魔法少女はいないので   作:みつは

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 マジカルレッドとしてデビューして早速だが問題が発生してしまった。

 魔法少女を勧誘しようにも、どう見つければいいのか分からなかったからだ。

 

 

 魔法少女として開発した道具は、身体の中にある魔力を理想的に練り上げ、通常より数倍もの威力をもって使用可能にする武器である。

 もちろん顔隠しのための容姿変化も搭載されている。男を勧誘する場合もあるので性転換機能もつけた。

 

 しかし、武器があるだけでは意味がない。武器とは使う人がいてこそ輝くからだ。

 悪意ある人間が使えば人間殺戮兵器となるだろう。

 

 だから俺が探さなきゃいけない人間は、世のため人のために武器を使う善意ある者。

 しかし、見知らぬ人間に対して「あなたは善人ですか?」なんて馬鹿な質問しても正直に答えてくれるアホはいないだろう。

 

 でもって探偵のごとく徹底的に調査し、善意の有無を決めるのも効率が悪い。

 

 

 で、あれば────対象をモンスターに対して憎悪がある人間にした。

 世のため人のためにというよりは、モンスター絶対殺すバーサーカーの方がやりやすい。

 

 そうして調べていって見つけたのがダンジョン近くの村に住む女の子。俺が来たときにはモンスターに襲われており、村が苗床化寸前なところだった。

 男はほぼ死に絶え、女は絶望に心が死んでいる。

 

 そんな中にいた目に闘志を宿した少女だった。

 どうにも抵抗しすぎたらしくゴブリンに腹をナイフで刺され、ダンジョン奥深くへ連れ去られようとしていた場面。

 

 そこに登場したマジカルレッドたる俺により、彼女を救出。ついでに村でまだ生き残ってる奴らも救っておいた。

 

 血を流しすぎて死にかけた彼女の身体を治しつつ魔法少女として生きるか問いかけてみると「お願いします」と即答だったので、俺は彼女に武器を託した。

 

 名前はマジカルブルーとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私には名前がない。

 村の権力ある人間の、愛人の娘。年齢はたぶん14歳。誕生日を祝われたこともないし、学校に行ったことはないから、私の本来の年齢はわからない。誕生日も知らない。

 

 私はただの召し使い。

 魔法も使えず、誰かの指図がないと動けない無能として扱われ続けた。

 

 暴力が当然の世界で。私が虫以下の存在で。

 ────そんな世界をひっくり返したのが、モンスター襲撃。

 

 

「いやぁぁぁぁ! はやく、だれかたすけて!!」

 

「くそっ! 警察はどうして来ねえんだよ!」

 

「ガハッ……」

 

「やだやだやだ、死にたくない!」

 

 

 聞こえてくる悲鳴。

 モンスター達の嘲笑う声。

 

 誰もが死んでいく光景を呆然と見つめていたら、すぐそばにいた父の本妻がモンスターに腕を噛まれつつ、睨み付けてきた。

 

 

「はやっ、ぐ、助けないよ!! この無能!!!」

 

 

 その声に、身体は動かなかった。

 何処からか笑い声が聞こえてきて、それが自分のものだと初めて分かった。

 絶対的だった本妻が死ぬ。私を襲う人間が死んでいく。

 

 そして、私も奴らと同じく死ぬだろう。

 

 

「────せっかく自由になれたのに」

 

 

 ああ、嫌だ。嫌だ。

 私はまだ生きていたい!

 

 

 心からの叫びは身体を動かし、逃走のために足が動く。

 でもモンスターは私に向かって襲いかかってくる。

 

 

 人間の次はモンスター。

 私には自由なんてないのかと思った時だった。

 

 

「キミ、良い目をしてるね」

 

 

 私の上にのしかかってきたゴブリンを蹴り飛ばしつつ、可愛らしい声でこちらを見つめてきたのは幼女だった。

 

 燃えるような赤い髪に、赤い瞳。

 ワンピースドレスを着た、大きな杖を持った子供。

 

 そんな彼女がゴブリン共を圧倒する。

 杖から出てきた炎は太陽のように強烈で、複数のモンスターを黒焦げにする。

 

 殺しの為の杖を私の身体に向けて、傷を癒した。

 

 

「なぁ、お前は魔法少女に興味ないか?」

 

「まほう……?」

 

 

 私には何も力がない。

 魔法も使えない無能だというのに、彼女は私に手を伸ばして言うのだ。

 

 

「キミの力が必要なんだ。魔法少女になってくれないか?」

 

 

 当然のように言う彼女についていきたいと思った。

 

 彼女は私に力を与えてくれた。

 自由をくれた少女に、私は死ぬまでついていこうと思えたのだ。

 

 

 

 

 

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