。

戦闘描写書くのムズイっぴ…




試練は続くよどこまでも

ダチョウのような胴体。そこから余りにも細い脚と先端に蹄を備えた翼、稲妻のような首が生え、黄金の天秤が掛けられている。頭部は包帯が巻かれ、側面に先端の赤い2つの小さな羽が生えている。

 

『…久しいな小鳥、大鳥。』

 

その異質な見た目からは想像できない落ち着いた声が空巣の頭に響いてくる。

 

『久しぶり。良かったー君も無事そうで…』

『私は何度か見かけたがな。』

 

大鳥も小鳥も、どこか嬉しそうに鳴いている。逸れた仲間と再会には誰もが動揺せざるを得ないだろう。

 

『……そして』

「……あー、初めまして?」

 

そして長鳥が空巣の方を向いた。空巣は長鳥の見た目に少し気味悪いと思いつつもとりあえず挨拶をした。

 

『…そうか、お前が新たな"管理人"か。』

「管理人…?どういうこと?」

『我らのような者達…幻想体と呼んで我らを外界から隔離していた人間たちのリーダーがそう呼ばれていた。』

「幻想体…全く分からない…あ、でもリーダーがいたってこと組織かなんかに捕まったのか?名前とかある?」

『…生憎だがそこまでは覚えていないな。』

 

長鳥が言ったことを理解しようにも、聞いたことのない言葉がたくさん出てきて空巣は頭を傾げた。

 

「なんか分からない事でもあった?」

「ええ、コイツらはかつて謎の組織に囚われの身だったらしいです。」

「…なるほどね。」

 

そこでホークスが声を掛ける。空巣が疑問を共有するとホークスは心当たりがあるように手を顎に当てた。するとホークスはそそくさと携帯を操作して、長鳥に画面を向けた。

 

「その組織ってこんなマークを使ってた?」

『…ああ、確かにこのマークは施設を逃げ出そうとする時によく見かけた気がするな。』

「見覚えがあるって言ってます。」

「……………」

 

画面には奇妙なマークがあった。赤いL字に脳のような物が突き刺さっているマークが画面に表示されていて、長鳥はこのマークだったと頷いた。それを踏まえてホークスは顔を少し眉毛を顰めた。

 

「何か心当たりがッ?*1

「一応ね。君にも関わりがある組織だ。」

「……え?」

 

ホークスは近くにあった切り株に腰を下ろした。

 

「その組織……僕らは"L社"と呼んでるその組織は、かつては韓国でエネルギー生産企業として活躍していた。」

「でもそのL社?はこいつらのような奴らを収容していたんですよね?エネルギー生産してる暇があるわけ………え、まさか。」

「察しがいいね。推測の域を超えないけど、L社は彼らのような存在から何らかの方法でエネルギーを抽出していた可能性が高いんだ。」

「推測って…もうL社ってやつは無くなったんですか?」

「うん。情報が流れた時点では既に無くなったみたい。」

「………………」

 

ホークスから語られる言葉に、空巣は頭を傾ける。韓国、L社、幻想体、エネルギー…少なからず分かりそうなものはあるが、そのほとんどが分からなかった。

 

「それ俺関係あります?どう考えても…」

「思い出してごらん、君の個性を。」

「ん?」

 

言われたので思い出してみる。空巣の個性は現地点では、かつてL社にいたという記憶がある幻想体を使用するというもの。そしてL社は幻想体を確保して、幻想体からエネルギーを抽出する企業。どちらも"幻想体"を扱うという点では類似してると気づいた空巣は固まった。

 

「……え?そんな訳…俺の個性が?」

「っそ、大体L社と同じ感じかな。これも俺の推測だけど。」

 

個性がL社を模してる、そんなふざけたことを聞いて空巣は頭を抱えた。個性というのはそんな風に出来るのか、いや出来ない。個性というのは一種の病気であり、基本的に親から子へ遺伝する。だから本来は親の個性のどちらか、もしくは混ざった個性が子に受け継がれる。親の個性が分からないとはいえ、少なくともどちらも空巣に受け継がれてる

様子はない。

 

「……突然変異した、ていうのは?」

「それもあるだろうけど、そんな複雑な個性になると思う?」

 

チラッと空巣は三鳥を見た。一羽ならまだしも、それぞれに役割と個性があり、とても同じ個性と纏めるのは無理がある。

 

「…………………」

「…まぁ、混乱するよねそりゃ。」

 

目が生きたそれじゃないほど死んでる空巣の肩に手を置くホークス。

 

「良いかい空巣くん。韓国では現在、L社の遺産を狙って犯罪が活発化しているんだ。韓国の敵はL社に関連する物なら何だって手に入れようとするだろう。たとえ、何千万もの人々が犠牲になったとしても。」

「………………」

「将来的に解決できるのは君一人だけだ。確かに今は混乱しているけれど…落ち着いて一つずつ理解していけば問題ないよ。もちろん、僕らヒーローも少なからず協力するよ。」

 

ホークスの言葉を聞いて、視線を下に向かせていた空巣が頭を上げた。

 

「…正直、何で俺がって思いますね。理由も教えずに他人に押し付けるなんて。」

「……………」

「本当に、ほんっとうに言いたいことは色々ありますけど…!」

 

空巣は強く手を握りしめる。その目は()()に光輝いていた。かつて彼がヒーローを夢見たように。

 

「俺は俺のやりたいことをまずやりたいです。問いただすのはその後にしてやります。」

「…立ち直ってくれて感謝するよ。」

「それと、お前らもよろしくな。俺の無茶振りに応えてくれよ?」

『安心しろ。私は元からそのつもりだ。』

『…良いだろう。その志、垣間見た。だが道逸れることないように。』

『僕も!…って、僕は個性じゃなかった。』

 

空巣はついに決意した。たとえそれが地獄が可愛く見えるような恐ろしい場所でも、彼は乗り越えていくことにした。

 

果たして彼に訪れる試練は何でいつ来るのだろうか。それは案外……

 

ゴフッ?!あーもうまた………?」

 

今かも知れない。

 

『くそっ!結局あの野郎の野望受け継ぐ阿呆が現れた!』

 

「うわなんだ幻聴?!幻聴が聞こえる?!」

「えそれ大丈夫?」

 

『あんな残虐なことが起きたのに…どうして分からないの!』

『無理もない…()()()()には人を引き寄せる魅力がある。』

 

「あいつら…?」

 

『…貴様、本当に立ち上がると言うのだな?』

 

「幻聴が喋り掛けてきた?!」

「何それ面白いね。」

「どこが?!」

 

『話を聞け…貴様は本当に立ち上がるのだな?』

 

「……えーと、はい?」

 

『本当だな?貴様に意志も、理性も、希望も、勇気も、期待も…』

 

「あー分かった分かった!あるから本当にあるから!さっさと言いたいことを言ってくれ!」

 

『…そうか。なら問おう、空巣 幻…』

 

次の瞬間、空巣の視界に映る景色が暗転した。空から凄まじい赤い光が空巣を包み込み、そして無数の目が空巣に視線を突き刺した。

 

『お前は"恐怖に立ち向かい、未来を創る"と誓うか?』

 

いくつもの負の感情があるのを空巣は感じ取った。憎悪、恨み、憤怒、悲しみ…それが一体()に向けられているのか分からないが、空巣の意志は揺らがなかった。

 

「やるよ。どんな壁だって乗り越える。」

 

『……分かった。乗り換えたいなら乗り越えるが良い。しからば我々はお前に与えるとしよう…

 

 

 

 

 

 

 

 

お前を意志を確かめる、大いなる"試練"を!!

 

そして空巣は元の景色に帰って来た。

 

「!」

 

ホークスの羽根で反応した。大鳥も目を動かし発見する。

 

『来る!』

 

次の瞬間、無数の小さな影がホークス達に襲いかかった。正体は大きな殻を持ち、琥珀色の目をした芋虫だった。

 

ヒュンヒュンヒュン!

 

ピチュッ カツンッ ピチャッ

 

(殻は硬い、ね!)

 

すぐさま飛び立つホークスの羽根。芋虫の一匹が殻で羽根をいなし、ホークスは芋虫の弱点を確認する。そして体勢を立て直した芋虫はホークスへと飛びつこうするが…

 

『フンッ!』

 

グシャァッ!

 

長鳥の細い脚が、地面にヒビが入る勢いでその芋虫を踏み潰した。

 

「おー、力強いね。」

『それほどでも。大鳥、相手の正体と数は?』

『1、2、3…たくさん。さっき倒した虫やカクカクした生き物、小さいやつに変な石みたいなやつと様々だね。』

『分かれた方が良いな。それで良いかホークス?』

「……聞こえないけど、何となく分かったよ!」

 

ついさっき会ったばっかりなのに意思疎通するホークス達は散開した。

それを逃さんとばかりに敵もバラけた。

 

〜長鳥side〜

 

長鳥を追いかけてきたのは三体の人型ロボットだった。百入茶色に錆びた体には、所々に剥き出しの歯車が付いており、それを隠すように唐茶色の布切れを首に通している。腕に付けられた大きな槍、逆二重関節の脚、そして複数ある赤い目がそのロボット達の不気味さを増させていた。

 

(そろそろ離れたか。)

 

仲間達との距離を充分取った長鳥は足を止め、敵に表を向ける。ロボット達の赤い目は"今すぐ殺してやる"と言わんばかりに点滅している。

 

『…恐ろしいほどの憎悪。言われなくても貴様らが悪人であるのは分かる。』

 

そんなロボ達に呆れた様な口ぶりを見せる長鳥は、首に掛けていた黄金の天秤を持った。その天秤はよく見ると、無罪側の皿の大きさが小さく作られていた。

図に乗るなと言わんばかりに、金属の軋む音が響くほどの脚力で、ロボットは長鳥目掛けて突撃する。

 

『ここに判決を下す。貴様らは…』

 

チーン

 

『有罪だ。』

 

長鳥の持つ天秤が傾いた瞬間、ロボット達は、激痛が走って反射的に叫ぶ人間のように、不気味な電子音を奏でて崩れ落ちた。彼らの体からは火花が飛び散り、歯車が滑らかに動かなくなった。

 

『フンッ!』

 

そこへ長鳥が無慈悲に追撃した。一体は頭を蹴り飛ばされ、もう一体はすぐ槍を突き刺そうとしたが躱され、動力源であろう胴体を踏み潰された。

残った一体は逃げていた。先ほどの一撃で脚の回路が破壊されたのか、槍を動かして逃げていた。だがそれを長鳥が見逃す筈もなく…

 

『終わりだ。』

 

長鳥はまた天秤を所持していた。それを見たロボットは固まった。許してください、そう言わんばかりに赤い目が淡く光っている。

 

チーン

 

天秤は有罪側に傾き、ロボットは血飛沫を飛ばすように火花を咲かせた。何処からともなく羽根が集まり、絞首台が完成した。ロープがそのロボットの首に通され、絞首台に吊り下げられた。

 

『…………』

 

長鳥は静かにそれを見ていたのだろうか、いや見てない。彼の包帯の隙間からは、目があるべき場所に何もない空間だけが存在していそうだった。

 

『………行かなければ。』

 

かつて自分が守ろうとした森はもうない。それは()()()()の後そう考えた。今や彼に残ったのは不公平な天秤のみ。それだけで誰かの役に立てるなら…彼は従うであろう。

*1
吐血




〜幻想体紹介のコーナー〜

・『長鳥』
識別番号:O-02-62
危険度:???

みんな大好き黒い森の守護者の一羽。昔は目があって羽根も輝いていたが目は大鳥に譲り、羽根は黒い森の悪評が続くに連れて黒くなった。相手の罪を計るために天秤を持っているが、結果を必ず出すために常に有罪側に傾いてるため罪のない人々を断罪しまくっている。
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