ガンダムビルドダイバーズ オルタナティブガールズ   作:GQuuuuuuXに脳を焼かれたマン

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Ep.14 キラキラが見たくて

『ラスの一撃がZガンダムの頭部を粉砕したァー! チーム「ヤタガラス」、連戦連勝が止まりません! 一体このハリキリガールたちはどれだけ俺たちに夢を見せてくれるんだァー!?』

 

 実況が、観客が、私たちの勝利を讃える。

 私たちのGBNでの活動履歴は、リラちゃんの「場所」探しとクランバトルの二つに分かれていたけど、特にこれといった不満はなかった。

 だから、その話を聞いたときは正直、どうして? という思いが強かったのを覚えている。

 

『キョウカちゃん、GBNじゃクラバとその「場所」探ししかしてないって本当かい?』

「まあはい、本当ですけど……」

 

 ダイバーギアから転送したクランバトルのリプレイ映像を再生し終わったのであろうエノモトさんが、スマートフォンの向こう側から心配そうに問いかけてくる。

 

『遊び方は人それぞれだからあんまり口を挟むのはよくないんだろうけど……その、飽きない?』

「えっと、別に飽きないです」

 

 アズミと連携についてもっと精度を高めるために話し合うのも、リラちゃんの感覚だけを頼りに当てもなくディメンションを彷徨うのも、結構楽しいし。

 なんかGBNといえば、っていう主流な遊びとかけ離れているのは薄々感じてはいたけど、エノモトさんの反応を見るに正解だったらしい。

 ゲーミングチェアの使用感とかを会社にフィードバックする必要があるとかで通話してたんだけど、思いもよらない方向に話が転がっていってしまった。

 

『そっか……若者層の新しい遊び方なのかもしれないね、これも含めてあとで社長に伝えとかないと』

「あはは、そんな大袈裟なのじゃないですって。あ、椅子はとっても快適です」

『それはよかった、そっちはちゃんと伝えとくよ。いやー、無理を言って新商品の試作品を持ち出してきた甲斐があったね』

 

 ──新商品?

 エノモトさんの口をついて出てきた言葉に私は首を傾げる。

 確かこれ、知り合いの伝手で安く買ってきたものじゃなかったっけ?

 

「エノモトさん?」

『い、いやー! 冗談だよ冗談! ところでキョウカちゃん、レイドバトルに興味あったりしないかな!?』

 

 話題の転換がかなり強引だったけど、エノモトさんはとりあえず冗談ということで話を終わらせて、レイドバトル? とやらについての興味を問いかけてくる。

 なんだっけ。レイドバトルって、確か皆で寄ってたかって単騎のボスを倒すやつだっけ。

 うーん、と小さく唸り声を上げつつ、まあ別に損はないだろう、ぐらいの感覚で私はその問いを肯定した。

 

「まあ、はい。クラバと場所探しだけでも満足してますけど」

『それはよかった! 今度、「ルナツー防衛戦」ってレイドが開催されるから参加してみるといいよ! 僕らも参加する予定だし』

「エノモトさんと、もしかしたら戦場で会えるのかもしれないんですね」

『まあね。それじゃ、椅子の使い心地を教えてくれて助かったよ! なにかあれば、また!』

 

 通話が切れる。

 それにしたってレイドバトルかぁ。

 GBNにもやっぱり、そういうイベントのために用意されたでっかくてごついエネミーがいるんだろうか?

 

「……キラキラしてるのかな」

 

 手のひらを天井に翳してぐーぱーと開閉しながら、私はぼんやりと呟く。

 クランバトルで相手の頭部を破壊したときのように、こっちが逆に追い詰められているときのように、ヒリヒリと肌を刺すような感覚の先に見えるもの。

 昔は、相手のディフェンスを掻い潜って、ゴールネットを揺らしたときに見えていたもの。

 

 それが見られるなら、私は正直なんだってよかったのかもしれなかった。

 

 

 

 

 

 

「そんなわけでフォース『ヤタガラス』はレイドバトルに参加することにします」

「わーわーぱちぱちぃ」

「今度はレイドバトルですか、別に構わないですけど」

 

 翌日のフォースネスト。

 なにか反対意見が出てくるかと思ったらそんなことはなく、アズミもリラちゃんもレイドバトルへの参加に前向きだった。

 アズミは面白がってるだけだとしても、リラちゃんからすればクランバトルより得がなさそうなイベントなのに、よく認めてくれたものだ。

 

「いいの? リラちゃんにはなんの得もないと思うけど……」

「ステージはルナツーなんですよね? なら、行ったことないので。もしかしたらわたしが探してる場所かもしれませんし」

「なるほど」

 

 思ったより考えがしっかりしていた。

 確かにクランバトルのステージは今のところコロニー宙域で固定されてるし、それよりは変わり映えするのかもしれない。

 そう考えると、確かに気分転換になるか。

 

「あはぁ〜、アズミは別に構わないけどぉ、レイドってことは他のダイバーとも協力しなきゃいけない感じだよぉ?」

 

 暗にコミュ障の私を気遣ってくれたんだろうか。アズミが少し心配そうに眉を八の字に歪めて問いかけてくる。

 

「うっ……そ、そこは即席でもなんとかなるかなって。それに、私の知り合いも参加するみたいだし」

「知り合いぃ?」

 

 アズミは、心から意外そうに小首を傾げた。

 わ、私にだって知り合いぐらいいるし。

 ……ただの親戚だけど、とはちょっとした見栄を張ってるから言えないけど。

 

「う、うん。今度一緒にレイド行こうって誘ってくれたんだ」

「むぅ……? 熱はないみたいだけどぉ……」

「それぐらい信用ないの私!?」

「正直ラスの知り合いなんてわたしたちとキースさんたちぐらいだと思ってました。その知り合いがキースさんたちってオチはないですよね?」

「ないってばぁ!」

 

 アズミもリラちゃんも人のことをなんだと思ってるんだ。

 レイドバトルに誘われたのは事実だし、もしかしたら戦場で会えるかもしれないって話したのも本当だし。

 問題は私がエノモトさんのダイバーネームとかダイバールックとかを一切知らないことだけど。

 

「むぅ、本当に知り合いなんだぁ」

「アズミ?」

「むぅ、アズミ、妬いちゃうぅ〜」

 

 大きな胸を下から支えるように腕を組んで、アズミは頬を膨らませた。

 そんなに嫉妬されるほどの関係じゃないというか、ただの親戚なんだけど。

 それに、エノモトさん既婚者だし。

 

「あはは……大丈夫だよ、アズミ。エノモトさんもう結婚してるし」

「男の子はぁ、何人好きな人がいても足りないっていうよぉ?」

「流石に偏見でしょ……」

 

 エノモトさんがココロさん以外の女の人と付き合ってるイメージなんて全然湧かないし。

 

「どぉかなぁ」

「アズミってば〜」

 

 謎のジェラシーを発揮するスクールカーストトップのギャルは、相変わらずなにを考えているかわからなかったけど、とにもかくにも、私たちはレイドバトルに参加するという形で着地した。

 なにが待っているのか、少し期待で胸が高鳴る。

 レイドバトルは私に、キラキラを見せてくれるのかな。




キラキラ女子
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