ガンダムビルドダイバーズ オルタナティブガールズ   作:GQuuuuuuXに脳を焼かれたマン

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Ep.15 バトル・アライアンス

 その通知が浮かんできたのは、ちょうどレイドバトルの受付に行こうと、セントラル・ロビーに出たときだった。

 

「アライアンス申請?」

 

 また知らない単語が出てきた。

 私個人じゃなくて私たちのフォース宛にきたってことは要するにフォースに関わるなんかなんだろうけど。

 それはそれとして謎だ。

 

「アライアンスはねぇ、簡単に言えばフォース同士のフレンド機能だよぉ〜あはぁ〜」

「なるほど……」

「それはわたしたちになにかメリットがあるんですか、ラス?」

 

 リラちゃんが小首を傾げて訝ったように、確かに結成したてでほとんどフォースとしての活動らしい活動もしていない私たちにアライアンス申請を飛ばしてくるメリットなんてどこにもない。

 あるいは初心者歓迎ミッションかなにかで「フォースを組んだらアライアンス申請をしてみる」的なミッションがあって適当に飛ばしてきたのだろう。

 だから、さっさと断ってレイドバトルに参加しようとウィンドウを閉じようとしたときだった。

 

「待って待って! その申請僕らからだから!」

「……誰?」

「さあ?」

「わかりませんね」

 

 なんだか人のよさそうな声で呼びかけてきたダイバーがいたけど、生憎アライアンスを組めるほど親しい存在に心当たりはあんまりない。

 キースさんや「ルーキーキラー」の二人もフォースを組んでいるなら彼らから、って線もあるにはあるけど。

 でも、今目の前にいるなんだかお人好しそうなイケメンに心当たりは……?

 

「あっ」

「どうしたんですか、ラス」

「もしかしてエノモトさん?」

 

 声がそれっぽいからなんとなくで尋ねてみたけど、どうやら当たりだったらしく、目の前のダイバーことエノモトさんは首を頻りに縦に振る。

 

「そうそう! 僕だよ! でもリアルの呼び名をGBNに持ち込むのはNGだからね!」

「あっ……ごめんなさい。えっと……」

「ここでは『エノモン』で通ってるよ、ラスちゃん」

 

 無駄に爽やかな笑みを浮かべて、エノモトさん改めエノモンさんが親指を立てた。

 なんかフルリムの眼鏡をかけてたり、茶髪になってる以外はあんまり変わってない気がするけど、いいか。

 アズミだって本名そのままダイバーネームに使ってるし、そういうものなんだろう。

 

「で、エノモンさんのフォースがなんで私たちにアライアンス申請を?」

「それはだね……提督、お願いします!」

 

 提督、と呼ばれて柱の影から出てきたのは、背の高い金髪のダイバーだった。

 威厳を感じる髭を蓄えているのもあって、どことなく威圧的な感じを覚えなくもない。

 ただ、見た感じエノモンさんが尊敬してるってことは、この人も悪い人じゃないとは思うけど。

 

「こほん。フォース『ヤタガラス』の諸君。私が『GHC』総帥のアトミラールだ」

「『GHC』?」

「スプーンから宇宙開発までなんでもやってる企業とおんなじ名前だねぇ〜あはぁ」

「その通りだよアズミくん。我々『GHC』ことグローリー・ホークス・カンパニーは自社の宣伝──つまるところ、趣味と実益を兼ねてGBN内でも活動しているのだ」

 

 提督ことアトミラールさんがぱちん、と優雅に指を鳴らすと、エノモンさんの後ろに控えていた女性が表示したモニターに、「GHC」のエンブレムと公式マークが浮かび上がる。

 そういえばどっかで聞いたことがあったと思ったら世界的大企業だったかぁ。

 そりゃ聞いたこともあるはずだ、と、私はぼんやりジトっとした目でアトミラールさんたちを眺めていた。

 

「はあ……その、世界的にすごい企業なのは理解したんですけど、そのすごい企業の方がなんで私たちみたいな木っ端フォースに……?」

「あはぁ〜♡ ラスの言う通りだねぇ、ねぇねぇ、どうしてぇ? 提督さぁん」

「純粋に気になります、嫌味とかではなく」

 

 アトミラールさんは私たち三人の少しばかり不躾な態度にも動じた様子はなく、むしろ微笑ましいとばかりに柔らかい笑顔で問いに答える。

 

「僕も個人的にクランバトルをやっていてね。そこで頭角を表しつつある君たち、チーム『ヤタガラス』を青田買いしにきた、というわけさ」

「あはぁ〜、なるほどぉ?」

「社ちょ……じゃなかった、提督は気に入ったものはなんでもすぐ手に入れないと気が済まない人なので」

「余計なことを言うものじゃないよ、エノモンくん」

「はい……」

 

 なるほど。

 クランバトルでなら私たちもそこそこ有名になってきたし、その繋がりでスカウトしにきたというなら納得もいく。

 エノモンさんがしょんぼりしている傍らで優雅に顎髭を撫でつけているアトミラールさんからのアライアンス申請を、私は躊躇なく承諾した。

 

「これでいいんですよね?」

「驚いたな。少しは警戒されるものとばかり思っていたよ」

「悪い人じゃなさそうですし、それと」

「それと?」

「このタイミングで申請出してきたってことは、レイドバトルの駒として私たちを数えてるって認識で合ってますよね?」

 

 見た感じ、莫大な数のアライアンスを抱えている「GHC」がわざわざ私たちをこのタイミングでスカウトしにきたというのは、もうそういうこと以外ないだろう。

 

「よくその答えに辿り着いたね。君は僕の見込んだ通りだ、ラスくん」

 

 パチパチと鷹揚に手を叩きながら、アトミラールさんは目を細める。

 

「クランバトルじゃそこそこ鳴らしてますから、鉄砲玉でもなんでもやりますよ。レイドバトルは初めてですけど」

「ははは……鉄砲玉とは人聞きが悪いな。ただ君たちにはエノモンくんたちと共に前線を切り開いてもらいたいのでね。突破力を期待して、投資させてもらったよ」

 

 アトミラールさんが期待するような突破力を発揮できるかはわからないけど、期待されているならそれに応えたくなるのも人情だ。

 

「無論、僕も今回は前線に立つのでね。一つ、チーム『ヤタガラス』の真髄というものを是非見せてもらいたい」

「できるかどうかはわかんないですけど……やります。そうだよね、アズミ、リラちゃん?」

「あはぁ〜♡ もちろんだよぉ、ラスぅ」

「仕方ありませんね、わたしたちの力をこの方に見せてあげましょう」

 

 面白そうな気配を嗅ぎ取ったアズミは言うに及ばず、リラちゃんも褒められて上機嫌なのか、薄い胸を張って得意げにドヤ顔を浮かべている。

 

「それじゃ、レイドバトルの受付に行きますね」

「健闘を祈るよ、ラスくん」

「戦場じゃよろしくねー!」

 

 アトミラールさんとエノモンさんたちに見送られながら、私たちはレイドバトルの受付を済ませた。

 正直、ガンダムについてはミリしらだから今回のレイドがなにをモチーフにしているのかはわからないけど、そこは当たって砕けろだ。

 出たとこ勝負は、きっとクランバトルと同じだろうから。




いざ、出陣!
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