「この、このぉ!!」
デシル・ガレットはドラゴンとの戦いに苦戦を強いられていた。記憶が無い彼にとってMSは未知の機体であり、そもそも動かし方すら分からないのだ。
では何故彼は乗ったのか……それは彼自身も分からなかった。だがこの機体が彼にとって何かの切っ掛けになると思ったからだ。
「ちょこまかと!!こっちにはバルカンすら無いのに!!」
操縦桿を握りしめ、少しばかり悪態を着く。乗るとき確認するのをしてなかったのもあるが、どうやらこの『ガンダムエピオン』には射撃武器が全くというほどに存在しない。それこそ自衛用の小型バルカン砲すら着いていない。
あるのは高出力のビームソード1本とヒートウィップの近接武器のみ、はっきり言えば装甲がそれなりに硬くなかったらドラゴンの突進攻撃ですら脅威に思えるほどだ。
「こんの!!」
俺はスラスターを吹かせ、ビームソードの出力を上げる。MS並みのサイズへと変貌したそれや左手のヒートウィップをがむしゃらに振り回すと、その威力と熱線により多数の『インセクト』やドラゴン達が切り裂かれていく。
「おら!!」
ズサッ!!
「おら!!」
バシン!!
「おらぁ!!」
ドガン!!
斬る払う殴ると、エピオンの武器や拳によってドラゴンや『インセクト』を潰していくが、やはり多勢に無勢には変わらず、『インセクト』のミサイルやレーザーが機体の各部を掠る。
「くそ!!次から次へとキリがねぇ!!」
その時、頭の中で何かが過る。それは何となくだったが、ドラゴンの一体が数秒後に突撃してくるという、まるで未来でも見てるような映像だった。
思いきってその数秒後に合わせてビームソードを振ると、あろうことかその映像通りにドラゴンが一体突撃してきて、そしてビームソードの光の刃に真っ二つに両断された。
「今のは……!?」
一瞬の出来事に驚く間もなく、再び映像が脳裏を過る。しかも先ほどよりも鮮明で、かつ長く見える。
「これが……あの人が言ってた……う!!」
その時、今さっきの映像とは違う不思議な感覚がそれを遮る。
『……どうした?そんな大層な機体に乗っておいてよぉ?』
「この声は……一体……」
『ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと体を寄越しやがれ。今のテメェじゃ足手まといなんだよ』
「そういう……訳には」
自分と似たような声が頭痛のように響く。そして声は俺の体を奪おうとさらに不思議な力で俺を蝕む。
「ダメだ!!この体は俺のだ!!誰だか分からない奴に……奪われる訳には!!」
『誰だか分からないねぇ、だが今のお前じゃこの状況で戦い抜ける実力は無い。例え今勝ち残れたとしても、そのうちテメェは死んじまう』
「それでも……俺は、守りたいんだ!!」
『守る?何をだ?』
謎の声は不思議そうに聞き返す。
「この街の人達、アセム君達みんな……そして、彼を」
『彼?』
「彼は俺の事を知っている。記憶の無い俺を『兄』と呼んでくれた。そんな彼を……俺は守りたいんだ!!」
『兄……ねぇ、そんなもんはただの飾りなんだよ!!結局人ってのは嫌なものを切り捨てる!!そいつがテメェを切り捨てないと誰が分かるってんだよ!?』
彼の言葉は正論だ。俺が彼に切り捨てられないという保証は全く無い。もしかしたら捨て駒のように使われるのかもしれない。だけど、
「だけど、俺は彼を守りたい!!言葉だけじゃない、心のどこかで、彼を守るって気持ちがあるんだ!!だから!!」
『…………ケッ、なるほどな。どうやらテメェにもあるみてぇだな、俺と同じ気持ちが……』
謎の声は諦めたように静かに呟く。そして不思議な力とともにどういうわけか視界が移り変わる。
そこには椅子に座って俺を見つめる青年が居た。顔は闇に隠れて見えないが、どこか俺自身に似たような感覚を覚える。
『勘違いするなよ、俺は今でもお前に対する価値は変わってねぇ。臆病者のテメェじゃこの先、絶対に生き残れない』
「……」
『だから、俺自身の力をテメェにくれてやる。俺じゃアイツを……ゼハートを守ってやれねぇ。寧ろアイツから奪っちまうからな』
「後悔してるのか?」
『後悔?ふざけるのも大概にしとけ。俺はあの時一度死んでるんだぜ、それも自業自得で弟にも見捨てられたんだ。だが俺はその生き方に今はそれなりに満足してんだよ』
そういうと青年はそばにあったテーブルの上の、籠に入った林檎を手に掴んで齧りついた。
『だから俺の体を持って、テメェ自身の感情を持ってるテメェに後悔なんて言われたくねぇし、ついでに死なれて欲しくもねぇんだよ。そんなことになったらアイツはまた無理をしちまいそうだからよ』
青年は林檎をテーブルに置くと俺の方に歩いて、そして手を差し出した。その手は俺の肩を掴むと、足元から彼自身が少しずつ消えていく。
『テメェに俺自身の力と記憶を渡してやる。その方がお前自身のためだからよ』
「……そうか、今なら分かる。お前がゼハートの言ってた……『本物のデシル・ガレット』なんだな」
『少し違うぜ?今からはテメェが「本物のデシル・ガレット」だ。その名に恥じねぇ生き方をしやがれよ!!』
その言葉と共に青年は……『本物のデシル・ガレットだった存在』は目の前から消えてなくなった。
そして再び視界が戦場へと切り替わる。先ほどから時間が進んでないのか、視界が変わる前と景色が全然変わらない。現に今もドラゴンと『インセクト』の両方に囲まれている。
「……どうやら、『本物の力』を使うには持って来いのシチュエーションじゃねぇかよ」
俺自身無意識で呟いたその言葉は、ついさっきまでの俺とは違い、荒々しくも狂喜を帯びたそれへと変わっていた。
「さぁいこうぜ『エピオン』!!この俺、『デシル・ガレット』の復活戦、派手に殺らなきゃ楽しくねぇだろ!!」
その言葉と共に、俺は『Xラウンダー』の力を発動、さらにエピオンの特殊装置『エピオンシステム』を最大出力で発動した。
ゼハートside
「!!この感じは!!」
私は今感じた『Xラウンダー』の力に、思わずその原因であろう場所に目を向けた。そこには先ほどとあまり変わらない、ドラゴン達に囲まれた兄さんの『ガンダムエピオン』の姿があった。
『どうしたゼハート?』
「復活してる……あの時の『兄』とは違う……本物の『兄』の能力が……」
『それってまさか!!』
アセムの声には恐れが混じる。だが、それ以上に私の直感が言っている。あの『Xラウンダー』の力は……。
「デシル……兄さん?」
あの日、初めて兄さんの『力』を感じた時と全く変わらない、少し荒々しくも優しさが篭った……そんな感じだった。
デシルside
「行くぜぇ!!」
俺はビームソードを構えてドラゴンの群れに突撃する。ドラゴン達は魔方陣のような物を展開すると一気に雷のような物を放射してくる。が、今の俺の前には全くの無力だ。
『エピオンシステム』……その力は未来や過去を知ることができ、さらには自分自身の性格さえ変えてしまう危険な代物。だがそのシステムは俺に……『デシル・ガレット』にとっては関係なかった。『Xラウンダー』の力の予知能力のおかげか、俺にとっては『Xラウンダーの能力の補助装置』程度になっている。そのため相手の一挙手一投足全てがスローモーションに、かつ持続的に流れてくる。
雷の雨の隙間を掻い潜り、ビームソードで一瞬にして切り裂いて次の敵を見繕う。まるで光の刃を持つ紅い死神が空を舞うというに相応しかった。
「おらおらぁ!!そんなちんけな砲撃じゃ俺に掠り傷も与えられねぇぞ!!」
囲んでいたドラゴンや『インセクト』達を屠り続け、やがて機体は先ほどよりもどす黒い血に染まっていた。
「グァァァァァァァァァァァ!!」
仲間を殺されたのに怒り狂ったのか、碧色の大型のドラゴンがこちらに向かって飛んでくる。その大きさは少なく見繕っても、さっきのピンクドラゴンの3~40体分相応だった。
「は、今さら大型の登場ってかよ!!」
俺にビームソードを構えて碧色の大型に飛んでいく。縦に真っ二つにしようと降り下ろすが、ドラゴンは魔方陣を展開して、それを強固な壁として攻撃を阻む。
「ち、なかなかカテェじゃねぇの!!だが!!」
俺は再びビームソードを上から降り下ろす。ドラゴンはまたもタイミング良く壁を展開しようとするが、頭の角一つと左翅をビームで撃ち抜かれ悲鳴を上げる
「ナイスタイミングだ、ゼハート!!」
俺がそう言って視線を移すと、大型ドラゴンの後には重装甲を纏ったパラメイルがライフルを構えて浮いていた。
『兄さん……記憶が戻ったんですか?』
「少し違うぜ、俺は『本物のデシル・ガレット』の能力と記憶を受け継いだだけだ……ゼハート」
『そうですか……』
それだけ言うとゼハートは回線を切り、機体から大型の実体剣を抜いて先ほどのドラゴンに飛びかかる。
「ってこらゼハート!!俺の得物奪うんじゃねぇ!!」
『そんなことより援護を!!』
「剣しかない機体でどうやって援護しろってんだよ!!あぁ!?」
俺はそういいつつもビームソードを構えてドラゴンに斬りかかる。
「ゼハート!!後ろの翼とか尻尾はくれてやるよ!!」
『そういう兄さんはきちんと頭を落としてくださいよ!!』
『お、おいゼハート!!一応火器管制は俺の仕事なんだけど!!』
『少し黙っていろアセム!!』
「相変わらず仲がよろしい事で!!」
ゼハートは相棒と口論しながらも、ミサイルやらビームライフルやらで的確に翅や尻尾を切り裂き、俺はヒートウィップを折れてない角に巻き付け、一気に近付くと、『エピオン』の腕を使って無理やりにドラゴンの顎を抉じ開ける。そしてビームソードを逆手に持ち直し
「さっきは良くも防いでくれたなぁ?こいつはサービスだ、ってな!!」
勢い良く光の刃を口の中に突っ込んだ。当然、実体を持たない光の剣は容易に貫通し、ドラゴンは浮力を完全に失った事で自らの落下で頭を裂かれ、地上へとその肉体を墜落させた。
それと共に今まで戦っていたドラゴン達が踵を返すように転進し、ゲートが開いて消えていく。戦いが終わった瞬間だった。
「……ゼハート」
『話は後で聞きます。とりあえず…………おかえり、兄さん』
「あぁ……ただいま、ゼハート」
シン「教えて、機体紹介!!」
ヴィ「今回はシンとなんだね。どうしてなのかな?」
シン「どうせ作者の事だから原作の中の人繋がりとか考えてるんじゃないかな?」
ヴィ「中の人?何それ?」
シン「ヴィヴィアンが知らなくて良いことだよ。今回の機体は俺の愛機『デスティニーガンダム』だ」
ヴィ「見た感じ色んな武器がごちゃごちゃしてるけど、どういう機体なの?」
シン「これはザフトが開発した遠、中、近距離の敵とも万能に戦える事をコンセプトにした機体かな。実際、対艦刀である『アロンダイト』や収束ビーム砲を搭載してるからな。キラさんの『Sフリ』みたいな特化型じゃなくて万能機って感じだ」
ヴィ「でもでも、こんなに装備してたらエネルギーが大変なんじゃ……」
シン「うん、実際開発部の人達はどうやったらエネルギー問題解決しようって本気で悩んだくらいだしな」
ヴィ「それにこの対艦刀、なんか何本も無くなったり壊れたりしてそうだよね」
シン「……どうしてヴィヴィアンがそれを知ってるんだよ?」
ヴィ「作者さんが原作の小説貸してくれたんだ~」
シン「ちょ!!待てヴィヴィアン!!まさか本当なのか!!」
ヴィ「ホントだよ~初代ラッキースケベw」
シン「黒歴史開くなぁぁぁぁぁぁ!!」