追憶の記憶〜デイブレイクアーカイブス(本編完結)   作:Leona

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超ギャバン、よい1話だった。まだゴジュウはVシネとポーラービギニングがあるけどそれはそれとして。


30話 絆/過去との決別

レーションでの腹ごしらえを終え、エリドゥの格納庫へ向かうと、そこには既に整備を終えたゴルドダッシュが待機していた。ユキトがヘルメットを手に取ろうとしたその時、リオが呼び止めた。

 

「待って、ユキト。……最後に、これを」

 

 彼女が差し出したのは、青いラインが走る、小型のイヤーカフのようなデバイスだった。

 

「これは?」

 

「"ニューラル・リンク・コネクター"……と言っても、ただの通信機じゃないわ」

 

リオはユキトの耳に、そのデバイスを慣れた手つきで装着させた。冷たい金属の感触がした瞬間、デバイスが微かに発光し、肌に吸い付くように同化した。

 

「先ほど錬成した"グランド・アバン"……あのカードには、私と貴方の精神的なパスが記録されている。このデバイスは、そのパスを利用して、エリドゥの中枢演算システムと、貴方の脳の聴覚野を量子的に直結させるものよ」

 

「脳と……直結?」

 

「ええ。つまり、距離や電波障害に関係なく、私の声が貴方の脳内に直接届くようになる。……試してみましょうか」

 

リオが口を閉じた。なのに、ユキトの頭の中に、彼女の声が鮮明に響き渡った。

 

『──聞こえる? ユキト』

 

「うわっ!? ……すごいな、耳元で囁かれてるみたいだ」

 

インカム越しのノイズ混じりの声とは違う。まるで彼女が自分の意識の中に住んでいるかのような、不思議な感覚。

 

「これなら、ゲヘナのジャミング地帯でもクリアな通信が可能よ。それに……」

 

リオは再び口を開き、少し頬を赤らめてユキトの胸板に指を這わせた。

 

「このリンクを通じて、貴方の心拍数、体温、ホルモンバランスに至るまで、全てのバイタルデータを私がリアルタイムでモニタリングできるわ。貴方が無理をしたり、他の女の子に鼻の下を伸ばしたりしたら、すぐに分かるから覚悟してね?」

 

「……それは、とんだ高性能な拘束具だな」

 

 ユキトは苦笑したが、嫌な気分ではなかった。監視という名の、彼女なりの過保護な愛。それが、孤独だった過去の記憶を塗り替えてくれる気がしたからだ。

 

「安心しろ。俺のバイタルが乱れるのは、お前と話してる時と、敵と戦ってる時だけだよ」

 

「……ふふ。口が上手くなったわね」

 

リオは満足げに微笑むと、ユキトにヘルメットを手渡した。

 

「さあ、行きなさい。私の声が届く限り、貴方は一人じゃない。私が常に、貴方の頭の中で最適解を囁き続けてあげる」

 

「ああ。頼りにしてるよ、最強の技術顧問(パートナー)

 

 ユキトはヘルメットを被り、ゴルドダッシュに跨った。

エンジンの咆哮と共に、脳内にはリオの冷静なナビゲートが開始される。

 

『ルート計算完了。目的地、ゲヘナ自治区。行ってらっしゃい、ユキト』

 

こうして、脳内に愛する共犯者の声を宿し、ユキトは新たな戦場へと走り出した。

 

ミレニアムの要塞都市エリドゥを後にしたユキトは、ゴルドダッシュを召喚し、混沌と硝煙の匂いが渦巻くゲヘナ学園自治区へとひた走っていた。脳内には、通信越しにリオの声が響いている。

 

『……ユキト、大丈夫? ゲヘナの治安は最悪よ。貴方のそのお人好しな性格だと、すぐにトラブルに巻き込まれそうで心配だわ』

 

「はは、大丈夫だって。ここには頼れる先輩がいるからな」

 

ユキトはハンドルを切り、表通りの喧騒を避けて、入り組んだ路地裏へとバイクを滑り込ませた。そこは、便利屋68の事務所に近い、静かな一角。

 

「……いた。やっぱり、ここか」

 

 ユキトはヘルメットのシールドを上げ、エンジンの回転数を落としてゆっくりと近づいた。古い看板の下、数匹の野良猫にカリカリを与えている少女の姿があった。

 

黒と白のツートーンの髪。パーカーのフードを目深に被り、一見すると近寄りがたい鋭い雰囲気を纏っている。便利屋68の課長、鬼方カヨコ。

 

「……ん?」

 

 バイクの音に気づき、カヨコが顔を上げる。その鋭い視線に、足元の猫たちが一瞬身をすくませたが、ヘルメットを脱いだユキトの顔を見ると、彼女の表情から警戒色がスッと消えた。

 

「……なんだ。ユキトか」

 

 カヨコは安堵したように息を吐き、また猫たちに視線を戻した。

 

「驚かせないでよ。……また厄介な連中にでも絡まれたのかと思った」

 

「すんません。でも、この時間ならカヨコ先輩はここにいるだろうと。 野良猫への餌やり、日課だから」

 

 ユキトはバイクを停め、遠慮することなく彼女の隣にドカッとしゃがみ込んだ。猫たちもユキトのことを覚えているのか、逃げることなく彼の指の匂いを嗅ぎに来る。

 

「……フン。私の行動パターン、読まれてるみたいで癪だけど」

 

 カヨコは苦笑しながらも、嫌そうではない。彼女はポケットから予備のチュールを取り出し、ユキトに軽く放ってよこした。

 

「ほら。……手伝って。この子、まだお腹空いてるみたいだし」

 

「オーライ。……よしよし、たくさん食えよ」

 

ユキトが猫に餌をやる様子を、カヨコは横目で静かに眺めていた。何度か依頼やトラブルで共闘するうちに、二人の間には言葉の要らない連帯感が生まれていた。

 

「強面で怖がられるが、実は優しいカヨコ」と、「人外の力を持ちながら、中身は人間臭いユキト」

互いに誤解されやすい損な役回りだと、知っているからこその距離感。

 

「……で? 今日は便利屋への依頼?」

 

カヨコが猫の顎を撫でながら、何気ない様子で尋ねる。

 

「社長なら今、万魔殿からのクレーム処理でパニックになってて、事務所中が大騒ぎだけど」

 

「いや。今日はアル社長じゃなくて、カヨコ先輩に用があって来たんだ」

 

 ユキトは餌を食べ終えた猫の頭をワシャワシャと撫でながら、真剣な声で切り出した。

 

「俺、今……自分の記憶を探す旅をしてるんだ」

 

「記憶……?」

 

 カヨコの手が止まる。彼女はユキトの方に向き直り、その目を見つめた。

 

「俺が何者で、なぜこのドライバーを持ってキヴォトスに来たのか。それを知る手がかりが、カヨコ先輩の持つ神秘にある気がしていて」

 

『……ユキト、解析データが出たわ』

 

脳内で、リオの声が響く。

 

『彼女の神秘パターン……適合率は極めて高い。表層の恐怖という防壁の下に、純粋で温かい優しさと、何者にも縛られない自由への渇望がある。それは、作られた存在でありながら心を持つ貴方と、深く共鳴しているわ』

 

(……ああ。分かってたさ、リオ)

 

 ユキトは自分の「ヘイローのない手」を握りしめ、カヨコに向けた。

 

「カヨコ先輩。……皆は俺を英雄だと言う。あるいは、得体の知れない怪物だと怖がる奴もいる」

 

「……ま、そうだろうね。そのベルトの力は規格外だし」

 

「でも、俺の中身は……ただの人間だ。先輩と同じだよ。外側についたレッテルと、内側の本当の自分。……その狭間で、ずっと迷子になってる」

 

 その言葉に、カヨコはハッとしたように目を見開いた。彼女もまた、「顔が怖い」というだけで不良扱いされ、誤解され続けてきた。けれど、彼だけは最初から、彼女の「中身」を見てくれていた。

 

「……ユキト。あんたって奴は……」

 

 カヨコは呆れたように、けれどどこか嬉しそうに溜息をついた。彼女は立ち上がり、フードを少し後ろにずらした。

 

「……分かった。あんたがそこまで言うなら、付き合うよ」

 

彼女は手を差し出した。それは契約のためではなく、背中を預けられる相棒への手だった。

 

「私も、あんたを見てて放っておけないと思ってた。……危なっかしいし、不器用だし。……そういうところが、誰かさんと似てるからかな」

 

 カヨコがそっとユキトのドライバーに手を触れる。指先から流れ込んでくるのは、冷たい恐怖ではなく、熱く激しい情熱の鼓動。

 

「行きますよ、カヨコ先輩……!」

 

ユキトがレバーを引く。

 

【GRAND AVANT! IGNITE!】

 

【……METAL PANTHER! IGNITE!】

 

 ドライバーの中で、科学(リオ)アウトロー(カヨコ)が衝突し、一つになる。

 

『……っ! なにこれ、すごいノイズ……! でも、心地いいリズムね。……これが彼女の、魂のサウンドなのね』

 

 リオの感嘆と共に、カヨコの神秘が結晶化し、一枚のカードが排出された。描かれているのは、スピーカーの意匠を纏い、鎖を引きちぎって咆哮する巨大な黒豹。

 レベルナンバーは『10』。

 

【METAL PANTHER】

 

「……ふふ。メタルにパンサーか。悪くないね」

 

カヨコがそのカードを覗き込み、ニッと笑った。便利屋の仲間たちにしか見せない、心からの笑顔。

 

「自由気ままな野良猫……ってことかな?」

 

「ああ。何にも縛られない、カヨコ先輩そのものだろ?」

 

ユキトはカードをホルダーに収めた。これで、条件は揃った。ミレニアムの頭脳と、ゲヘナの自由。二つの最強のカードが、ユキトの過去への扉を開く。

 

「……さて。アビドスの地下へのルートが開いた」

 

『ええ。行きましょう、ユキト。……全ての始まりの場所へ』

 

ユキトはゴルドダッシュに跨り、後ろのシートをポンと叩いた。

 

「カヨコ先輩。よければ、見届けてくれません? 俺の本当の正体を」

 

「……フン。乗りかかった船だしね。……最後まで付き合ってあげるよ、ユキト」

 カヨコは慣れた様子でユキトの後ろに乗り、その背中にしっかりと腕を回した。温かい背中。ヘイローはないけれど、誰よりも信頼できる背中。

 

「そんじゃ、飛ばすんでしっかり掴まって!」

 

「了解。……振り落とさないでよ?」

 

爆音と共に、ゴルドダッシュが路地裏を駆け抜ける。向かうはアビドス大砂漠。そこで待つ残酷な真実と"オリジナル"との対決に向け、新たな旋律が動き出していた。

アビドス大砂漠。かつて文明が栄え、今は砂に埋もれた死の世界。その地下深くに眠る、忘れ去られた実験施設。ユキトとカヨコは、暗闇の回廊へと足を踏み入れた。

 

「……随分と深いね。こんな場所に、何があるっていうの?」

 

カヨコがハンドガンのライトで周囲を照らす。埃っぽい空気と、微かな薬品の臭い。ユキトは、脳内のリオのナビゲートに従いながら、確信を持って進んでいた。

 

「ここが俺の始まりの場所、らしい。……リオの解析が正しければ、この奥に全ての答えがある」

 

 螺旋階段を下りきった先。そこには、広大な地下プラントが広がっていた。無機質に並ぶ空の培養ポッド。そして、中央のコンソール前に佇む一つの人影。

 

「――よく戻ってきたね。失敗作(エラーコード)

 

冷徹な声と共に、その男が振り返る。カヨコが息を呑んだ。

 そこにいたのは、ユキトと瓜二つの顔を持つ男。だが、その瞳には光がなく、深淵のような闇だけが湛えられていた。

 

彼こそが、この施設の管理者であり、ユキトのオリジナル。

 

「……あんたが、俺のオリジナルか」

 

「いかにも。私は成功作。君は、製造過程で『感情』という不純物が混入し、廃棄されたスペアだ」

 

 オリジナルは嘲笑うように、手にした端末を操作した。モニターに映し出されるのは、幼いユキト──いや、製造直後のユキトが、感情を持ったが故に「不良品」として焼却処分されそうになる記録映像だった。

 

「君は人間ではない。キヴォトスのシステムを管理するために作られた、ただの生体端末だ。……記憶がないのも当然だろう? 最初から『過去』なんて存在しないのだから」

 

残酷な真実が突きつけられる。ユキトは拳を握りしめた。自分が作り物であるという事実よりも、それが隣にいるカヨコに知られてしまったことが怖かった。化け物だと思われるかもしれない。軽蔑されるかもしれない。

 

「……カヨコ先輩。俺は……」

 

ユキトが震える声で振り返ろうとした、その時。

 

「……だから?」

 

カヨコの短く、平坦な声が響いた。彼女は驚くことも、軽蔑することもなく、ただつまらなそうにオリジナルを睨みつけていた。

 

「出生がどうとか、スペアだとか……そんなの、どうでもいい話でしょ」

 

「な……?」

 

オリジナルの眉がピクリと動く。

 

「ユキトはユキトだよ。何度倒れても立ち上がって、不器用なくせに誰かを助けようとして。私が知ってるユキトは、あんたみたいな空っぽの人形じゃない」

 

カヨコはユキトの背中を、パンと強く叩いた。

 

「胸張りなよ、パートナー。……あんたの心臓(ハート)が刻んでるリズムは、誰よりも熱い"人間"の(ロック)だよ」

 

「カヨコ、先輩……」

 

その言葉が、ユキトの中の迷いを吹き飛ばした。そうだ。自分が何者かじゃない。誰と出会い、何を感じてきたか。それが全てだ。

 

『ええ。その通りよ、ユキト! 貴方は私たちの自慢のヒーローなんだから!』

 

脳内でリオも叫ぶ。二人の最強の理解者が、ユキトを支えている。

 

「……ああ。目が覚めたよ」

 

ユキトは前を向き、ガッチャードライバーを構えた。

「俺は廃棄品かもしれない。でもな……この"不純物(こころ)"があったからこそ、彼女たちと出会えたんだ!」

 

「……愚かな。システムに感情など不要だということを、教えてあげよう」

 

 オリジナルが、腰に巻いた無骨なベルト――塗装のない剥き出しのガンメタルが鈍く光るガッチャードライバー・アーキタイプを露わにする。

 

「これこそが全ての始まり。君が使うその玩具の設計思想(オリジン)となったベルトだ」

 

 彼が二枚のカード──色彩のない設計図のようなホッパー1」とスチームライナーを装填する。軽快な待機音はない。重苦しい蒸気の噴出音と、システムが強制起動する駆動音だけが響く。

 

【ORIGIN…… HOPPER1……LOAD】

 

【ORIGIN…… STEAMLINER……LOAD】

 

レバー操作さえも自動化されたそのベルトが、赤黒いスパークを放つ。

 

「変身」

 

【OPERATION…… ARCHETYPE!】

 

【スチームホッパー!オリジン!!】

 

くすんだ蒸気の中から現れたのは、ガッチャード・スチームホッパーのシルエットを持ちながら、装甲が剥がれ落ち、内部のパイプやギアが剥き出しになったかのような骸骨じみた戦士。仮面ライダーガッチャード・アーキタイプ。その複眼は、輝きのない濁った赤色で、ただ標的を捉えるカメラとして機能していた。

 

「変身!」

 

ユキトもまた、二枚のカードを引き抜いた。

右手に、リオの科学が結晶化した白銀の【グランド・アバン】

左手に、カヨコの激情が焼き付いた漆黒の【メタル・パンサー】。

 

【GRAND AVANT! IGNITE!】

 

【METAL PANTHER! IGNITE!】

 

ドライバーの中で、論理と激情が火花を散らす。相反する二つを、ユキトの意志が繋ぎ止める。

 

「見せてやるよ、オリジナル……! これが、俺たちの……!」

【ガッチャーンコ! ファイヤー! リベリオン・フォーミュラ!!】

 

爆音と共に変身が完了する。右半身にはミレニアムの白銀の装甲。左半身には、スピーカーと鎖を模した漆黒の装甲。そして背中には、音響兵器とミサイルポッドを複合させた「轟音機動ユニット」が展開された。

 

仮面ライダーガッチャードデイブレイク・リベリオンフォーミュラ。管理された運命に抗う、反逆の姿。

 

「行くぞ!」

 

ユキトが踏み込む。アーキタイプが迎撃するが、ユキトの動きは予測不可能だった。リオの演算による精密な回避と、カヨコの直感による野性的な攻撃。計算された軌道から、突如としてリズムを崩す変則的なラッシュが、オリジナルの防御をすり抜ける。

 

「なんだ、この動きは……!? 私の予測演算が追いつかない!?」

 

『ふふ、当たり前よ! カヨコさんの行動パターンは、いつだって計算外(アバンギャルド)なんだから!』

 

リオが誇らしげに告げる。アーキタイプが苛立ち、ドライバーのレバーを操作した。

 

【EXECUTION……! ORIGIN STEEEAM!!】

 

「消えろ! ノイズごと!!」

 

アーキタイプから噴出した超重力の黒煙が、空間を圧迫する。視界が消え、ユキトの動きが封じられた。だが、その静寂の中で、カヨコの声が聞こえた気がした。

 

──鳴らして、ユキト!

 

「……俺たちの音は、誰にも消せない!!」

 

 

ユキトの左肩のスピーカーが、支配された"静寂"を震わせる。カヨコの魂の叫び(ロック)が、物理的な衝撃波となって重力の壁を内側から食い破った。

 

【METAL……SHOUT!!!】

 

ズドォォォォォンッ!!!大音響が黒煙を粉砕する。色が戻った世界で、ユキトの右拳──リオの科学力が計算した一点突破の一撃が、アーキタイプの剥き出しのコアに突き刺さった。

 

「おおおらぁぁぁぁぁっ!!」

 

「ぐ、がぁぁぁぁぁっ!?」

 

ガッチャード・アーキタイプが吹き飛び、壁に激突して変身が解除される。勝負ありだ。オリジナルはよろめきながら、信じられないという顔でユキトを見た。

 

「……なぜだ。なぜ、不完全なスペアが……完成品を凌駕する」

 

「……あんたには無かったからだよ」

 

 ユキトは変身を解き、カヨコと並んで立った。

 

「自分の弱さを認めて、誰かに背中を預ける"弱さ"が、な。俺は一人じゃない。だから強いんだ」

 

オリジナルは何かを言いかけ、ふっと自嘲気味に笑った。そして、無言のまま影の中へと消えていった。まだ決着がついたわけではない。だが、今の彼は、ユキトの強さを認めざるを得なかったのだ。静寂が戻った地下施設。カヨコが、ふぅと息を吐いてユキトの肩に寄りかかった。

 

「……お疲れ、ユキト。……かっこよかったよ」

 

「……ありがとう、カヨコ先輩。先輩のおかげだ」

 

ユキトは、カヨコの頭を──猫にするように、少しだけポンポンと撫でた。

 カヨコは一瞬驚いた顔をしたが、嫌がる素振りは見、小さく目を閉じた。

 

「調子に乗らないでよ。……パートナー」

 

その声は、いつになく優しかった。アビドスの地下で、二人の"共犯者"の絆は、より深く、確かなものになったのだった。

 

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