「なぁみんな」
俺は焚き火に座りながら他の三人に話しかける。辺りには森のように木々が生い茂り、見えていないが蛇の這う音が聞こえる。
「どうしたアセム?」
「どうかしたんですか?」
「何々~アセム」
三人も焚き火に座りながら至って普通に答える。が、俺は体を細かく震わせながら、
「なんでそんなに普通でいられんだぁぁぁぁ!!!!!!」
俺はキャラじゃないがたまらず叫んだ。すると、
「何叫んでんだよ……」
突如、黒髪の青年が森のなかからスパナを持ちながら食って掛かる。その青年は真紅のように赤い目をしていて、何やら赤い軍服のような物を着ている。
「お前さ、頼むから整備しないなら大人しくしてろよ」
「いやいや、そもそもの発端はお前らだろ!!」
こう言ってても訳が分からないかもしれないので、時を数時間ほど戻す。
俺ら4人は目的の海域に到着すると、ゼハートの機体に搭載されたレーダーを使って島全体を探索していた。
『ゼハートのそれって、結構色々なの探せるんだね~』
『一応、人間からMAまでなら、並大抵のステルスを張ってても分かる代物だ。一度レーダー映れば記録する機能付きだ』
俺はゼハートのその言葉に正直凄いと感心する。『ヴェイガン』の技術力は常に一歩先を行くものが多々ある。今のレーダーや『見えざる傘』のステルス、さらには『Xラウンダー』の育成や強化など様々ある。
実際、俺も一度だけ『Xラウンダー』の力を無理矢理発揮させる『ミューセル』を使ったことがあるが、適性が皆無である俺でさえ数回ほど『先読み』の力を使えた。まぁ、すぐに暴走して父さんや隊長にこっぴどく叱られたけど。
『で、そのレーダーで敵は居たのですか?』
『今データを整理中だ。……巨大生物は居ないな』
「だったら夜営の準備をした方が……!!レーダーに反応!?」
俺はコックピットに示された方向にモニターを開くと、そこには一つの島が映し出されている。何かと思いつつモニターを拡大すると、
「え?」
そこにあったのは白黒灰色のモノトーンカラーであったが確かに巨大な人型に大きな八枚羽の翼を持ったのマシーン、MSの後姿があった。さらに良く見ると、機体の頭部には特徴的なVアンテナとステレオアイがあり、いわゆるそれは
「ガンダム?なのか??」
『どういうことだアセム?アスノ家以外にガンダムを造っている所があるのか?』
『そもそも、なんでMSがここにあるの?』
どうやらゼハートとアンジュも驚いているようで、この中でガンダム関連で一番詳しい俺に聞いてくる。
「そんなはずない。《ガンダム》は父さんしか造ってないし、これも含めて二機しか無いはずだ」
『だとしたら……』
『別の転移者とでも言うのですか?』
ゼハートとアンジュはそろってありえないように聞いてくる。すると今まで喋ってこなかったヴィヴィアンが何かに気づいたように口を開いた。
『アセム、クイズクイズ♪MSの基本的なエネルギーって何だ♪』
「エネルギーって、確か大型のエネルギーバッテリーだったはず……」
『じゃああの機体のエネルギーは何でしょう♪ヒントは爆弾♪』
「『『爆弾?』』」
俺ら三人は訳が分からず頭を抱える。するとアンジュが驚いたように目を見開く。
『まさか……いえ、そんなのありえない』
「どういうことだアンジュ?」
『まさか!!』
ゼハートも驚愕気味に表情を強ばらせる。
『アセム、あれを回収するぞ』
「え?」
『モニターで確認したが、あの機体には《エネルギー補給用のコンセントが無い》』
「そんな……!!」
俺は急いでモニターを開くと、ボヤケててよく分からないが確かにコンセントなどは見やたらなかった。その代わりに上から何か逆三角のような小さな模様が描かれていた。
「じゃあ何で動いてるんだ?無制限に稼働するバッテリーなんて……」
『1つだけある』
俺の言葉をゼハートは遮る。
『それは旧暦の時代、爆弾として大量の人間を殺戮し、エネルギー燃料として使われた物』
「……まさか!!」
『そう、《核》だ。あの機体は《核を動力源》にしているMSなんだ』
核エネルギー……それはエネルギーほぼ無限にを作成する事ができる半永久機関だ。ただし、扱いを間違うと爆弾のように人間を殺しかねない代物だ。そしてあの模様は核搭載を伝えるマーク。つまりは、
「核兵器……MSが?」
『そうとしか考えられない……』
『だけど抑の話、核エンジンなんて作れるの?』
ヴィヴィアンはありえないように聞いてくる。それに答えたのはアンジュだった。
『《ミスルギ皇国》の皇室にあった書物に、昔は《原子力発電》という物があったと書かれていました』
『何それ?』
『簡単に言えば、《核(元素)》を核分裂と核融合を繰り返して電力を確保する方法よ。その原理……特に核融合を上手く使えばできるはず……』
アンジュの説明は正鵠を射ている。『俺達の世界』にも昔は『核融合炉』型のエンジンを使っていたらしいが、爆発の危険性と周辺被害、さらにはそのバッテリータイプとはバカにならない費用が掛かるということで使われなくなった代物だ。だが、その分出力もエネルギーも桁違いに高く、もしも何も知らない人間が扱おう物なら下手すれば死にかけるでは済まされない事態に成りかねない。
ゼハートはつまりそういう事態にならないために、これを捕獲しようという事を言っているのだ。
『じゃあさ、じゃあさ。もしあれを爆破させたらどれくらいの被害が出るの?』
『そうだな、良くてアルゼナル自体が消滅だな』
『下手したら国一つを何も残らない焦土にできます』
ゼハートの言葉にヴィヴィアンは幼い顔を引き攣らせる。一応エース級であるパイロットの彼女にはその言葉で全てを悟ったようだ。
「でもさ、『MS』があるならパイロットもこの島に居るんじゃないか?」
俺の疑問をゼハート達は唖然とした表情で見ている。どうやらその考えは無かったようだ。その時、コックピットにアラートが鳴り響く。
「ロックオンされた!?」
『クッ、各機散開して回避しろ!!』
俺たちはゼハートの言葉を聞き、ロックを外そうと機体を人形にして武器を構えるといきなり5つの光の奔流が機体を襲った。
「な!!」
『ビーム兵器と荷電粒子砲か!?』
俺とゼハートの機体は互いに片手を撃ち抜かれて戦闘不能に陥れられた。が、アンジュとヴィヴィアンは辛くも攻撃を避けていた。
『大丈夫アンジュ!?』
『!!危ない!!』
アンジュは近くに居たヴィヴィアンを蹴飛ばしてどかすと、一瞬で別の『MS』が大剣のような武器を持ってアンジュに迫る。その機体は先程モニターで確認した機体とは違い、紅い大きな翼に大剣と折り畳み式の砲塔を兼ね備えた『ガンダムタイプ』のMSだった。
「2体のガンダム!?」
『このぉ!!』
アンジュは機体から剣を抜くと鍔迫り合いに持ち込んだ。が、やはり機体のサイズ差が出てしまい押され気味になっている。
『ヴィヴィアンはアンジュをサポートしろ!!私たちはもう一機をやる』
『喜んでぇ!!』
『気を付けろ、そいつは核融合炉搭載型かもしれないからな。機体を爆発はさせるな』
『了解ぃ!!』
ゼハートの命令を聞くと、ヴィヴィアンは楽しそうに『レイザー』に搭載された両刃斧を抜いて紅翼のMSに飛んでいった。
「ゼハート!!」
『分かっている!!戦力差は否めないが、やるしかない!!』
俺は機体からビームサーベルを抜き、ゼハートは両腰にある実体剣の片方を抜いた。そして先程のモニターに映っていた機体を確認すると、その機体は先程と違い翼を蒼く染め、白黒に近かったカラーリングが白をベースに間接部等が金色になったトリコロールカラーへ変色していた。
そして八枚の羽を持った翼を広げ、俺やゼハートと同じ高度へ一瞬で飛び上がった。
「さっきと色が違う!?」
『本気と言うわけか……』
目の前のガンダムは両腰からビームサーベルを抜き、俺たちはスラスターを吹き上げて向かっていった。
はい、やっとこさフラグ1つを回収できました。まぁ、無理矢理と言われたらそこまでですけどw
次回は戦闘……ではありません。だってアセムとゼハートじゃあの人には手も足も出せないですので、簡単に結果だけを書きたいと思います。戦闘に期待した方へ先に謝らせて頂きます、スミマセン。
ということで、原作のアンジュ漂流を形を変えて行います。
それと活動報告にアンケートを設置しました。内容は『ミスルギ皇国』の事ですので、よろしくお願いいたします。期限は再来週の日曜日までです。