クロスアンジュ 転移した戦士   作:ドロイデン

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前回に前後編と後書きで書いたのですが……あまりにも後編が長すぎて中編を追加しました。ということで、今回もどうぞ


第六話 迷える皇女の翼 中編

「アンジュ!!」

 俺はパラメイルの中で泣きながらうわごとのように呟いていた彼女に近づく。

「私は……皇女……ノーマなど……あるわけが……」

「アンジュ……いい加減にしろ!!」

 俺はコックピットを開いてアンジュが居る所に飛び乗った。

「な!!」

「いい加減にしろ!!お前はまた目の前で大切な人を亡くしたいのか!!」

 俺は彼女の襟元に掴みかかって持ち上げる。アンジュはそうする俺の怒りに似た表情を見て怯えていた。

「過去を見てても何も変わらないんだ!!だったら今を……現実を見なきゃ何も出来ないんだよ!!」

「私は……こんな現実……認めたく……」

「ッ!!甘ったれるな!!」

 俺は怒りの度が越え、右手でアンジュの顔に拳を打ち込んだ。

「!?」

「認めなきゃ世界は変わるのか!!違うだろ!!現実を見て、それからどうしたいか願うからこそ世界が変わっていくんだ!!」

「……うるさい、うるさいうるさいうるさい!!貴方に何が分かるのですか!!私の心の痛みが!!母を目の前で奪われ、血の繋がった兄に裏切られた私の気持ちが!!」

「分かるさ!!少なくとも、大事な人を目の前で失う痛みは……」

 その時アンジュは驚きの表情を浮かべた。俺は知らず知らずのうちに涙を浮かべていたのだ。

「そんな事……二度と御免だ!!」

「アセム……貴方は」

 俺はアンジュの事を離してコックピットに戻ろうとする。

「だからアンジュ……お前は自分の現実を認めて行くしかないんだ。それが残された人間がやるべき償いなんだから……」

 俺はそう言って再びコックピットに座り、機体のOSを起動させた。アンジュも何かが吹っ切れたように『グレイブ』を人形に直して武器を手に取った。その時、一筋の光がモニターに映った。

「!!あぶない!!」

 俺は『AGE-2』で彼女を庇うようにアンジュの機体を押し出した。そこへ、光の奔流が機体を襲ってきた。

「ウグァ!!」

『アセム!!』

 モニターで再び確認すると、”ブリッグ”級と呼ばれるサイズのドラゴンが口を開けて咆哮をあげていた。

『アセム!!大丈夫か、アセム!!』

「ゼハートか。こっちは無事だけど……背中のスラスターがやられた!!」

『……私がアルゼナルに送ります』

『アンジュ、おまえ!!』

 アンジュは先程の迷いに怯えた表情から、自信を満ちたらせたような顔をしていた。

『私のせいで彼が被弾したんです!!当然の義務をするだけです!!』

「アンジュ……君は」

『分かったわ。ただし、ちゃんと戻ってきなさいよ?アセムも』

『「了解!!」』

 俺はアンジュに護衛され、アルゼナルへ一時帰還した。

 

 

 

「まったく、これだから元皇女様は……」

 ゾーラは厄介ごとが増えたように呻いていた。戦闘中にアンジュがまた独断行動したのだ。ジル司令官から何を言われるか分かったものではない。

「そうですか?私は今のアンジュの方がいいと思いますけど?」

「サリア、お前もお前だ。副隊長だからって勝手なことをしやがって……」

「二人とも、でかいのが来るぞ!!」

 ゼハートの注意に前を見直すと、“ガレオン”級のドラゴンから光のような物が弾丸のように収束し、こちらに向かって射ってきた。

「ちぃ……流石に“ガレオン”は中々しぶとい!!」

「アセム達が前線に戻れば、何かが変わるはずだ!!」

「だと良いけれどね」

 その時、“ブリッグ級”のドラゴン2体がほぼ同時に落とされた。そこに居たのは赤髪の最年少の少女……ヴィヴィアンの駆る専用機『レイザー』とミランダの『グレイブ』が立っていた。

「へぇ……ヴィヴィアンはともかく『ノーメイク』で倒すかい」

「将来的に有望かもしれませんね」

「だが、全体的にエネルギーが足りなくなってる……」

 ゼハートの指摘はまさしく正論で、既に20分以上の戦闘によりパラメイル部隊のエネルギーは枯渇しかかってた。

「ここは私が食い止める。パラメイル隊は1度帰投した方がいい」

「確かに、エネルギー使い果たして高所落下で死亡なんて、アホ過ぎてみっともないからな。ゾーラ隊、一時帰投する。補給を終えた機体からそれぞれ発進、ゼハートを援護しろ!!いいな!!」

「「「「「「「イエスマム!!」」」」」」」

 そう言って各機体は転進し、ゼハートはドラゴンと対峙する事となった。

「残り“スクリーナー”級が最低でも20、“ブリッグ”級が2、“ガレオン”級が1……対してこちらはライフルのエネルギが残り半分、拡散収束ビーム砲は健在でも10分耐えられるか……」

 幾らエネルギー消費が少ないビームガンとは言え、数百の規模でいるドラゴン相手にすればかなりの弾を射つので消費も激しくなる。

 拡散収束ビーム砲はほとんど使っていない為に暫くは射てるだろうが、射った後しばらく動けなくなる弱点があり、この場には向かない。

 それでも10分というのは、『Xラウンダー』の力をリミッター上限までフルに使い、エネルギー消費が殆んどない近接用ブレードも使って保つギリギリの時間だ。

「それでもやるしかないのだ……だとしたら!!」

 ゼハートはビームガンで的確にドラゴンの急所を撃ち抜き、近づく敵をブレードで一蹴、さらにはドラゴンを蹴り飛ばすなどの格闘戦をやると、ドラゴン達は近づくのは危険と判断したのか、少し距離をおいて光の弾を射ち始める。

「そんな攻撃など、通用するか!!」

 『Xラウンダー』の力は未来予知の能力も持つ。だがそれは近未来……正確に言えば次の瞬間何が起こるのかを瞬時に予知するというものだ。

 ゼハートはその近未来予知でドラゴン達の攻撃の軌道を瞬時に把握し、その攻撃を避け続け、さらにそこへカウンターとばかりに切り裂き屠っていく。が、5分経つ頃には既に限界が見え始めてきた。

「ハァ……まだ補給が終わらないのか?」

 ゼハートは精神的に疲労しながらも“スクリーナー”級を大量に切り裂いていく。『Xラウンダー』の力は強力だが、使いすぎれば命を削りかねない。能力の高くない者がゼハートのようなことをすれば機体制御中に死ぬことさえあり得る。

「うおぉ!!」

 ゼハートはトリガーを引きドラゴンを倒す。がそこでそれは起きてしまった。ビームガンのエネルギー総量が底をついてしまった。

「くそ!!」

 仕方無く銃を機体に戻して接近しようとするが、2体のドラゴンが『ゼイドラ』の脚部に取りつき、身動きが取れなくなってしまった。

「しまっ……!!」

 彼は取りついた2体の怪物を振り払おうとするが、やはりドラゴンだけに腕力が強力で中々離れず、機体の動きが止まってしまった。そこをドラゴン達が見逃す訳があるはずがなく、2体と同サイズのドラゴンが突撃してきた。

「もはやこれまでか……」

 ドラゴンは目の前で止まり、鋭い鉤爪を振り上げた。青年は覚悟を決めて目をつぶると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 怪物は爆炎を挙げて吹き飛んだ。

「な!!」

 ゼハートは分からないように目を見開いた。確かに先程目の前に居たはずのドラゴンは、何故か分からないが目の前から居なくなっている。

『動くな!!ゼハート』

 ゼハートは驚いたようにモニターの後ろ側を見ようとすると、赤い光が『ゼイドラ』に取りついた2体の怪物を射ち貫いた。光の発射地点を確認すると、特徴的な白い胸部ブロックにパラメイルの翼のようなパーツが背部に取り付けられたMSが立っていた。

「今の光……それに今の声は……アセムか!!」

 ゼハートは信じられないような気持ちだった。確かに先程の声の主はドラゴンに機体をヤられて基地に戻ったはずなのだ。さらにあの機体はこの世界の物じゃなく、修理するのにはかなりの時間を要するはずだ。

『ギリギリ間に合ったな』

「ホントにアセムなのか?」

『あぁ。けど機体は父さんのやつだけど』

「フリットさんの?ということは……」

『これが父さんの新機体、《AGE-1F ガレスト》だ。今回はテスト飛行と操縦性の確認のために俺が乗ってるけど』

「なるほど……それにまだ友軍が居るようだな」

 ゼハートが空を見上げると、そこには白を基調とした赤目の天使が右手に銃を抜き、左手に剣を構えている。そしてパイロットは、

「私は……生き抜く……」

 長かった髪を切り落とし、強い眼差しを持った少女の姿が、そこにあった。




ということで、新型MSとヴィルキスの登場になりました。詳細なことは次回にしたいと思います……けど、少し更新に時間が開きます

というのも、作者は一応学生で、11月頭から外国の方に一週間ほど研修しなくちゃならないんです。てなわけで活動報告にこの事は載せとくので、できればみてくれれば幸いです。
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