「ではこれより、アルゼナル内現状戦力での戦力分担を発表する」
あれから数日が経って、父さんから突然ブリーフィングルームに全員が集められたかと思うと、突然そんなことをいい始めた。俺の後ろにはエインさんやセレンさんの二人もいる。
「えっと、フリット技術顧問?まず質問よろしいですか?」
「ム?なんだい、サリア第一中隊副隊長?」
「いったいなぜこんな状況でそんなことを?今のままでも充分に機能しているのでは?」
「それにゼハートも言ってたが、MSとパラメイルじゃあ基本スペックが違いすぎるんだろ?そんなので混合編成なんかしたら大変なことになるぜ?」
ヒルダもゼハートが言っていた事を覚えていたようで、父さんの言葉に疑問を持っている。
「ヒルダくん。確かに君が指摘した通りパラメイルとMSではスペック差があるのは否めない。それは認めよう」
「だったら……」
「だが、MSにはMSの長所があるように、パラメイルにはパラメイルの長所がある。それは、物資面だ」
そういうと父さんはブリーフィング用のスクリーンにある映像を写し出した。それは『グレイブ』、『鬼灯』、『AGE-1G』の三機のそれぞれのスペックデータの詳細だった。
「まず我々転移組の機体は、ゼハートが語ったかもしれないが質を重視した機体ばかりだ。だが当然、質が高ければ高いほど、維持コストは跳ね上がり、『ノーメイクグレイブ』約7体相当の費用と時間がかかる。逆にパラメイルは質こそそこまでではないが、それでも替えが効く。いわば質より量が利点なわけだ。エインくんが乗っていた『鬼灯』やセレンくんが乗っていた『疾風』は、我々ほどでは無いにしろ、それぞれに特殊なパーツや装甲材を使っているものの、本のベースはパラメイルだ、どれもこれも我々と違って輸入さえすれば替えが効く。」
「それは分かりますが、いったい何故このタイミングで」
「それはサリア、君とゾーラが一番分かっているのではないかね?」
「!?」
父さんのその言葉に、サリアははっと息を飲む。
「父さん、それっていったい?」
「アセム、お前ここ最近の稼ぎの額を覚えているか?」
「えっと……150万ぐらいだったかな……」
「アンジュ、君は?」
「え、……確か300万だったかしら?」
「アセム、これがどういうことか分かるか?」
父さんは当然のように聞いてくる。
「えっと……機体の修理費が嵩んでる……ってこと?」
「そうだ。アセムとアンジュのドラゴンの撃破数はほぼ変わらん。が、なのに半分まで減るのは、機体の損耗した際の装甲材となる素材が少ないのが原因だ。現在はパラメイルの装甲材を流用してるものの、それでもかなりの量を使ってるから、収支としてはマイナスなんだ」
父さんが言うのはつまり、最先端技術をふんだんに使いすぎてるせいで、むしろ機体の修復費用が追い付かないということらしい。
「まぁキラのように全部の攻撃を避ける……なんてことをすれば話は別だが、そんな技術があったら苦労はしない。そこで、費用を一気に使わないように、分担するというわけだ」
「…………この事を司令は」
「当然報告してある。ではまずはAチーム、アセム、キラ、デシル、アンジュ、ヒルダ、クリス、サリア、エルシャ、ナオミの9名。チームリーダーはサリア、サブはキラに担当してもらう」
「えっと……前衛がデシル、アンジュ、ヒルダの三人、中衛がアセム、ナオミの二人、そして後衛が私、クリス、エルシャ、キラの四人という感じで良いんですか?」
サリアは今聞いた情報から最善の陣形を口にする。
「そこは今後の訓練次第というものだ。次にBチーム、ゼハート、シン、アルト、ゾーラ、ヴィヴィアン、ロザリー、ミランダ、エイン、セレンの9名。隊長はゼハート、サブにはゾーラを」
「ちょっと待ってくれ。チーム編成はともかく、どうしてアタシがゼハートのサブに?今まで通りアタシが隊長でも」
「ゾーラ、確かに君のパイロットとしての経験は熟練のそれだ。だが、それが逆にこのチーム編成でサブにせざるを得ない状況に繋がったんだ」
父さんの言葉にゾーラさんは意味がわからないように首を傾げる。
「Aチームはメンバー同士のコンビネーションを、Bチームの面々は個々のスキルを中心として編成したつもりだ。そしてそのBチームの中で、隊長クラスの状況判断ができるのはゼハート、ゾーラ、そしてエインの三人だった。その中でも、エインはこの中でパイロットとしては、言ってしまうとまだ新米に近い。ゾーラ、君を隊長にしても良かったのだが、そうした場合ある問題が生まれる」
「問題?」
「ゾーラ、君は大型ドラゴンや希少種との戦闘では自分がトドメを指したがる。そうしたとき、隊長命令で援護できず死にましたなんていう笑えない事になっては一大事なんだ」
「!!」
父さんの言葉に、ゾーラは不意に自信の右目に手を当てる。
「だからゾーラ、君の長年の隊長としてのプライドをへし折るようで済まない。だが、機体は直すことができても人の命は治せないんだ…………分かってくれ」
「…………了解」
ゾーラは渋々という表情だったが、しかし確実に認めてくれた。
「さて、では今日の会議はここまでにする。各自、チームメンバー間での戦闘での流れを確認しておくように!!」
「「「yes sir!!」」」
次回はAチームメンバー間のミーティングです