異次元からの超常物品記録 作:一般通過読者
アイテム番号: SCP-038-CO
オブジェクトクラス:Keter
特別収容プロトコル:SCP-038-COの培養個体(以下SCP-038-CO-a)はサイトー■■の高圧対食水槽内で隔離されています。水槽内は発見地点である■■市沖の深海環境が再現されています。実験はO5評議会の許可を得たうえで、摂食対象となる生物試料は全て事前に無菌処理を施し、精密管理下に置く必要があります。実験後は必ず滅菌処理を行ってください。
■■市周辺で極端に栄養や味が向上した食品、或いは異常な捕食性を持った生物が確認された場合は即座に捕獲し、調査の上SCP-038-COとの関連性が確認された段階で焼却処理されます。
説明:SCP-038-COはSCP-038-CO-aから採取される細胞構造体です。SCP-038-CO-aは黄色に発光する巨大なクラゲであり、触手が切断されても時間経過によって再生する能力を有します。
SCP-038-COは未知の分子によって構成されており、これが細胞と結合すると著しい代謝効率の上昇を引き起こし、通常の数十倍の速度で細胞分裂が行われます。この時に培地のアミノ酸組成によっては細胞の形質が変化することが確認されています。
研究の結果SCP-038-COは摂取した有機物の味覚刺激・栄養価・快楽刺激等を元に独自の進化を引き起こすことが分かっています。この独自の進化の中にはSCP-038-COが融合した生物が被食者としてに異常に適した形になる場合も含まれています。
実験記録抜粋:SCP-038-COが融合した生物の進化について
| 被験体 | 実験結果 |
|---|---|
| 実験用ラット | 体毛がフライドポテトに変化。味は適度な塩味とホクホクした食感を持つようになった |
| バナナの果樹 | きゅうりのように異常に水分を蓄えるように変化。栄養価はバナナ以上になり、みずみずしい甘さを持つようになった |
| バラムツ | バラムツに含まれるワックスエステルが香気化合物へと変化。原種のように消化できないわけではなく、薔薇のような香りと大トロのような風味が合わさった味へと変化した |
現在SCP-038-COのオブジェクトクラスがKeterに設定されているのは、SCP-038-COが既に海域の生態系に定着した恐れがあるためです。元々SCP-001-COには「グルメ細胞」としか記載されておらず、単細胞生物の一種であると推定されていたため、SCP-038-CO-aの発見に遅れが生じました。発見時既にSCP-038-CO-aの触手は何本か欠損状態であり、現地生物に捕食されたと考えられます。それを裏付けるように■■市では近年特異な進化を遂げた深海魚が何例か発見され、さらにプランクトン群からはSCP-038-CO由来のDNAが検出されており、食物連鎖を通して既に汚染は海域全体に広まっていると考えられます。SCP-038-COの影響下にある生物は質の良い食事がそのまま身体能力の向上に直結する上、美味な生物程強靭であり、今後も生態系における食物連鎖の混沌化が懸念されています。
SCP-038-COの影響下にある生物を全て収容することは事実上不可能であり、現在は財団の管理下にある漁業組織による定期的な個体削減作戦を行うに留まっています。
補遺
担当研究員であった■■博士は、SCP-038-COが投与された試料を実験の枠組みを超えて私的に摂取していたことが判明しました。発覚後の身体検査の結果、博士の肉体にもSCP-038-COが含まれており、筋肉量が約2倍に増加し、一日の消費カロリーも数倍に増加しています。
実験記録で見られるような被食者的な進化などは見られませんが、身体能力は飛躍的に向上しています。博士には強い摂食欲求がみられ、人体に対するSCP-038-COの影響分析のため経過観察中です。
同様の進化が■■市の海域で行われているとするならば、危険生物の増加、食文化への侵食、そして最悪の場合、食品が原因で第三次世界大戦が引き起こされる懸念すら存在し、SCP-038-COの危険性がより強調される事例となりました。