ガンダムビルドダイバーズ オルタナティブガールズ   作:GQuuuuuuXに脳を焼かれたマン

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Ep.03 ようこそGBNへ

「で、ここがガンダムベースってわけぇ」

「ガン……ダム……? なに?」

 

 放課後、私はアズミに連れられて、なんだかよくわからないけどでっかいガンダムの像が立っているお台場のショッピングモールを訪れていた。

 なんか見たことがあるようなないようなその巨大ガンダムを見上げながら、ゆっくりと私たちは施設の中に入っていく。

 アズミからもらった、アルティメスというらしいガンダムは、壊れないようにポーチに入れてある。それでも、緩衝材とかがないから心許ないけど。

 

「ガンダムベースはねぇ、いっぱいあるガンダムをいっぱい扱ってるとこだよぉ〜、ゲームブースにはGBNの筐体もあるしぃ、工作ブースで買ったガンプラをその場で組み立てたり塗ったりすることもできるんだよねぇ」

「はあ……」

 

 なんだかよくわからないけど、ガンダムがいっぱいあって、いっぱいあるガンダムをいっぱい扱っているのがガンダムベースというお店らしい。

 いっぱいがゲシュタルト崩壊しそうだ。

 そして、恐らくだけどガンダムのプラモデルを略してガンプラと呼んでいるのだろう。

 

 そんなレベルで知識のない私が踏み込んだらボコボコにされるんじゃないだろうか。

 

「大丈夫だよ〜? 最初は皆初心者だからぁ、初心者は大事に、じっくり沼に浸けていくのが大事なんだよぉ、あはぁ」

 

 どこか恍惚とした目でアズミが語る。

 沼ってなんだ。

 底なし沼に連行されて私は沈められる運命なんだろうか。

 

「え、えっと……アズミ」

「なぁに? キョーカ」

「本当に大丈夫? 私ガンダムのガの字も知らないんだけど……」

 

 知ってるガンダムはなんかアムロが乗ってるやつと、シャアって人が乗ってるらしいザクと、アズミからもらったアルティメスぐらいだ。

 それなのに、こんないかにもガンダムの聖地です、みたいなところに踏み込んで許されるんだろうか。

 周りの客からも心なしか冷たい視線を向けられているような気もするし。

 

「大丈夫大丈夫〜、ナナミさぁん、筐体二つ借りにきましたぁ〜」

 

 そんな私の不安をよそに、お気楽な調子でアズミは店員さんの名前を呼ぶ。

 

「はーい、いらっしゃい! アズミちゃん、今日はお友達と?」

 

 茶髪をショートカットにまとめた、これまた乳がでかい店員さんが駆け寄ってくるなり、アズミへとそう問いかける。

 

「そうだよぉ、この子はねぇ、キョーカぁ」

「キョーカちゃんね! 私はナナセ・ナナミ。一応ここの店員やってるんだけど、私もそんなにガンダム詳しいわけじゃないから」

 

 だからそんなに緊張しなくても大丈夫、と、ナナミさんは私の胸の内を見透かしたかのように言って、ぱちーん、と可愛らしくウィンクをキメた。

 ガンダムベースで働いている店員さんがガンダムに詳しくないのを公言するのはどうなんだろうとは思ったけど、少し安心する。

 ここにいる人たちは敵じゃないんだ、と。

 

「それじゃぁ早速GBNに行こっかぁ」

「GBNってここから行けるんだ」

「そっちのゲームブースにある筐体にダイバーギアを使ってガンプラを読み込ませればいけるよぉ」

「……だいばーぎあ?」

 

 また専門用語が出てきた。

 ジトっとした目を向ける私に対してアズミはけらけらと笑うと、ナナミさんから受け取った六角形をした、板状の機械を手渡してくる。

 

「今日はレンタルってことで特別に貸し出すけど、次回からはちゃんと買ってログインしてね?」

「……ちなみにお値段おいくらぐらいなんですか?」

 

 ナナミさんへそう問いかけると、結構なお値段が耳打ちで返ってきた。

 高校生が即断即決で買うには結構ハードルが高いお値段だったけど、まあ今日はレンタルでお試しができるから考えないでおこう。

 そういうことにして、私はゲームブースへと向かっていくアズミの後を追いかける。

 

「それじゃあ、ダイバーギアを窪みにセットしてぇ、その上にアルティメスを乗っけてね?」

「えっと……アルティメスって、足ないけど立てるの?」

「そこの後ろのパーツを展開してあげると着陸脚になるんだよぉ」

「ふむ……」

 

 アズミに指示された通り、着陸脚を展開すると、問題なくアルティメスは大地に立つことができた。

 あとは確かゴーグルを被って、ダイブすればいいんだったか。

 アズミがダイブするのに合わせる形で私もゴーグルを被って、画面を見つめる。

 

『GPEX SYSTEM START UP──』

『Welcome to GBN』

『Will you survive?』

 

 生き残れるか?

 なんかいきなり物騒なメッセージが出てきたけど、デスゲームが始まったりしないよね?

 そんな不安を抱きながら、私の意識は電子の世界へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

「ここが……GBN……」

 

 キャラメイクをほとんど現実の容姿そのままで終わらせた私は、夕方だというのに人でごった返しているロビーに降り立っていた。

 当たり前だけど、この空間に立っている私にはちゃんと二本の足がある。

 なんとなく動かしてみると、感覚通りに動いてくれる右足に、涙がこぼれそうになった。

 

「へへっ、そこのお嬢さん。もしかして初心者だったりするのかい?」

「えっ? は、はぁ……」

「運がいいねぇ! ちょうど今初心者にオススメなパーツやプラグインを痛てててて!」

「ちょっとヤス。アンタ、アコギな商売はやめるって言ったでしょ? これで何回目?」

 

 なんかよくわからない怪しい人が話しかけてきたと思ったら、もっと怪しいムキムキマッチョのお姐さんが出てきて、私の頭はキャパオーバー寸前だ。

 

「全くもう、初心者のうちはアナタも気をつけるのよ? ああやって初心者につけ込む輩が最近多いんだから」

「……は、はぁ……えっと、ありがとうございます……?」

「アタシはマギー。ちょっとしたナビゲーター役を買って出てるお節介焼きよ」

 

 マギーさんというらしいマッチョなお姐さんは、ばちこーん、とウィンクを飛ばしてみせる。

 

「ありがとうございます、マギーさん。友達を待たせてるので……」

「その友達って、アズミちゃんのことかしら?」

「お待たせぇ〜」

 

 気づけば、マギーさんの後ろにリアルの栗色の髪をストレートに腰まで伸ばした容姿とは打って変わって、薄いピンク色の髪をしている、アズミと思しきプレイヤーが立っていた。

 なんというか、やっぱりゲームだからそういうところもこだわった方がいいんだろうか。

 今更ながら、アシンメトリーの黒髪に赤い瞳、そして制服然とした衣装というリアルの容姿そのまんますぎる自分のアバターに後悔する。

 

「あら、その顔はキャラメイクに失敗しちゃったって顔? そうねぇ、ならこれをあげるわ、ラスちゃん」

「ラスぅ?」

「えっと……私のダイバーネーム」

「そっかぁ、じゃあGBNではラス、なんだねぇ」

 

 改めてよろしくぅ、と微笑むアズミは、天使のように可愛らしかった。

 そして、私はマギーさんからアイテムを受け取って、ストレージから物質化させる。

 

「えっと……これ、ニット帽ですか?」

「そうよ? マチュが被ってるものよ」

「マチュ」

 

 どこの誰かはわからないけど、ガンダムに関係する人なのは確かなのだろう。

 それはそれとして、もらえるものはありがたくもらっておく。

 私はそのマチュさんとやらのニット帽を被って、少しだけ出てきたリアルとの違いに心を躍らせていた。




マチュはかわいい(ジークアクスのネタバレ)
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