「無理だな」
キッパリと親友にして好敵手でもあるゼハートに断言され、俺とシンはいきなりガクリと肩を落とす。
「なんでだよ。俺達全員で換算すれば一個小隊どころか一個中隊の数と同等だろ?」
「数的な問題ならばな、だが質と能力に問題がある」
「質と能力?どういうことだゼハート?」
俺は意味が分からずに聞き返す。
「まず我々転移組の機体の共通するスペックだが、兄さんの『エピオン』を除いて、基本的にビーム射撃兵装、ビームサーベル、そして自衛用の頭部及び胸部マシンガンのいずれか二つは所持している。さらに装甲もそれなりに厚い。
だがこの世界のパラメイルは実弾銃に実体剣、装甲も射たれたらすぐにでも落ちそうな程薄い。速度も、変形状態の『AGE-2PF ストライダーモード』やアルトの『デュランダル』は勿論、キラやシンの『フリーダム』と『デスティニー』にさえ劣る。これが質の問題だ」
ゼハートは長々と、しかし分かりやすく教えてくれる。
「そして能力、これは言ってしまえば個性と言って良い。パラメイルは一応多種多様にカスタマイズはできるが、それは結局のところライフルやフレームといった部分だけ、これといって特殊な装備が存在しない。
それに対して俺達の機体、まずアルトの『デュランダル』は変形の形態が3種類であり、特殊なマニューバを使った高機動戦闘が出来る点、これはアセムが同じ変形するMSに乗ってるとはいえ、同じ行動はほぼ不可能だろう」
「まあ、そりゃ俺だって使いこなすまで大変だったからな……」
「次にキラさんの『フリーダム』はあそこまで密度の濃い火線兵器を内蔵していて、さらに話によればあの翼の部分をパージして独立兵装として運用できる点だな。
そしてシンの『デスティニー』は遠・中・近どれにでも対応できる武装と、ミスルギ皇国でも使っていた対レーザー用のジャミング装置と機動性による急接近からの一撃離脱など、様々な戦局に合わせて戦略を変えられるのが強みだ」
「……おれ、そこまでスペックデータ開示してないんだけどな」
「機体の整備に何度か立ち合えば分かるさ。そしてアセムの『AGE-2』はシステムによる自己進化によって、OSや機体自体が進歩するという所だろう。こちらも換装して戦局に合わせて戦略を変えられるという利点もある」
「まぁそれでも、多分実力はこの中じゃ下なんだろうけどな」
俺は仕方ないように言ってしまう。キラさんやシンは戦いながらでも相手の武器やレーダーだけを破壊することができるほどだし、アルトほどの高速三次元立体機動もできない、ゼハートや父さんみたいに指揮官やXラウンダーとして優れてる訳でもないし。
「いや、アセムは寧ろ俺と同等レベルの実力はあるはずだぞ」
「結局戦って一度も勝ててないなら信用できるかよ……」
「謙遜するな、兄さんを倒せるほどの実力を持っているんだ。それもXラウンダーの素質抜きでだ。それは誇れることだろう」
ゼハートはそういうが、個人的にはあんまり実感が浮かばない。
「まぁ話を戻すが、俺とフリットさんの機体を除いて、それぞれが一騎当千レベルに高性能な機体に乗っているからな。能力が高すぎて、一つに纏めたらかえって戦力ダウンに繋がりかねない」
なるほどとその場にいた全員が納得する。すると、
「……だったら第一中隊とお前らを足して割ればいいんじゃねぇか?」
そう言ったのはまさかのヒルダだった。どうやら俺達の話を聞いていたらしく、手元には空になった昼食のトレーを持っていた。
「……一応聞くが、それにどんなメリットがある」
「まずメイルライダーの死亡率が減るだろうな。お前たち手練れのパイロットとチームを組めば、少なからずフォーメーションも安全になるしな。それがまず一つ。
あとは、現状アンジュとサリアのせいで、第二から第四中隊までが全く動く事ができねぇ。動けるのはウチラ第一中隊と転移組、あと最近来た騎士組の合計20機前後、はっきりいって毎日のように出撃してたら、キャッシュ以上に体が保たなくなる」
「ミックスすれば、メイルライダーもMSも半分の出撃ですむ上に、修理する面々もそれなりに負担が減るだろうからな」
ゼハートは納得するように頷く。
「そういうこった。まぁ決めるのはお前らだから、全員で話し合って決めるこったな」
「……ダメだよ、ちゃんと自分が思ってることを伝えないと」
「うわ!!」
突然後ろから現れたキラさんにヒルダさんは慌てて食器を落としそうになった。
「て、テメェキラ!!いったいどこから現れ出やがった!!」
「嫌だな~、今さっき来たばかりなのに。それにヒルダだってミックスされるのを望んでる筈でしょ?」
「よ、余計なお世話だ!!」
ヒルダはまるで膨れた子供のように顔を赤くしてそっぽを向く。
「ミックスになればデシルと一緒になれるからね、もしかしたら期待できるかも」
「そ、そそ、そんなつもりねぇし!!よ、余計な勘繰りはやめろって!!」
(((隠せてないぞ……)))
どうやらヒルダはデシルを恋愛感情で見てたらしい事がここで判明した。うん、凄い違和感が……
「兄さん……だと!?」
「そしてお前は何故にそこまで驚く……軽く失礼じゃないのか?」
「いや、あの礼儀知らずで傍若無人な兄さんを好きになる要素が何処にあると思ってだな……普通ならまずあり得ん」
~~~~~~~
「へ、へっくしゅん!!」
「む?どうしたデシル、珍しくくしゃみなどして」
「いやよ、誰かが俺のことを失礼に言ってる気がしてな……」
「気のせいだろ。それよりアセム達が持ち帰ってきたMSの修復が大変なんだから、リンゴなど食べとらんでちゃっちゃと動け、莫迦者」
「へいへい」
~~~~~~~
「それで、どうしてヒルダはデシルさんのことを?」
「いや、それは……な、何となく初めて見たときにカッコイイって……」
まさかの一目惚れであった。これには一同何も言えない。
「それに話してみたらさ、なんか話が合って、好物も合って……なんていうか……その……」
「つまり知らぬがうちに好きになってた、と」
ヒルダはその言葉にコクリと頷く。その姿はいつもの高圧的な女王様なそれではなく、正しく恋に悩む少女のそれに合致していた。
「……ちょっと待て、いったい第一中隊の何人が陥落してるんだ」
「う~ん、四人は確定じゃないかな?第一中隊除けばもっと居るかもしれないけど」
「…………」
ゼハートはその言葉を聞いた途端に無言になった。そして、
「はぁ……胃薬買いにいくか……」
現実逃避宜しくその場から去っていくのだった。
アセ「教えて、機体紹介~」
ゼハ「まさか二週目が来るとは思ってもみなかったな。」
アセ「確かにな。それじゃ今日紹介するのは『紅蓮聖天双極式』!!」
ゼハ「確かミスルギ皇国の時にシナノが乗っていた機体だな」
アセ「そう。両手が鉤爪状のクローユニットになっていて、それから繰り出される格闘や、掴まれた後の輻射波動の威力は天下一品。原作の約15%程出力が上がってるらしいよ」
ゼハ「あのハーケンも凄いものだな。俺の『ゼフィルス』にも輻射波動を組み込もうかな……」
アセ「やめとけゼハート」
ゼハ「なんでだ?」
アセ「そもそも宇宙じゃ使えない……」
ゼハ「oh……Jesus……」