クロスアンジュ 転移した戦士   作:ドロイデン

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はっきり書きます。色々と盛り込みすぎました……。

そんなこんなで、本編をどうぞ


第二十三話 ミスルギ皇国潜入―兄と妹―

 俺とゼハート、デシルさんとロイさんの四人は近くのコインロッカーに買ったものを押し込むと、急いで暁の御柱へと向かう。

「どうしてアンジュの兄さんは俺たちのことを知っているんだ……」

「分からないが、おそらく我々以外の転移者が近くに居たのかもしれないな」

「近くにって……」

 その時、近くから警報のようなものが鳴り響く。俺は辺りを見渡すと、暁の御柱の屋上から板のようなものがスライドして現れる。

「ありゃ皇族専用のフライトハッチじゃねぇか!!」

 その言葉を裏付けるように、一機のヘリコプターが暁の御柱から離陸し、何処かへと飛び立っていく。と、その時ロイの近くにまた映像通信が現れる。

『こちらはモモカといいます。現在シルヴィア様を乗せてこの区域を離脱しています。できればまだ中にいるジュリオ様を助けていただけないでしょうか!!』

「こちらは日本軍の紅月ロイといいます。現在我々は暁の御柱の入り口付近に居ます。できればジュリオ様の居場所を教えてください」

『ジュリオ様は五階の格納庫に居られます。そこで貴殿方を待っているはずです』

「了解しました。こちらもすぐに向かいますので、そちらは早く離脱して下さい」

 そう言ってロイが回線を切ると、俺らは全速力で走り出す。

「暁の御柱はその性質上エレベータなどが存在しないから、時間との勝負だ」

「しかしまたどうして格納庫などに……普通ならシェルターなどに避難するか、さっきのヘリで逃げればいいものの……」

「とにかく急ぎましょう!!」

 俺はそう言うとスピードをあげ、五分と掛からずに目的のフロアに到着する。

「ロイさん、マナで格納庫の場所は出ますか?」

「今やってる……この奥だ!!」

「!!危ない!!」

 すると何を思ったのか、デシルさんは俺のことを掴んで前に飛んだ。ゼハートもロイさんを掴んで後ろに飛ぶ。

 すると今までいたそこの壁が一瞬にして崩壊した。どうやら攻撃の余波がこちらにも来たらしく、避けてなかったら今ごろ死んでいた。

「あ、ありがとうございます」

「い、いや……体が勝手に動いたから……」

「聞こえるかアセム!!」

 ゼハートの声が聞こえて振り向くと、そこは瓦礫の山が壁となっていた。

「こちらは目的地には進めない!!アセムとデシル兄さんはジュリオ氏を!!」

「分かった!!」

「頼むぜ、こっちもKMFに乗り込んですぐに助けに戻るからよ!!」

 そう言って瓦礫の先から二人の走っていく音が聞こえる。

「アセム……」

「……行きましょう、デシルさん」

 俺たちは急いで走りだし、目的の場所へと向かう。数十メートル走ると、そこにはいかにも重厚そうな扉が鎮座している。

「ここですね……」

「……」

 デシルさんは何も言わずに扉に手を触れる。意外にもマナを使わなくても開く仕組みのようで、ゆっくりとそれは横へ移動していく。

 ある程度開くとデシルさんと共に俺は中へ入る。そこにはいかにも貴族というような姿をした金髪の男がいた。

「あなたが……ジュリオさん……ですか?」

「……そうだ。私の名はジュリオ・飛鳥・ミスルギ、ミスルギ皇国の現皇帝であり、アンジュリーゼの実の兄だ」

 ジュリオはまるで傲慢な王のような口ぶりでそう答えた。その手には何も持たず、無防備という言葉がよく似合うくらいだった。

 だが、俺は自然と右腰から銃を引き抜いた。どうしてかは分からない、だが、抜かなければならないという衝動が起こった。

「実の兄が……なんでアンジュを見捨てるような真似をした……」

「見捨てる?私がかい?」

「兄妹だっていうなら、たとえノーマだろうがなんだろうが、守るべきじゃなかったのか!?」

「そうだな……私の行動は、結果的に見たらアンジュリーゼを見捨てたのかもしれないな。彼女を救おうとした両親とは逆に……」

「く!!」

 俺は銃を構える。この男の言うことに虫酸が走ってくるような感覚が芽生え、それは憎悪にも似た感覚だった。

「だが私は彼女を、アンジュリーゼを守りたかっただけだ。たとえアンジュリーゼに怨まれようと、世界から悪逆皇帝の名を配そうと!!」

「そんなのは詭弁だ!!お前の行動のせいでアンジュは……母親を殺されたんだ!!お前が殺したんだ!!」

「そんなことは当に分かってる!!」

 ジュリオの怒声に驚き、俺は一歩下がってしまった。

「だが私にはもう時間がない……アンジュリーゼを守り続けられる時間も、私という存在が居られる時間も……」

「……ジュリオさん」

「……私にはアンジュリーゼと会う資格はない。だが、アンジュリーゼの……いや、アンジュを守るための力を君に託したい」

 その言葉と共に格納庫内の証明が一気に白く輝いた。そしてジュリオさんの後ろに映る、深紅の機体に目を向けた。

「ガン……ダム……」

「赤い……翼」

「この機体は『ガンダムエピオン』、数年前に私が独自に手に入れ修復した、君たちがつい最近見つけた機体の対になるMSだ」

「な!!」

 ジュリオの言葉に俺は驚愕した。つい最近……それはシンとヴィヴィアンが見つけたという黄色い翼を持つMSの事だ。

「なんで……それを……!!」

「私はこの機体によって未来を見た。そして知ってしまったのだ、君たちの存在やこの世界の未来、さらにはアンジュの未来までも……」

「……」

「私は未来を変えたかった。だが私がいくら頑張っても世界はあの人によって修正される」

「あの人?誰なんだ、そいつは!!」

「その人はこの世界の神であり、君たちをこの世界に呼んだ原因であり、絶対的な王だ」

「絶対的な……王」

 その時、巨大な衝撃が格納庫を襲う。

「く!!ここももう保たないか!!」

「ジュリオさん!!」

「君たちは早く『エピオン』に乗り込め!!私はシェルターに向かう!!」

「でも機体が一つしか……」

「俺が乗る……」

 いつの間に動いていたのか、デシルさんは機体のコックピットへ向かっていた。

「無茶です!!記憶がないのに操縦なんて!!」

「ゼハートは、俺を兄と呼んだ。なら弟ができて兄ができない道理はない」

 そう言って乗り込むと、不馴れながらに機体を動かしてハッチに移動した。

「デシルさん……」

「君はどうする、アセム・アスノ」

「俺は……」

 正直なところ、戦闘に参加したかった。こうしている今もゼハートやシン、キラさんやロイさんはテロリストを相手に戦っているはずだ。それなのに……。

「いつもそうだ。肝心なときになにもできない、卒業式の時も、ウルフ隊長の時も……!!」

「もう一つの機体、あるとしたら君はどうする、アセム・アスノ!!」

「え……」

「これを君に渡そう」

 そう言ってジュリオさんが渡したのは、翠色に光る指輪だった。

「アセムくん、それはこの世界さえも変えてしまうような機体を封印した鍵だ。アンジュのヴィルキスも、君たちが乗ってきたグレイブも、原点はそこにあると言ってもいい」

「ヴィルキスの原点……」

「君は、アンジュを守るための本当の騎士になる勇気はあるか?」

 ジュリオの問いは、まるで騎士団長が見習い騎士に問うような、そんな感じがした。

「……俺にはそんな覚悟をできるほどの実力も、勇気もありません、けど!!」

 俺は彼の目を貫くように見抜く。

「アンジュが助けを求めるなら、俺は自分を殺してでも彼女を守って見せます!!」

「……それでいい、ついてこい!!」

 ジュリオさんが連れてきたのは、格納庫の奥にあった扉だった。

「コード認証、ID『Brunhild』」

 その言葉と共に扉は開く。その中には一つの戦闘機……いや、機体が眠っていた。その姿は飛行時のヴィルキスに良く似たシルエットだが、それは機体全体が火薬庫とでもいうのか、かなりの武装が備え付けられていた。

「機体名は『ブリュンヒルデ』、アンジュのヴィルキスの基になった機体であり、ヴィルキスを本当の意味で『覚醒』させるパーツだ」

「ヴィルキスの覚醒?」

 俺は疑問に思ったが、建物の揺れが激しさを増してきたために聞けなかった。

「く!!」

「アセム、君は早くそれに乗れ!!AGEシステムと私が渡した指輪があれば起動できるはずだ」

「それじゃジュリオさんが!!」

 見たところ、この部屋には格納庫のような別の入り口らしいものは存在しない。そんななかここに銃弾が飛んでくれば確実にアウトだ。

「私には構うな、君はここで死んではならない。だから私は君に、アンジュの友として、仲間としての君に願わせてもらう」

 その時、ジュリオさんの右目が一瞬だが赤くなったように見えた。

「アンジュを……たとえ彼女が一人となって孤立しても、彼女の力になってくれ!!」

 その時、俺の中の何かが組変わっていくのを感じた。だが、それがなんなのかまでは分からなかった。

「……分かりました。アンジュを絶対に守ってみせます、……お義兄さん」

「私は君にお義兄さんなどと言われたくはないがね」

 それを最後に俺は機体に乗り込み、フライトハッチへと機体が移動された。

「……頼んだぞ、私の最後の『王の力』を刻まれた者」

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