ガンダムビルドダイバーズ オルタナティブガールズ   作:GQuuuuuuXに脳を焼かれたマン

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Ep.10 生まれ変わった君の名は

「ねえアズミ、このパーツ本当にここで合ってる?」

「あはぁ〜、合ってるよぉ」

 

 キースさんとの決闘を終えた翌日、私はGBNにログインするためじゃなく、ガンプラを作るためにガンダムベースを訪れていた。

 

『ラスちゃんの戦い方とガンプラに対するスタンスは大体わかったぜ、例えるなら超攻撃的なフォワードってとこか……それならアルティメスの上半身をノーマルに戻して、機動力を強化してみたらどうだ? ちょいとピーキーかもしれないが、使い甲斐があると思うぜ』

 

 キースさんから戦いの後にもらったアドバイスを元に、アルティメスを改造しようという話で、ガンプラ上級者のアズミについてきてもらったのだ。

 アルティメスの上半身をノーマルに、というのがもう既にファルシのルシがパージでコクーンだったけど、要するにアルティメスにはノーマルという基本形態があって、その上半身とアルティメスの下半身を合体させればいいんじゃないか、というのがアズミの要約だった。

 持つべきものは友達だなあ。

 

 それと、ミッションである程度名前と顔は覚えてきたとはいえ、ガンダム作品にも触れておかなきゃいけないのかもしれない。

 

「よし……とりあえずこれでキースさんから言われたカスタマイズはできたんだよね?」

 

 四枚の羽を肩にくっつけて、机の上に立つアルティメスとノーマルをがっちゃんこしたガンプラを凝視しつつ、アズミへと問いかける。

 

「あはぁ〜、おめでとぉ。キョーカが自分で作る初めてのガンプラだねぇ」

「うん……」

「んぅ? 嬉しくなぁい?」

「いや、嬉しくないわけじゃないんだけど」

「じゃぁ、どうしたの?」

「なんていうか……もっと色々……違うな、なんていうか……その、もっとカスタマイズできるんじゃないかなって」

 

 具体的にどうすればいいのかはよくわからないけど、目の前にあるガンプラはまだ完成していない、というのが私の抱いた感想だった。

 アズミは意外そうに目を丸くすると、すぐにまた人好きのする笑みを浮かべて、なにやら机の下に置いていたバッグから色々と箱を取り出し始める。

 まるで、その言葉を待っていたとばかりに。

 

「ふっふーん、キョーカならそう言うんじゃないかなって思ってぇ、色々持ってきたよぉ」

「アズミ……!」

「まずはぁ、どんな武器がほしい? 武器を変えるだけでも、ガンプラって変わって見えるんだよぉ」

 

 アズミが机の上に積み上げた箱に書いてある名前はほとんどわからなかったけど、私がほしい武器には心当たりがあった。

 

「えっと……あの初心者狩りが使ってたやつ。斧とライフルの機能を両方持ってる武器とかない?」

 

 私の戦い方はキースさん曰く、超近距離戦でこそ真価を発揮するらしい。

 それなら、近距離と中距離をカバーできて、攻防一体の武器があればもっと戦いやすくなるんじゃないかと思う。

 素人の考えではあるから、実際どうなのかはよくわかんないけど。

 

「んぅ……アックスガンそのものはないけど、似たような武器ならあるよぉ、はいこれぇ」

「ガンプラ……バトル……アームアームズ?」

「せいかぁい。この中にライフルと斧が合体した感じの武器ならあるよぉ」

 

 アックスガンというらしいアレそのものでなくても、限りなく近い武器があるのはありがたい話だ。

 私はアズミから手渡されたバトルアームアームズとやらの箱を開封して、ランナーの中からそれっぽい形のものを探す。

 えっと、グレーのランナーはなにに使うかわかんないパーツばっかりだけど、白いランナーはなんか武器っぽい。

 

「あっ、これ! これだよね、アズミ!」

「ぴんぽーん。それじゃぁ、早速切り取って装備させちゃおっかぁ」

「ありがと! よし……!」

 

 今のアルティメスカッコカリは、ガンダムAGE-2ノーマルが持っていたハイパードッズライフルを持っていたけど、それを取り外す形で私は、ランナーから切り出したアックスガンもどきを装備させる。

 

「おお……」

「あはぁ〜、オリジナリティでてきたねぇ」

 

 ほしいものが現実に手に入ると、まるでパズルのピースがあるべきところにハマったような嬉しさがあるらしい。

 少なくともこれで私のアルティメスカッコカリは、近接戦でいちいちビームサーベルを抜き放つ手間をかけなくて済むようになったわけだ。

 じゃあ、これで完成か……って聞かれると、まだなにかが足りない気がする。

 

 機能面では完全にほしいものが手に入ったけど、もう一声ほしいというか。

 アズミの言葉を借りるなら、オリジナリティ、だろうか。

 私って、自分で思うよりもずっと欲張りなのかもしれない。

 

「ガンプラをカスタマイズするときにねぇ、他のビルダーと差をつけるところがあるならねぇ……それはずばり、頭だよぉ」

「頭?」

 

 確かに言われてみれば、アルティメスカッコカリの頭はガンダムAGE-2のそれそのままだ。

 

「そんな迷えるキョーカにぃ、これを授けてしんぜよう〜」

「ビルダーズパーツ……MSアンテナ?」

「アンテナを増やすだけでもなんとなく強そうに見えたりするんだよぉ〜、あはぁ」

 

 アズミが取り出したビルダーズパーツとやらのランナーが入っている袋には、ガンダムタイプのV字アンテナとザクに使うのであろうブレードアンテナがずらりと並んでいた。

 試しに一個、V字アンテナを切り取って、私は穴が空くほど、ジトっとした目でアンテナを凝視する。

 なんだろう、これをそのままくっつけるんじゃなくて、こう。

 

「えいっ」

 

 試しにぱちん、と真ん中で切って、一本のブレードアンテナを二つに分ける。

 そして、その切断面に接着剤をつけて、AGE-2ノーマルの頭にある四角いモールド? ディテール? の上から接着すると。

 ……四本ツノのガンダムができあがった。これはこれで、悪くないんじゃないだろうか。

 

「おぉ〜オリジナリティだねぇ」

「ありがと、アズミ。でも今度は色がチグハグなのが気になって……」

「あはぁ、キョーカは欲張りさんだねぇ。でも、大丈夫だよぉ? 制作ブースではエアブラシも貸し出してるからねぇ」

 

 アズミはけらけらと笑いながら、制作ブースの一角を指差してそう言った。

 塗装、と聞くとハードル高そうだけど、このままチグハグの状態でGBNに持っていくよりは、色を塗ってある程度統一感を出した方がもっとそれっぽいだろう。

 なら、妥協したくない。

 

「アズミ、塗装も教えてくれる?」

「もちろんだよぉ〜」

 

 私はアズミに頭を下げて、頼み込んだ。

 びしっ、と親指を立てて快諾してくれた友達の懐の深さには本当に足を向けて寝られない。

 このアルティメスカッコカリを格好よく仕上げて、明日のGBNではリラちゃんに見てもらうんだ。

 

 

 

 

 

 

「なるほど、この子がラスの新しいガンプラですか」

「うん。昔着てたユニフォームをイメージして塗ってみたんだ」

 

 翌日のGBN、格納庫エリアで私は18メートルサイズに拡大されたアルティメスカッコカリを指さして、リラちゃんにお披露目していた。

 アズミが手取り足取り教えてくれたおかげで、初めての塗装は大成功だ。

 つや消しも綺麗に仕上がった、まさにアニメの中から出てきたガンダム! って感じのアルティメスカッコカリが、ハンガーに駐機している。

 

「ふむふむ……嬉しい、ってガンプラが言ってます」

「そうなんだ」

 

 ガンプラってやっぱり喋るんだ。

 私にはその声が全然聞こえないけど、どうやらリラちゃんには聞こえているらしい。

 嬉しい、か。そうだね、私も君と出会えて嬉しいよ、アルティメス。

 

「ところで、この子の名前はなんていうんですか?」

「名前」

 

 そういえば便宜上アルティメスカッコカリと呼んでいたけど、正式名称は全然考えていなかった。

 

「え、えっと……ハーフ、アルティメス?」

「半月の女神ですか、いい名前です」

「あ、あはは……ありがと」

 

 なんとも締まらない命名だったけど、リラちゃんが好意的に解釈してくれたおかげでなんとなくそれっぽい意味が生まれてくれたのは助かった。

 そうだ。

 生まれ変わったこの子は半月の女神。

 

 ガンダムAGE-2、ハーフアルティメスだ。




降臨、半月の女神
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