ガンダムビルドダイバーズ オルタナティブガールズ   作:GQuuuuuuXに脳を焼かれたマン

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Ep.16 ルナツー防衛戦

 どうやらレイドバトルというものは、単にボスを倒すだけではダメらしい。

 絶え間なく移り変わる戦況のど真ん中、敵軍との最前線に飛び込んでいた私は、コンソールに映ったルナツーの耐久ゲージなるものを見て、小さく唸る。

 確かに敵をただ倒してクリアのミッションにだって自機の撃墜という敗北条件があるといわれれば、それも当たり前だけど。

 

『Wフィールドの自軍損耗率が三パーセントを超えました!』

『こちらNフィールド最前線、レイドボスらしき存在はまだ確認できず!』

『こちらEフィールド、損害軽微! 落ち着け、要はSフィールドに敵を通さなきゃいいんだ!』

 

 なるほど。

 迫り来るザクっぽい敵NPDの胴体をドッズアックスライフルで両断しながら、私は名も知らないダイバーからのメッセージに感嘆する。

 要するにルナツーのあるSフィールドへ敵を通さないでボスを削り切ればいい。それが最前線にいる私たちの仕事らしかった。

 

「あはぁ〜、そこぉっ!」

 

 アズミのGサイフォスが撃ち抜いた敵は緑色のジムっぽい感じのNPDだったけど、なんてガンダムに出てくる敵なんだろ、これ。

 まだ全部履修できたわけじゃないから、正直結構曖昧なところだらけだ。

 背後から奇襲を試みたドムっぽい敵をライフルモードに持ち替えたドッズアックスライフルの一撃で爆散させながら、ジトっとした目で唸る。

 

「ねえ、アズミ」

「あはぁ〜、どしたの、ラスぅ?」

「確か今回の敵ってジオン軍って設定だよね?」

「そうだねぇ」

「なんでジオン軍がジム使ってるの?」

 

 鹵獲されたとかそういう設定でもなさそうだし。

 それに、NPDにしてはかなり動きがいいというか、二機一組で死角をカバーし合うように動いているから、まるでクランバトルをやっているような感覚になる。

 というか、完全にクランバトルだよねこれ。

 

「えっとねぇ、それはぁ」

「うん」

「あは、秘密ぅ〜♡ 今度一緒にネタバレなしで観に行こうねぇ」

「? よくわかんないけど、わかった」

 

 あのジムが存在している理由はなにやらネタバレとやらに触れるらしい。

 今相手してるザクとかドムとかも細部はオリジナルと違ってるし、ガンダムって本当に色々あるんだなあ。

 感心している私をよそに、敵は攻勢を強めてくる。

 

「ラスちゃん、ボーッとしないで! これはMAV戦だから!」

 

 私の死角に潜り込もうとしていたドムっぽい敵をビームライフルの一撃で撃破したエノモンさんが叫ぶ。

 あっ、やっぱりMAV戦なんだ。

 そうなれば話は早いというかなんというか。

 

「ありがとうございます、エノモンさん! それならアズミ、いつも通りに突っ込む!」

「そうこなくっちゃ!」

 

 ハーフアルティメスを加速させて、前線を押し上げるように私は突出する。

 MAV戦ならこっちに一日の長があることを教えてやろう。

 迫り来るジムっぽい敵やらザクっぽい敵やらドムっぽい敵を斬り捨て、撃ち抜いて、それらがスポーンする母艦のブリッジを叩き潰す。

 

「クランバトルとはちょっと違うけど……自由だ!」

「いいねぇ、仕上がってきたねぇ、でもぉ」

 

 ──GBNはこれから、だよぉ?

 

 アズミがそう呟くと同時に、おかわりとして現れた敵の戦艦から、ハイザックやらドムトルーパーがやっぱり二機一組になって出撃してくる。

 

「あっ、こっちはなんか知ってるやつ!」

「バーリトゥードはねぇ、GBNの基本だよぉ」

 

 そっかぁ。

 作品の枠を跨いでエネミーが現れることに動揺しているようじゃ、このGBNではとても生きていけないようだ。

 でも、仕掛けてくるのがMAV戦ならこっちはクランバトルで経験済みだ。

 

「要するに、死角を取り合うのがMAVなら!」

 

 スクリーミングニンバスを展開して正面から突っ込んでくるドムトルーパーの相方は、こっちの意識が向いていないどこかにいるということだ。

 そこに当たりをつけるのが私の仕事で、それでもカバーしきれなかったら背中を請け負うのがアズミの役割、ということになる。

 突っ込んできたドムトルーパーの前で急制動をかけて上昇、私は真上を狙ってきたハイザックを撃ち抜く。

 

「よく練られたMAVだ、青田買いした甲斐があったというものだよ」

「であれば、我々も負けてはいられませんね!」

 

 オオトリストライカーを装備している赤とグレーのウィンダムに随伴する形で先行していた、エノモンさんの青とグレーのウィンダムが、パイロンに装備しているミサイルで、ムサイのブリッジを撃ち抜く。

 

『ええい、なにをしているのだ! ならばアレを前線に出すのだよ!』

 

 NPDの……なんていったっけ。

 確かマとかミとかそんな名前が短い人が、焦りに表情を歪めながら指示を繰り出す。

 この手応えは、そろそろレイドボスのお出ましといったところだろうか。

 

 すると、戦場の一番奥から、強烈な速度でなにかが突っ込んでくるとレーダーが警告を吐き出す。

 

「っ、危ない!」

 

 あと少し気づくのが遅れれば、やられていた。

 凄まじい速度で突っ込んでくる「それ」が放ったビームの一撃が、さっきまで私がいた場所を駆け抜けていく。

 ズームすれば視界に捉えられるほどの距離まで接近してきたそいつの正体は。

 

「ガンダム!?」

「正確にはパーフェクト・ガンダムだよぉ、サンダーボルトに出てくるぅ」

「でもなんで赤いの!?」

「あはぁ〜、それもネタバレぇ」

『今の一撃をかわすとは、運のいいやつだ! ダリル・ローレンツ少尉! パーフェクト・ガンダムとブラウ・ブロで!』

 

 確かそのサンダーボルトに出てくるパーフェクト・ガンダムって初代ガンダムとおんなじトリコロールだった気がするんだけど。

 どことなくシャア専用を思わせるピンクっぽい赤でペイントされているパーフェクト・ガンダムは、背中にドッキングしたブラウ・ブロが生み出す大推力と合わせて、私たちが押し上げた前線を強引に押し戻していく。

 背負ったブラウ・ブロ部分から放たれる有線式のオールレンジ攻撃による奇襲で、前線のダイバーを次々と爆散させながら。

 

「よくわかんないけど、わかった!」

 

 敵がなんであれ動揺したら負け、ということをハイザックやドムトルーパーの登場は知らせてくれていたのだろう。

 だったら私たちが今やるべきは、あの赤いパーフェクト・ガンダムを落とすことだけだ。

 私を追い抜いてNフィールドを強引に突破しようとする相手を追いかけて反転、ドッズアックスライフルで牽制を仕掛ける。

 

『ちいっ! パーフェクト・ガンダムに追いついてくるなんて……!』

『足を止めたな推定レイドボス! ここはこの俺の華麗な天誅で──』

『そこだっ!』

『ぬわーっ!!!!』

 

 パーフェクト・ガンダムが反転した一瞬の隙を突くように直上からビームサーベルを突き立てようとしたGNフラッグが有線式ビーム砲で爆散する。

 名前も知らないダイバーは、オールレンジ攻撃持ちに奇襲はあんまり意味がないと身をもって教えてくれたらしい。

 感謝しとかなきゃ。なむなむ。

 

「正面切って戦えってことだよね……!」

「案外その必要はないかもよぉ?」

「アズミ?」

「ハッハァー! 新鮮なレイドボスだ! 逃げるレイドボスは訓練されたレイドボスだ! 逃げないレイドボスはよく訓練されたレイドボスだ! 首を置いてけぇー!」

 

 エノモンさんがなにやら普段の温和で真摯な様子とは一転して、闘争本能を剥き出しにしてそう叫ぶ。

 

「ここは我々に任せたまえ! まさかあの運営がレイドボスをこのパーフェクト・ガンダム一機にするはずはない!」

 

 機体を忙しなく動かして、残弾を惜しみもせずに弾幕を展開するエノモンさんを盾にする形で、アトミラールさんのウィンダムが対艦刀を構えて突撃していく。

 そして、パーフェクト・ガンダムが構えた盾を両断すると、バルカンとマイクロミサイルポッドの斉射で固めにかかる。

 アトミラールさんとエノモンさんの連携は、MAVとしても、ダイバーとしてもかなりの手際だった。

 

「……なら、ここは任せましたよアトミラールさん、エノモンさん! 行こっ、アズミ!」

「あはぁ〜、了解ぃ」

「任せたまえよ! 僕とて三桁の英傑であることを見せてやろう! 援護は任せたよ、エノモンくん!」

「アーイ!!!!」

 

 ……本当に大丈夫なんだろうか。




これ書いてる間に公式がネタバレ解禁したからちくしょう!
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