クロスアンジュ 転移した戦士   作:ドロイデン

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『AGE』の消失

 A.G.115 アセム・アスノはヴェイガンの旗艦『ダウネス』が地球へ落下するのを防ぐべく、敵であり旧友であったゼハートと共に中枢ブロックのコアを破壊するため、自らの『ガンダムAGE-2DB』へ『ダウネス』に積載されていたコロニーデストロイヤーを運んでいた。それはゼハートの『ゼイドラ』も同じで、敵同士でありながら同じ目的のために進んでいた。

 そしてしばらくゼハートに付いていくと、そこには白い壁と巨大な物体が置かれた部屋に辿り着く。

「これがコアか……」

「ああ、起爆ポイントは指示する」

 ゼハートの指示に従い、アセムは自らのMSを使って二つ持ってきたそれをコアに取りつけ、ゼハートの持ってきたそれと線を繋げる。そして二人はコックピットから出ると、爆弾のカウンターへ降りる。

「……またこんな日が来るなんてな」

「そうだな」

 ゼハートはスイッチを操作しながら呟く。タイマーを300にセットし、アセムはヘルメットを取る。そして互いの顔を見て微笑を浮かべた。

「ずっと戦い続けてきた…ヴェイガンの戦士として。我らの悲願を叶える為に」

 ゼハートはまるで呟くように語りだす。

「だがあっけないものだ。所詮、一人で出来ることなんて、ちっぽけだったよ…」

「…そうでもないさ。救ったじゃないか、多くの人の命を」

「いや、守りたいのは、我らのエデンとなる大地、地球…!」

「地球が、エデン…?」

 アセムは分からなかった。

「エデンを作ると決めた。死病におびえることや、戦争で殺しあうことのない、理想郷だ」

「それがお前の戦う理由か。俺は何故戦っているかも分からず、頭にあるのは、父さんやお前に追い付きたいという嫉妬心だけだったんだ…」

 アセムもヴェイガンの事は少なからず知っていた。火星に住む彼らは、その火星が発生する特殊な電磁波により亡くなっている事を。そんな彼らに比べたらアセムが今まで思っていたことはちっぽけなものだった。

「だがお前はここにいる。守るべきもの達の為に。命を賭けて」

 ゼハートは認めるように語る。

「お前も戦士だ…!」

「戦士…か」

 アセムは微笑む彼に手をさしだす。彼は少し躊躇いを見せたがアセムの顔を見て手を重ねようとした。その時

「!!」

「ゼハート!」

 突然白髪の青年は顔をしかめた。

『ゼハート……お前にはまだやるべきことがある』

「頭に声が……!!」

 その時、アセム達が居た近くの壁が爆発で吹き飛んだ。そこから辺りの空気が流れ出し、一種の突風が起こっていた。

「……外に出られるぞ」

「それって……」

「いいから付いてこい!!」

 二人は慌ててコックピットに戻る。既にタイマーは120を切っていて、爆発は時間の問題だった。

「こんな抜け道があるなんて……」

 アセムは驚いたように呟いているが、内心ではゼハートもこれには驚いていた。司令官としてこの艦の事は頭に入れていたが、こんな物があるとは寝耳に水だった。

 半分ぐらい進んだ辺りで異変は起こった。先程セットしていた時限爆弾が作動し、コアがあった部屋一帯が爆発を起こす。その音はアセム達二人にも聞こえ、二人は今までより早く進む。が、そこでアセムはある違和感を感じ取った。

「なぁゼハート」

「どうした!!」

「爆発の煙とかが後ろから感じないぞ」

「そんなこと……なに?」

 ゼハートは急ブレーキを掛けて後ろを振り向く。アセムの言う通り、爆発特有の煙や爆炎がモニター上でもセンサー上でも感知できない。

「どうなってる…コロニーデストロイヤーが不発したのか?」

「いや、さっき爆弾の起爆音は聞こえたし、不発じゃないと思う……けど」

 アセムは嫌な予感がした。アセムには『Xラウンダー』の力はないが、それでも背筋に悪寒のような物が走る。そしてそれは現実の物となろうとしていた。

「アセム、一回フリット・アスノと回線を開けるか?」

「ディーヴァの回線を使えば……」

「話がしたい。すぐに繋いでくれ」

 アセムは不思議に思ったが、時間が無いためすぐに開こうとする。すると一瞬のうちに回線は『ディーヴァ』へと繋がった。

『アセムか!!一体どうした』

「父さん、そっちから見てこいつは爆発を始めてますか?」

『何を言うかと思ったら…まだ爆発が起こってはいない。あと数分で地球へ落下してしまうぞ』

 アセムは驚いていた。約五分前に爆弾はセットし、ついさっき起爆したはずだ。

「フリット・アスノ、それは本当か?」

『貴様はヴェイガンの…!!』

「ゼハート・ガレットだ。それよりもさっきの質問に答えてもらいたい。その言葉は真実なのか?」

『…本当だ。アセム達が突入してから今まで殆ど目立った変化はなかった』

「そんな!!」

 アセムとゼハートはフリットに先程までの出来事を口早に伝える。すると連邦軍司令官の表情は驚きにしか見えなかった。

『……その話が本当なら少し不味いかもしれないな。私も《AGE-1》ですぐに追う』

「でも父さんの機体は……」

『アセム、『AGE-2』の腕と足を付ければ何とかなるはずだ。既にディケに指示はしてある』

「だが場所はどうするんだ?幾ら貴方でも我々の場所が分からなければ」

『ゼハート君、君も《Xラウンダー》ならわかるはずだ。君の場所はすぐに把握できる』

 フリットは青年二人の言葉をいとも容易く跳ね返し、心配した二人は呆れてしまった。

『兎に角、できるだけ急いでそちらに向かう。二人はそこで待機だ。何か起こったらすぐに連絡しろ』

「り、了解」

 アセムが返事をすると瞬時に回線が切られる。

「……残念だったな」

「何がだよ、ゼハート」

「ロマリーと最後の会話ができなかっただろ?」

「……それはお互い様じゃないのか?」

 ゼハートは珍しくアセムをからかうと、からかわれた当人から跳ね返されてきた。

「それは……まぁ、無くもないが……」

「……やっぱり残念に思ってたんだな」

「当然だ。敵になったとはいえ元クラスメートだぞ、そんな簡単に割りきれる訳がないさ」

 ゼハートは柄になく口が達者になっている事に気付かなかった。それを旧友は分からないわけが無いわけで、

「もしかして……好きなのか?」

「な!!」

 ゼハートは驚いて飛び上がった。が、彼は今ミューセルを着けておらず狭いコックピットに頭をぶつけてしまう。

「だ、大丈夫かゼハート?」

「アセム、この事が片付いたら久々にお前と喧嘩をしたくなった」

「えぇと……とりあえず、後にしよう。な?」

 そうこうしてるうちにフリットが駆る『AGE-1 2N+』はやって来た。

「状況はどうなっている?」

「現在我々が居るこの場から数百の所にこの戦艦『ダウネス』のコアブロックがあり、貴方への通信する数秒前に爆発音を二人とも確認、しかし爆炎も爆煙も出なかった」

「そしてそれを不思議に感じたアセムが君に話すと、君の機体のレーダーでさえ感知してない。更に言えば数キロ離れていた『ディーヴァ』含め残った連邦の艦からも爆発を始めていない」

「父さんはどう思いますか?連邦の司令官として」

 フリットは機体の中で唸ると、

「ここで議論するより、実際にコアブロックへ行った方が早いかもしれんな」

「フリット・アスノ、それは危険だ!!そんなことをすれば私達がここから脱出する事ができなくなるぞ!!」

 ゼハートはフリットの意見を却下する。が、フリットは分かってないとでも言わんばかりに首を横へ振る。

「確かに脱出が不可能になるかもしれない。だが、このままでは地球へ激突するのは時間の問題だ。ヴェイガンもそれだけは避けたいのだろ?」

「それは……」

「それに、何も君やアセムは来なくても構わん。これは年長者の責務のような物だ」

「父さん!!」

 フリットはつまり自分だけがコアを確認し、爆破されてなければ自らの命を掛けて破壊すると言ってるのだ。

「アセム、一応お前は『ダブルバレット』から『ノーマル』にチェンジするんだ。その方がスピードはでる筈だからな」

「……了解」

 アセムとフリットは互いの腕と足のパーツを取り換え、ゼハートはそれを取り付けるのを手伝っていた。その時

「レーダーに反応?場所は…コアブロックだと!!」

 ゼハートが見たレーダーに、何かが現れたことを映し出す。

「急いだ方がいいかもしれんな」

「行こう父さん、ゼハート!!」

「あぁ!!」

 三人はMSのスラスターを吹かせ、一気にその場を駆け抜ける。先程来た道なのに回りは爆発の痕跡すらない。そして三人はコアブロックのすぐ側までやって来た。

「ゼハート、なんかおかしくないか?さっきからレーダーとかの調子が……」

「確かに、ここへ来る途中から機能しなくなっている」

「……二人とも、3カウントで入るぞ」

 フリットとゼハートは年長者でありヴェイガンの人間であるためにドアの真横へ、アセムはフリットの後ろへ付く。

「3……2……1……」

「突入する!!」

 アセム達は一気に中へ踏み込んだ。そして中にあったのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大規模な黒い球体だった。

「何なんだ……これ?」

 アセムは驚き呟く。それは声に出してはいないがフリットとゼハートも同じだった。球体はアセム達が破壊したコアの辺りに鎮座し、黒いと言ったがむしろ闇をも喰らい尽くす無のような色としか見えなかった。

「こんなもの…見たことも無いぞ」

「…!!二人とも、逃げるぞ!!」

 フリットは『Xラウンダー』の力で何かを感じ取ったのか、二人と共に撤退しようとする。が、それは叶わなかった。

 突然球体から異常なほどの突風が巻き起こり、三人の機体を飲み込もうとしたのだ。慌てて機体を吹かしてもと来た道を戻ろうとするが、幾らスラスターを効かせても前に進まず、むしろ吸い込まれそうになっている。

「『ゼイドラ』の加速が効いてないだと!!」

「『AGE-2』のスラスターもダメだ!!」

「もはやどうにもならんか…」

 そして三人は機体ごと球体の中に飲み込まれ、その直後に球体自体も消滅した。

 『ダウネス』はまるで時間が戻ったように爆発を始め、地球への落下は阻止された。だが、それに貢献したアセム、ゼハート、そして地球連邦軍司令官のフリットの行方は不明になった。




えぇと、タグのSEEDDESTINYとマクロスFはまだ転移しません。多分中盤くらいには出すつもりです。
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