クロスアンジュ 転移した戦士   作:ドロイデン

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やっと復活しました!!アメリカは辛かったw

ということで本編へどうぞ。因みに『Sequel』は後日談という意味です。


第八話 戦闘のSequel

 アンジュが目を冷まして見たのはパラメイルの天井ではなく、見慣れない部屋の屋上だった。

「ここは……」

「あ、気が付いた」

 アンジュは妙に聞き慣れた声の先を見ると、そこにはアンジュ自身に似た金髪をポニーテールにした青年が椅子に座ってこちらを見つめていた。

「ア、アアアアセム!!ななな何で!?」

「い、いや、兎に角落ち着いて!!暴れないで!!」

 アンジュは驚きでポカポカとアセムを叩いているが、アセムはそれを避けつつ抑えている。が、それでも寝起き状態のアンジュが乗り出して叩いている為、必然的に

「あ」

「きゃ!!」

 二人揃って床に倒れた。それもアンジュがアセムを押し倒すような体勢でだ。そこへ古びたドアの開閉音が鳴り、そこには……

「な、なな……」

 青い髪をした二人の顔馴染みである少女、サリアが状況を見て頬をピクピクと動かし、

「何してるのよ、あんた達はぁぁぁぁ!!」

 アルゼナル一体に谺するほどの轟音が鳴り響いた。

 

 

 

「ええと、つまり私はヴィルキスに乗って戦闘した後に気を失って、それをアセムが助けてくれたという事ですか?」

 アンジュはアセムから渡されたマグに入ったコーヒーを飲みながら問う。慣れないアセムとアンジュの二人は顔をしかめている。

「そういうこと。因みにここは俺とゼハートの仮部屋で、一応アンジュが居た方が俺のベットな」

「へぇ……ってええ!!」

 アンジュは今日何度目かの驚きように、二人は既に慣れてしまった。

「な、ななな何で私が貴方の部屋の、し、しししかも貴方のベットで!?」

「いや、パラメイルのスーツに鍵が無かったから、勝手にロッカールーム入って鍵を採ることもできたんだけど」

「そんなのは絶対に私が許さないわ」

 さすがは堅物副隊長なだけにそこの所は徹底している。アンジュはほっとしたが、瞬時に別の疑問が浮かんでくる。

「ええと……ということはサリアが私の服を脱がしたということで良いんですか?」

 アンジュの今の格好は普段ノーマが着るように義務付けられてる制服だ。気絶する前までパイロットスーツになっていた彼女にとっては不思議なのだろう。

「そうよ。といってもスーツ自体がかなりボロボロになってたから脱がすというよりも剥がすといった方が近かったけど」

「???」

「貴女が使ってたのって死んだノーマのって言ったでしょ?あちこち傷んでたみたいで、アセムが運んできてコックピット開けたら、かなりボロボロになってたの」

「因みにそこのゴミ箱にまだ君のスーツが残ってるから、どういう状態か確認してみたら?」

「……まさかこの部屋で?」

「アナタって変なところで感がいいのね。察しの通りよ、ただしアセムとゼハートには強制退出してもらったけど」

「……だったらいいですけど」

 アンジュはアセムの方を向くとこれほどないジト目で睨む。そのアセムは素知らぬ顔で余り美味しいとは言えないコーヒーを飲み始める。

「――とりあえず、後でアセムにはちゃんとお礼しときなさいよ。一応、命の恩人何だからね」

 サリアは何気なくアンジュにそう言ったが、目はどこか余裕の表情を浮かべている。

「――そうさせていただきます」

 アンジュもそれに負けじとどこか余裕の面持ちでサリアを見つめている。そして二人は直感的に感じた。

((アセムは絶対に渡してなるものか))

 女の直感は恐ろしいとは良く言うが、それで互いの恋心が一瞬にして把握できる人間など、驚きを越して凄いと感嘆してしまう。

「???」

 そして当のアセムは全く門外漢のような表情で二人の表情を見つめていた。

 

 

 

「アセム、ちょっと良いかい?」

 アセムは二人が部屋を出るのを見送り、ゼハートを呼びに格納庫へ行こうとしたところをゾーラさんに捕まった。

「どうしたんですか?」

「司令官殿からの伝言だ。アセムもゼハート、あとフリットのおっさんはしばらく風呂に入れないそうだ」

 ゾーラの言葉にアセムは意味が分からない表情を浮かべたが、すぐに理解する。

「えっと……それってココが女子ばかりだからですか?」

 アセムは疑問系で聞くとゾーラは肯定の意味で首を傾ける。

「そういうことだ、そもそもアルゼナルはノーマが集まる所だからな。ノーマは女限定、つまり男が入り込む余地は殆どありえないんだ」

「……で、俺らはどうやって戦闘後の汗を流せば良いんですか?」

「それは自分で考えな。じゃあ伝えることは伝えたからな~」

 傍若無人な女隊長はさっさと後ろを向き、手を降りながら去っていった。

「……とりあえず、ゼハートを探さないとな」

 アセムはそう一人ごちると、ゼハートが居るであろう格納庫へと向かった。着いてみるとやはり機体の確認をフリットと共に行っているゼハートの姿があった。

「む、アセムか」

「何やってんだ?機体の整備は済んだんだろ?」

「ああ、だがビーム兵器に問題が出そうでな」

「それって、やっぱり弾薬の事か?」

 ゼハートはアセムの疑問を肯定の意味を込めて頷く。

 サリアやアンジュの話によると、この世界にはレーザーの類いを武器化できないでいるそうだ。レーザーはもとよりビームは光子を直線的に飛ばす、もしくは熱を放出して停滞させる物だ。ビームガンやドッズライフルは前者、ビームサーベルは後者に入る。因みにレーザーとビームの違いは光子を圧縮するかの違いらしいが、問題はそこにあった。

 それは『光子を圧縮する技術がこの世界にはない、もしくは実現できていない』事にある。元々ビームやレーザーの技術は宇宙での光信号を発展していった結果と言われている。アセムやゼハートがいた世界も増えすぎた人類を宇宙で生活させる為にコロニーやMSの技術が発展していった。MSのビーム兵器は宇宙ではほぼ減衰しない光子を利用した物であり、宇宙と地球とで同性能のビームライフルをちょうど同じ時間で射つと地球の方がすぐに減衰し始める。これも宇宙で生活して居るからという視点からレーザーの技術が活用されたのだ。

 が、この世界はそうではない。勿論宇宙工学等の技術部門はあるだろうが、それも『マナ』の力を使えばどうにでもなる。だからアセム達が居た世界より遥かに劣っている。これもある意味『マナ』の弊害とも言えるだろう。

 話を戻すと、つまり宇宙工学等の技術が発展していないこの世界では未だに小型レーザーを産み出すのがやっとで、ビームなど夢のまた夢。アンジュが居た大国の『ミスルギ皇国』でさえ大型の光子圧縮実験に手間取っているらしいと、彼女の兄が口から漏らしていたそうだ。簡単に言えばこれからビーム兵器は無闇矢鱈には使えなくなるのだ。

「『AGEビルダー』があればそれも簡単に解決するのだが、無いものねだりはできん」

「かといって、地球連邦総司令の貴方からしたら『デバイス』はあるのに使えないという事は避けたいのでは?」

 フリットはその通りとでも言いたげな顔でゼハートを見ている。そこでアセムはふと思い付く。

「ねぇ、父さんってこの『AGEデバイス』を使って『AGE-1』や『AGEビルダー』を造ったんだよね?」

「……それがどうした?言っとくがあれは今は無いコロニー『ミンスリー』で造られた物だ。設計図などもう……」

「残ってないのかな?『AGEデバイス』に『AGEビルダー』の設計図のデータとか」

 アセムが言い出したのはつまり、元々ガンダムの設計図が入っていた『AGEデバイス』から情報を探しだし、見つけてデータを呼び起こしてもう一度『AGEビルダー』をこの世界で造れないかという事だった。

「残念だがアセム、私は『私達の世界』でそれを試したが、戦闘データに埋もれて全く見つけ出せなかった。それどころかそのデータさえも無くなっていたのだ」

「多分それって、データを『ハロ』に移したからデータを圧縮して消去したんだと思う」

「消去されたなら探せないだろ。どうするつもりだ?」

「決まってる。『AGEデバイスのデータ全てをサルベージするんだ』。そうすれば見つけられる筈さ」

「無理だな。『AGEデバイス』は世界に一つしか存在しない。無茶してプログラムを少しでも破壊したらどうなるか分からない」

 フリットは諭すようにアセムへ反対する。が、アセム自身もフリットがそう言うと予想はしている。

「無茶でもしないと、現状は変えられないんじゃないの?何もしないで燻るよりは、一か八かの賭けに出た方が得策に決まってる」

「事は賭けではない。もし万が一があれば『私達の世界』で使い物にならなくなる事だってある」

「ですが、試す価値はあると思います」

「ゼハート君まで言うか」

「敵である私が言うのもなんですが、連邦は『AGEシステム』の恩恵が有ってこそ、我々『ヴェイガン』と渡り合う程の兵器を手に入れられたのでは?」

「む……」

「それに、ビーム兵器は実弾を無力化できる障壁を出せるドラゴンに対して有効だった。ならそれをむざむざと捨てる手はない」

「……だが、サルベージするとしてもだが、プログラム関連の技術者がここには居ないからな」

 フリットは納得はしているようだが、現実的な問題を突き付けてきた。というのもフリットは機械工学専攻、アセムとゼハートはプログラムも齧ってはいるがやはり機械工学の方が専門な訳で、プログラムという電子情報工学のプロはここには居ない。

 アルゼナルにも居るのだろうが、それでもやはりデータを改竄、及び抜き取られる可能性も少なくはない。となると必然的に転移した人間を探せば良いのだろうが、おいそれとそんなのは転がっている訳もない。

「とりあえず、この事は一時的に保留だな。現状では対処のしようがない」

「ですね」

 流石は司令官をしていた二人は同じ結論に出たようで、この話は一時的な保留と相成った。

「それとアセム、お前の機体の改修が終わった。後でシュミレーターでもなんでも、機体に慣れておけ」

「分かった、父さん」

「ゼハート君の機体もだ。可変機能が搭載されるようだから、慣れておかないと痛い目に見るからな」

「分かりました」

 そう言ってフリットは自分の部屋へ戻っていった。アセムとゼハートも自分の部屋に戻ると決め、一緒に部屋へと歩き始めたのだった。

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