とある科学のシェルブリット   作:ラグーン

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キリが良いのでこれで一話を投下します。次がね、次が2人のどんな風に出会ったのかを詳しく書くからね……。

あっ、この上条さんはまだ記憶なくしてないです。つまり禁書目録とはまだ出会っていません!彼女もおいおい出したいよね、おいおいね…。




第壱話 カズマと当麻

 

 

「うーいーはーるー!!」

 

「きゃあぁぁ!?」

 

「ほほーう……今日は水玉かぁー!」

 

 会社へと出勤、学校へと登校している、そんなとある通学路で2人の中学生がじゃれあっていた。

 柵川中学へと通学していた佐天涙子は、頭の上に髪飾りがトレンドマークの親友、初春飾利を見つけると、背後から近づいて挨拶がわりに彼女のスカートを捲り上げた。

 まだ朝で、しかもここは通学路。当然スカートの中身を目撃してしまう人はいるわけで、周りは慌てて視線をズラした。

 

「さ、佐天さん!?やめてくださいよぉ!?」

 

「あははは!ごめんね!おはよう、初春ー!」

 

「もうっ……!……おはようございます、佐天さん」

 

 公衆の場で下着を晒した恥ずかしさで涙目だった初春だったが、親友の佐天がごめんねーと両手を合わせて謝ればすんなりと許した。

 

「今日はとても上機嫌ですけど、いいことでもあったんですか?」

 

「さっすがー!あたしのことを一番理解してる初春だ!」

 

 初春のスカート捲りをされる日は、大体は佐天が上機嫌な日だと相場が決まっている。

 親友が自分のことを理解しているのを嬉しそうに笑い、上機嫌であるその理由を話し始める。

 

「数日前にあたしを助けたくれた人を、昨日偶然会ったんだー!」

 

「たしか風紀委員(ジャッジメント)が駆けつけたら逃げた人でしたよね?」

 

「そうそう!お礼を言う前に走り去っていった人!」

 

 数日前に佐天はある騒動に巻き込まれた。

 クラスメイトと遊ぶ約束をしていた佐天は待ち合わせ場所で1人待っているとガラの悪い数人の男に囲まれたのだ。

 ガラの悪い数人の男に囲まれるなんて経験もなく、まだ中学生である彼女が怯えていたところに、ある1人の男性が割り込んで助けてくれたと。

 風紀委員(ジャッジメント)の1人である初春は親友の一大事を聞き、慌てて現場に向かったが、何事もなかったかのように元気にしていた彼女を見て安堵したのをハッキリ覚えている。

 

「どんな人だったんですか?」

 

 名前も名乗らずにお礼を言う暇もなく走り去ったと佐天は語った。

 隣にいる親友を助けてくれた人がどんな人物だったのか、初春は好奇心に駆られて尋ねた。

 

「一言で説明するなら……不良?」

 

「えっ?」

 

 佐天が顎に手を添えて悩んだ末に出てきた言葉に初春は固まる。

 不良、それはつまり数日前に彼女を囲んだ人たちと同類のカテゴリーに入るだろう。そんな人物と佐天は出会ったと言っていた。

 さっと顔を青ざめて初春は佐天へと詰め寄り、彼女の両肩を掴む。

 

「さ、さ、さ、佐天さん!?な、な、なにかされなかったですか!?大丈夫ですか!?」

 

「あははは!初春は過保護だねー!あの人はこの前の人たちとは違うよ?口は悪かったけど、お礼はいらないって門前払いもされたし」

 

「……本当になにもなかったんですね?」

 

「うん。最後に自動販売機で一緒にお汁粉飲んだくらい」

 

「親しくなってるじゃないですか!?」

 

「あはははは!なんと連絡先もゲットだぜ!」

 

「佐天さーん!?」

 

 連絡先まで手に入れたと聞いた初春は悲鳴を上げるが、そんな彼女のリアクションが面白くて佐天は面白いなーと楽しそうに笑う。

 佐天が好奇心旺盛なのは初春はよーく理解しているが、その性格を今回はっきりするのは予想外だった。

 

「その人はどんな人だったんですか!?特徴があれば教えてください!」

 

「特徴?えーと……目つきが悪くて、猫背で——

 

 初春にその人物の特徴を教えて欲しいと言われれば、佐天は昨日に出会った彼の特徴を並べていると———

 

「——今日は朝一から叫びやがって!近所迷惑なんだよ!?」

 

「——上条さんだって叫びたくなる日だってあるんですぅ!」

 

「それで起こされるオレの身にもなってみろ!?こちとら寝不足なんだよ!」

 

「寝不足については無関係だろ!?というかまたサボる気だったな!?小萌先生がそろそろ泣くし、黄泉川先生に至っては寮に押しかける気満々だからな!」

 

「なんで黄泉川が出てくるんだよっ!?アイツは体育教師で生徒指導じゃねえだろっ!?」

 

 佐天と初春の前方にギャーギャーと言い合っている2人組の男子高校生が居た。

 佐天の視線は聞き慣れた声へと向かう。彼女には視界にはツンツン頭の高校生とその隣には現在彼女たちの話題になっている人物。

 さっきまで特徴を話していた親友が不自然に口が止まったことに、初春は不思議そうに首を傾げ、彼女のその視線の先を追いかける。

 

「——-かーずーまーさーん!」

 

「さ、さ、佐天さんー!?」

 

「あん?……うげっ」

 

「うん?」

 

 佐天はその高校生2人組の1人、カズマの名前を大声で呼んだ。突然と人の名前を呼んだ親友に初春は本日2度目の絶叫。

 隣の友人と口論をしていたカズマは己の名前を呼んだ方へと身体を振り向けば、大きく手を振っている佐天の姿を見て顔を顰めた。

 あわあわとしている親友の腕を引っ張りながら佐天はカズマとその友人の元へと近づいていく。

 

「おはようございまーす!昨日ぶりですね!」

 

「……なんでいんの?」

 

「それは通学路ですからね!」

 

 カズマの疑問をふふんっと得意げな顔で答えた佐天をみて、カズマは大きく両肩を落とす。

 昨日の自動販売機で別れて、佐天涙子とは滅多に会わないだろうと鷹を括っていたのを、たったの一日で粉々に打ち砕かれた。

 最も連絡先を交換した時点で縁が切れるのはほぼ不可能だったりするのだが。

 

「あっ、この子は昨日話した親友の初春です!」

 

「ああ……昨日騒がしいのが取り柄だって言ったやつ?」

 

「はい!あたしの大切の親友なんですよー!」

 

「ど、どんなお話をしたんですかっ!?」

 

「……仲良いならいいんじゃねえの?」

 

 佐天と初春のやり取りを見たカズマは息ぴったりな様子に親友は嘘ではないらしいと納得する。

 佐天は自慢げにカズマへと話しかけ、彼はそんな彼女を適当にあしらっている様子を初春は眺めながら、カズマへある疑問を抱いていた。

 

(……あれ?この人ってどこかで……)

 

 佐天が親しげに話しているカズマという少年を、初対面でありながら何処かで出会ったような感覚に陥っていた。何処かで見かけたような、そんな名前を数日前に耳にしたようなと初春は記憶を探る。

 

「——カズマさん?カズマさん?よろしいでせうか?」

 

「……なんだよ」

 

「いったいいつから女子中学生と親しい仲になったんでしょうかっ!?上条さんは許しませんよ!!学校をいくらサボろうと、遅刻しようとも、喧嘩に明け暮れようと私は許しますが!!こんな可愛らしい子と仲良くなるのだけは許しませんよ!」

 

「うるせぇ!!ただただうるせぇ!!」

 

 上条と名乗ったツンツン頭の男はカズマの両肩を掴んで揺らし、それを心底鬱陶しそうにカズマは喚く。

 こうなる未来が分かっていたから、佐天と話している所をこの男に見られたくなかったのだ。

 

「朝から喧嘩売ってんのかっ!?第一に佐天は偶然出会っただけだっての!!」

 

「昨日出会ったばっかりで仲良く話しかける子がどこにいらっしゃいますか!!特に口より手が早く出るカズマさん相手にですよ!?」

 

「カズマさんが言ってることは本当ですよ?昨日、というか数日前に出会ったばっかりです」

 

「……嘘でせう?このカズマさんはウチのクラスでも屈指の問題児で馬鹿で不良さんですよ?」

 

「こ、コイツ……」

 

 黙っていればボロカスに言う友人に、カズマは青筋を立てて頰を引き攣らせる。不良と問題児は甘んじて受け入れるものの、似た成績である男に馬鹿と言われる筋合いはない。

 

「カズマさんのお友達さんですよね?あたしは昨日から友達になった佐天涙子ですー!」

 

「こんな丁寧に挨拶する子がカズマの友達だなんて……俺は上条当麻だ。コイツに脅されたら真っ先に相談していいからな!」

 

「上条さんですね!はい!その時はぜひ相談させていただきます!……ちなみにこの人は一号、二号、三号の中でどれなんですかー?」

 

 佐天が丁寧に自己紹介をすれば、ツンツン頭の男は上条当麻と名乗る。

 佐天を脅すと言っていた上条を殴ろうと、嬉々として拳を握っていたカズマに佐天は昨日の連絡先のことをコソコソと耳打ちをする。

 

「あー……コイツ一号な」

 

「なるほど!一号さんですか!つまり二号、三号のリーダーで合ってます?」

 

「おう。コイツがリーダーで、それに続いて二号と三号がいんだよ」

 

「一号とか、二号とか、その謎の言葉に不思議と罵倒されてるような気分になるんだが、(わたくし)の気のせいでしょうか?」

 

 カズマと佐天の2人が通じ合っているのは、昨日の連絡先の名前のことである。2人の言葉の裏に鋭さを感じた上条は白目を剥いた。

 佐天が例の馬鹿1の人かと内心で失礼な事を考えているのに、もちろん上条が気づくことはない。

 

「あーーーー!!!思い出しましたー!!」

 

「わぁ!?ずっと黙ってたのにいきなり叫んでどうしたの?」

 

「思い出したんです!この人、ええっと、このカズマさんのこと!」

 

「カズマさんがどうかしたの?」

 

「はい!風紀委員(ジャッジメント)で噂になってる人です!よくスキルアウトとぶつかり合ってるとかで!数日前に警備員(アンチスキル)の黄泉川さんが訪ねてきて、見かけたらすぐ連絡入れてほしいって言われたの思い出しました!!」

 

「なんでスキルアウトなんかと……あー、いや、お前はそんな奴だったな」

 

 この場でカズマと付き合いの長い上条は納得した顔で頷く。

 一匹狼の彼がなぜ女子中学生の佐天と知り合いになったのかを初春の言葉で薄らと理解し、カズマが風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)に目を付けられているのを彼は納得する。

 

「むむむっ!これはさらにカズマさんを知りたくなりましたよ!放課後時間ありますかー?」

 

「暇じゃねえから断る」

 

風紀委員(ジャッジメント)に、あれやこれを質問されて結構大変だったんですよねー」

 

「……ちっ、今日だけだぞ」

 

「よしっ!初春はどうする?」

 

「い、行きます!私もついて行きますよ!」

 

 親友が風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)の両方に名が知れている危険人物と出かけるとなれば初春は慌てて頷く。

 初春は人を見かけで判断をしたら駄目だと思いながらも、人相が悪い彼をどうしても警戒してしまう。彼の毒牙から親友を守れるのは自分だけだと両手を握って自分を鼓舞する。

 

「……よかったじゃないかカズマ」

 

 そんな3人の微笑ましいやり取りを上条は爽やかな笑顔で見守り、カズマの方に右手を置きながら——-

 

「——それはそうと土御門と青ピには伝えておくからな」

 

 明らかに嫉妬心全開の本音を友人へと伝えた。

 

「なんでアイツらに報告すんだよ!?ぜってぇ五月蝿くなるだろうが!!」

 

「カズマだけ美味しい思いをさせるわけないでしょうが!?風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)だけじゃ物足りないんだろう!?そしたらあの2人は適任だと思いますけどー!!」

 

「あの馬鹿どもに付き纏われるのは願い下げだっての!!だー!めんどくせぇな!?……500円やるから黙ってろ!?」

 

「いや!!2000円!!」

 

「ちっ……1500円!!」

 

「それぐらいでこの上条さんを口止めできるとでも?」

 

「…………近いうちにファミレスで飯を奢ってやる」

 

「のった!!」

 

(その土御門さんと青ピって人が二号と三号の人かなー?)

 

(え、えっと、これどうしたらいいんですか……?)

 

 男子高校生2人による謎の結束を眺めながら、上条が口にした人物が馬鹿2と馬鹿3を指しているのかと佐天は呑気に考察しながら、初春は目の前の光景にどうすればいいのか分からず目を丸めていた。

 

「あー!佐天さんそろそろ急がないと遅刻しちゃいますよー!」

 

「わっ!本当だ!カズマさんに上条さん、あたしたちはこれで失礼しまーす!あっ!カズマさんは放課後連絡しますから、きちんと電話とってくださいねー!」

 

「わーってるよ」

 

「おう。気をつけて行けよー!」

 

 バタバタと走り去っていく佐天と初春を、カズマは気怠げに、上条は手を振りながら見送った。

 

「俺たちも急ぐか。……それはそうと、あの佐天って子と連絡先を交換してるのはどういうことでせうか?」

 

「あん?その言葉通りだろ?」

 

「カズマに春がきて、上条さんに春が一向にこないのおかしいだろー!だぁぁぁ!不幸だー!」

 

 ——上条は心底納得いかない思いを発散するかのように、人目を気にせず朝から叫ぶのだった。

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