「パラメイルがほぼ壊滅!!」
意識を取り戻した俺の第一声はそれに尽きた。というのも俺たちが『ミスルギ皇国』にまで出ていってる時に乱闘騒ぎがあったらしく、そのせいで機体の約7割が半壊、もしくは全壊しており、現在は修理の終えた第一中隊しか戦力がないそうだ。
「いったいなんでまた……」
「イタ姫と副隊長のせいだよ」
教えに来てくれたヒルダがイライラした口調で返す。
「アンジュとサリアが?確かにあの二人は関係が良くないし、命令無視が多いアンジュならまだしも、成績優秀で命令絶対のサリアが?」
「まぁ……確かにそりゃアンタだって驚くだろうな。てか、普通にうちらも驚いたし」
(言えねぇ……実はその前にもあの二人がお前の部屋に無断侵入して服とかを漁ってたなんて、絶対に言えねぇ)
ヒルダは頬をひきつらせ、どこか悲しいことを思い出すような顔でそう言った。
「ともかく、今の戦力は私ら第一中隊の八機、アセム達MSが六機、ついでに改造パラメイルが二機の計十六機だけだ」
「あれ?第一中隊の機体って九機だったような……」
「あぁ、ミランダのことか。あいつの機体はアンジュにダルマにされてミランダ自身は生き残ったが、機体の方は海の中だよ。最近じゃそのせいでミランダは酒浸りの毎日さ」
「酒浸りって、ミランダはまだ未成年じゃ?」
俺の記憶が確かならミランダはまだ十四、五歳ぐらいだったはずで、お酒なんて飲んでいい筈がない。
「何言ってやがる。ここは『ノーマ』の監獄『アルゼナル』だぞ?人間の法律なんか一切受けないし、金さえあれば食料だろうが服だろうが、それこそ酒だろうが大丈夫なんだよ」
「はぁ…………」
「まぁお前の親父さん……フリット技術顧問もお前と同じ反応してたけどな」
とその時、見計らったように部屋の中に通信が入る。
『第一中隊のメイルライダー及びMSパイロット各員に継ぐ。アルゼナルに対して着陸許可を求めるシャトルが30分後に到着する。よってこれより速やかに司令室へと集合せよ』
それだけ言うと通信は途切れ、俺は座っていたベッドから腰をあげる。
「仕方ない……か、行くかヒルダ」
「まぁどのみち行く場所は同じなんだ。遅れてきて罰金なんて洒落にもならねぇしな」
こうして俺とヒルダは少し早足で部屋から出るのだった。
……その頃
「「は!!アセムが雌豚と一緒に歩いてる気がする!!」」
「……お前ら、一体何を言っている?」
元皇女と副隊長の二人が『Xラウンダー』よろしく、何かのセンサーに反応してたのを、近くにいたヴェイガンの司令官がジト目で見ていた。
「集合ご苦労」
俺達が司令室に入ると既にアンジュとサリア、ゼハートとデシル以外の面々が集まっていた。俺とヒルダはとりあえず近くに寄ると再びドアが開き、今いなかった四人が姿を現す。
「「……」」ジーーーー
うち二人の少女は隣に居るヒルダに向かって何やら黒い笑みと視線を送っている。
「二人とも、別に後で何をしようが構わないがこちらに集中しろ」
「……イエス、マム」
「……分かってるわよ」
ジル司令の言葉に不満げながらも二人は頷く。
「ではこれよりブリーフィングを始める。まず今回はだが、通信でも言った通り、このアルゼナルに対して着陸及び上陸許可を求めてきている。しかもどういうわけか公式な手続きをして、だ」
「?それなら別に良いんじゃ」
「アセム、ここはノーマの監獄でドラゴン退治の最前線だ。そんなところに態々マナが、それも許可を得て来ているんだ。何かしらの罠があってもおかしくはない」
ゼハートのその言葉になるほど、と納得する。
「相手からの通信によれば護衛の機体が一機いるのだが、来る道中に『インセクト』やドラゴンと何度か交戦したらしく、今襲われたら確実に落とされるという話だ」
「ふーん……で、そのシャトルに乗ってる酔狂なマナってのは誰なのよ」
アンジュはイライラとしながら吐き捨てる。それを見てジルは苦笑いを浮かべる。
「アンジュ、どうやらアセム達から聞いてないらしいな」
「は?どういうことよアセム」
「……俺達が『ミスルギ皇国』に着いて買い物をしてたとき、政権に対するテロリズムがありました」
「え!?」
アンジュはあり得ないというような面持ちで目を見開く。
「何とかエインさん達のお陰でテロリスト達は撃退したけど……」
「ちょっと待って!!テロが起きた?それをエイン達が助けた?それってどういうことよ」
「そりゃ、そのままの意味ですよ。アンジュリーゼ皇女殿下」
その言葉と共に入ってきたのは、親衛隊の制服を身に纏ったエインさんとセレンさんで、それに対してアンジュは驚愕している。
「お久しぶりですアンジュリーゼ様、エイン・志那都・バザット、アンジュリーゼ様を守護するため、再び推参したに次第です」
「同じく、セレン・ティエルヴァ……お久しぶりです、アンジュリーゼ様」
「ほ、本物?な、何で……」
アンジュは何がどうなっているのか分からず、頭を混乱させている。
「アンジュリーゼ様、私達親衛隊は常にアンジュリーゼ様と共にあります。あなた様がノーマであろうとマナであろうと、そんなことは些細なこと。ですがそのために私達は…………」
「……まさかエイン、あなた」
「そのまさかだよ。そこのエインって小僧とその配下三人の少女はお前を助けようとテロリストに身を落としてたのさ。まぁどうやら、色々あって今は『黒の騎士団』所属扱いになってるがな」
ジル司令の言葉にアンジュは目を細める。
「……なんで」
「すべてはアンジュリーゼ様と、私の誇りのためです」
アンジュの呆然とした問いに、エインは間髪入れずに答える。
「私は幼少の頃からアンジュリーゼ様をお慕いしておりました。そして私が貴女の親衛隊隊長に任命された時、私は自身の胸に誓ったのです。何があってもこの命、そして我が全てをアンジュリーゼ様へと捧ぐ、と」
「…………じゃあなんで……なんであの時お母様を助けられなかったの!!」
怒りを吐き出すかのようなアンジュの声は、顔は、涙で歪んでいた。
「私の事はどうでもよかった!!所詮第一皇女なだけで政治で長になることなんてあり得ない、脚が悪いとはいえ妹も……シルヴィアも皇女、私が居なくなってもあの娘が私に代わって第一皇女になればよかった!!けどお母様は……例えどんなに私が生きようと、お母様が生きてなかったらシルヴィアは何を頼りにすれば良いのよ!!」
パチン!!
突然アンジュの顔に強烈な平手打ちが飛び出す。それは、今まで黙っていたヒルダだった。
ヒルダの顔はアンジュ以上の怒りに燃えており、その目にはどういうわけか涙が浮かんでいる。
「ッ!!何すんのよ!!」
「イタ姫……アンタ、今何言ってるのか分かってるのか?」
「はぁ?」
「アンタはその妹……シルヴィアだかなんだか知らねぇけどな、アンタはソイツのことを信頼してるのか?」
「アンタに何が分かるのよ!!シルヴィアは私にとって全てだった……このくそったれな場所で、唯一、血の繋がった実の妹シルヴィアを忘れた事は「分かってねぇのはアンタだよイタ姫!!」な!!」
ヒルダは尚もアンジュに対して食い下がる。
「アンタがその妹や母親に対して抱いてるのは信頼じゃねぇ、ただの依存心なんだよ!!忘れた事はない?頼りにする?そんなのはアンタだけじゃねぇんだよ!!アタシだって物心ついた頃はママと一緒に暮らしてた。アタシもアンタと同じでママの事を忘れた事は一度たりともない!!けどね、アタシはここに来て今では良かったって思ってる、ママには会いたいけど、会えない分、ドラゴンと戦うことで直接じゃないけどママを守れると思ってるからさ」
けど、とヒルダは続ける。さらにアンジュの襟を一気に掴み上げる。
「アンタは何様なんだ!!そりゃアンタの気持ちも分からない訳じゃないさ、けど、アンタは誓ったんじゃねぇのか!!自分の守りたいものの為に戦うんだって!!ココの墓の前で誓ったんじゃねぇのかよ!!」
「な、なんでその事を」
「んな事はどうでも良い!!どうなんだイタ姫……いや、アンジュ!!」
アンジュを掴む手がさらに強くなる。
「私は……シルヴィアを守らなきゃいけないのよ……私は……私のせいでシルヴィアは……」
「あぁ?」
それだけ呟くとアンジュは無理矢理にヒルダの手を撥ね退け、司令室から走り去った。
「チッ……なんなんだよ、あのイタ姫」
「ヒルダさん、アンジュリーゼ様を許してあげてください。あの人にとって……シルヴィア様は贖罪なのですから」
「はぁ!?」
そこからエインは語り出す。アンジュの過去を、そして、シルヴィアという少女の事を……。
ク「教えて……機体紹介……」
ロ「クリス、なんかお前の言い方不気味だぞ」
ク「エルシャのプロレスを受けたからかな……、こんな風にしか喋れないんだよ」
ロ「あぁ……それは……確かにな」
ク「仕方ないからちゃっちゃと済まそう……今回は私達二人が乗る『ハウザー』だよ」
ロ「パラメイルの中だと一番の重量級で、主に支援砲撃や大型ドラゴンとの戦いをメインにした機体だ!!」
ク「でもその分、一回一回の稼ぎは『グレイブ』や『アーキバス』を乗る奴より少ないから、中々思うようにカスタマイズ出来ないって嘆くのも多い」
ロ「……しかし今更だけど、原作で量産機で機体が変わってないのって私の『グレイブ』だけなんだよな……」
ク「?それがどうしたの?」
ロ「別に機体に愛着あるから良いんだけどよ……エース除いてサリアもエルシャも、ついでにクリスも機体を変えてるからよ……」
ク「つまり?」
ロ「ある意味、この作品で一番影薄いのって私なんじゃねぇかな……」
ク「大丈夫、そんなマイナスオーラ状態のロザリーを、私は精一杯応援する」
ロ「……ありがとよ」