クロスアンジュ 転移した戦士   作:ドロイデン

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これから出てくるメンバー等の紹介を含めた、本編に繋がる番外編です。何気に早くできたので更新したいと思います。


第七.五話 世界の動乱

 アンジュが意識が途絶えたその時、世界各所ではその異変に気付く人間がいた。

 

《ミスルギ皇国》

「なんだ、今のは……」

 現ミスルギの皇帝、ジュリオ=飛鳥=ミスルギ一世は摩訶不思議な感覚に驚いていた。マナの力であるならまだしも、今の感覚はそれとはまるで違う。しかし、その不思議な力は既に消えていた。

「……気のせいか?」

 彼は気のせいと思い込み、城の中を再び歩き始めた。

 

 

 

《ローゼンブルム 旧国領日本》

「今のは……黒木場さんに報告しないと」

 青年は走っていた。今の感覚は普通ではないことを彼は直感的に覚ったからだ。そして黒木場という人間がいる部屋の前に着くと、ノックすらせずに中へと入る。

「黒木場さん!!今のは!!」

「おいおい、お前は女子の部屋にノックすらせずにいきなり入るのか?」

 そこにいたのは、緑色の長髪に特徴的な白い服を着た女性がソファーに座っていた。彼は整った顔を少し歪ませて彼女に一瞥する。

「黒木場さんは?」

「アイツなら指令部に向かったよ。全く行動が早いったらありゃしない。まるでアイツの先祖のようだよ」

「そういえばアナタは彼の先祖の台からの知り合いでしたね。それで、なんでここに居るんですか?」

 女性は不敵な笑みを浮かべるといきなり電話が鳴り響く。それを女性は神速といえる早さで取った。

『こんにちはー、ピザをお届けしました』

「すぐに向かう」

 そう言って彼女は電話を置くと、彼に向かって笑みを浮かべて早々と部屋を出ていった。そしてその彼はというと、呆れたように呆然としていた。そこへ黒髪の青年と部下らしき紅髪の少女がやって来た。

「全く……あの女は遠慮というのを知らないのか……」

「黒木場……お前あの女にどれくらいピザを食われた?」

「今月で39枚……いや、今ので40枚か」

「だいたいピザ一枚が3500円ぐらいだから……」

「お願いだからシナノ、それ以上は言わないでくれないかい」

 シナノは同じ気持ちだったのかそこでやめる。

「で、黒木場……」

「カザマ、今はプライベートだ。普通で構わないさ」

「じゃあ零、指令部はなんて?」

「ローゼンブルムの軍事部と掛け合って《アレ》を起動させる許可を取るそうだ」

「じゃあ……復活するんだね、《アレ》が」

 カザマは悲しげな表情で答えた。

「全くだ。先代達が築きあげた平和を……壊したくはないさ」

「でもドラゴンを倒すには……」

「わかっているシナノ、だからこそ我々が居るんだ」

「なら、さっさとお前も儀式をすればいいだろ?何故しない」

 零か視線を移すと、そこにはピザの箱を片手で持ちながらそれを食している先ほどの女性がいた。

「オマエ……少しは自重というものを知らないのか?」

「アイツのような事を言うようになったな……で、やるのか?」

「やるつもりはない。そもそも、オマエの言うアレは危険なものだからな」

 零はピザを食べ続ける女性に向かって笑みを飛ばした。一見すると仲睦まじいように見えるが、知ってる者からしたらその視線の間には核爆発レベルの火花が飛んでいる。

「はいはい、二人ともそこまでだよ」

 カザマは二人を制するように間に立つ。零は仕方ないといった面持ちでデスクに座った。

「兎に角、我々もうかうかしてはいられないぞ。これまで以上に訓練に取り組め」

「それ、零さんが言うと全然説得力皆無なんだけど」

「シナノ、教官に頼んで訓練の量を増やしても構わないんだぞ?」

「……それは、カザマにお譲りします」

「逃げちゃダメだよ、シナノ」

 冷や汗をだらだらと流しながら転嫁させてようとしたシナノは苦笑いと笑みを混ぜた微妙な表情であった。

「全く……二人とも頼むぞ『紅月』と『枢木』」

 零はそう言うとデスクの一番下にある棚の大きめのケースを開けた。そこにはどこか特徴的な仮面が入っていた。

 

 

 

《とある街中》

「……」

 少年は空を見ていた。特徴的な青く長い髪を結び、制服のような物を着てデパートの屋上にいる姿は、どこか悲しげな表情で溢れていた。

「……また、戦いが始まるのかよ」

 そう言って彼は入った時にもらったチラシを取り出して何かを折り始める。それは一瞬のうちに紙飛行機へと様変わりした。

「俺は……」

 少年はそれを空高く飛ばした。紙飛行機は気流に乗り、どこまでも飛んでいくのを確認し、彼は屋上から出ていった。

 

 

 

《アルゼナル 指令室》

「アンジュ機!!ガレオン級を撃破しました!!」

 ジルはその報告をニヤリとした表情でで聞いていた。彼女自身はそれぐらい当然といった気持ちだが、それ以上にあの光こそ、彼女が求めていた物だった。

「監察官殿、ここはお任せしてもいいかな?」

「ええ、構いませんよ」

 それを確認すると、私は指令室を出て普段は近寄らない部屋へ入る。中には本棚らしきもので埋め尽くされていた。

「計画は上々……始めるか、リベルタスを」

 彼女はそう呟くと、本棚に隠したスイッチを押し、地下へと続く扉の中に入り込んだ。

 

 

 

 世界は争いの渦へと足を進め、ノーマとマナ、そして転移者を巻き込みながら、今、再び禍根の産声をあげた。

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